ヒラノの演劇徒然草の最近のブログ記事

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■ミュージカル『SMOKE』2019年版 vol.2■
 
 
昨年日本初演され、その濃密な世界観と美しい音楽でたちまち話題となり、多くの熱狂的ファンを生み出したミュージカル『SMOKE』
20世紀初頭に生きた韓国の天才詩人、李箱(イ・サン)の遺した詩と彼の人生にインスパイアされたミュージカルで、たった3人のキャストが、ミステリアスで奥深い世界を作り上げていきます。

このミュージカルが早くも今年、再演されることになりました!
しかも今年はキャスト・劇場を変え、6月と7~8月の2パターンで上演。

まずは6月に登場する〈NEW CAST〉バージョンの稽古場を取材してきました!
〈NEW CAST〉バージョンの出演は、石井一孝藤岡正明彩吹真央という、いまのミュージカル界を支える実力派3名です。
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まずは『SMOKE』ってどんな話?という説明から...。

◆ about『SMOKE』 ◆

李箱(イ・サン)の作品「烏瞰図 詩第15号」にインスパイアされ、その詩のみならず彼の人生やその他の作品群の要素も盛り込み作られたミュージカル。
イ・サンは、才気ほとばしる作風が讃えられる一方で、その独自性と難解さゆえに酷評もされた、両極端の天才詩人。結核をわずらった後、日本に流れつき、そのまま異国の地・東京で27歳の若さで亡くなります。

このミュージカルでは、彼の精神世界を謎めいた筆致で描き、誰も想像できなかった物語が繰り広げられます。
登場人物は、
 詩を書く男「(チョ)」、
 海を描く者「(ヘ)」、
 心を覗く者「(ホン)」
の3名のみ。 俳優の実力も問われる、スリリングな作品です。

 

この日の稽古場は、冒頭からの数場面を何度も繰り返していました。
先日掲載したインタビューで、石井さんがこの物語のことを
「最初は犯罪劇のように始まり、だんだん心の葛藤の物語になっていく」
と表現していましたが、まさに冒頭はその<犯罪劇>のようなスリリングな展開
石井一孝さん扮する〈超〉と、藤岡正明さん扮する〈海〉が、彩吹真央さん扮する〈紅〉を誘拐してきます。
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『SMOKE』の物語は、"表" で描かれていることすべてに、「実は...」というような "裏" があり、それもすべてが説明されるわけではなく、文学的であり多少難解なところはある。
ただ、この導入部分など、「何が起こるのだろう」「彼らの目的は何なのだろう」とミステリを読んでいるようなハラハラドキドキ感で、ぐぐっと心を掴まれます

〈超〉と〈海〉はなぜ〈紅〉を誘拐したのか? 彼らの目的は? 彼らの関係性は?

...とっても、「続きが気になる!」のです。
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日本ミュージカル界屈指の人気作『エリザベート』
1992年にウィーンで初演され、日本では1996年に宝塚歌劇団雪組で初演、宝塚版と並行し2000年からは東宝製作版も繰り返し上演されている。
 
物語は19世紀末のウィーン、皇帝フランツ・ヨーゼフに嫁いだ美貌の皇妃エリザベートが主人公。しかし自由を愛する彼女にとって宮廷の暮らしは苦痛でしかない。そんなエリザベートを黄泉の帝王トート(死)も密かに愛し続けていた。だがその愛はハプスブルク帝国を破滅へと導いていく......。

東宝版は2015年に演出・ステージング・セットなどが大リニューアルをされた"新演出版"が登場、翌年の続演を経て今年2019年、約3年ぶりに上演される。

2019年版のキャストは、エリザベートに東宝版は2015年のリニューアルから出演、また宝塚版には1996年の日本初演時にも同役を演じていた花總まりが再び出演。
そして東宝版は初出演ながら2018年宝塚月組公演で同役を演じていた愛希れいかがタイトルロールを演じる。

トート役には、2000年東宝版のルドルフ役でデビューし、花總同様2015年のリニューアル版から同役を演じる井上芳雄が続投。
そして前回公演までそのルドルフ役を好演していた古川雄大が、トート役に初挑戦する。

4月、花總、愛希、井上、古川が揃っての取材会が開催された。
その模様をレポートする。1キメ_5973.JPG
 


花總まり
「エリザベート役を演じさせて頂きます。自分の中では(公演は)まだ先のような気がしていたのですが、こうして合同取材会をすると、いよいよ近づいてきたんだなというドキドキ感があり、そしてまた新たなメンバーで『エリザベート』を作るのですごくワクワクしています」2花總_6004.JPG

