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大阪・寺田町にあるIKSALON表現者工房が企画する市民参加型のリーディング公演。これまでにも東京を拠点に活動するタテヨコ企画・横田修、アトリエ・センターフォワードの矢内文章、KAKUTA・成清正紀らが、現代戯曲、古典作品を演出してきた。その第6回公演の演出に、劇団柿喰う客七味まゆ味が挑戦する。

俳優であり、昨年には自身のユニット「七味の一味」で演出家デビューも果たした七味が上演するのは、自身の劇団で2012年に初演され、第57回岸田國士戯曲賞の最終候補作品にも選出された『無差別』だ。昨年、同劇団が異なるアプローチで上演した『無差別』を見て「この作品をリーディングとして、声だけで聴くとどうなるのかなと興味を持ったんです。今回集まってくださった方の年齢層が幅広い。リーディングって、人の声で奏でていくイメージなので、いろんな響きが『無差別』で聞けたら楽しそうだなと思います。また、戦時中の話で、神様とか差別とか、重い題材を扱っているので、私たちがやったときよりも年齢の高い方に一緒に作品を作ったら、学べるものがあるのではと思ったんです」と七味。

女優としては、時にはアグレッシブに、時には繊細に、変幻自在の堂々たるパフォーマンスで魅せる七味。しかし実は臆病な一面もあるという。「いい現場でありたい、いい作品を作りたいという気持ちは強いのですが、失敗することを考えちゃうときもあって、意外と怖がりなんです(笑)。特に演出をするときはドキドキする。今回はリーディングという制約があるからこそ、面白いアイデアが生まれることもあるんじゃないかなと思っていて。言葉の響きとか音で、どう面白く見せられるか。リフレインでやってみたり、いろいろ探ってみたいと思います。お客様にも楽しみにしていただきたいですね」

役者が台本を手にし、言葉を届けるリーディング公演によって『無差別』がどう立ち上がるのか、楽しみにしたい。

<プロフィール>

七味まゆ味(しちみまゆみ)●劇団『柿喰う客』の、女優・副代表。 主役・脇役・飛び道具、老若男女に化け物から宇宙人まで、舞台上で七色の魅力を放つトリックスター。 動きのキレや存在感で注目されがちだが、中性的なコケティッシュさ、しなやかさ、その声音で自由自在に演じ分け、繊細な芝居にも定評があり、客演も多い。コミュニケーション力が良好で、フットワークが軽く、地方や海外でも活動の幅を広げている。

<公演データ>

IKSALON 表現者工房
市民参加「現代戯曲・リーディング」 VOL.3
『 無差別 』

【作】中屋敷法仁(柿喰う客)
【演出】七味まゆ味(柿喰う客/七味の一味)
【公演日時】3 月 3 日(土) 14:00/19:00
     3 月 4 日(日) 13:00/18:00
     3 月 5 日(月) 15:00

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■夢幻朗読劇『一月物語』特別連載 その2■


芥川賞作家・平野啓一郎の代表作を、音楽・バレエを融合したあたらしい形の朗読劇として上演する夢幻朗読劇『一月物語』 が3月に上演されます。

作品は、明治の日本・十津川村を舞台に、格調高く流麗な文体で綴られた幻想的な物語。

幽玄の世界と、その擬古典的文体があいまって、「現代の神話」とも称される名作を手掛けるのは 谷賢一
その、谷の演出のもと、元宝塚雪組男役トップスターの水夏希、世界的バレエダンサーの横関雄一郎ら実力派が出演する注目作です。

この作品で音楽を担当するのが、ミュージカル、ストレートプレイ、コンサートと幅広く活躍するかみむら周平

たんなる「朗読劇」の枠を超えた作品になりそうなこのステージ、音楽も非常に重要な存在であると伺い、かみむらさんにお話を伺ってきました。

●あらすじ(オフィシャルより)
明治三十年、奈良県十津川村。
神経衰弱の気鬱を逃れ、独り山中をさまよう青年詩人・真拆は、老僧に毒蛇から救われ、山寺に逗留する。
俗世から隔絶された奇妙な時空の中で、真拆は、いつしか現実と夢界の裂け目に迷い込み、運命の女と出逢った。 それは己の命を賭けることでしか成就しない愛、だが、刹那に失われる運命の愛だった......。
古典的風格さえ漂う端麗な筆致で描かれた聖悲劇。

