銀河劇場ニュージェネレーションシリーズ 朗読劇「僕とあいつの関ヶ原」は2014年12月の初演の際に多くのお客様からご好評の声を頂きました。その皆様の声と共に、初演舞台写真をご紹介します。
この熱いご声援のおかげで『僕とあいつの関ヶ原』はオリジナルキャストでの再演に加え、新キャストでの上演。さらに、原作シリーズの新作『俺とおまえの夏の陣』も新たな朗読劇として上演することが決定しました。
今回はじめてご覧いただく方も、初演から応援頂いている皆様も、ぜひご期待ください!
・台本を持って、他のどんな小道具も使ってないのに、その場に剣や槍が見え、銃弾が飛び交う様が感じられる演出と役者の演技に高揚します。朗読劇なのにこれほどいきいきと合戦を描けるとは思いませんでした。
・役者さんの演じ分けが観ていて楽しかったです。ナレーション役からキャラクターに変わっていく様子にぞくぞくしました。
・キャスト、スタッフの皆様が真正面から作品にぶつかっていらして、それが真っ直ぐ「生」に相手にぶつかろうとして生きていた武将たちの姿としてわたしの心に響いたように思えました。
・初めて朗読劇を拝見させて頂いたのですが、動きがついていて分かりやすく、劇よりも手軽に楽しめるという点が気に入りました。また、一人のキャストさんが何役も演じられる、ということで、分かり難くならないか不安だったのですが、皆さんの演技に引き込まれ、また照明の色の使い分けなどでどちらの話(東軍か西軍か)をやっているのか分かりやすく工夫されていたので混乱することなく過ごせました。
・関ヶ原の戦いという壮大なテーマを濃密な人間関係で表現するという、ある意味新しい見せ方にとても感銘を受けた。実力のある役者さん達でとても見ごたえがある劇だった。
・1人で2役以上の演じ分け、がらっと変わるその雰囲気すごかったです!家康の怪しさ、大谷のすごみ、小早川の心の弱さ、惹きこまれました。
・原作未読で役者と関ヶ原いついて軽く学びなおしたのみで観させていただきましたが場面の移り変わりの演出がとてもわかりやすく、見ていてすんなりと話を理解できました。役者さんの役の変化もとても印象的で、あの人数ながら関ヶ原の熱い戦いが見事に描かれていて感動しました。
・すごく世界に引きこまれました。気がついたら、手に汗にぎりました。そして涙しました...。すごい朗読劇観させて頂きましたぁぁぁ...はぁ。キャストの皆さんの気迫...場面、役ごとの空気の変化、世界観をつくる照明、音、セット...おもしろかったー!
・少人数なところがよかった。演者さんがたくさんいると目が追いつかないので。1人2役で反対の役を演じてるやり方がおもしろかったです。
・昨日とは読み方が変わり、印象に残りました。
・歴史は全く詳しくない自分が、1人1人の人生を覗き、興味がわきました。
・朗読って文がキレイだからより光ってみえます。
・ト書きを読まれる時に、そこに関わるキャラクターの感情が見えました。不思議です。
・学生時代に日本史を選択していなかった&苦手だったので、正直、ほとんど役が分からない状態でした(笑)でもとても面白かったです。それぞれの役の心情など、見ているうちにどんどん引きこまれてしまいました!
・すごかったです。もう、何と言ったら良いやら...終わってから息が止まるくらい圧倒されてまともに拍手も出来ませんでした。お1人ずつが何役もこなしてらっしゃって、入れ替わり立ち替りに役が変わっても、まったく違和感なくどんどん飲み込まました。それぞれがハマリ役と言えるもので...。
・配役がすごく考えられていて、すごくスムーズに話が展開されていくので、どんどん舞台に引き込まれていって、圧倒される素晴らしい舞台でした。
・舞台にはたった5人しかいないハズなのにそこには関ヶ原の喧騒が感じられました。たった5人の群像劇ってすごすぎる!!
などなど・・・8月には「僕とあいつの関ヶ原」の再演と、
「俺とおまえの夏の陣」の公演が上演されます。
どちらもお見逃しなく!
