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■『書を捨てよ町へ出よう』#2■
 
寺山修司の初期代表作『書を捨てよ町へ出よう』 に、マームとジプシーの藤田貴大が挑む話題作、3年ぶりの再演が近付いてきました。
前回の更新では、主人公の「私」に初舞台で挑む佐藤緋美インタビューをお届けしましたが、今回は稽古場の様子をレポートします!
 

【バックナンバー】
#1 佐藤緋美インタビュー
 


 

現代演劇のルーツである1970年代前後に上演された傑作戯曲を、気鋭の若手演出家が新しい解釈で豊かに復刻する<RooTSシリーズ>。現代の息吹を注がれた過去の名作たちが新たな魅力を放って今に再生する、東京芸術劇場の好評企画だ。その第3弾として2015年に上演されたのが、マームとジプシーの藤田貴大演出による『書を捨てよ町へ出よう』。言わずと知れた寺山修司の初期の代表作だが、『書を捨てよ~』には寺山の手による同名の評論集、舞台、映画が存在し、それぞれ内容が異なっている。藤田が手掛けた舞台の上演台本は映画版に依拠しつつ、舞台や評論の要素もコラージュ。言わば『書を捨てよ~』の集大成的世界に藤田独特の手法が混ざり、詩情的かつパンクな寺山ワールドを、現代に新鮮に浮かび上がらせた。shosute_0097.JPG

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こんにちは!
ゴジゲンの松居です!!

10月3日から、ゴジゲン10周年公演始まります!
ラブストーリーです!!
これからつまんない記事をお届けしますが、
劇は面白いので許してください!!!

昨日、稽古最終日。

作品の安産祈願のお祈りをして、
※つまんない顔した奴らですがすみません

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一ヶ月の稽古を経て、
久々にちゃんと稽古したので、
セットもバラして
本当にぐったりとして、、、
※つまんないぐったり仕方ですね

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汗水やいろんな汁を吸って
作品を支えてくれた稽古場を抱きしめて、
※ゴジゲン恒例の稽古場を抱きしめる儀式。これはつまらなくなんかねえし

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※つまらない配置ですが、このドアの向こうは面白いらしい

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本日、下北沢駅前劇場に
小屋入りしました!!!

そして、来年2月に本多劇場ほかでやる
舞台「みみばしる」の
ビジュアルも解禁しました!!

いま劇場では美術を仕込みまくって、
照明をつりまくって、
音響を入れまくっています。

今回はガチガチの具象舞台です。
来たら奥行きを感じるほど、作り込まれた空間なので、
劇場に入った瞬間に、
ワクワクすると思います。

あとは僕らが、舞台上で生きるのみです。
そのためには、見てくれるあなたが必要で!
ぜひ劇場へ突入してきてください!
チケット代は軽く取り返せる!

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10周年なので、グッズもたくさん作ってます!!!
それを買いに来るだけでも、楽しめること請け合いです!!!!

この2週間だけは!!!
劇を、暴れさせてください!!!!

駅前劇場でまっている!!!

松居

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■『書を捨てよ町へ出よう』#1■

歌人であり、演劇実験室「天井桟敷」主宰として数多くの名作を残した寺山修司
没後35年たった今でもなお、多くの若者に影響を与える存在です。

その寺山修司の初期代表作『書を捨てよ町へ出よう』 に、マームとジプシーの藤田貴大が挑んだ名作舞台が、3年ぶりに再演決定!
 
評論集として発表された『書を捨てよ町へ出よう』は、<鬱屈した若者たちの青春>を描くという姿勢はそのままに、舞台、映画とそれぞれが別の内容になっていますが、藤田は映画版をもとに上演台本を執筆。好評を博しました。

今回、主人公の「私」に挑むのは、18歳の佐藤緋美
これが初舞台となる、注目の若手俳優です。

佐藤さんにお話を伺ってきました。

 

◆ 佐藤緋美INTERVIEW ◆

shosute_DSC0600.JPG 
――この作品が、初舞台初主演。もともと俳優志望だったんですか?
 
