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六本木歌舞伎「座頭市」 市川海老蔵と寺島しのぶ

市川海老蔵、寺島しのぶが主演を務める六本木歌舞伎「座頭市」が2月4日からEXシアター六本木で開幕した。

演出は三池崇史、脚本はリリー・フランキーという豪華な布陣で話題を呼んでいる六本木歌舞伎 第2弾「座頭市」。
主演は市川海老蔵と寺島しのぶ。
舞台・映画で数々の名作が生み出されてきた「座頭市」という作品をどのように見せてくれるのかが楽しみだ。

初日前日の2月3日に、本作の公開舞台稽古が行われた。
動画はこれを抜粋したもの。座頭市の代名詞ともいえる仕込み杖での殺陣はやっぱりたまらない。【動画1分】

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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ

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歌舞伎俳優の松本幸四郎、市川染五郎、松本金太郎が都内で会見を開き、それぞれ幸四郎改め二代目松本白鸚染五郎改め十代目松本幸四郎金太郎改め八代目市川染五郎を襲名すると発表しました。

直系の親子三代同時襲名は、1981年10月、11月に歌舞伎座で行われた八代目幸四郎が初代白鸚を、六代目染五郎が九代目幸四郎を、三代目金太郎が七代目染五郎を襲名したのが史上初で、それから37年後に再び高麗屋(屋号)三代襲名が行われる、歌舞伎界でも大変珍しい慶事となります。

襲名披露興行は、2018年1月、2月に東京・歌舞伎座を皮切りに、京都、大阪、名古屋、福岡ほか各地を巡演予定です。

記者会見に出席した3人は、襲名への思いを次のように語りました。

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幸四郎
「初舞台から71年、いろいろな事がございましたが、私は今日の日のために今までのことをやってきたのではないかと思えるくらい幸せでございます。35年前の襲名では、私の父が襲名の翌年に亡くなりましたが、命をかけてやってくれた三代襲名をまたこうして出来ることは奇跡に近いです。
十代目幸四郎を継いでくれる染五郎の昨今の舞台を見てまして、その中に『伊達の十役』がございました。その時演じた「先代萩」の政岡には、我が子ながら舌を巻きました。これを見て思い出したのが、染五郎が14か15歳の頃、叔父の(二代目)松緑が(染五郎の)『鏡獅子』を観てくれまして、見終わった後一言「あぁ、高麗屋にも"弥生"を踊る役者が出たな」という言葉を思い出しました。
私にとりましても、二人にとりましても来年が現名でやる最後の年になります。最後の年に悔いのないように息子に、孫に手渡していきたいと思います」

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染五郎
「正直な今の気持ちは、ただただ興奮をし、感激しております。私はずっと"歌舞伎役者"であり続けたい。そして高麗屋の芸を自分が体現したい。その思いで舞台に立ち続けております。その気持ちは名前が変わっても変わることはありません。
私の尊敬する志村けんさんが、ある記事の中で「死ぬまで"お笑い職人"であり続けたい」とおっしゃっていました。この言葉を借りまして、襲名するにあたり"歌舞伎職人"になりたいという思いを、私が十代目幸四郎になる決意の気持ちとさせていただきます」

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金太郎
「再来年、八代目市川染五郎を襲名させていただきます。よろしくお願いいたします」

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次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が、古典や舞踊の大役に挑戦する「新春浅草歌舞伎」

戦後、しばらく途絶えていた浅草での歌舞伎興行を、若い俳優を中心に歌舞伎をやろうと、地元の熱い要望に応える形で1980年に復活。その後お正月の名物公演として37年続いてきました。

2015年からは尾上松也を最年長とし、主要メンバーを一新。20代の花形俳優が中心となり、フレッシュな顔ぶれで贈る「新春浅草歌舞伎」は2017年で3年目を迎えます。

来年の公演に出演する尾上松也、坂東巳之助、中村壱太郎、中村隼人、そして中村錦之助が都内で会見を開き、意気込みを語りました。

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松也
「初めて出させていただいたのがついこの間のことのようです。来年で3年目ですがメンバーも少し変わりますし、私自身も初役の大役を勤めさせていただきますので、もう一つステップアップをした私たちをご覧いただけるように、これから準備を進めていきたいと思っています」

