30回目の『小堺クンのおすましでSHOW』! 小堺一機インタビュー

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お昼の顔・小堺一機が1985年から続けている夏の恒例のショー『小堺クンのおすましでSHOW』が今年、30回目を迎えます。
歌あり、踊りあり、トークあり、パフォーマンスありのエンターテインメントショー。
メンバー本気のタップダンスから、おしゃれなソング・ショー、おなかを抱えて笑えるコント仕立てのお芝居、そしてテレビでは見られない"ブラック小堺"が顔を覗く...と評判(?)の爆笑トークまで。
夏はこの作品を観ないと終われない!という人も多数いる、盛りだくさんの内容で贈る人気のステージです。

30回目の『おすまし』は、
メンバー大忙しで贈るコメディ・タイム、「30」にまつわるショートストーリーの第一部と、トーク&音楽バラエティショーの第二部という構成となる予定とのこと。


構成・演出も手がける小堺さんに、この作品への思いや懐かしのエピソードをじっくり伺ってきました!


● 小堺一機 INTERVIEW ●

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――今回『小堺クンのおすましでSHOW』は30回目の公演とのことで、おめでとうございます。演劇界・夏の風物詩となっているこの公演、もともとはどんなきっかけから始まったのですか?

「はい、気がついたら30回目。初演はもう30年前のことですね...。あの頃はバブルだったでしょう。僕の『ライオンのいただきます』(現在もCX系で放映されている『ごきげんよう』の前身番組)が初演の前年、1984年10月から始まったのですが、その影響やらで知名度があがったりすると、「こういうことやってみませんか」とか、お声がかかるようになるんです。その頃、PARCO劇場にうちの専務とあるショーを観に行って、「お前もこういうところで、看板に名前が出るようなショーを出来るようにならなきゃダメだよ」とハッパかけられていたんですよ。そんなのもあり、渡りに舟といいますか(笑)、やらせていただくことになりました」


――ご自身がやりたくて始めたのかと思っていました! 小堺さんの好きなものが詰め込まれているイメージなので...。

「あ、そう言った方がが良かったですか(笑)? 舞台は好きで観ていましたし、昔のアメリカのテレビショーとかもよく見ていましたが、ただのファンとして見ていたので...。でも、やりたくないということはなかったし、やらせてもらえるんだと思ったら嬉しかったですね。その前にも欽ちゃんファミリーで舞台に立ったりはしていましたが、自分の中では、「僕は(舞台は)無理だろう」という思い込みのようななものがあったので...。でもどこかで「やってみたいです」みたいなことを言っていたのかしら? もしかしたら、それを聞いてくれてた人がやらせてみたのかもしれないですね」

――自分では無理だろう、というのは...?

「舞台なんてものは、特別な人がやることだと思ってたから。でも芸事は好きで、色々なことをやるのは好きでした。ただ、タップダンスも楽器も見よう見真似でやっていて、きちんと習ったのはこの世界入ってからですね。タップ習ったり日舞習ったりしてて、そうしたら「奥さんのなんとかクラブをやってるんじゃないんだから、お客さんの前でやらないと!」「人前で恥をかかないと体に入らないよ」と先輩たちに言われて。そういう風に、まわりが僕の尻を叩いて、道筋をつけてくれたんですよね。でも実際やるとなって、タイトルに『小堺クンの』ってついているのを見ると「...やるんだぁ...」って思っちゃいましたよね! でも若かったし、好奇心の方が(マイナスの感情より)強くて、それでやったんです」


――実際やってみて、当時はどんなことを思っていましたか?

「いやぁ、キツかったですよ、やっぱり。でも調べたら、(第1回の)PARCO劇場の時は4日間しかやっていないんですよね。すごく長くやった気がしたんですが。でも楽しかったんです。まだ若かったし、「キャー!」なんて声をかけてもらえたりもして(笑)。それで、楽しかったので「もう1回!」と思って、「また来年も」「また来年も」ということになった。5回目までは関根勤さんと一緒にやっていたのですが、関根さんがそこで「やりたいことがはっきりしたから」と『カンコンキンシアター』を自分の演出で始めることになり、じゃあ僕も自分でやってみます、と6回目から自分で演出もやらせてもらって...30回目になりました」


――当初は受身だったというお話ですが、その頃からも、小堺さんの好みは反映されていたのでしょうか。やはり『カンコンキンシアター』との比較で語られることも多いかと思いますが、タイトルには当初から"おすまし"というワードが入っていますし、『おすまし~』はオシャレなイメージがあります。

「それは十分ありました。小さい頃からアメリカの番組などを見ていたし、そういったものが今よりたくさんありましたから。『ダニー・ケイ・ショー』とかね。スタイルとして、そういうものをやりたいという思いはありました」


――ショーにこだわってるところもある?

