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田中圭さんが主演を務める舞台「僕だってヒーローになりたかった」が、7月6日(木)から東京・俳優座劇場で上演中。

公演をもう観劇した方も、これから観劇される方も、チケットが取れなかった方も...
ちょっとだけ、舞台の空気感じてください!

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作・演出の鈴木おさむさんと田中さんが、「芸人交換日記」以来、6年ぶりにタッグを組むことでも注目されている本作。主人公の小中正義を田中さん、その妻を真野恵里菜さん、ヒーロー・坂田龍馬を松下優也、官房長官役を手塚とおるさんが演じます。

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物語は、2021年の日本が舞台。東京オリンピックが大成功に終わったものの、オリンピックに向けて全国民が走ってきた日本は次の目標をなくしていた。その頃、倒産したIT企業の社長・小中正義のもとに国防省の官房長官が訪れて――。

謎の多い本作ですが、果たしてどんな舞台になるのか......稽古場におじゃまして、田中圭さんと松下優也さんにお話をうかがってきました!

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――稽古の調子はどうですか?

田中:絶好調ですよ!

松下:いやもう絶好調です。

田中:もう9割9分完成したと言っても過言ではない......うそです。大変です(笑)。

――(笑)。どの辺が大変ですか?

田中:台詞が多いので、(芝居として)成立させるのがまず大変ですね。自分の気持ちいいテンポで言うわけにもいかないし、掛け合いもあるし、一人語りもあるし。でも稽古は楽しいです。

――楽しいというのは?

田中:(鈴木)おさむさんワールドですね。6年ぶりにまた"ベラ喋り"させられてる感じで。みんなが絡んできたときがすごく楽しいです。あと、みんなが喋ってるのを見てるのも超楽しい。ずっと俺、笑ってる(笑)。だから本番、4人で楽しめたらいいなっていうのはすごく思ってます。

――松下さんはどうですか?

松下:圭さんはビビるぐらい台詞入ってるので、そこにまず焦りを感じます。

田中:あはは!

松下:顔合わせのあと、僕、2日休んじゃって。それで稽古場に行ったら、(田中に台詞が)ほぼ入ってるので「あれ!?」って。だいぶ焦りました。だから今はひたすら......今日ここまで来る間もずっと台詞言ってますし! なので僕自身はまだ「楽しむ」ってところまではいけてないですね。ただ僕も芝居を見てるのは楽しいです。台本を読んでるときって、人の役でもなんとなく"こういう感じかな"ってイメージしたりするんですけど、(稽古場で実際に芝居を見ると)全然そうじゃなかったりするので。固く言うと勉強になるんですけど、でも純粋に楽しいです。12.JPG

●「初めて"いじられキャラ"って言われました」(松下)

――おふたりは初共演だそうですね。

田中:まだ向き合ってお芝居をそんなにしてないんですけど、見てるとお芝居がすごいツボなんですよ。もうね、なんかすっごい面白い。

――それは役柄あってのことなんですか?

田中:役柄じゃないですね。

――松下さんの中からにじみ出てるなにか?

田中:はい、にじみ出てる。

松下:さっき言われたんですよ、「松下くんって不器用?」って(笑)。「九州男児っぽさを感じる」「いじられキャラ?」って。全部、初めて言われたので。いじられキャラでもないし、九州男児でもないし、自分で不器用だと思うけど周りにはあんまり思われたこともないし。

田中:ははは!

――そうかもしれないって思いますか?

松下:でも不器用っちゃあ不器用だし、多分いじろうと思えばいくらでもいじられる部分があるんですよ(笑)。

――じゃあ今作で今までにない松下さんが見られるかもしれない?

松下:この作品って笑える所がいっぱいあって。でも僕は人を笑わすことをたくさんやってきたわけじゃないので、テクニックはあまりない。だから「笑わしにいく」というより「笑ってもらう」ほうでいたいなとは思ってるんですけど。ただきっと(田中が言っているのは)そういうことじゃない(笑)。

田中:いやすごくね、幅があるんだろうなって思う。お芝居見ても思ったし、話を聞いても思ったんですけど。僕の勝手なイメージで、こういう芝居するのかなっていうのを全部ぶち壊してきたから。

松下:へえ!