「いえ、前から思っていたわけではなかったです。オーストラリアのシドニーに1年間留学していて、そこから日本に帰ってきてふと、やってみたいと思いはじめました」
 
――別の夢があった?
 
「もともと音楽をやっているので。今は俳優も音楽も、どっちもやりたいです」
 
――佐藤さんのご両親は、俳優の浅野忠信さんとミュージシャンのCHARAさん。ルーツとして、そのどちらも持っていますもんね。ちなみに、2015年の初演で同じ主演を務めたのは村上虹郎さん。両親が俳優とミュージシャンである方が2回続くことになりますが、村上さんと面識はおありですか?
 
「はい、友だちです。でも初演のときはまだ知らなかったので、舞台は観ていません。スタッフさんから「前の舞台の映像は観ないでおいて」と言われたので、今も観ていません。『書を捨てよ町へ出よう』で観たのは、映画だけですね。2回観たんですけど、すごい映画でショックを受けました。「こんな映画もあるんだ!」っていう、いい意味でのショック。カメラも今と全然違うし、音楽も面白かった。とにかく観たことがない世界で、これを舞台でやるとなったらどうなるんだろうっていうワクワクがありました。稽古が始まってみて、また映画を観たいなって気分になっています。演出の藤田(貴大)さんも、『100回観ないとあれはわかんない』って言っていたので」
shosute_DSC0621.JPG

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こんにちはゴジゲンの松居です。

もうずっとね、、、
作ってます。。
男6人で、、ラブストーリーを、、

難しい時もたくさんありますが、、、
劇団10周年パワーで乗り切ろうとしてます。
10月3日からですね...幕は開くのか...。
開くんじゃねえ...開けるんだよ...

今週月曜から固定稽古場に入ったんです。
そこからは、休む暇なく稽古馬鹿野郎です。
ゴジゲンはかつて、"稽古"という言葉を禁止してたんです。"台本"って言葉も。
稽古ってなんか、やな響きじゃないすか、気が重くなるし、演劇疲れるし、稽古ってなんかダサいし、って思ってたから。
でもいまは稽古稽古稽古!たまに恵子!!戸田恵子!!!アンパンマーン!!!愛と勇気だけが友達さ!!!

そんなわけで、苦手だった稽古とか台本とかニンジンとかに向き合って、演劇でしか感じられない何某かを作ってます。
面白いと思ってます。
面白いですよ!って宣伝メールが来ると一瞬で行く気なくなる自分ですが、そんなゴミ自意識を飛び越えて、このげきぴあでだけは!胸を張って言いたい!
面白いと、思うよ。。。
今までで1番面白いと思う。。。
(胸をはれよ!)
(転んだらそのままで!!)
(Easy Gooooo!!!!!)

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※面白くなさそうな奴らですが大丈夫です

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※ブースに詰め込まれた面白くなさそうな奴ら

そうです、先週日曜に、
自分のJ-WAVEの番組「JUMP OVER」(毎週日曜23時〜24時)に
ゴジゲン6人で出演して演劇を見ることを、勧めまくりました。
タイムフリーでも聞けると思うので、ぜひ。

そんなわけでゴジゲンですよ。
あと2週間ですよ。
いまは、台本を書かなければならないのに、
体力が切れたから、ブログを書いてるわけです。
懸念していた1場は、、、もうちょいです。
1場はさておき、先に進まねば、ともう書き進めてます。いや岸田とるなこれ。パシャパシャパシャア!いえいえ!みんなのおかげです!あの時げきぴあがあったおかげです!!!

おっと未来が見えちまった。
うんこも出そうだぜ。
とにかくゴジゲン来てくれよな。
チケットはここから。
初日とかなるべく早めに見てくれよな!

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それじゃ、台本に向かうぜ!
ぐうううう...
ああああ...
愛よ!!!!!!!!!!!