「そうですね。時々、関根さんとふたりのコントをやったり、昔はひとりしゃべりの舞台をやったりはしますが、音楽があってトークがあって...というような、トータルで見せるこういうものをやっていきたいなというものは、あります。あとお芝居はもっとちゃんとやる人がいるから(笑)。そういう場に呼んでもらったりもしてますから、そっちでやる時はそこでちゃんとやればいいから、『おすまし』ではこういう形で、ですね」
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――アメリカのテレビショー、という話が先ほども出ていましたが、年に一度、必ずメンバーと一緒にNYに行っていらっしゃるとか。

「はい、今年も行きますが、"勉強"として毎年行ってます。...勉強って言わないと、行かせてくれないから(笑)。本当は行ったらただ楽しくてしょうがないんですけど。今年は渡辺謙さんの『王様と私』も観れそうなんです。やっぱりみんなで同じ作品を一緒に観るというのは、"同じ釜の飯"ではないですが、趣味思考は違っていてもどこか同じ頭で、パイプがひとつ繋がってくるような気がするんですよね。ひと言で言うと連帯感みたいなもの。だから毎年行っています」


――私、NY旅行での伽代子さんのエピソードが大好きです。

「『オペラ座の怪人』のね! 毎年最後の日は『オペラ座の怪人』を観ることにしてるんですが、ある年、最後のクリスティーヌが怪人に指輪を返して去っていくという一番良いシーンで伽代子が「あああ~~ん」って言ったんですよ! 一番感動するシーンで、劇場中静まり返っている中。「えっ!?」ってなりましたよ。もともと何かを見ては「あーん、可愛い~」とか、よく声を出す子なんですが...。みんなで「ダメだよ!」「恥ずかしいよ!」って怒って、「すみません、無意識で、切なくて~」って小さくなってましたが。
...でもこれ続きがあるんですよ。翌年また行った時にかよちゃんに「わかってるよね!? ダメだよ声出しちゃ」って注意してたら、今度はシャンデリアが出てくるシーンで男たちが「おおおお~!」て言っちゃって。かよちゃん、「私に散々言いましたよね!声出すなって!」って怒ってました。
...そういうの、たくさんありますねぇ。まっちゃん(松尾伴内)がNYに初めて行った時に「エクスタシー」って言っちゃった話とか」


――はい?

「こっち(NY)では、人にぶつかった時は「エクスキューズミー」って言わないと野蛮人だと思われるぞ、と言ったらまっちゃん、緊張しちゃって。ずっと小さい声で「エクスキューズミー」「エクスキューズミー」......。で、人にぶつかった瞬間「エクスタシー」って!(笑)」


――笑。コントのような話ですね! この流れでレギュラーメンバーの魅力をお伺いさせてください。松尾さんも、コワモテですのでそれこそ厳しそうなイメージだったのですが、『おすまし~』で180度印象が変わりました。

「まっちゃんはすごく優しい男なんです。どんなことを振っても、断りません。私の人生の中で何を振っても断らないのは関根さんと松尾くんだけです。さんまさんは自分が興味ないと跳ね返すんですけど(笑)。松尾くんはどんなことでも必ずやってくれます」


――あと堀口(文宏)さん、面白いですよね!