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● かみむら周平 INTERVIEW ●

 
●「お客さまの想像を膨らませるために、音楽が言葉と相乗効果にならないといけない」



―― 今回の作品では、かみむらさんが作る音楽が非常に重要になってくるとおききしました。まだお稽古が始まる前ですが、現時点の構想をお伺いできればと思います。

「基本、生のピアノ一台で演奏しようと考えています。いわゆるノイズだったりというものをシンセサイザーで用意はしているのですが、それは音響さんとのコラボレーション、レイヤーで入れていくイメージです。演出家(谷賢一さん)も "音楽を効果的に使う" と話していて、「攻めよう」とは言ってました(笑)。僕の中では「こんなイメージかな」というものがあって、昨日、3曲デモを作ったところ。まさに今日、谷さんとお話するんです」


―― 「3曲」ということは、独立した楽曲がいくつもあるってことなんですね。

「そうです。台本に「ここに音楽が入る」とすでに書かれています。谷さんの方で曲のタイトルもつけられています。『予感』とか」


―― そもそも生演奏の、しかも朗読のバックで流れる音楽......もちろん時にはバックではなく、音楽が表に出てくることも含めですが、そういう作品の音楽とは、どの程度が決まっていてどの程度がアドリブなのかな、という疑問があります。

「アドリブでやろうとは思わなくて、基本的には決まってくるはずです」


―― 劇中音楽はこれまでもたくさん手掛けていらっしゃいますが、朗読での劇中音楽ということで、気をつけていらっしゃることは。

「朗読劇は、観る方の目の前で、俳優さんが衣裳を着て動くわけではありません。俳優が発する言葉を聞き、お客さんが頭の中で想像をする。その想像を膨らませるために、音楽が言葉と相乗効果にならないといけないと思っています。そのあたりを一番気にかけますね。どういうハーモニーがいいのか、もしくはもっと音を減らした方がいいのか。どうしても音楽を作るときは自宅でひとりで作るじゃないですか。作る時って、やっぱり不安なんです。明るい状態で作ると、不安だからどんどん、(余白を)埋めていってしまう。だから、部屋を真っ暗にして確認するんです。そうするとどんどん、(埋めていったものが)うるさいものになる。ピアノをポーンと叩いて、音が減衰していくあいだにもっと考えられるじゃん、といった意識が出てくるんですよね。今回もきっとそういうことが出てくるんじゃないかな」
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いまや日本ミュージカル界に欠かせない存在である藤岡正明
今年も『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート『不徳の伴侶』『タイタニック』と出演作が次々と発表になっています。fujioka08 15th_1447.jpg

藤岡さんにそれぞれの作品について、そして、俳優として、ミュージシャンとして......様々なお話を伺ってきました!

今回は【後編】として、『不徳の伴侶』『タイタニック』、そしてTV番組『カラオケ☆バトル』のお話までお聞きしています。

★『ジャージー・ボーイズ』イン コンサートや、ご自身のライブツアーについて語った前編はコチラ★



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●朗読ミュージカル『不徳の伴侶 infelicity』(5/29~6/3 東京)


―― 『ジャージー・ボーイズ』イン コンサートのあとは、『不徳の伴侶』が5・6月にありますね。作・演出を荻田浩一さんが担当される作品です。

「僕、荻田さんの演出作に再演から参加したり、ミュージカルコンサートでご一緒したりはしているので、厳密に "お初" ではないのですが、イチから芝居を作り上げる現場でガッツリまともに向き合ったことが、実はないんです。もともと荻田さんのことはよく知っていて......まぁ、主に飲みの席で、なんですが(笑)。ただ、そのコンサートの演出で少しだけ触れた演出家としての荻田さんは、ちょっと怖いと思うくらいの真面目な目をしていました。言葉も、普段は柔らかい方なのに、違うものは違うとハッキリ言う。荻田さんが思い描くビジョンが、佇まいから伝わってくるんです。ですので、"荻田さんとガッツリ演劇をやりたい!" という気持ちですね」


