■『レディ・ベス』世界初演への道 vol.5■
プレビュー開幕まで1週間を切りました!
ミュージカル『レディ・ベス』稽古場レポート、本日はロビンのシーンと、メアリーのシーンを中心にお届けします。
吟遊詩人であり、ベスの恋人になるロビン・ブレイクは山崎育三郎さんと加藤和樹さんのWキャスト。
ロビンについては、おふたりのインタビューも掲載していますので、そちらもご覧ください。
で、そのインタビューでも語られていましたが、ロビン、手にはリュートを持っています。
こちらは山崎育三郎さん。
朗らかなナンバーで、フォークロア的な懐かしさもある曲調です。
今回の『レディ・ベス』は作曲のシルヴェスター・リーヴァイさんがケルト音楽の要素を取り入れたと仰っていましたが、さっそくそんな風が感じられます。三和音の伴奏とか。
ワクワクしてきます!
自由人・ロビンには、彼を慕い行動をともにする三人組がいます。
左から、平間壮一さん、(山崎さん、)加藤潤一さん、寺元健一郎さん。
ロビンが町の人々の前で楽しく歌っているこのシーンは、彼の明るさ、縛られなさ、愛らしさが伝わるシーンであり、さらにその流れで、当時の情勢もわかる構造になっています。
つまり、ベスの姉・メアリーが王として国を治めていることを、庶民たちはどう思っているのかを、です。
ひとりの女性を、司祭が兵士たちを連れて捕まえにきました。
その横暴さに「メアリーは退位しろ!」と口々に言う町の人々ですが、ここで演出の小池修一郎さんが「もう少し整理しよう」。
まずはロビンたちに「自由だ、というところは重要なテーマ。この部分を、動きからハッキリと」と指摘。
歌い方も気になる部分があるようで、こと細かに指摘していきます。
そして山崎ロビンの"振り返り演出"を、すこしはなれたところから聞く加藤ロビン。
セリフどおりにストレートに不満を爆発させていた町の人たちには、「怒っているカトリックの司祭が、警察を連れてきた。これはかなりの権力者です。大きな教会、日本だったら本願寺、増上寺のイメージ」とわかりやすい?いや、逆にわかりにくい(?笑)表現で場を和ませつつ、
「そんな人が側にきたらどうしますか? 自分ひとりだったらゴマをするでしょう。彼が目の前にいたら、私は敬虔な信者です、暴言を吐いたのは私じゃありませんってフリをして、陰で舌を出す」と、アンサンブルの人たちの心の動きも合理性を持たせていきます。
小池さん、いくつ目がついているんだろう、というくらい、ひとつのシーンのあとの振り返りで膨大な指摘をしていきます...。
と、小池さんの演出が他の人に向いたタイミングで、ロビンと仲間たちは山崎さんの「ボーイズ、ちょっと...」の呼びかけでピアノの側に。
指摘された部分の歌を再度確認しているようです。
すると、やっぱり加藤ロビンもやってきました。
Wキャストの場合、もうひとりへのダメ出しは自分へのダメ出し、という意識は当然のことなのかもしれませんが、それにしても、もう一方のキャストにされている"自分が受けてない演出"への集中っぷりは、加藤さんはもちろんどなたも、尋常じゃないです。
そして入れ替わるように稽古ピアノの國井雅美さんの元には、このお方の姿も...。
山口さん、気になる部分の確認のようです。
そこで担当ハタと気付きました。
この稽古場...。誰も止まらない!
スゴイっ。
小池さんの演出待ち、ではなく、それぞれが自分の課題ややるべきことをきちんと認識して自主的に動いています。
プロの現場なんだなあ...。
ひととおりの"振り返り"が終わったら、次はキャストを変えて同じシーンです。
加藤和樹さんのロビン。
少し場面は変わって、ロビンはインタビューでも仰っていたジャグリングも有り!
ジャグリングをやると訊いて大変だなあ...と思っていたのですが、単にやるだけではなく、歌いながらのワザ披露でした。うわぁ!
こちらは鏡の前で練習中の加藤さん。
そんなWロビン、カメラを見つけて視線もくれました♪
やることいっぱいで大変なのに...。ありがとうございます!
役柄同様、ムードメイカーなんだろなぁ、と思わせるサービス精神!!
シーンは変わって、ベスとロビンの場面。
花總まりさんのベスと、山崎さんのロビン。
平野綾さんのベスと、加藤さんのロビン。
どんなシーンかを詳しく書くのは控えますが、ベスものちになる名君の姿ではなく、ちょっとイヤミを言ってみたりと、愛らしい顔を見せていました。
このシーンの中でロビンがベスの手を取るのですが、単に「手を取る」のではなく、ベスの手がそこにいくためには、その前にベスがどんな動きをするのか。その動きはどんな心情から出てくるのか。小池さんのこだわりの演出は、やっぱり細かい。そして細かいだけでなく、論理的です!
組み合わせを変えて、花總&加藤コンビ。
また、雰囲気が変わりますね。
さてシーンは変わって、女王・メアリーの場面です。
侍女をぞろぞろ引き連れてのご登場、足元にはじゅうたんまで引かれました!
未来優希さんと...
吉沢梨絵さん。
さまざまなところで「メアリーのナンバーはロック」と語られていますが、ふたりのメアリー、ともにパワフルです!こんな裾の広がったスカートなのに...。
そして、稽古場でマイクを着けずとも声量がすごい。
パワフルさは共通しつつも、未来さんと吉沢さん、まったくタイプが違うのも面白いですね。
ガツン! と来るのは同じですが、
ソウルフルな未来さんの歌を聞くと、鈍器で殴られたような気がし、
ロックな吉沢さんの歌を聞くと、鞭で叩かれたような気分になります(笑)。
それにしてもメアリーは、なぜここまで異母妹・ベスに敵愾心を燃やしているのか。
そんな姉妹の確執も、物語のポイントです。
稽古場レポート、続きます。
次はお待たせしました、ヒロイン・ベス中心のシーンをお送りする予定です!
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
●公演情報●
4月11日(金)~5月24日(土) 帝国劇場(東京)
※4/11(金)・12(土)はプレビュー公演。
7月19日(土)~8月3日(日) 梅田芸術劇場 メインホール(大阪)
8月10日(日)~9月7日(日) 博多座(福岡)
9月13日(土)~24日(水) 中日劇場(愛知)