"バリーターク"、それはふたりが口にする、ある村の名前。
ふたりはだれか。どこにいるのか。そして壁の向こうには何があるのか。
アイルランドの鬼才エンダ・ウォルシュの戯曲が、ついに日本初演!
KAAT 神奈川芸術劇場と世田谷パブリックシアターの共同制作による舞台、『バリーターク』が4 月14 日・15 日のプレビュー公演を経て、4 月16 日に本公演が開幕しました!
出演の草なぎ剛さん、松尾諭さん、小林勝也さん、そして演出・白井晃さんの初日コメントと舞台写真をお届けします!!
◆◆◆初日コメント◆◆◆
白井 晃[演出]
プレビューを経て初日を迎え、この作品の頂上に片足がかかったかなと、両足をかけてその上に立つにはもう少しかかりそうですが、その先があることがとても楽しみです。すごくいい仕上がりになりました。ほっとすると同時にさらに良くなりそうでワクワクした気持ちです。戯曲だけではわかりづらい作品でしたが、立ち上げてみて本当に深い作品だな、と改めて思いました。稽古を通して役者さんと一緒に創作していく中で、演出家である僕自身も発見することが多く、自分にとっては演劇の真髄に触れているように思える、心震える作品です。草なぎさん、松尾さんはこれだけたくさんの運動量、セリフがあるなかで奇跡のように頑張っていただいて、素晴らしい芝居をしてくださっていてその姿に感動しています。小林勝也さんも、勝也さんならではの第3の男という大変な役を演じてくれて、お三方とも本当に真摯に、一緒にこの作品に立ち向かってくれていて心から感謝しています。
草なぎ 剛[男1]
初日を終えて、わかりづらさのあるこの作品に対して、お客さんがリアクションをして、しっかりとついて来てくれるのを感じました。僕たちが演じているうちに、客席と一緒に、男二人の間に流れる空気と温度がどんどん変わっていく、その変化がまるで目に見えるようで、すごく楽しい、最高の舞台です。松尾さんは言葉を交わさなくても、芝居でキャッチボールができる、僕たちすごくいいコンビです。白井さんは初めてご一緒したんですが、僕たちがやろうとすることをわかってくれる、目の前に課題をうまい具合においてくれて、導いてくれます。お客様には、わからないところからわかっていく仕掛けがあるこの作品を、変わっていく空気の流れを感じて楽しみながら観てもらえたらと思います。あったかいものを持って帰ってもらえる作品です。あとは僕の汗の量の多さがすべてを語っていると思います(笑)。
松尾 諭[男2]
始まりました。稽古ではみつからなかったものが本番になるとどんどん見えてきた感じです2ヶ月もあるから楽しみです。体はしんどいですけど(笑)。同じことやっていても飽きないしちょっとずつ違うことをやれるのが面白い作品です。草なぎさんはすごく安心感があって、一緒にやっていて面白い、信頼できるパートナーです。だからこそ裏切らないよう責任感も持って挑むことができる、草彅さんが一緒で良かったと思います。白井さんは、すごく丁寧ですごく柔軟で、僕のどんな意見でも聞いたうえで、じっくり答えを出してくれる。一緒に創る業を通して、一歩ずつ僕らを前に連れて行ってくれる稽古、すごく充実してました。何も考えずに見に来てほしいなと思います。そのほうがジーンとする、考えるより感じる芝居だと思います。
小林勝也[男3]
初日を終えてみて、演じる私たちがこのように考えなさいとか、こういうふうに見てくださいと押し付けるのではなく、観客の皆さんがどう感じるか、ということこそがこの芝居の魅力だと感じました。役者は作家、あるいは演出家が創りたいと思ったことをより正確に演じ、観客の皆さんが自由に感じとって楽しんでいただければと思います。私は出演者の中では一番年上で、長く芝居をやっておりますが、草なぎさんと松尾さんが、決まりごとや古いしきたりといったものにとらわれず、とても自由にやっていらっしゃるのを羨ましく見ております。私にとっても刺激になります。白井さんの演出はとてもしつこい(笑)。肉体的にも精神的にも疲れるといったら疲れますけど、白井さんが我々の100倍くらいエネルギーがありますので、我々もそれに追いついていけるよう明日からも頑張ります。