2016年に日本初演され、その年の演劇賞を総なめした大ヒットミュージカル『ジャージー・ボーイズ』 が、2年ぶりに帰ってきます!
作品は、1960年代のアメリカで一世を風靡したボーカルグループ、ザ・フォー・シーズンズの結成から成功への道のり、さらにはメンバー間の確執やグループの崩壊までを赤裸々に描く物語。
2005年にブロードウェイで開幕、クリント・イーストウッド監督による映画版もヒットした名作です。
作中を彩るナンバーは、ザ・フォー・シーズンズの実際のヒット曲。
ビートルズ以前に世界で最も人気のあったバンドと言われる彼らの音楽は今でも色褪せず、特に『君の瞳に恋してる』『シェリー』などは、たとえ彼らの名前を知らない世代でも、一度は耳にしたことがあるはず。
待望の再演となる2018年版は、初演メンバーを中心に、新キャストも加わり、また新たな『ジャージー・ボーイズ』の世界が生まれます。
9月の開幕を控え、いよいよ稽古も本格始動するという8月某日の稽古場を取材してきました!
それまでもキャストの皆さんは少人数単位で歌稽古を重ねていたそうですが、この日は「ほぼ全員集まっての歌稽古」とのこと。
歌に注力した稽古ですので、音楽監督補・ヴォーカルデザインの福井小百合さんを中心に、稽古は進められていきます。
「初めてみんなであわせますので、今日は発声からやりましょう」
というお話からの......、
『ハッピー・バースデー』!
この日はキャストの大音智海さんのお誕生日でした!
『ハッピー・バースデー』でもちゃんとハモるジャージーカンパニー、さすが。
大音さんの動画コメント撮影中の伊礼彼方さん。
この動画は伊礼さんのツイッターに上がっていましたよ~。
(大音さんのジャージーTシャツかわいいですね!)
さて、稽古は冒頭から数曲単位で通しては小返し......という流れで行われていきました。
2018年版は「WHITE」「BLUE」の2チーム制。
ザ・フォー・シーズンズのメンバーのうちリードボーカルのフランキー以外の3人はWキャストになります。
天使の歌声、リードボーカルのフランキー・ヴァリ役はもちろんこの人、
中川晃教さん。
中川さんの透明な、しかし力強い歌声は相変わらず......どころか、さらに磨きがかかっています!
しかしその中川さんにも「アッキー、ここはコーラスにまわったときはね...」等々、福井小百合さんの指摘は細かく飛ぶ!
この『ジャージー・ボーイズ』のコーラスワークがどれだけ緻密なのかが伺えます。
フランキーの兄貴分であるトミー・デヴィートは、中河内雅貴さんと伊礼彼方さん。
こちらはWHITEチームの中河内雅貴さん。
中河内さんのちょっと高めの声質が、トミーのチンピラ感にマッチしていますよね。
初演も経験している中河内さん、セリフもバッチリ......なのですが、とある箇所で盛大に音をはずし...自ら「アカーン!!」と自己申告。
福井さんに「居残りね!」と言われてしまっていましたが、そんなさっぱりとした明るさも、気持ちよい。
同じくトミー役、こちらはBLUEチームの伊礼彼方さん。
初参加の伊礼さん、トミーらしいハッタリたっぷりな台詞回しから一転、歌いだすと超美声!
本番が楽しみです。
ボブ・ゴーディオは海宝直人さんと矢崎広さんのWキャスト。
この日は海宝さんは欠席、こちらはBLUEチームの矢崎広さん。
グループ最年少ながら、才気に溢れ、のちにグループを引っ張っていくことになるボブ。
矢崎さんは "弟" 感は健在ながら......2年前より、抜群に歌唱力が伸びていますね!
