音楽劇『ライムライト』稽古場レポート Part2

チケット情報はこちら

■音楽劇『ライムライト』vol.3■


石丸幹二ら名優たちの手でチャップリンの名作が蘇る、音楽劇『ライムライト』
げきぴあでは顔寄せ、本読み稽古とご紹介していますが、もう少し日にちが進んだ稽古場にもお邪魔してきました!



この日公開されたのは、ちょうど前回・本読み稽古の記事でご紹介した冒頭のシーン。
名曲『エターナリー』も美しく響いています。
演出の荻田浩一さんが豊かな語彙で語っていた情景が、立体的になっているのがダイレクトに伝わってきます!
作品が息づき、動き出していく段階を目の当たりにするのは、ワクワクしてしまいますね。


物語は、石丸幹二さん扮する老芸人カルヴェロと、野々すみ花さん扮する足が動かなくなった若きバレリーナ・テリーの恋が軸ですが、1910年代のロンドンの暗い世相、舞台芸術へ情熱をかける人々の思い、といったものが複層的に織り込まれた作品になりそう。
そしてやっぱり、古き良き時代の映画のような、ノスタルジックな手触りがどこかにあります。

カルヴェロを演じる石丸さんからは、そんな"ノスタルジー"が、伝わってくる気がしますし...
Limelight03_01_1277.JPG

テリー・野々さんは、透明感があるとともに、なんだか悲しみも湛えているようで。
前回、荻田さんが話していた「行き場のないふたりが出会ってしまった」という切なさがある、ふたりなのです。
Limelight03_03_1297.JPG
もちろん石丸さん、野々さんだけでなくほかのキャストの皆さんからもそんなムードはにじみでており、ぐぐっと引き込まれる空気感のある舞台。

良知真次さん
Limelight03_07_1527.JPG

吉野圭吾さん
Limelight03_08_1281.JPG

植本潤さん
Limelight03_09_1283.JPG

保坂知寿さん
Limelight03_10_1254.JPG

荻田さん曰く、キャストの皆さんは「ロンドンの人々を演じている一座の人」ということで、物語に絡んでいない間も舞台上にいるようです。
そんな皆さんが投げかける鋭い視線が、シリアスな空気感を煽ります。
Limelight03_11_1321.JPG

シリアスなのは当然で、時代は1914年、まさに第一次世界大戦が勃発せんとしている...という時期。
喜劇王・チャップリンの作品とはいえ、陽気でコミカルなだけではないのです。
「このぶんじゃ戦争だ!」と良知さん演じる町の男。
Limelight03_12_1249.JPG

...と思いきや、ご陽気な展開へ!
Limelight03_14_1259.JPG
その急激な変化は、陰鬱な空気を無理やりにも払拭したいというような当時のロンドン市民の姿のようでもあり、このあたりの味わいはぜひ本番の舞台で感じたいところですが、単純に音楽やダンスが楽しい! というシーンでもあります。

そんな喧騒の中、カルヴェロは倒れたひとりの少女を助け、自分のフラットへ運びます。
Limelight03_16_1331.JPG


さてこの作品、劇中劇も織り込まれ、作品を色付けていきます。

吉野さん扮するポスタント氏。
陽気な登場で場の空気をガラリと変えるのは、さすが芸達者な吉野さんという感じ!
ポスタント氏は劇場の支配人にして、舞台のMC的存在です。
Limelight03_21_1403.JPG
石丸カルヴェロは、チャップリンを彷彿とさせるようなユーモラスな動きで、舞台を大いに沸かせてくれそうな予感...!

保坂さんのコメディエンヌっぷりも炸裂です。
Limelight03_24_1430.JPG

佐藤洋介さん舞城のどかさんのダンサーコンビの華麗な踊りも...。
Limelight03_26_1399.JPG

カルヴェロの鉄板ネタ・"いわし"の歌を存分にどうぞ。
Limelight03_27_1453.JPG

しかし成功の裏には転落が...。
失敗をしたカルヴェロに、客は容赦なく背を向けるのです。
この話、バックステージものとしての面もあり、舞台芸術のシビアな裏側を描いています。
Limelight03_29_1510.JPG


一方、石丸さんと野々さんは、カルヴェロとテリーが少しずつ、不器用そうに距離を縮めていく様子を、もどかしくも繊細に演じています。
Limelight03_91_1535.JPG
それにしても、こんな悲しそうなテリーを目の前にしたら...
Limelight03_43_1557.JPG

カルヴェロだって、こんなことして彼女を笑わせてあげたくなるの、わかりますよね。
Limelight03_44_1578.JPG

かつてコメディアンとして名声を得ていたものの、表舞台から遠ざかり仕事もなかなかやってこないカルヴェロ。
バレリーナの命である足が動かなくなってしまったテリー。
大きな欠落を抱えたふたりが、些細なことで心を動かし微笑み、少しずつ心を通わせていく姿は温かく優しく、この物語の本質がここにあるような気がしました。
Limelight03_45_1565.JPG
Limelight03_46_1584.JPG

1950年代に作られた郷愁あふれる名画の世界と、繊細な"荻田ワールド"が見事に融合し、新しい味わい深い『ライムライト』が生まれつつあります。
本番舞台をお楽しみに!

取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)


【『ライムライト』バックナンバー】


【公演情報】
7月5日(日)~15日(水) シアタークリエ(東京)
7月18日(土)~20日(月・祝) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ(大阪)
7月23日(木) 福岡市民会館 大ホール
7月24日(金) アルカスSASEBO 大ホール(長崎)
7月26日(日) 宝山ホール(鹿児島)
7月28日(火)・29日(水) 愛知県芸術劇場 大ホール
7月31日(金) 富山県民会館 ホール
8月1日(土) ホクト文化ホール 中ホール(長野)

チケット情報はこちら




前の記事「【エントレ】山田由梨の突撃稽古場レポート! ベッド&メイキングス「墓場、女子高生」の魅力に迫る!」へ

次の記事「ミュージカル『100万回生きたねこ』製作発表レポート」へ

カテゴリー

ジャンル

カレンダー

アーカイブ

劇団別ブログ記事

猫のホテル

文学座

モナカ興業

谷賢一(DULL-COLORED POP)

劇団青年座

劇団鹿殺し

 はえぎわ

柿喰う客

ONEOR8

M&Oplaysプロデュース

クロムモリブデン

演劇集団 円

劇団チャリT企画

 表現・さわやか

MONO

パラドックス定数

石原正一ショー

モダンスイマーズ

ベッド&メイキングス

ペンギンプルペイルパイルズ

動物電気

藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

松居大悟

ろりえ

ハイバイ

ブルドッキングヘッドロック

山の手事情社

江本純子

庭劇団ペニノ

劇団四季

演劇チケットぴあ
劇場別スケジュール
ステージぴあ
劇団 石塚朱莉