ホットポットクッキングの第4回公演『GJ』 が4月13日(金)より、赤坂RED/THEATER にて上演されます。
ホットポットクッキングは、元アイドリング!!!のメンバーを中心に、<あらゆるジャンルの美味しい人材を、そのキャリアに関わらず、演劇という鍋に大胆に投げ込んでコトコト煮込み、舌がトロける美味しい舞台作品を作り上げるために結成した演劇プロジェクト>。
第4回公演となる今回の『GJ』は、旗揚げ公演から連続出演している高橋胡桃、玉川来夢、橋本瑠果を軸に、Wake Up, Girlsの吉岡茉祐と永野愛理、そして元宝塚雪組トップ娘役・愛加あゆ らが参加します。
この、女子力が高そうな面々とタッグを組むのは、なんと "男芝居" を得意とするスズカツこと鈴木勝秀さん!
鈴木勝秀さんらしい、人間の深層心理に食い込むサスペンスフルな物語と、フレッシュなメンバーとの融合はいったいどんなものになるのでしょう。
その稽古場を覗いてきました。
初日まであと6日間! 佳境に入った稽古場で行われた「通し稽古」にお邪魔しました。舞台上には、幾本もの棒が立てられた抽象的なセットと、椅子。本番の舞台ではどんな美術になるんでしょうか...? そのあたりの想像を掻き立てられつつ、静かなオープニングから舞台は幕を開けます。
ジュンコ(高橋胡桃)、セリナ(玉川来夢)、イヨ(橋本瑠果)の3人が、ふたりの男・ミヤタ(深沢大河)とミヤシタ(吉本考志)とともにとある洋館を訪れるシーンから物語はスタート。どうやらこの洋館はジュンコの死んだ父親のもので、その遺産整理の話し合いにやってきた。母親とは離婚していて...ということが会話から浮かび上がってきます。
▽ 高橋胡桃
▽ 玉川来夢
▽ 橋本瑠果
▽ 吉本考志
どうやら、ろくに顔も覚えていない父親の遺産をどうしたものか、この状況にまだ戸惑っているらしいジュンコと、ズバズバものを言うセリナ、天真爛漫なイヨ。セリフや演技から浮かび上がってくる、この3人のコントラストがなんとも面白い! 3人の関係性もセリフの中からちょっとずつ見えてくるのですが、あくまでも"少しずつ"匂わされていく感じで、物語はなんだかミステリアスな雰囲気。
弁護士が去り、小学校の同級生であるというノゾミが現れます。なぜノゾミが現れたか?は、実際の舞台をご覧いただくとして、ノゾミ役は吉岡茉祐さん、永野愛理さん、内山日奈加さんの3人が日替わりで、この日は内山さんが登場。ここでなんと、緊張感あふれるこれまでの空気をパッと変えるようなまさかの「フリートーク」タイムが開催! 内山さんを相手にまずはジュンコ役の高橋胡桃さんがフリートークを始めます。この時のテーマは「今欲しいもの」。
芯の強さは見えつつも、どこか影を落としたような、内向的な雰囲気を持つジュンコ。あくまでも役でありながら、内山さんと楽しそうに話をする姿にどこか素の高橋さんが見え隠れするかも!? 時折思いもかけない展開に脱線する話に、演出席や周囲で見守る出演者陣、スタッフからも笑いが起きます。
続いて、セリナ役の玉川さんがジュンコと交代。高橋さんとはまた違った、自分が主導権を握るようなテンポのいいトークに、笑いつつ思わず見入ってしまいます。この "ガールズトーク"、ファンにはたまらないのではないでしょうか? 舞台上で演じる方々の緊張は本当に大変だと思いますが...。
そんな明るい雰囲気から、この先は徐々に物語の核心へと近づいていきます。ジュンコひとりになった舞台上に現れたひとりの男、演じているのは劇団3◯◯の川口龍さん。彼はなんと、亡くなったジュンコの父親だと言うのです。
ここ、シリアスな展開なのですが...セリフはあくまでも真面目なのに、川口さんがまったくセリフと関係のない動きをしているので不可思議な空気を醸し出しています。また川口さんが体がキレッキレ! 笑っていいのかいけないのか...と思いつつ周囲を見ると、稽古場ではかなり笑いが起こっていました。こちらも本番をお楽しみに。
▽ 川口龍
終盤、今度はジュンコの "母親" も舞台上に登場します。演じるのは元宝塚トップ娘役、愛加あゆさん。なぜそこに現れたのか? ジュンコの母親にしては若いのでは? ......そのあたりはネタバレになりますので、本番でご確認を。しかしさすがこちらもさすがの身のこなしと存在感! ジュンコと母親の関係性もあり、セリナ・イヨと居る場面、父親といる場面とは舞台上の空気がガラッと変わります。
▽ 愛加あゆ
通し稽古が終わると、ホットポットクッキング常連の3人や内山さんら女子たちが集まってフリートークの場面のことでわっと盛り上がっていたのが印象的でした。高橋さん、玉川さんともにそれぞれ、入念に準備をしていた模様。でも舞台は "ナマモノ"、予定通りに行くとは限りません。彼女たちにとって、新たないくつものハードルが課せられた舞台になりそうです。
休憩を挟み、スズカツさんこと作・演出の鈴木勝秀さんからのダメ出しタイムです。静かな声で細かく指示をしていくスズカツさん。笑い方などの演出面の部分もあれば、音楽の効果が本番舞台では変化することもあるよ、という話...。今回の作品、出演者たちの平均年齢は若め。彼女たちに、丁寧に演劇ならではのノウハウやテクニックを伝えているようにも見えました。みんな、聞いている目も真剣。
さてさて。なぜ父親はジュンコの前に現れたのか? タイトルの『GJ』の意味は? いろいろと謎が多いこの作品。しかし観終わったあとには、いろいろなことを考える人が多いのではないでしょうか? ぐっと大人っぽくなったホットポットクッキング第4回公演、ぜひ本番をお楽しみに!
▽ 稽古場ですが、クライマックスに向け照明も変化。
謎めく物語にどんどん引き込まれます。
取材・文:川口有紀
撮影:平野祥恵(ぴあ)
【公演情報】
4月13日(金)~22日(日) 赤坂RED/THEATER
※吉岡茉祐、永野愛理、内山日奈加はトリプルキャスト。