2018年11月アーカイブ

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紙・電子累計660万部の大人気コミックが原作となる、舞台『暁のヨナ~緋色の宿命編~』の公演がスタートした。主演のヨナを務めるのは、乃木坂46を卒業後、舞台、ドラマ、バラエティと活躍の場を広げている生駒里奈。そして、もう一人の主演は、ダンスロックバンドDISH//のメンバーとして活躍しながら、様々な舞台に出演し、支持を集めている矢部昌暉。このフレッシュなW主演の脇を固めるのは、山本一慶西川俊介奥谷知弘木津つばさ樋口裕太陳内将という、舞台で活躍する勢いあふれる若手たちだ。

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ゲネプロの直前に行われた囲み会見で、生駒は、「ヨナがひとりの女性としてどう成長するのか見てほしい」と笑顔で話し、矢部は、「迫力のあるアクションが魅力」だと本作の見どころを語った。同年代が揃うこの舞台。激しいアクションがあるからこそ、息の合ったチームワークが必要となってくる。

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稽古の後はキャストみんなでご飯に行くことも多かったようで、生駒は「みなさん、はじめましての方ばかりで不安でしたが、いまは大好きな人たちに変わりました。ヨナの旅を楽しんでもらえたら」と心境を語った。

 
9月の東京・シアタークリエ公演よりスタートした2018年版ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が、11月11日、神奈川県民ホールで大千秋楽を迎えました。
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演出の藤田俊太郎さんによると、「のべ4万7千人のお客さまにご観劇いただきました」という大盛り上がり、各地で大旋風を起こした『ジャージー・ボーイズ』。
げきぴあでは8月初旬の稽古場から、キャストインタビューまで、様々な角度からこの作品を追ってまいりました!

【2018年『ジャージー・ボーイズ』バックナンバー】
# ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート、熱狂の開幕!
# 2018年版『ジャージー・ボーイズ』本格始動! 稽古場レポート
# 稽古場レポート第2弾! WHITEチームの稽古場に潜入
# 稽古場レポート第3弾! BLUEチーム ピックアップ
# まもなく開幕! 初日前囲み取材でキャストが意気込みを語る
# イレイカナタ☆プレゼンツ:白石拓也&山野靖博インタビュー(前編)
# イレイカナタ☆プレゼンツ:白石拓也&山野靖博インタビュー(後編)
 
大千秋楽のカーテンコールの模様は東宝チャンネル公式ですでに上がっておりますが、げきぴあでも連載最後の記事として、記しておきたいと思います。

 

★前編

★後編

 
 
●演出の藤田俊太郎さんは、次のように、まず出演者たちに感謝を。

「いま舞台上にキャストは15人いますが、昨日千秋楽を迎えたWHITEチームの3人あわせると18名のキャストがいます。本当にこのキャストでなければ、この2018年の『ジャージー・ボーイズ』は作れなかったと思います。ひとりひとりを愛しておりますし、このメンバーだからこそ作れた公演に誇りを持っています。今日思いました、これから先もこの18人を守っていきたいと。この18人がこれからも輝ける場所を作っていけるような演出家になりたいと今日改めて思いました」

さらに
「たくさんのファミリーと呼べるようなカンパニーのスタッフと一緒に作ってきました。この世界最高のスタッフのみなさんは、僕たち私たちは当たり前の仕事をしただけだよ、というかもしれない。でもこの世界最高のスタッフとカンパニーだから作れた公演なんです。最後に、そのひとりひとり、劇場の色々な場所にいるスタッフにカンパニーに、大きな拍手を!」
とスタッフにも謝意を伝えます。
 

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■『レベッカ』特別連載vol.3■
 
 

『エリザベート』『モーツァルト!』『レディ・ベス』『マリー・アントワネット』で知られるミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)&シルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)のゴールデンコンビが手掛けたミュージカル『レベッカ』 が8年ぶりに上演されます。