松居

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ご無沙汰してます。
ゴジゲンの松居です。

げきぴあの!ブログを更新しにやってきました!
そうです、告知があると言うことです。
今までで1番大事なやつです。

僕はゴジゲンという劇団をやってます。
今年はその結成10周年で!!
来月の10月に東京・ちょっと京都・北九州で、
10周年記念公演があるのです!!

今年の7月に監督した映画「君が君で君だ」がありまして、それをリブートした、と言いながらもう完全に新作で、タイトルだけ借りて「君が君で君で君を君を君を」という第15回公演をやります!!
男6人のラブストーリーです。
先週から稽古が始まりました。
いま台本は0文字で。
「再演だと思ったー」「いやいや、新作なんですよー」って会話を本番中に100回ぐらいすると思うので事前に言っておきますけどもね。新作ですからね。絶対言わないでくださいね。みんなにも言っておいてくださいね。ラブストーリー、という要素しか引き継いでません。
戻りますと台本はまぁ0文字で。
稽古は日々するわけで。

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とりあえず話す一同。

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とりあえず立ってみる一同。

誤解される前にいうと、出しては没にして出しては没にして、ってなってるんですよ今。
もうほんと、1場がね...。
1場が...難しくて...。
1場って、芝居始まって最初のシーンね...。
ゴジゲンは毎回そうなんすけど、
もう1場なんですよ、鬼門は。
1場2場3場ですかね、そこ越えたら10場ぐらいまでバーっといけると思ってるんですが。
いやー、1場!!!
ほんと1場が憎いよ。
1場なんてなくて、2場から始まればいいのに。
そしたら2場が1場になっちゃうのか!
1場がおれを苦しめる!!!
いちばぁー!!!!!

そんなわけで、本番にはその1場も書けてると思います。
ぜひ劇場に来てください。
いいや、来るべきだ!

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お饅頭と共に待つ一同。

おまちしてます!
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松居

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ご自身でワークショップを開催するなど"演劇活動"に積極的に取り組んでいるキャラメルボックスの鍛治本大樹さん。

数多あるステージの中から気になる公演をチョイスして、稽古場からレポートをお届けする新企画【鍛治本大樹の稽古場探訪記】を始めます。

「演劇をもっと知りたい、学びたい」という鍛治本さんが、芝居が創られていくプロセスを"役者目線"でご紹介します!

   

『かのような私-或いは斎藤平の一生-』稽古場レポート

 

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8月某日。

 

信濃町駅から文学座のアトリエに向かう。

 

文学座といえば、今年で創立81年の歴史を持つ、由緒正しき劇団だ。

稽古場である「文学座アトリエ」も1971年に改装されてはいるものの、竣工68年。その佇まいから、伝統と風格を感じずにはいられない。

僕のような演劇経験10年やそこらの人間からしてみると、アトリエの中にお邪魔する前から、圧倒的な雰囲気に飲み込まれそうだった。

 

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今回の作品は、劇団チョコレートケーキの古川健さんの書き下ろし

斎藤平という一人の男の一生を通して、終戦直後から学生運動、バブルを経て、現代までの戦後の日本を再考する作品だそうだ。

 

稽古は一幕の立ち稽古からスタートした。

 

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あの宝塚歌劇団に、終戦直後9年間だけ存在した"男子部"。その実話をもとに、宝塚の舞台に立つことにすべてを捧げた男子たちの熱い青春を描いた舞台『宝塚BOYS』
2007年に初演され、その後も上演を重ねるこの人気作が現在、東京芸術劇場 プレイハウスにて上演中です。
 
5年ぶり・5度目の上演となる今回は、これまでにもこの作品に出演経験のあるメンバーを中心とした「team SEA」と、フレッシュな「team SKY」の2チーム制での上演ですが、先に上演された兄貴分の「team SEA」に続き、いよいよ8月15日(水)からフレッシュな「team SKY」が登場。
そのゲネプロレポートをお届けします。
 