巳之助
「初めて浅草歌舞伎に出演した時の演目が『傾城反魂香』で、その時は修理之助の役で出させていただきました。それが(自分にとって)浅草歌舞伎の原点でしたし、大きなお役をさせていただく経験も乏しかった中、役者としても原点となった演目を浅草歌舞伎の3年目にさせていただけるということで気持ちも新たに勤めたいと思います。またその時に、先輩方に教えていただいたように、今回は修理之助を梅丸くんが演じますので、私もまだ若手ではありますが先輩と後輩という関係も意識しつつ、成長していきたいです」

壱太郎
「3年ぶりの出演です。学生の頃から先輩方の舞台を見ていて浅草歌舞伎は憧れの公演でしたので、最初に出させていただいた時は大変嬉しかったです。また浅草歌舞伎では大きな役もたくさん経験させていただきました。『傾城反魂香』のおとく、『吉野山』の静御前をどちらも初役で勤めます。『吉野山』を清元でさせていただくのは初めてです。初役の勉強をするのはもちろんですが、それがしっかりと力となってお客様に伝わるドラマとなるように頑張っていきたいです」

隼人
「高校二年生で出させていただいてから毎年毎年大きなお役を勤めさせていただいています。今回は4役やらせていただきますが、その中でも『御存鈴ヶ森』の権八は私が今まで演じてきた中で一番大きなお役です。この演目は新橋演舞場で(十八世)勘三郎のおじさまと吉右衛門のおじさまがなさったのを見て憧れた演目でした。その演目ができるという事と、リニューアルしてから3年目の浅草歌舞伎に自分の名前が連ねられる事は本当にありがたいです。勉強会ではないので、しっかりと先輩方に教えていただき、自分の中に吸収して皆様にお見せできればと思っています」

錦之助
「今年に引き続き、2年連続で出演させていただきます。上置きという立場ですけれども、気持ちとしては若い人たちと一緒になって皆様に楽しんでいただける芝居を創っていきたいと思っております。歳は上ですが気持ちはまだ20代のつもりでおりますので、皆様よろしくお願いいたします」

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11月より始まる『錦秋特別公演2016』の見どころを、中村鶴松がご案内する短期連載の5回目。最終回はもう一人の主役である中村勘九郎さんについてお話しします!

kinshu05_01中村仲四郎.jpg『歌舞伎塾』で、音の演出効果を担当される中村仲四郎さんと。

今回の『錦秋』で勘九郎さんは『女伊達』を踊られますが、個人的な印象で言えば、勘九郎さんの踊りを僕は世界一だと思っています。また、僕だけじゃなく、七之助さんも以前、「お父さん(勘三郎さん)と兄貴(勘九郎さん)の踊りはまるで機械が動いているようだ」とおっしゃっていて。「毎回寸分違わぬ動きで、表現力も素晴らしく、本当に見応えがある」と話してくださったのをよく覚えてます。
実際に共演させていただいて感じる勘九郎さんのすごさは、隣にいるだけでどんどんと体と気持ちが引っ張られるような感覚になること。だから、一緒に踊っていてとても楽しいんですよね。その吸引力は客席から見ていてもきっと感じると思います。それに、なんといっても今回の『女伊達』は勘九郎さんにとって久々の女形ですからね。初めてご覧になる方もいらっしゃるでしょうし、"こんなカッコいい女形もあるんだ!?"と驚かれると思いますよ。

kinshu05_00.jpg勘九郎さんのほか、お弟子の皆さんと。

また、よくいろんな方から、"勘九郎さんと七之助さんって、普段はどんな人?"と聞かれるのですが、そのとき僕はいつも「面白い人たち」と答えています(笑)。皆さんが歌舞伎役者に抱くイメージとはまるでかけ離れていて、お弟子さんたちと一緒にバカばっかりしています(笑)。それに、とにかく仲が良い! あれほど仲の良い兄弟はいないんじゃないかと思うほどです。でも、歌舞伎のこととなると、しっかりとお互いを尊敬し合っていて、おふたりが共演される舞台の稽古場では、よく意見を交わし合っている姿をお見かけします。11月の公演はそうしたおふたりの歌舞伎にかける情熱と圧倒的な演技、それに素の部分がたっぷりと楽しめる公演。歌舞伎初心者の方にこそ観ていただきたい内容となっていますので、ぜひお誘い合わせのうえ、お近くの劇場に足をお運びください。僕たちも皆さんに会えることを楽しみにしています!

kinshu05_02澤村國久.jpg『歌舞伎塾』で司会をされる澤村國久さんと。会場でお待ちしております!