田中:すごい楽しくて。だからさっきも(松下が、芝居を)180度変えてもいいのかなって思うって話をしてたから、僕は冗談だけど本気で「毎公演、変えちゃえばいいじゃん」って言った。多分それができると思うから。そうなったとき、僕もまた違う正義になるはずだし。だから稽古の後半もすごく楽しみですよね。

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●「こっちも天才になった気でやるしかない」(田中)

――おふたりとも鈴木おさむさんとは久しぶりのタッグですが、稽古に入ってどうですか?

田中:(近くにいる鈴木さんを見ながら)おさむさんのこと大好きですし、本当に天才だと思っているので......。

(鈴木:お!もっと言ってよ!)

田中:(笑)。ただ稽古場で、前回も思ったんですけど、「めっちゃ冷たい」って思うときがあるんですよ。なんか......なんか、ない?

松下:わかります!

田中:「冷たい人」っていうんじゃなくて、なんか自分たちと全然違うところ見てるから。もちろんだから演出家として信頼してるんですけど。でもたまに、おさむさんのことを考え出すと自信がなくなってくるので(笑)。基本的に考えないようにしています。

――演じるうえでの自信っていうことですか?

田中:そうです。例えば「これ、おさむさんどう思ってるのかな?」とか「これでいいのかな?」とか思うと、不安しかなくなってくるんですよ。

松下:嬉しいっす。同じようなこと思ってた。ああよかった(笑)。

田中:だからもうあんまりね、俺は「どうですか」とか聞こうとも思わなくなった。聞いたら多分「いいんじゃないですか」って言うんだろうなってわかってるので。もう、ほっとこ!って(笑)。

松下:(笑)。演出家やけども、

田中:ほっとこって。天才の考えはわからんから。こっちも天才になった気でやるしかない!

松下:代弁していただいた感じです。やっぱり気になるじゃないですか。(鈴木さんは)どういう反応かなって。でも想像とは違うと思うから。

――鈴木さんの考えてることが?

松下:考えてることはわからないですけどね、きっと違うので。いろいろやってても、すべてを見透かされてるように感じるし。

田中:そう! わかるー(笑)。

松下:だから本当に自分の中でしっかりやっとけば、きっと大丈夫なんだろうって。だってすごい笑ってるときもあれば、急にすっっごい怖い目で......。

田中:あははは!

松下:だからそうですね。気にしすぎちゃいけない。見すぎちゃいけない(笑)。

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●「コメディだけど、衝撃を受ける人もいると思う」(田中)

――脚本を読ませていただいて、ストーリーもすごく面白かったのですが、それと並行して公式サイト(リンク:http://tristone.co.jp/bokuhi/)でも鈴木さんが「手塚とおるさんは、物語のプロットを読んだ感想を「これ、ある意味ドキュメンタリーですよね」と鋭く言ってくれました。」と書かれていたように、"これは何の話だろう"と考えたくなる内容だと感じました。おふたりはどう思って演じられていますか?

田中:作品としては、コメディと言っていいと思うんです。ただ、(台詞として)言ってる内容は、メッセージ性がすごくあったりするので、観る人の中にはすごく衝撃を受ける人もいるだろうなっていう。かなり毒が入ってますよね。でも僕、そういうの好きなので。観るのも演じるのも。

――演じるときは、そういうことは考えながら演じるんですか?

田中:いや、素直に演じます。そこは別にそのメッセージを伝えたいからこの芝居をやってるわけじゃないので。伝わった人には「あ、よかった」と思う。でもそういうのは9割の人には伝わらないと思っているので、常に。

――「伝わらない」というのは、本当のメッセージが?

田中:"本当の"っていうとちょっと違うんですけど、おさむさんに限らず、脚本家も演出家も自分の想いを作品に込めるんですよ。だって自分自身とか社会とか世の中に対して不満がない人は、そもそもこんなこと(本を書いたり演出したり)しないですからね。何かメッセージとか、自分の思いの丈を作品に入れる。それは別に「毒を吐きたい」とかじゃなくてね。どこかに思想が入る。僕はそのメッセージにただただ共感して、少しでも伝わればいいですねって思いながら。別に(脚本家と)そんな話しないですよ? そんな話しないけど、やっていく。それで、伝わんねえなって思う。だって演じてる俳優でもわかってねえなって思うときもあるし、自分がわかってなかったわってときもあるし。でも基本的には作品には意味があるはずなので。

――松下さんはどうでしょうか?