 

【ゲネプロレポート】
 

言わずと知れた "女の園" 宝塚歌劇団にかつて終戦直後の9年間だけ実在していた「男子部」の顛末を記録した本『男たちの宝塚』(辻則彦・著)を原案にした舞台『宝塚BOYS』。脚本に人情味ある喜劇を描かせたら随一の中島淳彦、演出に作品の核を追求しジャンルを問わぬ活躍を続ける鈴木裕美という演劇界の職人が組んだこの作品は、2007年に初演。以来変わらず愛され、男子部員を演じるBOYSのキャストを変えながら、再演を重ねてきた。そして今夏、5度目の上演が実現。初の試みとして、これまで本作に出演経験のあるキャストを中心としたteam SEAと、本作には全員初登場の期待の若手からなるteam SKYの2チーム制で行われている(宝塚風にいえば「海組」と「空組」といったところか)。先陣を切った兄貴分のSEAが全9回(8月4日~11日・東京芸術劇場プレイハウス)の公演を見事に務め上げ、フレッシュな弟分にバトンタッチ。いよいよ15日から、team SKYのバージョンが初お目見えする(8月15日~19日・東京芸術劇場プレイハウス、ほか地方公演もあり)。その初日に先立って行われたゲネプロを見学した。
 
なお出演は永田崇人、溝口琢矢、塩田康平、富田健太郎、山口大地、川原一馬、中塚皓平(以上BOYS)、本作の紅一点、寮のまかない担当・君原役とBOYSの世話役となる歌劇団の社員・池田役も新キャストとなり、それぞれ愛華みれと山西惇が演じる。

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『宝塚BOYS』team SEA アフタートークレポート

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あの宝塚歌劇団に、終戦直後9年間だけ存在した"男子部"。その実話をもとに、宝塚の舞台に立つことにすべてを捧げた男子たちの熱い青春を描いた舞台『宝塚BOYS』
2007年に初演され、その後も上演を重ねるこの人気作が現在、東京芸術劇場 プレイハウスにて上演中です。
 
5年ぶり・5度目の上演となる今回は、これまでにもこの作品に出演経験のあるメンバーを中心とした「team SEA」と、フレッシュな「team SKY」の2チーム制での上演ですが、先に登場している「team SEA」のメンバーによるアフタートークが、8月8日の公演終了後に開催されました。
その模様をダイジェストでお届けします。TakarazukaBoys2018_03_00_0068.JPG
 
アフタートークの出席者はBOYSの7名、良知真次、藤岡正明、上山竜治木内健人百名ヒロキ石井一彰東山義久
公演終了後ほどなく登場し、良知真次さんが「いままで公演をやってきて、どうですか」と話をふるやいなや、藤岡正明さんの「僕は今日が来るのが楽しみで楽しみで。このアフタートークに命をかけてきました。......今日は上山竜治デーだと思っていただければ!」というひと言から、愛すべき上山さんのエピソード大会に!

そんな話題からこの日のアフタートークはスタートです。TakarazukaBoys2018_03_11_0075.JPG

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思わず苦笑いを誘ったり、チクリと胸を突いたり。軽快かつ繊細な会話の応酬で、深層に潜む心情をすくい上げ、観る人の心にさざ波をもたらす作風が注目されている大阪出身の劇作家・横山拓也さん。横山さんが主宰する演劇ユニット、iakuの人気作『粛々と運針』が、9月8日、相模女子大学グリーンホール・多目的ホールにて上演されます。「消耗しにくい演劇作品」を掲げて日本各地を回り、自作の再演を精力的に行っている横山さんに、「自信を持って発表できる」と自負する本作を中心に、劇作スタイルや演劇に対する姿勢など、幅広くお話を伺ってきました。

 


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横山拓也

 

◆◆◆ 横山拓也インタビュー ◆◆◆

 

