あの宝塚歌劇団に、終戦直後9年間だけ存在した"男子部"。その実話をもとに、宝塚の舞台に立つことにすべてを捧げた男子たちの熱い青春を描いた舞台『宝塚BOYS』。
2007年に初演され、その後も上演を重ねるこの人気作が現在、東京芸術劇場 プレイハウスにて上演中です。
5年ぶり・5度目の上演となる今回は、これまでにもこの作品に出演経験のあるメンバーを中心とした「team SEA」と、フレッシュな「team SKY」の2チーム制での上演ですが、先に登場している「team SEA」のメンバーによるアフタートークが、8月8日の公演終了後に開催されました。
その模様をダイジェストでお届けします。
アフタートークの出席者はBOYSの7名、良知真次、藤岡正明、上山竜治、木内健人、百名ヒロキ、石井一彰、東山義久。
公演終了後ほどなく登場し、良知真次さんが「いままで公演をやってきて、どうですか」と話をふるやいなや、藤岡正明さんの「僕は今日が来るのが楽しみで楽しみで。このアフタートークに命をかけてきました。......今日は上山竜治デーだと思っていただければ!」というひと言から、愛すべき上山さんのエピソード大会に!
そんな話題からこの日のアフタートークはスタートです。
● 上山竜治さんの愛すべきエピソード
藤岡「「♪小さな湯の町宝塚に」ってあるじゃないですか(『おお宝塚』)。稽古中でそれを歌いましょうってなった時に、(上山が)「♪小さな湯の町桜坂に」って。どこだー!! そのあとの「T・A・K・A・R・A・Z・U・K・A」って言えないじゃん!」
上山「いや、続けられるかなって思ったら、みんなが止まっちゃって...」
藤岡「続けられるかー! まだまだありますよ、(宝塚のモットーでもある小林一三の言葉)「清く正しく美しく」を「強く優しくたくましく」って言ったの!」
上山「なんでそれが出たか、俺もわからない(笑)」
石井「俺、竜治と初めて会ったときに「僕、石井君と似ているってよく言われるんです」って言われて。稽古始まったら(上山が)もう、すごかったから。俺、こんなのかなーって...(笑)」
百名「でも竜治さんは、そういうミスをしても続けるんです、ちゃんと。ただ周りが笑っちゃって(止まっちゃう)。あとから竜治さんは「なんであそこで止めるかわからない!」って(一同笑)。でもそういう、ちゃんと真っ直ぐしているところは、リアル竹内(役柄の竹内重雄)な感じです」
......その後も上山さんのチャーミングなエピソードは次々と暴露されていくのでした(笑)。
● 初参加・木内健人さん&百名ヒロキさんの感想
「実はteam SEAは、『宝塚BOYS』経験者が5人いる」と良知さんが語ったように、藤岡さん、東山さん、石井さんは2010年版に、良知さん、上山さんは2013年版に出演しています。
その流れから、初参加の木内健人さん&百名ヒロキさんが、作品への思いを語りました。
木内「僕、実は初演以外は全部観ているんです」
東山「いつの公演が一番良かった?」
木内「!?(それ言うの!?とでもいう風に)」
東山「でも観て感動したでしょ? 実際に自分でやってみたら、どうだった?」
木内「こんなに大変なのかと。こんなに汗が出るものかと...!」
藤岡「もうね、終わったあと(汗で)しょっぱいんですよ。唇とかなめるだけでしょっぱい」
百名「飴の味とか、(しょっぱさが先にきて)わからないんですよね」
東山「ヒロキはどお?」
百名「優しい先輩の方々に囲まれて、毎日嬉しいです」
● 芸名の由来
作中、BOYSたちは、宝塚の舞台用の芸名を、自分たちで考えます。
その名前をつけた理由、というのも話題に。
東山「俺はあえて前(2010年出演時)と一緒にしてる。<白鳥 かぐや>」
藤岡「...<一番星金太郎>でございます。やっぱキラキラしていたいなってことと、太田川さんは、明るいところが好きだってことで。あとは<ちゃっぷ りんたろう>とか...」
良知「<もんぶ らん>っていうのもあったよね(笑)」
藤岡「昭和21年にモンブランがあったかも調べて(笑)」
木内「良知君は、七変化してたよね」
東山「一番最後まで決まらなかったもんね」
良知「そうそう。みんなで考えて。<すみれ乃 心>」
東山「竜治の<大空 響>ってのは、歌が好きな竹内さんらしい」
上山「そうそう。最初は<大空 歌>とかも考えたんですが。<響>がいいんじゃないかと。
藤岡「ちなみに俺が竹内やってたとき(2010年)は<天音 響>でした」
良知「俺が竹内をやってたとき(2013年)は<歌 満開>でした。そいうえば、今回家で考えてたのは<愛 満開>だった(笑)」
上山「満開、好きだねー。竹田(百名)は?」
百名「<雅 桔梗>。雅はお父さんの名前である雅次郎の"雅"から取って。キキョウはお父さんが帰ってくる、帰郷とかけて。字は花の桔梗ですが。花言葉は誠実です!」
東山「自信満々だな!」
百名「ありがとうございます!」
......というところでタイムアップ!