お昼の顔・小堺一機が1985年から続けている夏の恒例のショー『小堺クンのおすましでSHOW』が今年、30回目を迎えます。
歌あり、踊りあり、トークあり、パフォーマンスありのエンターテインメントショー。
メンバー本気のタップダンスから、おしゃれなソング・ショー、おなかを抱えて笑えるコント仕立てのお芝居、そしてテレビでは見られない"ブラック小堺"が顔を覗く...と評判(?)の爆笑トークまで。
夏はこの作品を観ないと終われない!という人も多数いる、盛りだくさんの内容で贈る人気のステージです。
30回目の『おすまし』は、
メンバー大忙しで贈るコメディ・タイム、「30」にまつわるショートストーリーの第一部と、トーク&音楽バラエティショーの第二部という構成となる予定とのこと。
構成・演出も手がける小堺さんに、この作品への思いや懐かしのエピソードをじっくり伺ってきました!
● 小堺一機 INTERVIEW ●
――今回『小堺クンのおすましでSHOW』は30回目の公演とのことで、おめでとうございます。演劇界・夏の風物詩となっているこの公演、もともとはどんなきっかけから始まったのですか?
「はい、気がついたら30回目。初演はもう30年前のことですね...。あの頃はバブルだったでしょう。僕の『ライオンのいただきます』(現在もCX系で放映されている『ごきげんよう』の前身番組)が初演の前年、1984年10月から始まったのですが、その影響やらで知名度があがったりすると、「こういうことやってみませんか」とか、お声がかかるようになるんです。その頃、PARCO劇場にうちの専務とあるショーを観に行って、「お前もこういうところで、看板に名前が出るようなショーを出来るようにならなきゃダメだよ」とハッパかけられていたんですよ。そんなのもあり、渡りに舟といいますか(笑)、やらせていただくことになりました」
――ご自身がやりたくて始めたのかと思っていました! 小堺さんの好きなものが詰め込まれているイメージなので...。
「あ、そう言った方がが良かったですか(笑)? 舞台は好きで観ていましたし、昔のアメリカのテレビショーとかもよく見ていましたが、ただのファンとして見ていたので...。でも、やりたくないということはなかったし、やらせてもらえるんだと思ったら嬉しかったですね。その前にも欽ちゃんファミリーで舞台に立ったりはしていましたが、自分の中では、「僕は(舞台は)無理だろう」という思い込みのようななものがあったので...。でもどこかで「やってみたいです」みたいなことを言っていたのかしら? もしかしたら、それを聞いてくれてた人がやらせてみたのかもしれないですね」
迫力の"アクションプレイ"で魅せ、"笑って、泣けて、考えさせられて、かっこいい"演劇を作り出している30-DELUX(サーティー・デラックス)の新作、『新版 義経千本桜』。
歌舞伎でもおなじみの演目を斬新な解釈で再構築、オリジナルのストーリー展開も織り交ぜ、30-DELUXらしいスペクタクルな歴史劇を描き出します。
主人公・義経は、元宝塚トップスター水夏希!
この注目作の<顔合わせ>現場を取材してきました!