愛希れいか
「エリザベート役を務めさせて頂きます愛希れいかです。今は緊張の気持ちが大きいのですが、新しいことに挑戦できるという楽しみな気持ちと緊張が入り混じっております。精一杯頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします」3愛希_6008.JPG

井上芳雄
「3回目のトート役をやらせて頂きます。またやれるってことは素直に嬉しいです。僕は初舞台が『エリザベート』のルドルフ役で、自分にとっては故郷のような、ホームのような作品。新たなメンバーも迎えて、年号も変わりましたし、新しい気持ちの新しい『エリザベート』をみんなで作っていけたら良いなと思います。昨今、ミュージカルブームと言われて久しいですが、その中でも日本のミュージカル界にとって『エリザベート』は独自の進化を遂げている大切な演目。もちろん今までのファンの方には楽しんで頂きたいですし、初めて『エリザベート』を観る方に、これが俺たちの『エリザベート』なんだというものをしっかりお見せしないといけないという責任感のようなものを感じています......『レ・ミゼラブル』には負けていられないなと。(場内、笑)......競う必要はないのですが(笑)! 『レ・ミゼラブル』と同じくらい、日本を代表する演目になっているので、しっかりとその責任、矜持を持ってやりたいなと思っています」4井上_6017.JPG

古川雄大
「僕は2012年にルドルフ役を演らせて頂いて、その時からこのトートという役にずっと憧れていました。ミュージカルをやっていく上で、死ぬまでにできたらいいなと思っていた役ですが、まさかこんなに早くチャンスを頂けるとは思っておらず、正直びっくりしています。できる限りのことをやって、今までにないトートを演じられたらと思います。芳雄さんがおっしゃったように『エリザベート』は日本を代表するミュージカル。僕の大好きな作品でもあるんですが、またこの作品に参加できる喜びがありつつ、今回はトート役ということで、緊張やプレッシャーや不安などに襲われてはいるのですが、芳雄さんとダブルキャストですので色々と勉強させて頂きながら、楽しみながら、稽古を乗り越えて本番に向かっていけたらと思っています」5古川_6021.JPG

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■音楽劇『ライムライト』vol.4■
 

【開幕ニュース】人生の哀愁を温かく照らす――音楽劇『ライムライト』開幕レポート

 

石丸幹二が主演する珠玉の音楽劇『ライムライト』が4月9日、東京・シアタークリエで開幕する。喜劇王チャールズ・チャップリンが晩年に監督・主演・音楽などを手掛けた名作映画をもとに、2015年に同劇場で世界初演された感動作だ。チャップリン生誕130年に当たる今年、装いも新たによみがえる。limelight2019-4-01_6684.JPG

客電が落ち、チャップリン作曲の名ナンバー『エターナリー』のメロディが流れ始めるや、"ライムライト(舞台上を照らすための器具/「名声」の意も持つ)" の光にいざなわれるかのように物語の世界へ――。limelight2019-4-12_6444.JPG

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■音楽劇『ライムライト』vol.3■


チャップリン晩年の傑作映画として名高い『ライムライト』
その名作を2015年に世界で初めて舞台化、好評を博した作品が、4年ぶりに上演されます。
 
映画でチャップリンが演じた老芸人カルヴェロに扮するのは、初演に引続き石丸幹二
カルヴェロと心を通わすバレリーナ テリー実咲凜音、テリーに想いを寄せる作曲家ネヴィル矢崎広が演じます。

ノスタルジックで美しく、切ない物語。
この作品に今回の再演から参加するネヴィル役、矢崎広さんにお話を伺ってきました!

 

◆ 矢崎広 INTERVIEW ◆

limelight2019-03_c_SSS0414.JPG●映画『ライムライト』と、今回の舞台『ライムライト』
 
―― お稽古もかなり進んでいるかと思いますが、現在の稽古場はどんな雰囲気でしょう。

「いい緊張感があります。張りつめた空気がありながら殺伐としているわけではない、すごく良い雰囲気ですよ。本当に『ライムライト』の空気感という感じでしょうか。ゆったりと、でも繊細に...みたいな感じです」


―― 稽古が始まる前に原作であるチャップリンの映画をご覧になったと伺いました。どんな印象を受けましたか?