物語は、ヒロインの「わたし」がイギリスの大金持ちである上流紳士のマキシムと恋に落ち結婚するも、彼の所有する広大な屋敷 "マンダレイ" に色濃く落ちる前妻・レベッカの影に追い詰められていき......というもの。
アルフレッド・ヒッチコック監督映画でも知られる名作ですが、このミュージカルではサスペンスフルな展開に、巨匠リーヴァイ氏の流麗な楽曲がマッチし、独特の世界を生み出しています。

主人公である大富豪、マキシム・ド・ウィンターを演じるのは、初演から変わらず、山口祐一郎。その相手役である「わたし」は、初演からこの役を演じている大塚千弘に加え、平野綾桜井玲香が新たな風を吹き込み、初のトリプルキャストで上演されます。

孤児で、どこかおどおどしていて、気弱な女の子が、上流階級の紳士と恋に落ち、大邸宅の奥様になる......。
それだけだとシンデレラ・ストーリーに思えますが、彼女を待っていたのは、甘く幸せな結婚生活ではなく、リアルな痛みが伴う複雑な人間関係と、謎めいた事件の影。
観客は「わたし」の視点を通し、大邸宅 "マンダレイ" で起きた事件を追体験していきます。


今回は、そんなヒロイン「わたし」に初挑戦する平野綾さんのインタビューをお届けします
 
 

◆ 平野綾 INTERVIEW ◆

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●「『レベッカ』が大っ!好き!! で、めちゃくちゃやりたかったんです」

 
 
―― 近年ミュージカル界でひっぱりだこの平野さんですが、『レベッカ』には初参加です。これは「やってみないか」というお話があったのでしょうか?
 
「はい、オーディションのお話をいただいたことからスタートしていますが......実は内心、めちゃくちゃやりたかったんです! この作品が大っ!!好きでしたので。もう、オーディションのお話が来た時点で「やったー!」と喜びました。ただ、そのオーディションが『ブロードウェイと銃弾』(2018年)の最中だったんです。この時のオリーブという役は、かなり特徴的な声を出していましたので、オリーブから「わたし」に切り替えるのが大変で。あの発声をずっとしていると、ほかの声がすぐには出ないんですよ。これで落ちたらオリーブのせいだ、と思いながら(笑)......もちろん冗談ですが。でもかなりプレッシャーを感じながら、挑みました」
 
 
―― 平野さんは色々なところでミュージカル愛を語っていらっしゃいますし、おそらくこの作品もお好きなんだろうな、と勝手に想像していました! 案の定で嬉しいです。『レベッカ』のどこに惹かれていましたか?
 
「私は、昔から推理小説ばかり読んでいたんです。ですので、洋書の推理小説にハマっていたときに手にして、もともと小説として読んでいました。構成が面白くて、「こういう書き方もあるんだ」って、まずは作品自体に惹かれました。そのあとに映画、ミュージカルの順で観ていきました。ミュージカル版は、後半は "レベッカの死の真相" という謎解きのような展開にもなりますが、それまでは「別に犯人探しをしているわけでもないのに、登場人物みんな怪しい」という不思議な状態が続きます。「わたし」も、「そんなこと知りたくないのに...」という情報をずっと聞かされていく。そして、どうなっていくんだろうとぐいぐい物語に引き込まれていったのに、急にシャットアウトされ、新たな展開を生むところが、小説を読んだ時と同じ感覚で、上手いなぁ~! と思いました」
 
 
―― 具体的にどのあたりか、教えていただけますか?
 
「例えば2幕で「わたし」がダンヴァース夫人に追い詰められるところ(『レベッカIII』~『ほんの一歩で』)などは、「どうなっちゃうの、どうなっちゃうの!?」と前のめりになる気持ちで観ていると、ある音が鳴ってその気持ちが遮断されますよね。それが、小説を読んで感じていたものと同じだったんです。自分のペースで読んでいたはずなのに、突然断ち切られる感覚が......」
 
 
―― たしかに。あの緊張感と、そのあとの我に返る感覚はとても印象的です。
 
「そうなんです。「いいタイミングで...!」って思いますよね。それに、サスペンスなんだけれどホラー要素もあるし、そのホラーも海外モノというよりは日本寄り。ひたひた忍び寄ってくる怖さがあります。ダンヴァース夫人の存在がもう、そんな感じですよね。あの黒い服が闇にまぎれて、いまもそのカーテンの後ろにいるんじゃないか? というような......。上手くできてるなぁ、って思います」
 
 
―― ちょっと話を戻しますが、オーディションは何を歌ったのですか?
 