松下:僕、台本をいただくまではただシンプルにコメディというか、お客さんが楽しんで笑ってというものだと思ってたんです。でも台本を読んでみると全然そんなことなかった。シリアスにしようと思えばいくらでもできるかもしれない内容で。ただ僕も、表面上はそうは見えないけど実はそうでした、みたいなのが好きなんですよ。

――メッセージを感じたんですね。

松下:今までに起きた出来事だったり、今起こってる出来事だったりに対して、すごくメッセージ性のあるものだと思います。そしてそれをストレートにそれを伝えるんじゃないところが魅力的やなって感じていますね。

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公演は、7月6日(木)から 23日(日)まで東京・俳優座劇場、7月26日(水)・ 27日(木)に兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演。

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■『レディ・ベス』2017年公演特別連載 vol.1■

『エリザベート』『モーツァルト!』などで知られるウィーン・ミュージカル界のクリエイター、ミヒャエル・クンツェ(作)&シルヴェスター・リーヴァイ(音楽)による新作として、日本ミュージカル界が誇る鬼才・小池修一郎演出で2014年に帝国劇場で世界初演されたミュージカル『レディ・ベス』

約45年もの長きにわたり女王として君臨し、イギリスに繁栄をもたらしたエリザベス一世。
彼女が王位に就くまでの波乱の半生――異母姉メアリーとの相克、偉大なる父王ヘンリー八世と処刑された母アン・ブーリンへの思い、そして吟遊詩人ロビンとの秘めた恋――を、リーヴァイ氏ならではの美しくも壮大な音楽で綴っていくミュージカルです。
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主人公のレディ・ベスは花總まりと平野綾、その恋の相手となるロビン・ブレイクは山崎育三郎と加藤和樹。

彼らをはじめ、メインキャストは初演時のオリジナルキャストが続投し、今年、3年半ぶりの再演が決定しました。

7月某日、花總まり平野綾山崎育三郎加藤和樹が出席した取材会が開催されました。
そのレポートをお届けします。


花總まり
「今日メイク室で、ついたての向こうから綾ちゃんの声が聞こえてきて懐かしいなー! と思い、またいよいよ『レディ・ベス』が始まるんだなと思いました。小池先生からは「20歳以上も若返るので、アンチエイジング頑張ってください」というメールが来ました(笑)。そこが私にとって小池先生からの頑張れコールのポイントなのかなと思いますが、あまり気にせずに頑張りたいと思います」LadyBess17_01_02_3133.JPG


平野綾
「3年半ぶりなんですね。3年半前は、舞台経験も全然少なくて、私はミュージカル出演は3作目くらい。皆さんの足をひっぱらないよう必死だったのですが、3年半の間に色々な経験をさせていただき、少しずつ自分に自信がついてきたので、今回の公演でまったく違うものを見せられるんじゃないかなと思っています。...でもあまり皆さんは変わらない。でも私以外の皆さんは痩せたかな!? 皆さんに見習ってダイエットしなきゃと思います(笑)。今回は初演より冷静に周りをみたりも出来ると思っていますので、とにかく落ち着いて、役に対する理解を深めていきたいと思います」LadyBess17_01_03_3150.JPG


山崎育三郎
「3年半前に比べ、まったく自分自身かわっているので、今自分が感じるロビンを作りたいと思います。こないだ小池先生からメールが来て「ロビンは60年代・70年代のフォークシンガーだからね」とだけ、書いてありました。それがどういう意味かは今はよくわかっていないのですが(笑)、60年代・70年代のフォークシンガー...男らしさ...を、出せたらと思います。あと"ターザン"があるかは気になっています(笑)
3年半で大きく変ったことといえば、以前は銀座や日比谷あたりでは「山崎さんですか」と声をかけていただいたりしたのですが、今では見ず知らずの方から(他の場所でも)「あ、育三郎だ!」と言っていただけるようになりました」
※ターザン=初演ではロビンがターザンのようにロープにぶら下がって登場するシーンがありました。LadyBess17_01_04_3137.JPG