「70年近く昔の映画ですが、今見てもすごく面白い。というより、年齢を重ねるごとにどんどん響く作品になっていくのだろうと思いましたし、今の自分にも響くところがたくさんありました。僕も役者をやっているので、芸人カルヴェロの生き方、バレリーナとして再起するテリーの姿に感じ入るところがありますし、僕の演じる作曲家ネヴィルの姿にも、演じ手として共感するメッセージ性があります。それに、主人公は芸人ですが、どんな職業の方にも当てはまることが描かれているんじゃないかなとも思います。時代の移り変わりによって、今までの技法が通用しなくなっていく。身近なところでいえば、紙ではなくどんどんWEBに移行する世の中で、コンテンツをうまく使っていくにはどうすればいいのか。僕はツイッターやブログ、最近ではインターネットラジオなどもやっていますが、何が新しいのか、何がユーザーにひっかかるのか、そんな "ついていけてなさ" を感じることもあります。この作品は、何を大切にしてお仕事と向かい合っていけばいいのか。何が愛なのか。何を支えに人は生きていくんだろう? そんなことを色々と考えさせられる話だなと思いました」


―― 稽古場で拝見して、初演からずいぶん変わった部分もあるな、と思いました。

「今回は演出の荻田(浩一)さん、脚本の大野(裕之)さんとで構成を新たにされていますし、音楽の入り方など編成を変えている部分もあります。ご覧になる方にとって感じる部分が変わってくるんじゃないかなと思います。観やすくなり、かつ真に迫るものになったというか。映画『ライムライト』の世界観を大事にするという部分は変わっていないのですが、初演で抽象的に時代の説明をしていた部分を"省く"というのではなく、"他のシーンを綿密に"したという感じです。『ライムライト』らしさがより濃くなった」


―― 『ライムライト』らしさ。

「それはつまり、カルヴェロですよね。カルヴェロというひとりの人物をフィーチャーした。チャップリンの映画である『ライムライト』をやろうとしているのではなく、カルヴェロの物語......彼とテリーの心を追った物語になっていると思います」limelight2019-03_SSS0208.JPG

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■音楽劇『ライムライト』vol.2■


チャップリン晩年の傑作映画として名高い『ライムライト』
その名作を2015年に世界で初めて舞台化、好評を博した作品が、4年ぶりに上演されます。
出演は石丸幹二、実咲凜音、矢崎広ら。

その稽古場レポート、後半をお届けします。limelight2019-02-01_5956.JPG

物語は、かつては人気だったが今は落ちぶれた老芸人カルヴェロと、足が動かなくなってしまったバレリーナ・テリーが出会い、心を通わせ、お互いを思いやるがゆえにそれぞれの決意をしていく過程を、人間の優しさと社会の厳しさの中で描いていくもの。

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カルヴェロ=石丸幹二さん、テリー=実咲凜音さんは "通し役" ですが、ほかの方々はシーンによって様々な役を演じていくのも楽しいところ。
 

矢崎広さんは、テリーがかつて恋心を抱いていた作曲家・ネヴィル役。
淡い思い出だけだったふたりですが、才能を開花させた若者たちはのちに再会を果たします。limelight2019-02-15_SSS0407.JPG

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■ミュージカル『SMOKE』2019年版 vol.1■
 
 
昨年日本初演され、その濃密な世界観と美しい音楽でたちまち話題となり、多くの熱狂的ファンを生み出したミュージカル『SMOKE』
20世紀初頭に生きた韓国の天才詩人、李箱(イ・サン)の遺した詩と彼の人生にインスパイアされたミュージカルで、たった3人のキャストが、ミステリアスで奥深い世界を作り上げていきます。

このミュージカルが早くも今年、再演されることになりました!

しかも今回は、昨年出演したキャストを中心としたバージョンを7~8月、
そしてニューキャストバージョンを6月と、
<ふたつのSMOKE>が上演されます!
 