顔合わせとは、稽古はじめに、キャスト・スタッフ・関係者一同が顔を揃えるイベントです。
出演者を中心に、こんな感じで進められています。
7月4日に開幕する、ロイド=ウェバー作曲のミュージカル『サンセット大通り』の稽古が公開され、ノーマ役の安蘭けい/濱田めぐみ、ジョー役の平方元基/柿澤勇人を含むキャスト達が、ピアノを伴奏に、4つのシーンを披露した。
まず、アップテンポなナンバー<Let's Have Lunch>。

ジョー(柿澤)が借金取りに追われ、仕事を得ようとあがいている。彼の後ろを、人々がせわしなく行き交い、セットはめまぐるしく動く。これらを支える、本番では見えないスタッフ達の活躍ぶりにも脱帽だ。こうして、生き馬の目を抜く大都会の情景が、多層的に表現される。のちにジョーが恋仲となるベティ(夢咲ねね)や彼女の婚約者アーティ(水田航生)、映画プロデューサーのシェルドレイク(戸井勝海)、映画監督のデミル監督(浜畑賢吉)など、登場人物の多くが一堂に会し、その後の展開を示唆する。
続いて、ガラリと雰囲気が変わり、舞台は重厚なノーマの屋敷に。平方ジョー(平方)とノーマ(安蘭)が最初に出会う<With One Look>だ。

目の前の女性が大スターであることに気づいたジョーに向かい、ゆっくりと振り返るサングラス姿の安蘭ノーマ。かつての栄光を歌い上げる彼女の迫力に、平方ジョーが、そして見学者全員が飲み込まれる。最後は、まさに独壇場。歌詞の通り、サングラスを取ったその眼差しに世界が震え、ひときわ大きな拍手が起こった。
次は、ジョー(平方)とベティが恋に落ちる<Too Much In Love To Care>。

夢咲の高く透明な声は、低く深いノーマの声とは対照的だ。緩やかに回転する階段の端と端に位置取りながら、歌と共に、徐々に近づくジョーとベティ。やがて平方ジョーと夢咲ベティは階段のてっぺんに並び、みつめ合い、伸びやかな声で恋する心情を歌い上げる。若者達の恋が瑞々しく煌めく場面だ。
そして最後は、映画撮影所での<As If We Never Said Goodbye>。濱田ノーマは、若者達で溢れた新時代の撮影所に臆しているが、旧知の照明技師が彼女にライトを当てると、戸惑いと感慨の入り交じった表情で歌い始める。周囲の憧れの視線を一身に浴び、その顔も声も自信を取り戻していく。めまぐるしかった時の流れが歩みを止め、束の間、新旧二つの世代が一つになる----。ノーマの女優としての生き様が浮かび上がるようで、圧巻だった。
わずか30分の公開稽古にもかかわらず、本作がいかに劇的な音楽に彩られ、豊かな人間模様を織り成すミュージカルであるかが伝わってきた。全編を通した時、一体どのようなドラマが立ち上がるだろうか。
取材・文:高橋彩子
巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーが、
サイレント映画の大女優ノーマ・デズモンドと売れないシナリオライター ジョー・ギリスとの愛憎を描いた作品です。
続いてもう1人のノーマ・デズモンド、濱田めぐみさんの登場!
今回披露されたのは「As If We Never Said Goodbye」。
周りからの視線を浴びながら朗々と歌い上げる場面なのですが、その歌唱力に鳥肌がたちました。。。
安蘭さんも「(濱田さんのノーマは)歌唱力があるから説得力も増す」と太鼓判。
そして平方元基さんと夢咲ねねさんの「Too Much In Love To Care」。
恋に落ちていく2人を素敵な歌声で表現されていました、思わずうっとり。
公開舞台稽古の後はキャストの皆さんを囲んでの取材がありました。
記者の1人から「濱田めぐみさんは今回が初演ということですが、難しいですか?」と聞かれ
「難しいところだらけです、早替えなど段取りが大変で・・・逆に舞台上に出るほうがホッとする。
舞台上ではおおらかでのびのびとやっていけたら」と仰っていました。
最後にWキャストのおふたりに見所を伺ったところ
「観る度に色んなキャラクターに共感できるのではないか。」と濱田さん。
安蘭さんは「演じている自分がワクワクするし、色んなことを発見できる。お客様も観る度に様々なことを発見して
もらえるたら」と笑顔で語っていました。
7月4日(土)赤坂ACTシアターにて公演初日をむかえる本作品を、ぜひ劇場にてご覧ください!
成河&深田恭子の主演で贈る、注目のミュージカル『100万回生きたねこ』。
1977年の初版からロングセラーを重ねる、佐野洋子の同名絵本を原作にした作品です。
女優・深田恭子にとっては、本作が初舞台になります!