加藤和樹
「小池先生がどういう演出をされるかによると思いますが、自分から何か新しいことをしていくというより、やっていくうちに新しいものになっていくと思います。色々なトライをディスカッションしながら作っていければと思います。3年の間に自分なりに舞台も色々経験してきましたが、『レディ・ベス』は自分にとっては初めての帝国劇場の出演作品でしたし、初心に戻って自分のできる限りのことをやりたいと思っています」LadyBess17_01_05_3158.JPG

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■『RENT』2017年 vol.7■


 

世界中で熱烈に愛される珠玉のミュージカル『RENT』。2年ぶりの公演が開幕しました!
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7月2日の初日に先駆け、1日にはキャストによる囲み取材が開催されました。 登壇者は、村井良大、堂珍嘉邦、ユナク、青野紗穂、ジェニファー、平間壮一、丘山晴己の7名。RENT2017-07_01_1398.JPGRENT2017-07_02_1455.JPG


まず座長・村井良大さん。前回に続いてマーク役を務めます。
「(シアタークリエでのRENTは5回目で)毎回マーク役は色々な方が演じられてきましたが、マークが続投するのは初ということで、すごく嬉しいです。そしてこの『RENT』をもっともっと多くの人に知ってもらうために、2015年、2017年、さらにその先の未来にも繋がるように、切磋琢磨して頑張っていきたいと思って稽古に臨みました。前回、50回くらい本番をやったのに、新キャストのパワーをもらって、毎日新鮮で、すごく新しい『RENT』が出来ているということを、稽古場で実感しました。前回も出演したメンバーも、前回に甘えていない。今回はもっといいものにするぞという気合いが本当にすごく、みんな真剣にやっていました」RENT2017-07_03_1452.JPG

 
ロジャー役も前回から引き続き、このWキャスト。

まず堂珍嘉邦さん。
「『RENT』は作品に"意味"がすごくあるし、愛に溢れている。だから自分の中でとてもかけがえのないものだったので、その世界をもう一度体感し、体現し、観に来てくださるお客さんに伝えたいです。(続投のキャストが多く)それぞれのキャラクターの生きてきたストーリーとか色々なものが、最初から自分の中に入ってきている部分がたくさんあるので、ここまできたらあとは自信をもってやるだけ。新しいキャストも含めて、きっとみんなそれぞれ、絶対に2年前より深まっているものがそれぞれあるので、色濃く演じることができたらと思います」RENT2017-07_04_1433.JPG

ユナクさん
「(前回と比べて)緊張感も違うし、雰囲気も違う。もっといい芝居を見せられる自信はあります」と力強く語りました。RENT2017-07_05_1429.JPG

『ビューティフル』公開稽古レポート

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■ミュージカル『ビューティフル』特別連載 vol.3■


 

数々の名曲を生み出しているアメリカのシンガーソングライター、キャロル・キングの半生を描いたミュージカル『ビューティフル』

2013年にブロードウェイで開幕、翌年にはトニー賞主演女優賞などを受賞した大人気ミュージカルが、水樹奈々平原綾香を主演に迎え、この夏、日本初演されます。

7月5日、この作品の稽古場が報道陣に公開されました。 その模様をレポートします。


披露されたのは5曲。
いずれも60年代アメリカの大ヒットナンバーです。
このミュージカルでは、キャロル・キングらが作った楽曲が彼らの心情を表現するとともに、実際にその楽曲が生み出された瞬間を芝居として描いていく...という、ミュージカルとしてとても面白い構造をしているのです。

『ウィル・ユー・スティル・ラブ・ミー・トゥモロー』
高城奈月子さんら女性キャストがシュレルズに扮して歌います。beautiful03_21_2881.JPG
主人公のキャロル・キングといった人々は、音楽を作り出していく「クリエイター」ですので、彼らが作った名曲の数々を歌っていく「スター」たちには、この作品ではいわゆるアンサンブルの皆さんが扮していくのです。