『Cry For Me』のボブのソロパート、素晴らしい声の伸びです。
グループの低音を支えるニック・マッシは福井晶一さんとSpiさんのWキャスト。
WHITEチームは福井晶一さん。もう任せて安心!の歌声です。
BLUEチームは、初参加のSpiさん。
Spiさんもとてもインパクトのある歌声です。
......というより、ニックのふたり、冒頭からずーっと歌ってます。
(キャスト皆さんそうなのですが、特に)低音パートの方々は、オン・ステージにいなくても、ほぼずっと歌っているんじゃないか?という印象。
いやー、『ジャージー・ボーイズ』、大変!
ザ・フォー・シーズンズ以外の皆さんもご紹介しましょう!
ちなみにこの日の稽古場は、おそらく、下手側から高音→低音パートで席分けがなされていました。
5人目のメンバーとも呼ばれるプロデューサー、ボブ・クルー役は太田基裕さん。
マフィアのジップ・デカルロ役ほか、の阿部裕さん。
ノーム・ワクスマン役ほか、の畠中洋さん。
畠中さんも今回からの参加。ザ・フォー・シーズンズは売れる前に他の歌手のコーラスをつとめるのですが、そこで畠中さんがメインで歌う『An Angel Cried』のシーンでは「いま雨がおじさん」と呼ばれていました...(「いま雨が...」という歌詞から始まるのです)。
劇中に登場する女性役をたった4人ですべて演じていく最強のガールズ4人は、初演から引き続きこのメンバー。
綿引さやかさん、小此木まりさん、まりゑさん、遠藤瑠美子さん(この日はまりゑさんは欠席)。
ニックの彼女に扮するタイミングでは、遠藤さん、ニックの近くまでいって一緒に歌っていました。
こんなかんじで、女性陣は八面六臂のご活躍です。
こちらは大音智海さんと石川新太さん。
お誕生日だった大音さんは、なんといっても "ハンサム・ハンク" こと、ハンク・マジュースキー役がインパクト大ですね!
(ハンクは、メンバーがフォー・シーズンズにいたる前、紆余曲折していたバンドのひとつ「フォー・ラヴァーズ」のメンバーです)
石川さんは、冒頭のフランス語の「Oh, What A Night」、『セ・ソワレラ』のシーンや、ジョー・ペシ役など色々なところで奮闘。
こちらは白石拓也さんと山野靖博さん。
ふたりはニックとともに低音パートを支えまくり、この日もずっと歌いまくり!
福井さんの「今のところ、もう少し低音があってもいいかな、声量というより成分的に」という、もう素人にはよくわからない指摘にも、エエ声で粛々と応えていく職人技です。
稽古初旬から、ビシバシと音楽へのコダワリが伝わってきた『ジャージー・ボーイズ』。
こんな稽古を重ね、あの珠玉の音楽の数々が、舞台上で奏でられていくのですね。
それにしても......やっぱり『ジャージー・ボーイズ』の音楽は最高!と思った稽古場取材でした。
本番の舞台、2018年版はどうなるのか、楽しみです!
↓ 演出の藤田俊太郎さん。
ジャージーらしいドットのシャツ、さすがです。
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【『ジャージー・ボーイズ』バックナンバー】
●2016年
# 『ジャージー・ボーイズ』で"天使の歌声"フランキー・ヴァリに!&10年ぶりのスタジオ録音CDリリースも決定――中川晃教インタビュー
# 日本版『ジャージー・ボーイズ』誕生! PV撮影の裏側をちょっと見せ!!
# 日本版『ジャージー・ボーイズ』ついに始動! 記者会見レポート
●2018年
# ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート、熱狂の開幕!
【公演情報】
9月7日(金)~10月3日(水)シアタークリエ(東京)
10月8日(月・祝)大館市民文化会館(秋田)
10月17日(水)・18日(木)日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール(愛知)
10月24日(水)~28日(日)新歌舞伎座(大阪)
11月3日(土・祝)・4日(日)久留米シティプラザ ザ・グランドホール(福岡)
11月10(土)・11日(日)神奈川県民ホール 大ホール(神奈川)