【公演情報】
11月7日(月) オリンパスホール八王子
11月8日(火) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
11月9日(水) アクトシティ浜松 大ホール
11月10日(木) 文京シビックホール 大ホール
11月12日(土) レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール
11月13日(日) NHK大阪ホール
11月14日(月) ロームシアター京都 メインホール
11月16日(水) まつもと市民芸術館 主ホール
11月17日(木) 金沢歌劇座
11月19日(土) 秋田県民会館
11月20日(日) 盛岡市民文化ホール 大ホール
11月21日(月) 東京エレクトロンホール宮城
11月23日(祝・水) 松山市民会館 大ホール
11月25日(金) 福岡サンパレス

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11月より『錦秋特別公演2016』が全国で開催。それに先駆け公演の見どころを、僕、中村鶴松がご案内する短期連載の4回目です。今回は主演のおひとりである中村七之助さんのご紹介をします!

kinshu04_01中村いてう.jpg『歌舞伎塾』で一緒にお化粧などをお見せする中村いてうさんと。

その前にまず勘九郎さんと七之助さんの話をしますと、僕にとっておふたりは、まさしく兄貴のような存在です。芸にはすごく厳しいのですが、普段はとっても優しいお兄さんたちで。思い起こせば、お父さん(勘三郎さん)も同じように接してくださったので、まるで家族のように思っています。おふたりには、今も時間が合えば食事に連れていってもらっていますし、プライベートのこともよく相談にのってもらっていますね。......とは言っても、本気すぎる悩みはあえて話さないようにしているんですけど(笑)。でも、それぐらい気の置けないところもあり、頼れるお兄さんたちだということです(笑)。

kinshu04_00.jpg勘三郎さん、勘九郎さん、七之助さんと。

僕が感じる七之助さんの一番の魅力は、なんといっても女形としての美しさです。僕も最近は女形を演じさせていただく機会が多いので、体の動きや衣装の着こなし方、それにお化粧の仕方をいつも勉強させてもらっています。七之助さんからはいつまで経っても、「ブス、ブス」って言われてますけどね(苦笑)。また、七之助さんのすごさは、演目ごとに違った美しさを表現できるところにもあります。綺麗さや妖艶さはもちろん、昨年、歌舞伎NEXTの『阿弖流為』で演じたようなカッコいい強さを持った女性も本当に美しく表現される。それに、たとえ派手ではない演目であっても、観る人を惹きつけて放さないオーラがあるんですよね。よく、"歌舞伎の見得には存在感を大きく見せるような力がある"と言われますが、七之助さんの見得にはまさしく迫ってくるような迫力がある。僕も同じ舞台で共演していると、その圧倒的なパワーをいつも感じます。特に今回の公演で七之助さんが演じられる『汐汲』は、切なさや哀愁などさまざまな表現が詰め込まれた演目ですからね。僕が感じている七之助さんのすごさを、皆さんもきっと体験していただけると思いますよ。


【公演情報】
11月7日(月) オリンパスホール八王子
11月8日(火) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
11月9日(水) アクトシティ浜松 大ホール
11月10日(木) 文京シビックホール 大ホール
11月12日(土) レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール
11月13日(日) NHK大阪ホール
11月14日(月) ロームシアター京都 メインホール
11月16日(水) まつもと市民芸術館 主ホール
11月17日(木) 金沢歌劇座
11月19日(土) 秋田県民会館
11月20日(日) 盛岡市民文化ホール 大ホール
11月21日(月) 東京エレクトロンホール宮城
11月23日(祝・水) 松山市民会館 大ホール
11月25日(金) 福岡サンパレス

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地上350メートルの東京スカイツリー(R)天望デッキで上映される『東京スカイツリー(R)天望歌舞伎』の記者会見が10月4日に行われ、歌舞伎俳優の中村勘九郎さんが登壇しました。


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この『東京スカイツリー(R)天望歌舞伎』は、平成中村座とコラボレーションした「SKYTREE ROUND THEATER(R)」の新しいプログラムで、
天望デッキの窓をスクリーンに見立て、歌舞伎の映像を流すもの。

今回は映像用に、獅子物の元祖となった演目「石橋(しゃっきょう)」をアレンジしてロックのビートに乗せて踊るという大胆な振り付けに勘九郎さんが挑戦しています。
元祖ロックの王様チャックベリーの名曲「ジョニー・ビー・グッド」に合わせて、獅子の赤い毛を豪快に振る姿はまさに圧巻!