『ワン・ファイン・デイ』
エリアンナさんらシフォンズ役が歌うテレビ局での収録シーン。beautiful03_22_2891.JPGbeautiful03_23_2914.JPG
曲を作ったキャロル・キング(水樹奈々)、ジェリー・ゴフィン(伊礼彼方)も収録に立ち会っています。beautiful03_25_2897.JPG
満足そうなキャロルに対して、beautiful03_27_2902.JPG
ジェリーは少し不満気。beautiful03_28_2903.JPG

そんな、音楽に対する思いへの違いに加え、夫婦間のすれ違いもあらわになっていきます。
(さらっとジェリー、ひどいことを言ったような...!)
シフォンズから引継ぎ、水樹キャロルが切ない思いを歌い上げます。beautiful03_29_2933.JPG

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■『RENT』2017年 vol.6■


 

ミュージカル『RENT』がこの夏、2年ぶりに上演されます!

20世紀末のNYを舞台に、セクシャルマイノリティー、HIVポジティブ、貧困、麻薬中毒...様々な現代的な悩みを抱えながらも、夢に向かって生きている若者たちの姿を描いたこのミュージカル。
ジョナサン・ラーソンの作った楽曲も名曲揃いで、世界中で愛され続けている作品です。

熱狂的なファンが多いことでも知られ、その熱いファンのことは"RENTヘッズ"と呼ばれていますが、今回・2017年版の製作発表の場で、自らのことをRENTヘッズだと告白したのが、コリンズ役の光永泰一朗さん
曰く「好きすぎて、ちょっとウザイところもある」そうなのですが...。

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でしたら、そのRENT愛を語ってもらおう!と、お話を伺ってきました。
作品との出会いから、演じるコリンズについて、現在の心境、RENTについてマニアックな愛すべきポイントまで...ロング・ロングインタビューとなりましたが、たっぷりどうぞ!
 

◆ 光永泰一朗 INTERVIEW ◆

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●1998年の日本初演時に、アルバイトで...


―― 会見でご自分のことを「RENTヘッズ」だと仰っていましたね。

「いまだにあれは言わない方がよかったのではと思っています(苦笑)。『RENT』が好きすぎて皆さんに引かれるんじゃないかと...」


―― いやいや、ぜひそのRENT愛を語って頂きたいです。日本初演の際に『RENT』のチラシを配るアルバイトをしていたと仰っていました。その報酬として、NYに『RENT』を実際に観に行ったとも。なぜそんなバイトを?

「1998年に『Breakthrough Musical RENT』というタイトルで上演された際、当時の僕は大学生で、僕の親友が...制作会社だったか、広告代理店かもしれませんが、そこの方と友だちだったんです。で、『RENT』というミュージカルを日本に持ってくる、ついては戦略的な展開のために意見を聞きたいということで、最初に座談会のような場に行ったんです。僕も音楽をやっていましたし、きっと登場人物たちと同世代の若者のナマの意見をききたい、ってことだったと思うのですが」


―― ああ、なるほど。単なるチラシ配りのアルバイトではなくて、作品関連のお仕事の一環としてチラシも配ったんですね。

「そうです、そうです。で、意見を色々と言ったりしていくうちに、ビラ配り等々も手伝ってくれ、と。バイト代は出ないけれど、その代わりにNYまで『RENT』を観に行かせてやるから、という流れです。弾丸で3泊でNYに行き、オリジナルキャストの公演を観ました。一応、取材という名目でいったので「ライフカフェ」とかにも行って、写真を撮ってきたりもしました」RENT2017-06_02_0910.JPG

「みんなどこか後ろ向きで面白いんです」

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チェーホフの四大戯曲をケラリーノ・サンドロヴィッチが演出するシス・カンパニーの企画第3弾として、『かもめ』『三人姉妹』に続いて『ワーニャ伯父さん』が登場します。KERAが奇をてらうことなく戯曲にじっくり向き合い、チェーホフの面白さをじわじわと引き出している好評のシリーズです。

