【ライムライト #1】チャップリンの傑作映画を舞台化!音楽劇『ライムライト』稽古場レポート Part1

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■音楽劇『ライムライト』vol.1■


チャップリン晩年の傑作映画として名高い『ライムライト』
その名作を2015年に世界で初めて舞台化、好評を博した作品が、4年ぶりに上演されます。
 
映画でチャップリンが演じた老芸人カルヴェロに扮するのは、初演に引続き石丸幹二
カルヴェロと心を通わすバレリーナ、テリー実咲凜音
テリーに想いを寄せる作曲家ネヴィル矢崎広と、爽やかなふたりが初参加。

ほか吉野圭吾、植本純米、保坂知寿、佐藤洋介、舞城のどかというベテラン勢が初演から続投し、ノスタルジックな『ライムライト』の世界を作り上げます。

3月末の某日、稽古場を取材してきました!
 
 
物語は1914年、ロンドンが舞台。
かつて名声を得ていたものの、いまは落ちぶれた老芸人カルヴェロが、自殺をはかったバレリーナ・テリーを助けるところから始まります。01_AAA1791.JPG

......もちろん原作がありますし、基本的にストーリーは初演と変わらないのですが。
どうやらセットも変わりそうですし、幕開きから初演と違います!

具体的にどこがどう違うか......は、実際観てのお楽しみにしていただきたいのですが。
ポエティックに描かれていた初演に対し、2019年版は物語の輪郭がくっきりとし、より伝わりやすくなった、という感じでしょうか。

初演時、ご自身のパブリックイメージを覆す"老人"役に挑んだ石丸さん。
稽古場の石丸さんは、いつもの品のある素敵なビジュアルなのですが、芸人らしい調子の良さ、かつての栄光を捨てきれないプライド、アルコールに溺れる弱さ......といった、幾重にも重なるカルヴェロの心の層を、見事に立ち上げていきます。limelight2019-01-13_AAA2120.JPG

ぱっと時代は遡り、こちらは人気者だった頃のカルヴェロ。
チャップリンと聞いて連想する"山高帽とステッキ" 姿の石丸さんも、チャーミング!
チャップリン作曲の『いわしの歌』も楽しく、劇中劇としても楽しめるシーンです。
(初演でもそうでしたが)石丸さんは"チャップリンっぽさ"は追求していないようで、あくまでも"カルヴェロ"という人物に真摯に向き合う役作り。02-a_5937.JPG
......そしてこのシーン、楽しさの中にも、売れっ子カルヴェロの傲慢さ、も描かれていきます。limelight2019-01-16_SSS0093.JPG

なお、カルヴェロたちが立つ舞台は、ミュージックホール。
この "ミュージックホール" について、初演時のレポートで演出の荻田浩一さんが話していた説明を、再掲いたします。

「ミュージック・ホールというと、ヴォードヴィル(喜劇)をやる劇場なので、どうしても日本人は浅草の劇場や末広亭をイメージしがちですが(笑)。ものすごく大きな劇場なんですよね。さまざまなエンターテインメントがかかる、総合舞台の最高峰。ここに出られる芸人は誇りを持っていますので、そのことは念頭に置いてください」

 
 
さて、仕事もなく意欲も失っている老カルヴェロが助けたのが、バレリーナのテリー。
精神的なショックからバレリーナの命である脚が動かなくなり、絶望して自殺を図ったのです。
演じるのは、宝塚時代から実力派として知られていた実咲凜音さん。
1幕のテリーは、哀しみでいっぱい。
普段はどちらかというと明るさを持ち味としている実咲さん。悲しそうで消え入りそうなテリーの姿、珍しくも、見入ってしまいます。limelight2019-01-21b_SSS0266.JPG

最初は "なりゆき" といった感じでテリーを助けたカルヴェロですが、同じ "舞台芸術" に身をささげ、そこで挫折をした者同士、次第に心を通わせていきます。
カルヴェロもテリーも、心に大きな欠落を抱えている。
そんなふたりがゆっくりと近付いていく過程を、石丸さんと実咲さんは繊細に演じていきます。
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カルヴェロの不器用なあたたかさに、少しずつ心を開き、過去の出来事を話していくテリー。
自分を育ててくれた姉のこと、文房具やで働いていた時に想いを寄せていたお客の作曲家のこと。

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傷付いたテリーをカルヴェロが励ますだけでなく、その逆も。
舞台に復帰したカルヴェロでしたが、それはおなさけできた仕事だった上、かつての大スターだと気付かれることもなく、冷たくあしらわれます。
そして「酒なしで面白い芸が出来ない」と、酒に手が伸びる......。
今回の再演版、"カルヴェロの弱さ" が際立っているような。
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しかし、落ち込むカルヴェロを必死で励ますテリーに奇跡が...。
このふたりの表情!
カルヴェロとテリーの心の絆が伝わってきます。limelight2019-01-25_AAA2364.JPG

 
2019年版『ライムライト』、すっきりとした新しい風も感じつつ、それでもやっぱり作品の持つノスタルジー、古き良き時代の温もりは初演から変わらず存在します。

そして何度も繰り返し登場する名曲『エターナリー』の美しさ...!
哀愁と優しさを同時に運んでくるこのメロディは『ライムライト』の世界そのもの。
この曲はチャップリン自身の作曲だという事実に驚くばかりですが、この舞台のために書き下ろされた荻野清子さんによる楽曲の数々も美しく、見事に作品に溶け合っていますのでそこも注目です。

こちら、演奏も担当する荻野さん。_AAA2395.JPG

稽古場レポート、後半ではほかのキャストの皆さんについてもご紹介します!


以下、稽古場点景。。。
休憩時間もバレエの練習をしている実咲さん。limelight2019-01-81_AAA2428.JPG
矢崎さんもご自身のナンバーを、スマホで確認しながらずっと当たっていました。limelight2019-01-82_SSS0333.JPG
そんな中、カメラに素敵な笑顔とカッコいいポーズを向けてくれた、実咲さんと吉野圭吾さんです!limelight2019-01-83_AAA2439.JPG

 
取材・文:平野祥恵(ぴあ)
撮影:吉原朱美


 
【バックナンバー(2015年公演)】
#顔寄せレポート
#稽古場レポート Part1
#稽古場レポート Part2
#観劇レポート
 
【公演情報】
・4月9日(火)~24日(水) シアタークリエ(東京)
・4月27日(土)~29日(月・祝)
 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪)
・5月2日(木・祝)・3日(金・祝
 久留米シティプラザ ザ・グランドホール(福岡)
・5月5日(日・祝)・6日(月・祝)
 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール(愛知)

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