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窓の向こうに見える東京の夜景と、日本の伝統芸能・歌舞伎が眼前に広がる景色は、ここでしか見れない貴重な風景ですね。

約7分のプログラム後半では、平成中村座公演の模様をコラージュした映像も出てきます。
勘九郎さんの父・十八世勘三郎さんと弟の七之助さんが登場する場面もあり、ファンにとっては嬉しい限り。
もちろん、歌舞伎をまったく知らない方が見ても楽しめるよう、工夫を凝らした映像で飽きさせません。

アニメを使った紹介映像では英語を使い、アメリカやドイツ、ルーマニアなど世界各国の観客を魅了してきた平成中村座とのコラボならではの、外国人にもわかりやすく作られていました。

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11月より始まる『錦秋特別公演2016』の見どころを、僕、中村鶴松がご案内する短期連載企画! 3回目は中村七之助さんと中村勘九郎さんがそれぞれ出演される『汐汲』、『女伊達』をご紹介します!

kinshu03_02汐汲.jpg『汐汲』ではこんな道具を使います。

七之助さんが演じる『汐汲』は、都に帰ってしまった在原行平を想って海女が踊るという、切なく、情緒にあふれた舞踊劇です。能の『松風』を取り入れていて、日本舞踊を習い始めたときに誰しもが教わる、基礎中の基礎とも言える演目でもあるんですね。手の動きなど基本となっている所作が多いというのが、その理由なのかもしれません。それだけに、歌舞伎初心者の方でも舞台上で繰り出される踊りの美しさをたっぷりとご堪能いただけると思いますよ。
七之助さんがこの演目に挑むのは2014年以来、今回で二度目。ただ、前回は坂東玉三郎のおじさまとの『村松風二人汐汲』という形でした。ですから、ひとりで踊るのはこれが初なんですね。それに七之助さんはこの2年の間にたくさんの長唄の大曲を経験されているので、以前とはまた違った『汐汲』になるでしょうし、どんな舞台になるのか、僕もすごく楽しみですね。

kinshu03_03女伊達.jpg『女伊達』では、こんな"なかむらや"の傘もご覧いただけます。

一方、『女伊達』ですが......これは正直、僕も出たかった演目なんです!(笑) 個人的に大好きな作品ですし、なんといっても勘九郎さんが女形で出られるんですよね。実は、おふたりがちょうど僕ぐらいの年齢の頃って勘九郎さんが女形で、七之助さんが立役を演じていて、いまとは逆だったんです。お客様のなかには初めてご覧になる方も多いでしょうし、僕も実際に勘九郎さんが女形を舞台で演じられるのを見るのは久々なので、僕も皆さんと同じように本番を楽しみにしています。また、題名からもわかるように、この作品は挑みかかってくる男どもを女性が颯爽とあしらうという、華やかさと粋が詰まった内容でして。それだけに、勘九郎さんのなかにあるカッコよさと美しさの両方を存分に楽しんでいただけると思います。......と、こうやって作品の説明をしていると、共演できないことが心底悔やまれます(笑)。あ〜、やっぱり僕も出たかった!

kinshu02_06.jpg前回に続いて、化粧中のカットをご紹介。

kinshu02_04.jpg前回は女形でしたが、今回は立役の化粧です。

kinshu02_08.jpg化粧はこれで完成!

kinshu02_09.jpg衣装とかつらをつけるとこうなります。

【公演情報】
11月7日(月) オリンパスホール八王子
11月8日(火) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
11月9日(水) アクトシティ浜松 大ホール
11月10日(木) 文京シビックホール 大ホール
11月12日(土) レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール
11月13日(日) NHK大阪ホール
11月14日(月) ロームシアター京都 メインホール
11月16日(水) まつもと市民芸術館 主ホール
11月17日(木) 金沢歌劇座
11月19日(土) 秋田県民会館
11月20日(日) 盛岡市民文化ホール 大ホール
11月21日(月) 東京エレクトロンホール宮城
11月23日(祝・水) 松山市民会館 大ホール
11月25日(金) 福岡サンパレス