段田安則の主人公ワーニャの姪、ソーニャを演じるのは黒木華。宮沢りえ扮する美しい義母エレーナを眩しく見つめながら、叶わぬ恋を胸に秘めて働き通しに働いているという、かなり切ない女性を演じます。映像から舞台まで、作品ごとに違う顔を見せてくれる黒木さんに、稽古を前にした心境を伺いました。

051aコピー.jpgくろき・はる 1990年、大阪府出身。舞台『赤鬼』『書く女』『るつぼ』『お勢登場』、映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』『ちょっと今から仕事やめてくる』『海辺のリア』、ドラマ『真田丸』『重版出来!』『みをつくし料理帖』など幅広く活躍。

──黒木さんは高校演劇のご出身ですよね。演劇部時代にチェーホフには触れていましたか?

「当時は日本の現代劇ばかりやっていて、チェーホフもシェイクスピアも経験がないんです。『ワーニャ伯父さん』は戯曲を読んだのも今回が初めてでした」

──読んでみての印象は?

「まずは暗い......と思いました(笑)。時代背景もあるでしょうけど、自分の人生を悲観して諦めている人が多いんです。私が演じるソーニャも『人間、いつか死んだら自由になるのだから、それまでは働いて生きないと』という考え方。みんな常にグチを言っていますし、ケンカしてもなぁなぁで、何も解決していないんじゃない?と思ったり(笑)。でも、みんながちょっとずつ後ろ向きなところが、チェーホフの面白さじゃないかとも思います。未知な分だけ、お客さんの反応も楽しみです」

──KERAさんとは初顔合わせですね。

「お仕事をご一緒するのは初めてですけれど、KERAさんの舞台はよく拝見していて、ナイロン100℃の舞台ももちろん、古田新太さんとの振り切れたシリーズも大好きです(笑)。KERAさんというと音楽や映像、ダンスも加わってお洒落でスタイリッシュな舞台で......という印象ですが、ストレートにチェーホフをなさるのか、ちょっとひねるのか、どちらにしてもきっと面白くなると思います! 稽古場でKERAさんの演出を面白がれるように、私自身はいつでもフラットな状態でいたいです」

──エレーナ役の宮沢りえさんとはドラマ『グーグーだって猫である』でも共演されていますね。

「はい、りえさんは舞台もたくさんやってらっしゃいますし、こうしてじっくり舞台でお芝居できるのがすごく楽しみです。ソーニャは自分に自信が持てず、エレーナに憧れている役なので、役作りにはあまり苦労しないんじゃないかと思います(笑)」

──ソーニャの報われない恋心も切ないです......

「本当に。私自身も叶わない恋が多かったので、ソーニャの気持ちはすごくよくわかります」

──お、そんな共感ポイントもあるんですね。この作品ではみんなが「辛い」とか「自分は不幸せだ」とかしょっちゅう言っていますが、それについてはどう思いますか。

「意地悪な見方をすれば『ああ、私、こんなにしんどい』という姿をまわりの人に見せたいようにも思えるし、本当にそう言わなければやっていられない、という面も両方ある気がします。私自身は『ご飯がおいしい』とかわりと単純なことで幸せを感じられるタイプなので、あまりそういうことは言わないですけれど。何よりもお芝居がすごく好きなので、いろんな作品に出させていただけることが一番の幸せなんです。お休みがあってもどうしていいかわからなくて、結局お芝居とか映画を観に行っちゃいますし。趣味がお芝居です(笑)」

──うーん、まさに芝居の申し子ですね。凛とした着物姿で幸せそうに料理しているかと思えば、カリスマ的魔性の少女で観る者を震え上がらせたり。黒木さんは作品、役柄によってまったく見せる顔が違って、毎回「もともとそんな人だったんじゃないか?」と思えるのが不思議なんです。

「そう見えるとしたらありがたいです。自分自身を押し出すのがあまり好きじゃないのかもしれないです。自分の中の美学として。もちろん自分がやっているので出てしまいますけど、自我が表に出るのが恥ずかしくて。でも表に出る仕事をしているという、矛盾の中でやっています(笑)。私はいつも『もっとお芝居が上手くなりたい!』と思うんですが......。今回出演される方々も本当に素敵なお芝居をなさる方ばかりなので、私が足を引っぱらないようにしたいです」