◆ about『SMOKE』 ◆

李箱(イ・サン)の作品「烏瞰図 詩第15号」にインスパイアされ、その詩のみならず彼の人生やその他の作品群の要素も盛り込み作られたミュージカル。
イ・サンは、才気ほとばしる作風が讃えられる一方で、その独自性と難解さゆえに酷評もされた、両極端の天才詩人。結核をわずらった後、日本に流れつき、そのまま異国の地・東京で27歳の若さで亡くなります。

このミュージカルでは、彼の精神世界を謎めいた筆致で描き、誰も想像できなかった物語が繰り広げられます。
登場人物は、
 詩を書く男「(チョ)」、
 海を描く者「(ヘ)」、
 心を覗く者「(ホン)」
の3名のみ。 俳優の実力も問われる、スリリングな作品です。

 
まず最初に登場するのは〈NEW CAST〉バージョン
こちらは石井一孝藤岡正明彩吹真央という、いまのミュージカル界を支える実力派が出演します。

さっそく3人にお話を伺ってきました。
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★ 石井一孝×藤岡正明×彩吹真央 INTERVIEW ★

 
―― 昨年の日本初演版を、彩吹さんはご覧になったそうですね。どんな印象を抱きましたか?


彩吹「まず最初に、タイトルがどうして『SMOKE』なのかなと思ったんです。そしてモチーフであるイ・サンのことを私は存じ上げず、「難しいかもしれない」と思いながら観に行きました。この作品から私はどんなインスピレーションを得られるんだろう、と思いながら観ようとしたのですが、実際に劇場に入ったら、そんなことを途中で忘れてしまうくらいに作品の世界にのめりこみました。去年の上演は浅草九劇だったのですが、客席が四方をぐるりと取り囲んだステージで、とても密な空間だったということも相まっていたのかもしれません。映像や実際のスモークを使った演出も素晴らしく、エンタテインメントとしてすごく贅沢だな、という印象です。あとは、音楽の素晴らしさですね。感動しました。だから今回、出演のお話をいただいたときはまず、あの数々の歌を歌わせていただくんだということに喜びを感じました」


―― まだお稽古も始まっていない段階ですが、石井さんと藤岡さんは現時点で作品について、どんな印象でしょうか。

藤岡「台本を読みましたが、悪い意味ではなく "ぶっとんで" いる。感情を辿っていこうとしても跳んでしまう、線で繋ぐのが難しいというか。芸術ってある種、そういうものかもしれません。3×4が1になったりマイナス5になったりすることが起こりうる、理屈で説明できない作品なのかなと思いました。世の中にはサイケデリックなことや前衛的なことをやればスゴイ、という風潮ってあるじゃないですか。たまにそれを気取った舞台作品に出会うこともあって、そういうのって僕はシラケるんですが(笑)、『SMOKE』はそうではなく "本物" になるんじゃないのかなと思いました。なんか妙な説得力を感じたんです」

石井「僕もまだ語れるほどではないのですが、台本や資料をあたった感想だと、難しいところもあるのかなって思うんです。ただこの物語、最初は犯罪劇のように始まり、だんだん心の葛藤の物語になっていく。登場人物3人の謎を解き明かしていく中で、イ・サンという人の悲しみや、背負ってきた十字架がわかってくる。素晴らしい着眼点で描かれた戯曲だと思います。あと、最初から今回のキャストを聞いていていたんですよ。トーマス(藤岡)が<海>で、ゆみちゃん(彩吹)が<紅>だって。だから、トーマスだったらこう来るだろうな、ゆみちゃんだったらこうやるだろうなって想像しながら読んで楽しかった! そこにさらに、菅野こうめいさんの熱い演出でどうなっていくのか。初演メンバーの『SMOKE』とはまた違う『SMOKE』を作っていけるんじゃないかなと、楽しみにしています」

▽ 石井一孝SMOKE2019-01-31-2C0A9186_re.JPG


―― ......藤岡さんのことをトーマスと呼んでいるんですか?

石井「(そう呼ぶのは)業界オンリーですね! 機関車トーマスから?」

藤岡「違いますよー。10代の頃、なぜかわからないのですが、当時のレコード会社のスタッフたちと、外国風の名前をつけるとしたら(藤岡さんは)トーマスっぽいよね、と言われたんです。で、カズさん(石井)と最初に『レ・ミゼラブル』でご一緒させていただいたとき「何て呼べばいい?あだ名は?」と聞かれて、「何ですかねえ、よく"マサ"って呼ばれてますが」と答えたら、「マサはなぁ......ほかにないの?」「10代の頃にちょっとだけトーマスって呼ばれてました」と言ったら「それもらった!」と(笑)。カズさんしかそう呼ばないですよ!」

彩吹「呼びましょうか」

藤岡「いいですよ、今更変えなくても(笑)」SMOKE2019-01-02-2C0A9297_re.JPG

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■音楽劇『ライムライト』vol.1■


チャップリン晩年の傑作映画として名高い『ライムライト』
その名作を2015年に世界で初めて舞台化、好評を博した作品が、4年ぶりに上演されます。
 
映画でチャップリンが演じた老芸人カルヴェロに扮するのは、初演に引続き石丸幹二
カルヴェロと心を通わすバレリーナ、テリー実咲凜音
テリーに想いを寄せる作曲家ネヴィル矢崎広と、爽やかなふたりが初参加。

ほか吉野圭吾、植本純米、保坂知寿、佐藤洋介、舞城のどかというベテラン勢が初演から続投し、ノスタルジックな『ライムライト』の世界を作り上げます。

3月末の某日、稽古場を取材してきました!
 