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11月より始まる『錦秋特別公演2016』の見どころを、僕、中村鶴松がご案内する短期連載の2回目です。今回は新たな試みとなる演目『歌舞伎塾』についてご紹介します!

kinshu02_03.jpg普段、楽屋ではこんなふうに化粧をしています。

『歌舞伎塾』とはひとことで言えば、歌舞伎の裏側をお見せしちゃおうという企画です。そのひとつが"生支度"。僕と中村いてうさんが舞台上で化粧をしたり、衣装に着替えたりして、女形・立役へと姿を変えるまでの様子を披露します。こうした姿をお見せする機会はそうはないですし、普段から歌舞伎を見慣れている方にとってもすごく貴重な体験になること間違いないです。その後は『草摺引』の一部も上演。草摺とは甲冑の胴の裾のところに垂れている板のことで、これを曽我五郎と舞鶴が引っ張り合うという、とても分かりやすいお話です。ここでは"むきみ隈"という目の周りに紅の模様を描く化粧をしますので、いかにも歌舞伎らしい世界観を楽しんでいただけると思いますし、しかも中村勘九郎さんと中村七之助さんによる、踊りや音楽についての解説まで聞けてしまう。僕が言うのもなんですが、これは本当に贅沢な企画だと思いますね(笑)。

kinshu02_05.jpgなかなかお見せすることがない化粧の様子ですが、
『歌舞伎塾』では
解説入りで実際にご覧いただきます。

ちなみに過去の公演では『歌舞伎塾』ではなく、歌舞伎に関するいろんなことをお話する『芸談』というコーナーがありました。こちらもとてもラフな雰囲気なもので、僕が参加していない公演では、お弟子さんが勘九郎さんや七之助さんたちの指示で一発芸をさせられたとか......。ひょっとする今回もそうしたムチャぶりが出るのではないかと、若干不安に感じているところがあります(笑)。でも、そんなことができてしまうぐらい中村屋はみんな仲が良いということなんですよね。それに、今回一緒に司会をしてくださる中村小三郎さんと澤村國久さんも中村屋きってのしゃべりの達人ですからね。きっと、歌舞伎役者というカタいイメージからかけ離れた普段の僕たちの姿が見られると思いますので、ぜひとも本番をお楽しみに!

kinshu02_07.jpgできあがり!

【公演情報】
11月7日(月) オリンパスホール八王子
11月8日(火) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
11月9日(水) アクトシティ浜松 大ホール
11月10日(木) 文京シビックホール 大ホール
11月12日(土) レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール
11月13日(日) NHK大阪ホール
11月14日(月) ロームシアター京都 メインホール
11月16日(水) まつもと市民芸術館 主ホール
11月17日(木) 金沢歌劇座
11月19日(土) 秋田県民会館
11月20日(日) 盛岡市民文化ホール 大ホール
11月21日(月) 東京エレクトロンホール宮城
11月23日(祝・水) 松山市民会館 大ホール
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初めまして、中村鶴松と申します! これから5回に渡って、11月に全国14ヵ所で上演される『錦秋特別公演2016』の見どころをたっぷりとお伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!

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その前にまず自己紹介を。僕は平成十七年に二代目中村鶴松を襲名し、以降、歌舞伎の舞台に立たせてもらっています。初めて歌舞伎の舞台を経験したのは5歳のときでした。その後、10歳のときに中村勘三郎さんに声をかけていただき、部屋子に。部屋子というのは、簡単にいえば弟子のようなものなんですね。でも、勘三郎さんはそんな僕を「お前はウチの三男坊だ」と実の息子のように可愛がってくださって。普段はすごく優しく、けれど、芸のことになるとても厳しくて、そんな勘三郎さんのことを僕も師匠であり、本当の父親のように思っていました。

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『錦秋特別公演』が始まったのは2005年。発案されたのは中村勘九郎さんと中村七之助さんのおふたりでした。歌舞伎というとどうしても敷居を高く感じてしまう方が多く、また地方に住む方にとってはしょっちゅう見られるものでもありません。それなら、こちらから皆さんのもとに行きましょうという思いで始めたのが、この特別公演でした。私も過去に2度参加させてもらいましたが、楽しかった思い出しかないです(笑)。上演する演目は毎回、初心者の方にも分かりやすいものばかりですし、ときには皆さんからの質問をいただくコーナーもあったりして、お客さんとの距離がとても近くに感じられるんですよね。しかも今回は歌舞伎の裏側をお見せする「歌舞伎塾」という新しい試みにも挑戦しますからね。きっとこの公演を見れば歌舞伎の見方が大きく変わりますので、ぜひ多くの方にご覧いただければと思います!