十年経っても色褪せない作品を目指して

 

――横山さんは2012年にiakuを立ち上げ、活動を開始。昨年発表されたこの『粛々と運針』はiakuの9作目のオリジナル作品で、今年はまず5月のこまばアゴラ劇場にて、「iaku演劇作品集」と題して4作品上演されたうちの一本として再演されました。その後、6月は愛知県知立市から始まって仙台、福岡、札幌と再演ツアーを実施。この9月の相模原公演が、今年のツアー千秋楽となります。それ以前までの横山作品とは雰囲気が大きく異なる、転機となった作品だとか。 

 

「そうなんです。この『粛々と運針』以前の作品はすべてワン・シチュエーションの物語で、具象の舞台美術で......、たとえば家のリビング・ルームだったり、駅のホームだったり、喫茶店だったり、といった形で上演していました。決められたシチュエーションの中で、しかも、ひと連なりの時間の中での、暗転を挟まないお芝居が多かったんですけど、もう少しチャレンジできないかなと思ったんですね。それまでは、"場所を動かさないこと"、"時間を飛ばさないこと"を、自分に課したルールとして楽しんで書いてきたんですが、もしかしてそうしたルールを定めてしまうのは、演劇の豊かさを一つ、放棄していることになるんじゃないか...って思いに至りまして。じゃあ新たなことをやるとしたら、何だろう? それぞれ、まったく関係のない場所で交わされていた二組の会話が、突然ひとつの場で合わさって、「はじめまして」「誰ですか、あなたは?」みたいなやりとりもないままに、議論がそのまま進行して、深まっていく......、そういったことをやってみようかな、と思いついたのが、初演時でのチャレンジでした」

 

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――登場する一組は、独身で自由に暮らす兄と、結婚して堅実に働いている弟。癌を患い病床にいる母親のことで、熱く議論を交わします。横山さんご自身と弟さんをモデルにされていると伺いましたが...。

 

「はい、まさにこの兄弟は自分の体験に近いと言いますか(笑)。親はまだ健在ですけど、僕が演劇の仕事をしているものだから、弟はずっと僕に反発していたんですね。自分自身は堅実な仕事を、ちゃんとお金を稼げる道を選びたいと宣言して、演劇の仕事をしている僕のことをちょっとだけバカにしている感じだったんですよ(笑)。そんな兄弟関係と、両親が住んでいる大阪の家をどっちが継ぐの?といった実際に起きた話を念頭に、物語を深めていったという感じですね」

 

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――そしてもう一組は、一軒家を購入して長期ローンを払い始めたばかりの、共働き夫婦。「妊娠したかもしれない」という妻の告白から、こちらの会話も熱を帯びていきます。

 

「この話もとくに取材したわけではなく、僕の身近で増えてきている話題を取り上げました。僕は今41歳ですが、世代的に一緒に演劇をやってきた仲間には、結婚はしたけど子供を産むことに悩んでいるとか、結婚そのものに悩んでいる女性も多いんですね。話を聞いているうちに、これはいろんな問題を孕んでいるなと思いまして。僕自身も子供がいますが、結婚して5年くらいは子供をもうけなかったんです。そのへんは妻のほうにもいろいろと葛藤があったり。劇作スタイルとしては、自分の体験をもとにしたり、近しい人からエピソードを集めたりして作品を作っていく傾向はあると思います」

 

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――その二組の物語がいつしか交錯して......という展開だけでも興味深いし、成立させられるように思います。でもそこに、さらに"運針する二人"が加わる構成にうならされます。その巧妙な関係性については、げきぴあ読者の皆さんにはぜひ舞台で直接確かめていただきたいですね。

 