 
物語は1914年、ロンドンが舞台。
かつて名声を得ていたものの、いまは落ちぶれた老芸人カルヴェロが、自殺をはかったバレリーナ・テリーを助けるところから始まります。01_AAA1791.JPG

......もちろん原作がありますし、基本的にストーリーは初演と変わらないのですが。
どうやらセットも変わりそうですし、幕開きから初演と違います!

具体的にどこがどう違うか......は、実際観てのお楽しみにしていただきたいのですが。
ポエティックに描かれていた初演に対し、2019年版は物語の輪郭がくっきりとし、より伝わりやすくなった、という感じでしょうか。

初演時、ご自身のパブリックイメージを覆す"老人"役に挑んだ石丸さん。
稽古場の石丸さんは、いつもの品のある素敵なビジュアルなのですが、芸人らしい調子の良さ、かつての栄光を捨てきれないプライド、アルコールに溺れる弱さ......といった、幾重にも重なるカルヴェロの心の層を、見事に立ち上げていきます。limelight2019-01-13_AAA2120.JPG

 
今年、ミュージカルの金字塔『レ・ミゼラブル』にテナルディエ役で出演する斎藤司さん(トレンディエンジェル)
昨年、日本武道館で上演された『リトル・マーメイド』イン・コンサートでシェフ・ルイ役で出演、ゲスト出演した『井上芳雄 byMYSELF スペシャルライブ』でも美声を披露した斉藤慎二さん(ジャングルポケット)

ともに吉本所属の人気芸人ながら、ミュージカルへの挑戦が続くおふたり。
聞くところによると、斉藤慎二さんも『レ・ミゼラブル』へのオーディションに挑戦しており、アウェイの現場でおふたりは相談しながら受けていたとか!

なぜ今、お笑い界からのミュージカル進出が続くのか。
ミュージカルとお笑いの親和性があるの?
...というより、『レ・ミゼラブル』オーディション秘話を、お聞きしたい!

そんな思いで、Wサイトーさんに対談を熱烈オファー!
斎藤司さん、斉藤慎二さんに、ミュージカル愛、お笑い愛を語っていただきました!
  

斎藤司斉藤慎二 INTERVIEW ◆

W_saito01_5141.JPG● ミュージカルとのそれぞれの出会い

―― 本題に入る前に、おふたりの関係性を確認させてください。同じ苗字ということで、NSC(吉本総合芸能学院)時代から意識し合っていた、というようなことはありますか?

「そうですね。僕のほうが2年先輩なんですけど、とんでもない奴が入って来たなと。最初は忘れもしない、松山千春さんのモノマネを目の当たりにしまして」

慎二「♪果て~しない~」

「そうそうそう(笑)。今時こんなやり尽くされたモノマネをこんな全力でする奴がいるのか!ってちょっともう、膝から崩れ落ちました(笑)」

慎二「はっはっは! 僕のほうも、最初からとんでもなく面白い人だと思ってました。テレビに出させていただくようになったのは変な話、僕らのほうが先だったりしたんですけど、トレンディさんは舞台で必ず大爆笑を取ってたんで、売れちゃうんだろうなと」

「いやいや。僕は慎二のこと、僕なんかより全然面白い人だと思ってたから、慎二に「面白い」って言われるとイジられてるような気がいつもしてて(笑)」

慎二「よく言ってましたよね。僕が褒めると「バカにしてるのか」みたいに怒ってきた(笑)」

「そうそう(笑)。一見ふざけてるようで、根が真面目で向上心があることも分かってました。そんな慎二に認められたい気持ちで頑張れた時もありましたね」


―― お互いに意識し合っていたふたりが、こうして同じミュージカルの同じ役...『レ・ミゼラブル』テナルディエ役のオーディションを受けたってすごいですね。ちなみに、おふたりのミュージカルとの出会いは?