6月29日、都内にてこの作品の製作発表が行われました。
100万回死んで、100万回生きた、とある"とらねこ"。
ある時は王様に、ある時は泥棒にと様々な飼い主に飼われながら、どの飼い主も好きにならず、自分のことしか好きにならなかった彼が、ある時彼に見向きもしない1匹の白いねこに出会い、初めて愛情を知る物語です。
100万回の生と死の果てに、ねこが見つけたものとは...。
演出・振付・美術を手がけるのはイスラエルの演出家ユニット、インバル・ピント&アブシャロム・ポラック。
彼らが手がけ、森山未來×満島ひかりのコンビで上演された2013年公演も大きな評判を呼び、今回、フレッシュな顔合わせでの待望の再演となります。
会見は、成河さん・深田さんと、実際に舞台でも演奏をする楽団による劇中歌『私のねこ』の披露からスタートしました。
このナンバーについては、深田さんから「成河さん演じるとらねこちゃんは、なにしろ100万回も生きたり死んだりしてますので、本当にたくさんの方の飼い猫だった。でも初めて自分だけの人生を、野良猫として生きていくと決めた時に歌う歌です」との解説が。
三拍子の可愛らしいナンバーを、オルガン、空き缶etc可愛らしい楽器たちが、どこか郷愁を誘う音色で奏でていきます。
初舞台、初ミュージカルの深田さんですが、堂々とした歌唱披露です。
トイピアノを弾きながら、楽しそうに歌っていました。
成河さんはウクレレを手に、クライマックスでは足でカスタネットを鳴らす妙技も!
成河さんもまた、楽しそうな笑顔が素敵でした。
■音楽劇『ライムライト』vol.3■
石丸幹二ら名優たちの手でチャップリンの名作が蘇る、音楽劇『ライムライト』。
げきぴあでは顔寄せ、本読み稽古とご紹介していますが、もう少し日にちが進んだ稽古場にもお邪魔してきました!
★ひと足先に掲載した<チケットぴあニュース>の記事はコチラ
この日公開されたのは、ちょうど前回・本読み稽古の記事でご紹介した冒頭のシーン。
名曲『エターナリー』も美しく響いています。
演出の荻田浩一さんが豊かな語彙で語っていた情景が、立体的になっているのがダイレクトに伝わってきます!
作品が息づき、動き出していく段階を目の当たりにするのは、ワクワクしてしまいますね。
物語は、石丸幹二さん扮する老芸人カルヴェロと、野々すみ花さん扮する足が動かなくなった若きバレリーナ・テリーの恋が軸ですが、1910年代のロンドンの暗い世相、舞台芸術へ情熱をかける人々の思い、といったものが複層的に織り込まれた作品になりそう。
そしてやっぱり、古き良き時代の映画のような、ノスタルジックな手触りがどこかにあります。
カルヴェロを演じる石丸さんからは、そんな"ノスタルジー"が、伝わってくる気がしますし...
テリー・野々さんは、透明感があるとともに、なんだか悲しみも湛えているようで。
前回、荻田さんが話していた「行き場のないふたりが出会ってしまった」という切なさがある、ふたりなのです。
音楽劇『ライムライト』稽古場レポート Part2の続きを読む
ベッド&メイキングスの第4回公演「墓場、女子高生」の稽古場を出演者の山田由梨が突撃レポート!
主宰の福原充則・富岡晃一郎などにインタビューし、公演の魅力に迫る。
舞台「墓場、女子高生」はベッド&メイキングスの旗揚げ公演として2012年に上演。
今回はベッド&メイキングスの第4回公演として、清水葉月、根本宗子、青山美郷などのキャストを迎えて再演する。
そこで今回エントレでは、本作の出演者でもある山田由梨氏にレポーター役をお願いし、稽古場で出演者や主宰の2人に突撃インタビュー取材を行った。
エネルギーに満ちあふれた稽古場の様子を動画でご覧ください!【動画 11分】
(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
福原充則が手掛けた名作たち!
・歌謡ファンク喜劇「いやおうなしに」公開稽古/O.L.H.(面影ラッキーホール)の世界が舞台に
・妻は「口笛」!? 高田聖子・粟根まこと・木野花インタビュー/月影番外地 舞台「つんざき行路、されるがまま」
全世界で6500万人を動員したミュージカルの金字塔『レ・ミゼラブル』が、8月8日(土)より梅田芸術劇場 メインホールにて上演される。この2年ぶりとなる大阪公演開催にちなみ、関西テレビでは特別番組「僕たちのうた~ミュージカル『レ・ミゼラブル』の世界~」が放送されることになった。



番組の放送は7月4日(土)10:50から。お見逃しなく!!