山田(石井)さん、長谷川(木内)さんの芸名の由来は訊けず残念!
最後は、皆さんからひとことずつご挨拶がありました。
東山義久(星野丈治役)
「本日はありがとうございました。1ヵ月間、家族のように、兄弟のように過ごしてきた僕たちteamSEA。公演も残り少ないですが、キャストとスタッフとみんなで、作っていこうと思いますので、また観にいらしてください」
百名ヒロキ(竹田幹夫役)
「このあともSKYチームがあります。SKYチームによいバトンタッチができるように、残りの舞台も死に物狂いでやりたいと思います。頑張ります!」
上山竜治(竹内重雄役)
「終戦記念日も近いですが、回を増すごとに宝塚BOYSの熱い思いがすごく重く感じて、でも回を増すごとに楽しく演じられています。そして何よりも、最後僕らを迎えてくれるときのお客さまの拍手がすごく温かくて感謝しています。観に来てくださってありがとうございました」
藤岡正明(太田川剛役)
「この作品、使命感をもってみんな演じています。必ずこれを後世に繋いでいかないといけないなと思っています。ただ本当に観客の皆さんの僕への熱い視線を強く感じています(笑)。最後までご声援よろしくお願いいたします」
木内健人(長谷川好弥役)
「本当にずっと出たいなと思っていた作品なので今回こうやって素敵な皆さんとお芝居できること、本当に嬉しく思っています!」
(このあと物販の宣伝もするしっかり者の木内さんでした)
石井一彰(山田浩二役)
「僕は8年前に、東山さんや藤岡さんと同じチームでやっていたんですが、8年前の舞台スケジュールをみると、マチソワ(1日2回公演)がすごくいっぱいあったんです。でも今やっていると、(当時より)辛くて......、気持ちは辛くないんですが体力が大変で、次のシーンにいけるのかと思いながらやっています。僕たち、本当にエネルギーを出し尽くしてやっていますが、こうやってたくさんの方が観に来てくださると、本当に嬉しいです。そして山西惇さんと愛華みれさんは、僕らSEAの本番をやりつつ、SKYの稽古もやっています。稽古して本番、稽古して本番をやっているおふたりを見ていると、僕ら大変なんて言ってられないんですが......とにかく大変です(笑)。でも、残りもこのメンバーで一生懸命やりますので、見るのもエネルギーがいる作品だと思いますが、ぜひまた見に来てください」
良知真次(上原金蔵役)
「宝塚歌劇団の100年以上続く歴史のなかで、実際に僕は去年、宝塚歌劇団の振付もやらせていただきました。そして本当にこの作品が持つ意味、本当に大切なこと、忘れてはいけないことを噛み締めて今回、全身全霊で演じています。この作品、この事実が、これからも大切に残していけるように、最後まで僕たちSEA、そしてSKYチームもともに一緒に頑張っていきたいと思いますので、応援のほどよろしくお願いいたします」
team SEAの出演は8月11日(土・祝)まで。
その後8月15日(水)より、team SKYが登場します!
▽ 自分が<星野>役だったら、どういう登場の仕方をする?という話題から、足上げ&ムーンウォーク大会、になっていました...。
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【『宝塚BOYS』バックナンバー】
・2008年版稽古場会見
・2010年版開幕レポート
・2013年版
# 稽古場レポート
# 開幕レポート
・2018年版
#良知真次&藤岡正明インタビュー
#開幕レポート
【公演情報】
・8月4日(土)~19日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
・8月22日(水) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール(愛知)
・8月25日(土)・26日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール(福岡)
・8月31日(金)~9月2日(日) サンケイホールブリーゼ(大阪)