慎二「僕は「めちゃイケ」です。演劇の短大(桐朋学園芸術短期大学)に行ってた頃、岡村隆史さんが『ライオンキング』出演を目指して劇団四季で本気で稽古するって企画があって、それにはシンバ役だった坂元健児さんも出てて。すごい世界だな、舞台も観てみたいなと思って、バルコニー席のチケットを買ってひとりで行きました」

「へえ~、ひとりで行くってすごい行動力だね」

慎二「まあ、あんまり友達もいなかったんで(笑)。でも学校にはミュージカル唱法の授業とかもあったし、周りにはミュージカル好きな人がいっぱいいたから、僕も同期と『夢醒め(夢から醒めた夢)』を上演したりもしたんですよ。斎藤さんは、出会いは?」

「子どもの頃、母親に『キャッツ』に連れてってもらったのが最初なんですけど、僕その時、誘拐されそうになったんですよ。行く途中にトイレに寄ったら知らないおじさんに声かけられて、間一髪のところでお母さんに助けられて。それ以来ちょっと、ミュージカルと誘拐のイメージが結びついちゃって、怖くて行けなかったんです(笑)」

慎二「ははは! 確かにそれはもう行けないですね(笑)」

「そう(笑)。芸人になってから、歌が得意だったからミュージカルのネタをやったりすることはあって、ちょこちょこ観に行ったりもしたんですけど、ぶっちゃけそこまで熱を感じたことはなくて。ましてや自分が出るものとは全く、全く思ってなかったです。だから本当、ジャニーズとかを見てるのと同じ感覚ですよね。こういう世界があるんだ、みたいな」

慎二「いや僕も、出るものとは思ってなかったですよ。前に「ハモネプ」にミュージカル界の皆さんと一緒に"ガンバルジャンチーム"として出たことがあるんですけど(2013年)、僕はちょっと空気を緩和する役割というか、お笑いの要素を入れてほしいってことで呼ばれてたんです。でも始まってみたら、マルシアさんのしごきに遭いまして(笑)。その時、みんなでひとつのものを作るってそういうことなんだ、ガチでやらないと失礼なんだって気付いたんです」

「すごいメンバーの中に入ってたもんね」
※ほかに城田優、田代万里生、加藤清史郎など...。


慎二「はい僕、笹本玲奈さんに恋しましたから。めちゃくちゃ好きになっちゃって、抱きしめたい!と思いました。ずっと言ってたから、あっちは怖かったかもしれないです(笑)」W_saito03_5121.JPG

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現在、日本初演のミュージカル『最終陳述 それでも地球は回る』が好評上演中です。

天動説が信じられている時代に地動説を唱えた偉大な科学者ガリレオ・ガリレイと、今なお生み出した作品が世界中で上演され続けている偉大なる劇作家ウィリアム・シェイクスピア
同じ1564年生まれのこの偉人ふたりが、天国で出会ったら......という"if"から、自分の信念を貫くこと、夢を追いかけることの難しさや尊さを描く物語です。

出演者は2名のみ。
主人公のガリレオ役の俳優と、
シェイクスピアをはじめコペルニクス、ミルトンからフレディ・マーキュリーまで、ガリレオ以外の登場人物すべてを演じる"マルチマン"役の俳優だけ。

ガリレオ役はトリプルキャストで佐賀龍彦さん、伊勢大貴さん、山田元さん。
シェイクスピア役はダブルキャストで野島直人さん、加藤潤一さんが演じます。
※伊勢さんは2/27に、加藤さんは2/28に千秋楽を迎えます。

稽古場取材、開幕レポートとお伝えしてきたげきぴあ、今回はガリレオ役をトリプルキャストで務めている、佐賀龍彦さん、伊勢大貴さん、山田元さんにインタビュー!