「ああいった、いわゆるファンタジックな人物設定はこれまでやったことがなかったので、あれもチャレンジというか、むしろ怖いな、ホントにこれは大丈夫なんだろうか!?と思いながら稽古していました(笑)。時間が止まらずに進んでいくことを象徴する人物が欲しいなと思って、この二人を置いたんですが...。僕は別に「実はこういう人でした」みたいなミステリーっぽい運びにするつもりはまったくなかったんですけど(笑)、まあ一種のエンターテインメント性はそこに発生したかなと。僕としてはかなりイレギュラーな人物設定で、今後はやらないだろうなと思っていますね」

 

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――タイトルにあるように、「運針」が重要なキーワードですね。どこか懐かしさを感じる素敵な単語です。

 

「タイトルは内容よりも先行してつけました。とくに運針という言葉は、どう使うかも決めないままにちょっとメモしていたんですね。当初は、単に裁縫の"並縫い"の意味しか持たない言葉だと思っていたんですけど、時計の秒針が進むことも運針ということをあらためて知りまして。それで、議論を二つ闘わせる中で、時間だけは誰にも平等に進んでいくところを表現してみたいと、この二人を配置したわけです」

 

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――こまばアゴラで上演された「iaku演劇作品集」の中に、岸田國士の『葉桜』を原案とした『あたしら葉桜』という作品がありましたが、岸田國士の時代の作品を好んで、影響を受けていたりもするのでしょうか。

 

「そういうことはとくにないんですが...、ただ、大正、昭和の初期あたりで岸田國士作品が評価されていった、その理由は何だろうと考えた時に、やっぱり僕は台詞の力だったんじゃないかと思うんですよ。で、僕自身も、自分の作品のどこが推せるかといったら、台詞のような気がしていて。僕は、言葉の裏にあるもの、芯の深さといった、表層だけでは語りきれないことを描いて、戯曲にしていきたいんですね。だから、一読しただけではさらっと読めてしまうと思うんです。でも稽古をつけていくうちに、俳優が考えなければいけないサブテキストがいくつも出てくる、そこに面白味を感じていて。そんな、言葉の厚みといったものを表出していけたらなと。もしかしたらそこに岸田國士作品に通じるものがあるかもしれないな......なんて、自分で勝手に思っていますね」

 

――厚みのある言葉を大切にして、再演を重ねていらっしゃると。

 

「そうですね。言葉もそうですし、作品自体ができるだけ古くならないように...といったことは意識して書いています。十年経っても、上演できるものを、と。自分の戯曲が何年経っても図書館に置いてあったら、すごく素敵だなと思うんですよ。それが一つの目標でもありますし、活字で残ることを意識した作品づくりはしていますね」

 

――また、人と人との直接的な言葉のやりとりを大事に考えているところもあるのでしょうね

 

「それは昔からそうなんだと思います。対話の中で、誰もが上手に嘘をついていると思うんですね。別に嘘をついていると意識していなくても、たとえば初対面で相手によく思われようとすること自体を嘘だとすれば、そうだし。登場人物を立ち上げて会話をさせる時に、どういう仮面を被っているのかな? どういうことを知ろうとしているのかな?と探っていきます。その仮面が徐々に剥がれていくと、議論になっていったり、深い会話ができるようになっていく。その様子自体をエンターテインメントとして描けるのではないかな...とは、役を立ち上げた時点から思っていますね」

 


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2013年に鈴木勝秀が書き下ろし、篠井栄介&千葉雅子のタッグでわずか1回のみ、上演されたリーディング公演『シスターズ』。
ベテラン俳優ふたりが時に鋭く、時に寄り添うように声を戦わせ紡ぎだした不思議な姉と妹の物語は、その質の高さもあいまって "伝説の公演" となった。


2017年3月、設定を姉と弟に、タイトルも『シスター』と変え、豪華実力派メンバーを揃え4年ぶりに上演。
好評を博し、その後5月・7月と、世代も活躍する世界も異なるさまざまな俳優・女優たちにより続演を重ね、スズカツの『シスター』は朗読劇の新たなる定番作品となりつつある。

この作品の、『シスター』としては5演目となる上演が決定した。

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