「堀口は面白いでしょう? 僕らも頭が痛いの(笑)。松尾くんとかだと、"のりしろ"があるんですよね。これをやりますが、ここの部分をアドリブが出来るように余裕を持たせていますので...というような"のりしろ"。堀口はのりしろ"しか"ないんです。本体がないんですよ(笑)。萩本さんに言わせると、あいつは素人の天才、素人のプロなんですって。だから成長させようとしても無理だって。以前、即興芝居風に、お客さんに最初と最後のセリフだけ決めてもらって、中身は僕らが作っていく...ということをやったんですが、例えばそうですね、最後に「やっぱり俺だったのか」で終わる、としましょう。堀口に場所をあげて、あと堀口が「やっぱり俺だったのか」と言えば終わる...という状況にしてあげて、「...だろ?」と振った。そしたら「えっ?」って返したんですよ! 会場中のお客さんからも「えぇぇー!」ってツッこまれていました。もう、倒れましたね、僕ら。それが面白いと思ってやってるんじゃなくて、本当にパニクってるんですよ(笑)。ダメだこれ、と思いましたよ。でもそれが、うまくハマったら、天才的にうまくいくんです。たまにホームランを打つの、堀口は」


――川本(成)さんについてはどうですか。

「川本くんは、また別に自分で色々な舞台をやったり、主催して演出してたり、音楽的なこともやったりしてるので、面白いですね。今回も演奏してもらったりする予定です」


――そんな個性的なメンバーをまとめるのは大変じゃないですか?

「いやぁ、もうまとめようと思ってなくて(笑)。放し飼いの鶏みたいな。そのほうが筋肉もついておいしいから、あまり決め付けてやらないようにしてます。料理で言うと、仕込みだけやっておく感じです。僕が盛り付けまでやっちゃうとダメだなと思っています。もちろんタップとかはきちんとやらなきゃいけないですが。芝居のところは、わりとその日のお客さまのにおいや雰囲気で変えたりしています」


――ああ、だから上演時間が日によって変わったりしていたんですね(笑)。

「劇場がグローブ座になってからは、そんなに変わっていないですよ(笑)。昼の部は多少伸びちゃったりもしますが。シアターアプルでやっていた時は(1986年~2008年)何時間もやらせてくれたんですが。23時までやってたりしましたよ、馬鹿みたいですよね(笑)。警備員が先に帰っちゃったりしてたの、よく考えるとすごい話ですよねえ」


――それにしても、小堺さん、このメンバーのこと大好きですよね。

「大好きですね、堀口以外は(笑)。堀口は時々大嫌いになります(笑)」
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――そして『おすまし~』といえばタップダンスも見せ場のひとつです。今年は30回目ということで例年以上のものが拝見できるのではと期待していますが...

「<30連タップ>というものを考えています。30連発といっても同じものをみんなでやるのではなく、まず僕から始まって、次々とみんなで、同じものを30回...ということになると思います。で、間違えたらもう一回頭からやる。ちゃんと汗かきますよ、僕たち!」


――そのタップもですが、『おすまし~』の良さは、新しいものにも挑戦しつつ、おなじみの安心感があるところだと思います。そのバランスはどのようにとっているのでしょう。

「うーん、なんでしょうねぇ。ありがたいことに毎日テレビに出させてもらっていて、割と出ていったら「あぁ、あの人ね」とわかっていただけるパスポートは持っている。だからしゃべりだすと「あぁ、しゃべってるしゃべってる、いつもの感じ!」となっていただけるんですよね。最初の頃は「ちょっと期待を裏切ってみよう」というような気持ちもありましたが、逆に普通にやっていることが、期待を裏切る面もある。意図的にやるのはいつからかやめました。30回もやっていると、お客さんも『おすまし~』を観る姿勢があると思いますので、あまり「今年の見せ場はこうです!」「衣裳はこうです!」とやって、「どうしたの? 力んじゃって」ってなってもね。そういうショーじゃないと思いますし。夏の終わりにぐだっと笑って帰ってもらえればいいと思ってますので。帰り道、何にも覚えてなくていいんですよ。「面白かったけど、なんだっけ...。わかんないけど、松尾くんが面白かったね」みたいなので、いいと思うんです」


――幸せな気分だけが残る...というのは、素敵なことですね。

「だと思うんですよね。まっすぐ帰ろうと思ったけど、一杯飲んでから帰ろうとか思ってくれたら嬉しいですよね。自分たちもそうですから。人のお芝居を観に行って、面白かったらすぐ帰りたくない、友達と話していたい気持ちになりますから。楽しいばかりじゃいけないよってよく言われるんですが、やっていて僕も楽しいんです」


取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)


【公演情報】
・8/28(金)~9/6(日) 東京グローブ座

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