なおインタビューは、伊勢ガリレオ&加藤マルチマンの回の終演後に行われました。

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佐賀龍彦×伊勢大貴×山田元 INTERVIEW

 

● 開幕後1週間、現在の心境は

 
―― 開幕して約1週間です。まずは現在の率直な心境を教えてください。
 
伊勢「(即答で)大変です! 全然楽じゃない...」

山田「それは、そうだね」

伊勢「1公演終わったら、足がガクガクするし...」

佐賀「イセダイ(=伊勢)、終わった瞬間に倒れこんだりして。...舞台が終わってからもそういう演技するんだぁ、と思って(笑)」

伊勢「ヤメロ。そういうことじゃねぇ(笑)」

佐賀「あれ、そういうことじゃないの!? でも、それだけ入り込んでいるって、すごいことだよ」

山田「そうだね、最終的に描かれるのは「ガリレオの終着点」だから。色々な出会い、歌、すべてを経ての、最後のあのシーン。やっぱり最後はエネルギーを出しつくしますよね。...と言っても僕はまだ1公演しかやっていないんですが。初日やって、それから全然やっていない(苦笑)」
※山田さんは2/14の初日に出演後、1週間ほど登板があいてしまっていました。

伊勢「怖いでしょ」

山田「いま、不安しかない...」

伊勢「ですよねぇ。佐賀さんはどうですか、慣れてきました?」

佐賀「だいぶ仕上がってるよ!」

伊勢「本当ですか、色々きいてるぞ(笑)」

―― まあまあ(笑)。伊勢さんは先ほどガリレオとして生きたばかりですが、今日はどんな心境でしたか。

伊勢「本当に、ガリレオはマルチマンとお客さまに導かれているんだな、というのが、実際にお客さまの前に立って一番わかったことです。みんなに見守られて...ではないですが、みんなと一緒に旅をして、最後にガリレオがどう思うのか、日によって感情が違う。最後に、照明と一緒にひとつひとつの物語が消える、という演出があるのですが、いい思い出も浮かぶし、辛い思い出も浮かぶ。それが日によって違ってくる。役者をやっていて幸せだなと思う最後のシーンをいただいたって思います」

佐賀「いい話だねー」

▽ ガリレオ=伊勢大貴02_20190215 63.jpg


―― では佐賀さんは、ガリレオとして舞台に立って、どんなお気持ちでしょう。

佐賀「僕も本番が開けてからだいぶ作品に対する印象が変わりました。実は劇場に入って、ゲネプロをやった時に、自分の中で筋が通っていない部分が明らかになってしまって。これはイカン! と、そこから色々修正して、繋げることができた。ガリレオという人物が幕開きから最後のシーンまで旅をしている、というのが自分でも感じられて、今は楽しいです」

伊勢「佐賀さんは毎回、違うんですよ。本当にその日を生きている。安定しないところが魅力的なんだろうなって思う。その分、マルチマンは大変だろうけれど、それも楽しいんだろうな」

佐賀「いや、でも僕だけでなく、マルチマンも毎回違うから、こっちも変わってくるんだよ」

伊勢「佐賀さんは、すごい純粋なんだろうなって思う。芝居自体がピュア。受けの芝居というか、受ける脳がピュアなんだと思う」

▽ ガリレオ=佐賀龍彦01_0029.JPG


佐賀「でもふたりとも、その場その場で起こったことを、すごいキャッチするじゃん! すごいなーと思うよ」

山田「頑張りたい...」

佐賀「頑張りたい?」

山田「フレッシュでありたい」

伊勢「元さんはでも、対応力が高いよね。ちゃんと脳を通して話しているから、相手がどんな角度からきても、ちゃんと受けて、成立させられる人だと思う」

佐賀「あと元ちゃんは、普通に立っていてもガリレオっぽい!」

山田「ガリレオっぽい?」

伊勢「っぽい! 一番、元さんが科学者気質を持ってるのかもしれない」

山田「あぁ、一見すごく思慮深そうに見える、と(笑)」

―― では山田さん、1週間前の感想になるんですが...。

山田「そうなんですよ...。でも初日の前にゲネプロをやって、その後にメンバーでディスカッションをしたんです。気持ちの持っていき方とか、全体がどう見えているか、というようなことをみんなで話して。それで、俯瞰する視線を持って初日に挑んだら、ゲネプロと本番ではまったく感じ方も、ガリレオとしてのアプローチも変わりました」

佐賀「へぇ~。どう変わったの?」

山田「みんなで話していたことなんだけど、この話はガリレオが宗教裁判にかけられているシーンから始まり、最後もそこに戻っていく。自分が処刑される...という思いを、どこまで引っ張るか、その演技と歌唱のバランスをどう成立させるか。初日はそれが、ここまで難しいのかと改めて感じたんです。今それを咀嚼して、明日からまた自分がどうなっていくのか、楽しみであるし、ちょっと不安もある、というところです」

▽ ガリレオ=山田元03_20190214 21.jpg


―― 皆さん、ふたり芝居は初めてですよね。

全員「はい」

山田
「あたりまえなんですが、やることが多い。俳優ひとりの負担が大きい」


伊勢「いや凄いですよね。家で練習しようと思って最初からはじめたら、通し稽古と同じくらい時間がかかる(笑)。なんだこれ!ってなりました」

―― 冒頭から1時間くらい、出ずっぱりですか?