「『永遠の瞬間』です。「わたし」の最初のビッグナンバーです。「わたし」が結婚するマキシムは、初演からずっと山口祐一郎さんが演じていらっしゃるのですが、私にとって祐一郎さんとの出会いはとても大きいんです。初めての共演は『レディ・ベス』(2014年)で、その時は祐一郎さんはロジャー・アスカムという、私の演じたベスの先生役でした。実際にお芝居のこと、歌のこと、本当にたくさんのことを教えていただいて、私の中で祐一郎さんは、父のような兄のような、先生のような大きな存在です。教えていただいたことも、一緒にお芝居をさせていただいた時間も私にとって本当に大切なもので、そういったものを「瓶に詰めたい」と思って歌いました。ですので、割と自分の心情、そのままでやりました」
(※『永遠の瞬間』は、「わたし」がマキシムと出会って過ごした思い出を瓶に詰めて残しておきたいと歌うナンバー)

 
 
―― その後も『モーツァルト!』『エドウィン・ドルードの謎』と共演されていますが、夫婦役は初めてですね。
 
「初めてです。緊張します~! 歌も、『レディ・ベス』で1曲一緒に歌わせていただいただけですし。『モーツァルト!』では一切、絡むシーンはなかったですし。すごく緊張しています。祐一郎さんからは「今までで一番大変な役だよ」って言われて、「心して頑張ります」とお伝えしました」
 

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各地でチケット完売続出、大盛り上がりのミュージカル『ジャージー・ボーイズ』で、"天使の歌声"フランキー・ヴァリ役を好演中の中川晃教さん
ご存知のとおり、日本ミュージカル界を牽引する俳優であり、シンガーソングライターでもあります。

中川さんが脅威のハイトーンボイスを駆使し、フランキー・ヴァリを演じる『ジャージー・ボーイズ』は11月11日(日)の神奈川県民ホール公演まで続きますが、その大千秋楽を終えた直後、11月16日(金)にはソロコンサートである中川晃教コンサート 2018「I Sing ~Wonderful Wonder~」を開催!

「I Sing」は、中川さんが2013年よりコンスタントに開催しているシリーズで、オリジナル曲はもちろん、ミュージカルナンバーも織り交ぜ、その時々の中川さんの"今"が伝わるコンサート。

このコンサートにかける思いを、中川さんに伺ってきました。

 

◆ 中川晃教 INTERVIEW ◆

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●「最近の経験は自分でも「素晴らしいじゃん!」って思うことばかり」
 
 
―― 今日は11月16日のコンサートについてお伺いします。今回は『I Sing』シリーズ、中川さんが2013年から定期的に開催しているコンサートシリーズですね。

「はい。1年に1~2回のペースでやり続けているコンサートが『I Sing』です。なぜこのタイトルを掲げているかというと、歌を歌うということ、声を届けるということに集中したものにしたい、だからぜひ僕の歌を聴きにきて欲しい......そういう思いを込めて、潔く「歌う」というタイトルにしたんです。音楽って、今の自分が表現することであり、自分が感じている、思っていることである。等身大のものをダイレクトに伝えられる。しかも世界に向けて伝えられる。例えば今の僕は、ミュージカルという表現を経験したことによって、ブロードウェイやウエストエンドという世界が見えたりしています。だからミュージカルで歌う僕を知って興味を持ってくれた人も、そうでない人も、色々な経験があるからこその今の僕、目標を掲げて進化し続けていける自分、それを歌を通して聴いて欲しい。そんな思いでやっているコンサートシリーズです」
 