―― 特に今回の作品は荻田さんの「自主公演」ですので、こだわりもひとしおではないかと想像しています。

「そうなんですよ、荻田さんが10年温めてきた題材だそうです。普段、とても大きな劇場などでもたくさん演出をしている方ですが、今回はこういった小劇場(赤坂RED/THEATERの座席数は200弱)。変な話、ここでお金儲けをしようとかじゃないですよね。この作品は、荻田浩一の情熱でしかない!ってことです。その情熱に、僕も乗りたいな、と思いました。まだ稽古も先ですが、面白くなるといいなと思っていますし、そういうものを、僕も欲しているのかも」


―― そういうもの、とは、商業的なあれこれを抜きにして良い作品を、という?

「そう、やりがいが見出せる作品。もちろんお金を稼ぐことも重要ですが、自分自身が夢を見ていたいなと思うんです。やっぱりこの仕事が好きでやっているから。そこに情熱を120パーセント注ぎこめたら、生きてる心地がするんだろうなって思って」

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3月3日(土)より、東京国際フォーラム ホールCにて開幕する『ジキル&ハイド』。主役のジキル博士&ハイド氏をミュージカル界の貴公子 石丸幹二が引き続き演じるのに加え、新たなキャストでの待望の再演に早くも期待が高まっています。2012年と2016年の過去公演では、純白のエマ役で出演していた笹本玲奈さんもその一人。昨年一年の産休を経て、今作では180度と違ったルーシーとして、ミュージカルの舞台に舞い戻ります。

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復帰を待ちわびた多くのファンの期待を背負って新境地に挑む玲奈さんに、今回の意気込みや女優としての転機について、そして、一度離れて改めて感じたミュージカルへの愛をたっぷり語ってもらいました。

―同作ではエマ役として、過去に2回出演されています。今回は役柄がガラッと変わりますね。

「私の中で、ルーシーは濱田めぐみさん(2012年・2016年上演)のイメージが強いです。めぐさんのルーシーは、しなやかで妖艶で、大人の女性という印象でした。それでも、ルーシーのナンバーは自分のコンサートではよく歌ってきたこともあり、いつかやってみたいという思いもありました。原作では出てこない役なのですが、それってすごく有難いことだなって。年齢設定や生きてきた背景など自分が考えてきた形で役作りができる部分もあるんですよね。これまで演じられてきた方とはまた違ったルーシーができるといいなと思っています」

―笹本さんの考えるルーシー像とは?

「2年前の上演から、ルーシーの言葉でとても印象に残っているセリフがあって...。ヘンリーのことを『あの人は私に優しかった』って言うんですけど、その言葉がすごく悲しいし、切ないですよね。彼女の今までの人生すべてを表していると感じたというか、たった一言優しい言葉をかけられたことで内面がガラッと変わるくらいに、これまで計り知れない苦労をして、残酷な人生を歩んできたんだなって。具体的にどんなことがあったかっていうのは今から紡いでいく部分だとは思うんですが、きっと親の愛も受けてこられなかったのかなとか、男性に心底愛されるってこともなかったんじゃないかなとか...。娼婦ですので体を求められても、心を見てもらえない。想像できない人生ですよね」

―そんな役柄へのアプローチにあたって、大切にしたいことは?