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【公演情報】
11月7日(月) オリンパスホール八王子
11月8日(火) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
11月9日(水) アクトシティ浜松 大ホール
11月10日(木) 文京シビックホール 大ホール
11月12日(土) レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール
11月13日(日) NHK大阪ホール
11月14日(月) ロームシアター京都 メインホール
11月16日(水) まつもと市民芸術館 主ホール
11月17日(木) 金沢歌劇座
11月19日(土) 秋田県民会館
11月20日(日) 盛岡市民文化ホール 大ホール
11月21日(月) 東京エレクトロンホール宮城
11月23日(祝・水) 松山市民会館 大ホール
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市川猿之助、市川海老蔵が顔をそろえる歌舞伎座「七月大歌舞伎」夜の部を観てきた。


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幕開きは『荒川の佐吉』。
ヤクザの世界に身を投じた男・佐吉の生き様を人情味豊かに描く本作。
主人公の佐吉は二代目市川猿翁の当たり役のひとつだ。
その佐吉を伯父から受け継ぎ、猿之助が初役で演じる。
元は腕の立つ大工だったが、思うところがありヤクザの子分となった佐吉。
序幕では、威勢はいいがどこか頼りない佐吉を猿之助が軽妙にみせる。
坂東巳之助の大工仲間・辰五郎が、また大工に戻らないかと誘うものの、「強いから勝つのではなく、勝つ者が強い」という理屈で生きられるヤクザの世界が好きなのだと語る佐吉。
この場面は後の重要な展開につながるだけに、猿之助が説得力のある語り口で観客を惹きつける。
そんな佐吉の敵となる成川郷右衛門を市川海老蔵がこちらも初役で勤める。
海老蔵の成川は人を斬った後の一連の動作が美しく、凄みを感じさせる。
本作の見どころとして、佐吉が男手一つで育てる子ども・卯之吉への愛情も重要な要素だ。
佐吉が子どもに添える手の動きひとつとっても、かけがえのない存在であることが伝わり、猿之助が細部にまで心を配って演じているのがわかる。
後半、佐吉が身を切られるような思いで下す決断、そして桜の花が舞い散る中での情景と、悲しさの中にも爽やかな印象を残していた。


続いては、歌舞伎十八番の『鎌髭』と『景清』。
二作とも悪七兵衛景清を海老蔵が演じる。
『鎌髭』は、海老蔵が初演時の資料をもとに作った新たな上演台本で2013年に復活、翌年には『壽三升景清(ことほいでみますかげきよ)』として再演し、今回はさらに練り上げたものを上演する。
平家の残党景清は、源頼朝を倒し平家再興の大望を抱いている。
そんな景清を捕らえようと、源氏の武将三保谷四郎らが罠を仕掛けて景清をおびき寄せる。
ところが景清はわざと罠にかかったふりをし、源氏の面々を挑発する。
市川右近の猪熊と酒合戦をする件は様式美の中にも可笑しみがあり、肩の力を抜いて楽しめる。
海老蔵は超人的な力を持つ景清に相応しい大仰な衣裳と鬘がよく似合い、まさにはまり役。

『景清』は『壽三升景清』の牢破りの場面を再構成して上演。
自ら縄にかかり牢に繋がれている景清を詮議するため、源氏の武将が連れてきたのは景清の妻・阿古屋とその子ども・人丸。
沈黙を貫く景清に対し、阿古屋を拷問にかけようとする詮議役の岩永を、もう一人の詮議役・秩父庄司重忠が止める。
人払いをしたのち、重忠の言葉に説き伏せられ、ようやく口を開く景清。
海老蔵の景清はその存在感の大きさで荒事の芸を体現。
対峙する猿之助の重忠も知将に相応しい颯爽とした佇まいが印象的だ。
重忠の言葉に恭順した景清が牢を破った後、舞台上に出現する巨大海老の宝船は圧巻のひとこと。

世話物の人気狂言と歌舞伎十八番を一度に堪能できる贅沢な公演だった。


公演は7月26日(火)東京・歌舞伎座にて。
チケットは一部を除き発売中。


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