 
―― 今回のサブタイトルは『Wonderful Wonder』となっています。これはどういう心境でつけたのでしょう。

「この『I Sing』シリーズは、たとえば前回は誕生日前後にやったり、ほかにもデビュー何周年というタイミングだったりというタイミングで開催することも多いのですが、今回はそういう意味では何か特別な発表があるというわけではないんです。ただ、2年前に読売演劇大賞最優秀男優賞をいただいた『ジャージー・ボーイズ』が2年ぶりに再演になったり、BSの番組で司会させていただいたり(NHK-BSプレミアム『こころの歌人たち』)、韓国のミュージカルフェスに初めて呼んでいただいたり(2018スターライト・ミュージカル・フェスティバル)、今の僕は今までとはまた少し違うところに行くことができているなって自分でも思うんです。それを包括すると何だろうと考えて、パッと浮かんだのが「Wonder」でした」
 
 
―― では、今のご自身の活躍は「驚き」であり「素晴らしい」ことだと。

「そうですね、自分でも「素晴らしいじゃん!」ってことを経験させてもらっている。いま、すごく楽しいです。プライベートでも音楽と向き合う時間がすごくあるんですよ。それに、たとえば人のことを愛おしいと思ったり、たとえばクリスマスが近付いてきて街が華やいできたり......そういう日常って、僕にとっては音楽に通じるんです。それを改めて思い返させてくれることが多くて。誰かを思うことって、特別なことじゃないんだけど、時としてすごく特別なことになる。そういう感覚は言葉では説明しにくいのですが、ピアノや歌を通してだとあふれ出る。さらに、音楽と向き合う時間がいっぱいある俺の日常って、それ自体がもう、最高に「ありがとう!!」じゃないかな、って思いもあり......。すべてひっくるめて「素晴らしいじゃん!」です(笑)」
 
 
―― 中川さんにとって音楽は、仕事じゃないんですね。

「仕事じゃ......ないですね。「仕事」と思う点があるとすればひとつだけ、「こういうところを目指したい」と考えることだと思います。仕事というか、プロとして、かな? この間も韓国にいって、べらぼうに歌が上手い人たちを目の前にしたのですが、どうしてもそれは目標になります。でもそう考える時以外は、本当に好きだから音楽をやっている。本当に好きだから、ピアノを弾いているうちに朝になっちゃった、とか、そんな日々です(笑)」
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―― では、そんな最近のWonderな体験の中からピックアップして、今のお話にも出た韓国のミュージカルフェス『2018スターライト・ミュージカル・フェスティバル』(10月20日、仁川)の感想をお伺いしたいです。
 
「『I Sing』ではセットリストの中にミュージカルのナンバーを毎回入れているのですが、今回は『フランケンシュタイン』のナンバーを入れようと思っています。それはやっぱり、こないだの韓国での経験の影響がある。あの時、「次に歌う曲は、フランケンシュタインの『偉大な生命創造の歴史が始まる』です」って言った瞬間に沸き起こった歓声と拍手が凄かったんです! それで、この曲を日本でもまた歌いたいなって思った。なので、実は急遽セットリストに入れることにしました」
 
 
―― 曲紹介の時の歓声もですが、中川さんが歌い終わった時の歓声も凄かったですよ! ...と、読者に向けて付け足しておきます(笑)。フェス自体は、楽しかったですか?

「はい。韓国の方はみなさん本当に歌が上手いって聞いていて、もちろん上手いんだけど、一番感じたことはそれを楽しんでいるお客さんの熱狂です。聞くところによると、ミュージカルを観る層が、日本より20歳くらい若いらしいですね。わかりやすく説明すると、ちょっとアイドルのコンサートに近いノリだった。ミュージカルを好きな世代が若いからこそ、あの熱狂になるんだと納得しました。ああいう、自然にミュージカルで高揚する人たちが1万人規模で集まるフェスって、きっと世界でも珍しいだろうなって。そしてそこに自分がいる、呼ばれたってことで、「ここで俺、生まれ変わるのか?」ってくらい、気持ちが開放されたんです!」
 
 
―― 中川さんにとって、そこまでの体験だったんですね!
 