「苦しい人生を送ってきた彼女ですが、ピュアな部分を持ち合わせている女性だとも強く思うんです。いくら男性に体を売っても、芯の部分ではとても純粋で、少女のような心を持っている。今までガチガチに鍵をかけられていた、そんな彼女の純真さがヘンリーの優しさによって解かれていく。そこを大切に表現したいです」

―言葉や態度の奥にあるものですね。

「口では、『私は人生を捨てたの、どうでもいいの』って言いながら、憧れや夢を固い箱に閉じ込めて何十年も生きてきたんだなって。そういう部分を見せられたらって思いますね。『あんなひとが』や『新たな人生』という歌も、彼女がピュアな部分を持ち合わせているからこそ出てくるものだと思うので」

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―19世紀ロンドンの過酷な社会背景の中で生きるルーシーですが、時代や環境は違えど、同じ女性として通じる部分もあるかもしれませんね。

「女性って誰しもがどこかで、愛されたい、とか、寂しさを埋めてもらいたい、とか多かれ少なかれ思っているんじゃないかなって。ルーシーにもそういうところがあって、そこが共感を呼ぶのかなって思います。物語は史実ではないですが、この時代の労働者階級の人たちがどういう暮らしをしていたのか、当時の娼婦の人がどれくらいのお給金をもらっていたのかとか、そういう時代背景にまつわる本や資料も今見ているところです。階級によって話す言葉、話し方も違うと思うので、そういったことも参考になるんじゃないかなと思っています」

―今回は歌うナンバーの印象もガラリと変わります。ワイルドホーンの楽曲にはどういう印象をお持ちですか?

「一言で言うと...役者泣かせですね(笑)。本当に大変な曲が多くって、喉に負担がかかります。『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』などでは、自分の音域にぴったりの曲をやらせてもらっていたのですが、今までのようなあどけなさが残る歌い方じゃダメですし、もっとねちっこくというか、情念のようなものを出していかなくてはならない。でも、音楽の力に乗せられてどんどん感情が溢れてくるんです。転調が多いので、気持ちがどんどん乗っていくし、演じる方も観る方も心を掴まれる。音を聞いているだけで感動させられるような力強さが魅力です」

―エマからルーシーへ。女優としても一つの"転調"となりましたね。

「階級社会の頂点にいる女性と底辺にいる女性。180度違う人生を背負っているなと感じています。ただ、そんなエマとルーシーにも共通点があります。育った環境や考え方は違っても、人を見た目で判断しない。うわべだけじゃなく、純粋な気持ちで心の中を読み取れる。そういう部分は唯一の共通点じゃないかなって。だから、劇中でも2人のデュエットがあって、同じ曲を一緒に歌えるんじゃないかなって」

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―人間の持つ純粋さ、複雑さ、残酷さ、弱さ。ルーシーを始め、登場人物の心の動きにドキッとさせられる作品ですよね。

「そう思います。でも、人間ってそうですよね、心で思っていることすべてを口に出して言えるわけじゃない。ルーシーも頭と心では、『この人に引っかかっちゃいけない』ってわかっているけれど、体が言うことを聞かないというか。そういう一致しない部分はハイドっぽいというか、二面性を感じる部分。一言で言うと、人間の本質をついた作品ですよね」

―自分すら知らない、二面性に気づいてしまうかもしれない...。

「殺人が絶対にいけないことというのは大前提ですが、ハイドが罪深い人達を殺していくところは、ちょっと爽快だったりもするんですよね。『自分もジキルであり、ハイドなのかもしれない』とか、『自分はもしかしたら、今思ってる自分じゃないのかな』ってちょっと怖くなることもあります。そんな気持ちに、楽曲の素晴らしさが相乗効果で響いていく。観終わった後に、『さあ、あなたはどうですか?』って、投げかけられているような...」

―ちなみにですが、笹本さんにも意外な一面はありますか?

「そうですね、二面性とはまた違うかもしれませんが、今までは子どもがいる生活がどんなものかなんて、考えたことがなかったんです。でも、出産して、自分の中の大きな変化を感じました。生まれた瞬間に価値観がガラリと変わったというか...」

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―どんな風に変わったのでしょうか?