(取材・文=市川安紀)

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『RENT』稽古場レポート Part3

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■『RENT』2017年 vol.5■

 

世界中で熱烈に愛される珠玉のミュージカル『RENT』がこの夏、2年ぶりに上演されます!
その稽古場レポート、第3弾をお届けします。

 

※稽古場レポート Part1→
※稽古場レポート Part2→


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今回は『Tango Maureen』『Out Tonight』『Another Day』『I'll Cover You』のシーンをメインにご紹介します。

マーク=村井良大さんが「生きて帰れるか...」と向かった先は。RENT2017-05_11_1217.JPG
ジョアンヌ=宮本美季さんのところ。ジョアンヌは、恋人であるモーリーンのパフォーマンス会場の設営中。...ですが、トラブル発生。RENT2017-05_12_1064.JPG

ジョアンヌはモーリーンの現・恋人、
マークはモーリーンの元・恋人、
ということで微妙な関係性のふたりが、モーリーンについて歌い上げるのが、『Tango Maureen』
張り合いながらも分り合える部分があるようで...。RENT2017-05_13_1231.JPG

『RENT』稽古場レポート Part2

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■『RENT』2017年 vol.4■

世界中で熱烈に愛される珠玉のミュージカル『RENT』がこの夏、2年ぶりに上演されます!
その稽古場レポート、第2弾をお届けします。_RENT2017-04_02_1113.JPG
※稽古場レポート Part1→


ダブルキャストの役柄は、堂珍嘉邦さん(ロジャー)、ジェニファーさん(ミミ)、平間壮一さん(エンジェル)、上木彩矢さん(モーリーン)

第1弾に続き「バンド合わせ」のレポートですが、今回は『Light My Candle』のシーンと、『Today For You』、そして『Take Me Or Leave Me』のシーンを中心にご紹介。

『Light My Candle』は、前回ご紹介した『One Song Glory』のシーンのあと、ロフトに引きこもっているロジャーのもとに、上階に住む少女ミミが「火を貸して」とやってくる場面。
ミミが火を欲しがるのには、理由があるようで...。
ミミ=ジェニファーさん。2008年からミミを演じているジェニファーさん、ミミそのものですね。
ロジャーは堂珍嘉邦さん。
ミミとロジャーの駆け引きにご注目を。IMG_0935.JPG

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peterpan_04.jpg ミュージカル「ピーターパン」製作発表 鶴見辰吾、吉柳咲良、神田沙也加、宮澤佐江

ミュージカル「ピーターパン」の製作発表が行われ、10代目ピーターパンを演じる吉柳咲良(きりゅう さくら)が劇中曲を歌唱披露した。

「ピーターパン」は1904年にロンドンで初めて上演。1954年にはアメリカ・ブロードウェイで「ウェスト・サイド・ストーリー」「屋根の上のヴァイオリン弾き」等を手掛けたことで知られているジェローム・ロビンス演出・振付によりブロードウェイミュージカルとして上演。

そして日本では1981年、榊原郁恵主演により初めてミュージカル「ピーターパン」が上演された。
以来、37年にわたって上演されてきた本作が今年もやってくる。


今回の演出を務めるのは藤田俊太郎。
出演は吉柳咲良、神田沙也加、宮澤佐江、入絵加奈子、久保田磨希、石井正則、鶴見辰吾など。

本作の製作発表が行われ、10代目のピーターパンを演じる吉柳咲良(きりゅう さくら)が劇中の代表曲「I'm Flying」を歌唱披露した。【動画1分】

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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ

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まさに彗星のごとく現れ、ミュージシャンや漫画家や小説家らと広くコラボし、型破りのスピードで創作を続けてきたマームとジプシーが、10周年を迎えた。それを記念して過去作品を複数携えて全国ツアーを行う。前例のないプログラムに込めた、作・演出・主宰の藤田貴大の思いを聞いた。

IMG_3378.JPG――マームとジプシーの活動は、いわば燃料補給しながら走り続けているので、何周年といった節目を気にしないイメージがありました。10周年の記念ツアーを決めた理由は?