「韓国にいるのに、もっとグローバルな "世界" を感じた。日本の国外にいる自分に、またさらにその先の世界が見えました。実際、出演されている方も、韓国系だけどオランダ国籍の方だったり、アメリカ国籍だったりと、グローバルで。韓国にいるんだけど世界が見える開放感があって、そのハクハクするような、ドキドキワクワクする感覚は、日本で味わったことがないものだった。素直に「すごいな!」って思ったし、楽しかった。それに、『モーツァルト!』の『愛していればわかりあえる』を韓国の女優さん(キム・グンナさん)と韓国語でデュエットしたのですが、日本語より発音しやすかった感覚があるんです。歌として発声しやすい。韓国語という言語に触れたことで、また歌の表現、発声の仕方も勉強することが出来た。韓国にいるあいだ、何ひとつとして無駄なことがなかったんです。そこに、素直に驚きました」
 
 
―― 韓国の経験はもちろんですが、最近、中川さんの視野がどんどん広がっているなと感じます。今年の『ジャージー・ボーイズ』に際してのインタビューなどでも、世界を意識した発言が多かったような気がします。

「もちろん世界を意識するというのはずっと感じていたことだし、言ってきたことなんですが、確実にいま、それが具体的に一歩踏み込んだ思いになってきています。自分がミュージカルをやっていて出会ったお客さまがコンサートに来て僕の歌を聴いてくれて「こういう歌を歌うんだ」「また聴いてみたい」と応援してくれる。そういう方たちが「中川晃教はどこへ向かうんだろう」と思ってくれるタイミングがあるとしたら、それは今なんだろうなって思う。僕、11月5日に36歳の誕生日を迎えます。コンサートの日には36歳になっている。30歳をすぎた時に、5年ごとに目標を持ってやろうと決めて、36歳から40歳の5年は、世界に向けて準備をする年だって漠然と思っていたんです。実際にその年齢になり、本当にそう思うようになっています」
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「ハイバイ」を結成して15年。家族の確執や自意識の問題など、個人の物語を書き続けてきた岩井秀人が、初めて本格的な音楽劇を上演する。描くのは、海のそばの町に生まれた同級生3人の人生のねじれと交わり。そこにどう音楽が混ざっていくのか。キャストの松尾スズキ、音楽の前野健太も顔を揃えて、その世界観を語り合った。

 

NL0_5341.jpg前野健太、松尾スズキ、岩井秀人

 

──まずは岩井さんから、初の音楽劇を上演しようと思われた経緯からお聞かせください。

岩井 もともとミュージカルを観るのは好きだったんですけど、『レ・ミゼラブル』とか『ミス・サイゴン』みたいに、ミュージカルは時代背景や世界観が大きなものを描くのに向いていると思っていたので、家族のことだったり、自分の身の回りの話を描くことが多い自分がやるのはきっと違うんだろうなと思っていたんです。でも、歌とか音楽って、そういう爆発力だけではなく、個人的なこと、一瞬よぎっただけの思い、そういった小さなことも拡大して届ける力もあるものだよなと思って。その視点からすると、僕がいつもやっていることも音楽にして広げられる可能性が大いにあるなと思ったんですよね。その視点を持てたのは、昨年、森山未來くんとマエケン(前野健太)と一緒に『なむはむだはむ』をやった影響が大きいと思います。あのとき、しゃべり言葉の演劇とミュージカルの間というか、いや、もっと全然関係ないところをうろうろさせてもらった気がして。音楽は鳴っているけど関係のない身体でいたり、好きなときに音楽にいけばよかったり、舞台上の身体とか居方がすごく自由に感じられたんです。だったら、モノローグの途中からスルッと歌に入っていくことも可能だし、歌からまたモノローグに戻っていくことも可能だし、それがダイアローグでも大丈夫だろうしと思って。また、歌って、視点がどこにでも飛んでいけるので、それは演劇としてすごい力になるなと思ったんですよね。