伊勢「僕らガリレオさんは、1時間20分、(袖に)引っ込まないです」

山田「捌けるのは1回だけだもんね。フレディのソロの間だけ」

伊勢「あの時間は僕らにとって、超大事! なんですよ!! その時に、佐賀さんの買ってきてくれた蜂蜜をよく食べています」

山田「あ、そんなことしてるんだ」

伊勢「蜂蜜はめっちゃ利きます。最後にもうひと踏ん張り頑張るエネルギーのカケラみたいなものがもらえる」

佐賀「即効性があるんだよね」

伊勢「あるあるある。本当に佐賀さんが言ったとおり!」

―― 劇場としても、とてもお客さまが近い作りです。実際に舞台に立ってみていかがでしょう。

伊勢「でも、いいオーディエンスです。最初の裁判のシーンでは、僕は皆さんのことを裁判の傍聴人だと思ってやっている。ひとりひとりの目を見て蔑んでみたり、逆に恋人だと思ってひとりを見つめることもできる距離感。楽しいです」

山田「僕は、お芝居を始めた最初はこれくらいの...もっと小さい、50人・100人のキャパシティの劇場でやっていました。6年ぶりくらいにこの規模の劇場に出演して、俳優としてテンションがあがっています」

伊勢「わかります、それ!」

佐賀「僕も慣れました。皆さんの温度感もすぐ伝わってくるから、何の違和感もなくやっています」

伊勢「いいですよね、この感覚。一体感が生まれやすい環境で。特にこのミュージカルはガリレオの旅路を描いていますし、どこかに向かっているときは応援してもらいやすい。だからこそ最初のシーンで引きつけていかないと、お客さんの気持ちがどんどん離れていっちゃうという緊張感もありますが。でも楽しい」20190215 496.jpg

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【開幕ニュース】

ミュージカル『最終陳述 それでも地球は回る』が本日、2月14日(木)に開幕する。ガリレオ・ガリレイの人生を軸に、男優ふたりのみで贈るミュージカル。韓国で初演され、日本にはこれが初上陸となる。

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天動説が信じられている時代に地動説を唱えた偉大な科学者ガリレオ・ガリレイと、今なお生み出した作品が世界中で上演され続けている偉大な劇作家ウィリアム・シェイクスピア。この同じ1564年生まれの偉人ふたりが、もし天国で出会ったら......? ファンタジックな設定の中に、自分の信念を貫くこと、夢を追いかけることの難しさや尊さを描く物語。出演は、ガリレオ・ガリレイ役にLE VELVETSの佐賀龍彦、伊勢大貴、山田元(トリプルキャスト)、シェイクスピアをはじめとするその他の登場人物をすべて演じる"マルチマン"に野島直人、加藤潤一(ダブルキャスト)。個性豊かな俳優たちが100分間出ずっぱりで、ノンストップミュージカルを熱演する。
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天動説と地動説、宗教裁判......と、一見とっつきにくそうな題材をモチーフにしながらも、時代も場所も飛び越えたガリレオの"天国での旅路"というストーリーは、コミカルで笑いもたくさん。プトレマイオスやコペルニクスといったガリレオの理論に接点のある歴史上の人物から、フレディ・マーキュリーといった意外なキャラクターまで登場するにぎやかさ。奇想天外な物語にふさわしく、音楽もポップで楽しい。
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配役はトリプルキャスト、ダブルキャストのため、組み合わせの妙も楽しめそう。2月13日の舞台稽古の感触では、ガリレオ佐賀×マルチマン加藤の組み合わせは俳優個人の愛らしさが際立ち、ガリレオ伊勢×マルチマン加藤の組み合わせはコメディセンスが抜群で、ガリレオ山田×マルチマン野島の組み合わせではシリアスな面も捉えた物語の芯が伝わる......といったところか。他の組み合わせや、実際に観客が入ってどう変化するのかも、楽しみにしたい。

公演は2月14日(木)から3月17日(日)まで、東京・浅草九劇にて。チケットは発売中。
※写真は舞台稽古のものであり、ヘアメイクなど本番と一部異なります。

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