「確かに今回の企画の始まりは、10周年ということはあまり意識してなかったかもしれません。それよりも、僕が20代で書いた作品を"まとめて観る時間"を作りたいと思った。それは僕自身も思ったし、たぶん出演者やスタッフも思ったと思います。当然、その時間をお客さんに観てほしいねと」

――それにしてもボリューミーな内容です。テーマやモチーフが共通する3作を編集してひとつにした作品を3本、そして30代になった日常が反映される『あっこのはなし』を単独でと、全部観ると10作分になります。

「同じモチーフの作品を編集してひとつにするのは、去年、彩の国さいたま芸術劇場で予定されていた『蜷の綿』(藤田が蜷川幸雄の半生を戯曲化し、蜷川自身が演出するはずだった作品。2016年2月上演予定が蜷川の体調不良で延期された)の代替公演で、マームの過去の作品から"夜"と"不在"といった共通するモチーフを描いた作品を3本選んで、一つの時間にして、上演したのが最初です。その時の作品はさらに編集を加えて上演します。ツアーが彩の国さいたま芸術劇場から始まるのは、そういう経緯もあります。」

――地域によってプログラムは異なりますが、最低でも2シリーズ4作品は観られるようにしているんですね。

「僕らは5〜6年前から国内外の各地でよく公演していますが、通常、一つの土地に作品を持って行けるのは、当たり前にひとつだけだし、その土地の人たちは次に僕たちの作品に、出会えるまでに時間が空いてしまう。僕はそれが寂しくて。作家なら誰しもそうだと思いますけど、ひとつの作品で自分のことを全部言えたことなんてないわけで、とすると、地方のお客さんは僕のその時の一部に触れただけで終わってしまう。だから、マームの色んな側面を観られるように、複数の作品を持って、いろんな場所に行きたいと思いました。

 それと、自分自身が18歳まで、演劇作品がほとんど観られない町にいたコンプレックスがいまだに消えないのも大きいです。地方には当時の僕と同じように悶々としている人がきっといる。そこを訪れて、その時期に劇場に来れば3作品、4作品観られるような状態をつくりたいと思いました。仕掛け方は違うとしても、こういうプロジェクトが一般的にも可能になれば、"地方にいる"という事のコンプレックスを少しは解消出来る気もしました。」

――普段あまり演劇を見慣れていない人は、演劇に対して受け身になる?

「そうなのかな。ただ、対象が複数あって、その中から自分で選ぶ事は、意識的になりますよね。もちろん演劇を観にくる理由は何でも良いとも思うけど、内容とかじゃなくて "テレビに出ている◯◯さんが出演していた"という受け身の感想で終わるのは残念だなと思います。せっかく演劇を観に来てもらうのだから、作品をつくる側としては、演劇の奥行きや総合性みたいな事をきちんと見せて、次に"演劇"を見る事に繋がったらと思います。」

――どの作品も新たに手を入れるんでしょうか?

「もちろん、全ての作品手を加えます。たとえば『ΛΛΛ』は石橋英子さんが音楽を担当して下さる事になりましたし、衣裳もスズキタカユキさんがそれぞれの作品に新しく、手を加えてくれる事になりました。僕に関しても、そういう新しい要素から生まれる新しいイメージもあると思います。」

――編集すると、オリジナルの良さが失われたり、ストーリーがわかりにくくなるリスクがあると思いますが、その点は?

「僕らを初めて観る人は常にいるので、どうすればより伝わるかはいつも慎重に考えています。ただ、例えば作品に完全な"答え"みたいな物が僕の中にあったとして、それを分かりやすく提示して、観客の皆さんが同じところを見て、同じような感想を持つように導く事はとても気持ちが悪いと思います。舞台上で俳優が、重要な台詞を話しているときに、全く関係のないような舞台上の椅子が気になって、それをじっと見ている人や、全く僕の意図とは違うベクトルの事を考えていてもいいと思っています。出来るだけ多くの要素を舞台上に並べて、観ている間に観客が、何を自分で選ぶ事が重要な気がしています。今回の機会や僕らの作品がそういう体験になればなと思っています」

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