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いまから90年前、アイルランドを代表する劇作家ショーン・オケイシーが生み出した『The Silver Tassie 銀杯』。森新太郎演出のもと、11月9日(金)より世田谷パブリックシアターで上演されます。


10月中旬、稽古がスタートしておよそ1か月ほど経った稽古場を覗いてきました。

 

この作品は、第一次世界大戦のアイルランドを舞台にしています。優勝カップ(銀杯)を獲得した未来あるフットボール選手ハリーが戦争の犠牲となり、希望に満ちた人生が一変してしまう物語......と、あらすじだけを追うとずいぶんと重い印象を受けるかもしれません。しかし稽古場に足を踏み入れると、それはまったくの思い込みであることがわかります。

稽古場いっぱいにつくられたステージは、下手から上手へ向かって、かなりの傾斜がついています。「日常と戦争が地続きになっているさまを表現したかった」とは森さん談。手前から奥へと傾斜のある舞台はたまに見かけますが、左右で高さが異なると、立っているだけでもバランスをとるのに苦労しそう......。けれども俳優の皆さんはすでになじんだ様子で、自由に動き回っていました。

  

▽矢田悠祐 

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▽土屋佑壱

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稽古場を訪れたときに行われていたのは、全4幕からなる物語のうち、2幕の終盤部分の稽古。この場でもっとも目を引いたのは等身大の人形たち! キャスト一人ひとりが、自分たちの背丈ほどもある大きな人形を操りながら歌っていました。軍服をまとった人形は、頭部が大きく、支えて立つだけでもけっこう大変そう。俳優たちは、そんな人形の口や腕を歌に合わせて動かしていきます。

この場は戦場の塹壕のシーンですが、怖さと愛嬌が共存した沢山の兵士の人形たちの存在によって、勇ましい曲調の歌であっても、決して悲壮なだけではない空気が生まれていました。2幕の歌は他にも戦地と思えない軽やかなものから讃美歌を思わせるようなものまであり、つい一緒に口ずさみたくなるような聞きごたえのある歌が次々と披露されていました。

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歌舞伎俳優の片岡仁左衛門さんが、2018年度の文化功労者に選出されました。

顕彰式は11月5日に開かれますが、それに先立ち、都内で仁左衛門さんの会見が行われました。

1949年(昭和24年)9月、大阪中座『夏祭浪花鑑』の市松で本名の片岡孝夫で初舞台を踏んでから今年で69年。1972年(昭和47年)『吉田屋』の伊左衛門を勤めてからは、上方和事の伝承にも尽力されてきた仁左衛門さん。

父・十三世仁左衛門さんも選ばれた文化功労者に、親子二代での栄誉となりました。

会見の冒頭「この度、文化功労者という栄誉に浴しまして、身の引き締まる思いでございます」と挨拶。

仁左衛門さんの飾らない受け答えに時折笑いがおきつつも、歌舞伎への熱い思いやご自身の美学が伝わってくる会見の様子をレポートします。

 

 

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――来年で70年。これまで長く活躍されてきた原動力は?

ただただ、歌舞伎が好きということですね。正直、廃業を考えた時期もありましたけれど、やはり歌舞伎の魅力から離れならなかった。だから今日まで努力してこられたということですね。

 

――過去には大きなご病気もされましたが、復帰されたときにどんな思いでやっていこうと思われましたか?

命は助かりましたが、役者として(舞台に)立てるかどうかわからない状況でした。それが、再び舞台に立てると決まったときには、非常におこがましい言い方ですが、神様がもっと歌舞伎のために頑張れと仰ってくださったんだと思いましてね。それまでは他のお仕事もやっておりましたけれども、極力歌舞伎一本に絞って、全力で精一杯、父や先輩方から教わったことを後世に伝えなければいけない、そして私自身も勉強しなければという気持ちで歩んでまいりました。

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