【番組情報】
「僕たちのうた~ミュージカル『レ・ミゼラブル』の世界~」
日時:7月4日(土)10:50~(予定)
司会:内田恭子
出演:福井晶一/川口竜也/知念里奈/笹本玲奈
関西テレビ放送(8ch)ローカル
http://www.ktv.jp/event/lesmise/index.html
■『トロイラスとクレシダ』vol.6■
トロイ戦争を背景に、さまざまな人々の思惑や駆け引き、そしてトロイの王子トロイラスと神官の娘クレシダの愛と裏切りを描く『トロイラスとクレシダ』。
シェイクスピアの問題作と呼ばれるこの戯曲にこの夏、演出家・鵜山仁と名優たちが挑みます。
げきぴあではキャストインタビューや会見レポート等、この作品の魅力を多角的に追っていますが、今回は演出を手がける鵜山仁さんのインタビューをお届けします。
休む間も無く傑作を生み出し続けている鵜山さん。2015年だけでも『リア王』(文学座アトリエ)、『ペリクリーズ』(加藤健一事務所・本多劇場)、『小林一茶』(こまつ座・紀伊國屋ホール)、『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(ロズギル上演委員会・OFF・OFFシアター)、『廃墟』(劇団文化座+劇団東演・東演パラータ)、『トロイラスとクレシダ』(世田谷パブリックシアター+文学座+兵庫県立芸術文化センター)、『マンザナわが町』(こまつ座・紀伊國屋ホール)、『桜の園』(新国立劇場)...と、演出作は8本も!
この中にもシェイクスピアが3本ありますが、これまでにもシェイクスピア作品を数々手がけている演出家でもあります。
そんな鵜山さん、会見で本作の上演の意図を次のように話しました。
「基本的に愛とか信義とか名誉とか、良きものが壊れていく時、どのくらいのエネルギーを出すかというのが見どころだと思っています。崩壊エネルギーを極大に感じられた時、おそらくそこから先、崩壊後を生きるために何が必要か、何が支えになるのか...そのあたりを描いた作品なのではないか。
実に様々な価値観が混在し、衝突する。そういう混沌の中からどんな未来が見えてくるのか。これは現代を生きる我々の問題でもあるし、その辺にも触れることができたら」
※詳細はこちらの会見レポートにてどうぞ。
インタビューでは、『トロイラスとクレシダ』という作品の魅力から、鵜山さんが考える"演劇のチカラ"まで、じっくりと伺ってきました。
◆ 鵜山仁 ロングインタビュー ◆
――まず最初に、なぜこの物語をやろうと思われたのかを教えてください。
「外枠の話をすれば、僕は文学座に所属しているのですが、一方で劇団外でも色々な出会いがあり、今に至っている、ということがあります。(世田谷パブリックシアター、兵庫県立芸術文化センターのような)公共劇場はそういう、様々な出会いを画策することができる場であり、それが実現する場所ですから、今までの出会いの集積を思い切って"ぐしゃっとした形"で実現したいなと思っています。
似たような例で言えば、新国立劇場で『ヘンリー六世』(2009年)、『リチャード三世』(2012年)の上演がありますが、それは一応、百年戦争、薔薇戦争期という流れの中でのストーリー展開でした。これをさらに"ぐしゃっと"クラッシュさせたような世界を、世田谷パブリックシアターの舞台に乗せられればいいな、と。この作品には、村的な世界観と町的な世界観――地方とインターナショナルの衝突といった問題も内在している気がします。世田谷区の道のように...とは言いませんが(笑)、スケールとしてもロケーションとしても、この劇場でやるのは面白いと思っているんですよね」
――地方とインターナショナル、というのは、トロイとギリシャ、ということですよね?
「はい。世界史的な意味でも、ギリシャは都市国家の集まりで、色々な利害が入り混じった、言ってみれば多国籍軍。トロイ側も色々な都市が集まって様々な利害のぶつかり合いがあったという説もありますが、小アジアの一国家です。それは、ちょうどいま中東で起こっていることとダブるところもありますよね。そもそも人間の対立・戦いを考えた時、必ず村か町か...という争いはあったと思いますし、現在もそういうものを引きずっていまだ究極の解決は見ていない。そういった永遠の課題がこの作品には含まれているのではないかなと思っています」