11月より始まる『錦秋特別公演2016』の見どころを、僕、中村鶴松がご案内する短期連載企画! 3回目は中村七之助さんと中村勘九郎さんがそれぞれ出演される『汐汲』、『女伊達』をご紹介します!
『汐汲』ではこんな道具を使います。
七之助さんが演じる『汐汲』は、都に帰ってしまった在原行平を想って海女が踊るという、切なく、情緒にあふれた舞踊劇です。能の『松風』を取り入れていて、日本舞踊を習い始めたときに誰しもが教わる、基礎中の基礎とも言える演目でもあるんですね。手の動きなど基本となっている所作が多いというのが、その理由なのかもしれません。それだけに、歌舞伎初心者の方でも舞台上で繰り出される踊りの美しさをたっぷりとご堪能いただけると思いますよ。七之助さんがこの演目に挑むのは2014年以来、今回で二度目。ただ、前回は坂東玉三郎のおじさまとの『村松風二人汐汲』という形でした。ですから、ひとりで踊るのはこれが初なんですね。それに七之助さんはこの2年の間にたくさんの長唄の大曲を経験されているので、以前とはまた違った『汐汲』になるでしょうし、どんな舞台になるのか、僕もすごく楽しみですね。
『女伊達』では、こんな"なかむらや"の傘もご覧いただけます。
一方、『女伊達』ですが......これは正直、僕も出たかった演目なんです!(笑) 個人的に大好きな作品ですし、なんといっても勘九郎さんが女形で出られるんですよね。実は、おふたりがちょうど僕ぐらいの年齢の頃って勘九郎さんが女形で、七之助さんが立役を演じていて、いまとは逆だったんです。お客様のなかには初めてご覧になる方も多いでしょうし、僕も実際に勘九郎さんが女形を舞台で演じられるのを見るのは久々なので、僕も皆さんと同じように本番を楽しみにしています。また、題名からもわかるように、この作品は挑みかかってくる男どもを女性が颯爽とあしらうという、華やかさと粋が詰まった内容でして。それだけに、勘九郎さんのなかにあるカッコよさと美しさの両方を存分に楽しんでいただけると思います。......と、こうやって作品の説明をしていると、共演できないことが心底悔やまれます(笑)。あ〜、やっぱり僕も出たかった!
前回に続いて、化粧中のカットをご紹介。
前回は女形でしたが、今回は立役の化粧です。
化粧はこれで完成!
衣装とかつらをつけるとこうなります。
前回は女形でしたが、今回は立役の化粧です。
化粧はこれで完成!
衣装とかつらをつけるとこうなります。
【公演情報】
11月7日(月) オリンパスホール八王子
11月8日(火) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
11月9日(水) アクトシティ浜松 大ホール
11月10日(木) 文京シビックホール 大ホール
11月12日(土) レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール
11月13日(日) NHK大阪ホール
11月14日(月) ロームシアター京都 メインホール
11月16日(水) まつもと市民芸術館 主ホール
11月17日(木) 金沢歌劇座
11月19日(土) 秋田県民会館
11月20日(日) 盛岡市民文化ホール 大ホール
11月21日(月) 東京エレクトロンホール宮城
11月23日(祝・水) 松山市民会館 大ホール
11月25日(金) 福岡サンパレス