「私生活を仕事に持ち込むことはもちろんダメだと思っているんですが、生活する上ではやっぱり子どもを優先することが多くなって。それに伴って、この先子供が育っていく中で、世の中がどのように変化していくのか、未来のことを考えるようになりました。今までは自分の今のことだけ考えていたのに(笑)」

―産休を経て、復帰。ミュージカルや女優業に対する心境の変化は?

「13歳でデビューしてから去年まで、ありがたいことにお休みなく仕事をいただいて、自分自身が話している時間よりも、役柄として話している時間の方が長いんじゃないかっていうくらい、女優として充実した日々でした。そんな中で、長い休みが欲しいなって思ったこともありましたし、自分を見失いそうになる時期もありました。でも、この一年間は、誰でもない"笹本玲奈"として生きてみたんです」

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―なるほど。

「今更ながら、『あ、自分ってこうだった』っていう発見もありました(笑)。でも、休めば休むほど、ミュージカルへの想いは大きくなって、その愛が再確認できた期間でもありました。こういう風に離れる時間って大事だったと思えましたね。そうじゃないと自分を見失って、もしかしたら、舞台も嫌いになっていたかもしれない。一度距離を置いて、外からミュージカルという世界を見つめた時に、改めて自分にとってのかけがえのない場所を見つけた気がしました。そう感じてからは、一刻も早く復帰したい! 歌いたい!という気持ちでいっぱいになって、今回はそういう思いが爆発すると思います(笑)」

―1つの転機を経験された笹本さんの復帰作、楽しみにしています! 最後に復帰を待ち望んだファンにメッセージをお願いいたします。

「昨年は結婚、妊娠、出産と1年ほど現場からは離れていましたが、その間もインスタグラムなどを通して、コメントやメッセージを頂く中で『こんなにも待っていてくださる方がいるんだ』とものすごく励まされましたし、とても感謝しています。支えてくださったみなさんに期待以上のものをお見せできる様にしたいと思っていますので、楽しみにしていてください」

取材・文:杉田美粋

撮影:イシイノブミ

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■夢幻朗読劇『一月物語』特別連載 その1■


芥川賞作家・平野啓一郎の代表作を、音楽・バレエを融合したあたらしい形の朗読劇として上演する夢幻朗読劇『一月物語』 が3月に上演されます。

作品は、明治の日本・十津川村を舞台に、格調高く流麗な文体で綴られた幻想的な物語。

幽玄の世界と、その擬古典的文体があいまって、「現代の神話」とも称される名作です。

構成・演出を手がけるのは、「斬新な手法と古典的な素養の幸せな合体」(永井愛)と評された、ポップでロックで文学的な創作スタイルで、脚本・演出ともに幅広く評価を受ける 谷賢一

出演には、朗読という表現方法にも積極的に取り組んでいる、元宝塚雪組男役トップスターの水夏希、世界的バレエダンサーの横関雄一郎ら実力派が揃い、さらにミュージカル、ストレートプレイ、コンサートと幅広く活躍するかみむら周平の音楽が、その世界を彩ります。

2月末の某日、この作品のキャスト・スタッフが一堂に会する「顔あわせ」を取材しました。ichugetsu01_00_1170.JPG

●あらすじ(オフィシャルより)
明治三十年、奈良県十津川村。
神経衰弱の気鬱を逃れ、独り山中をさまよう青年詩人・真拆は、老僧に毒蛇から救われ、山寺に逗留する。
俗世から隔絶された奇妙な時空の中で、真拆は、いつしか現実と夢界の裂け目に迷い込み、運命の女と出逢った。 それは己の命を賭けることでしか成就しない愛、だが、刹那に失われる運命の愛だった......。
古典的風格さえ漂う端麗な筆致で描かれた聖悲劇。



これまでに音楽朗読劇『ヴォイサリオン』、リーディングドラマ『サンタ・エビータ』、『パンク・シャンソン~エディット・ピアフの生涯~』など "朗読" というジャンルに果敢に挑戦している水夏希さん。
今回は日本情緒溢れるこの世界で、どんな声を聴かせてくれるのでしょう。
水さんは、この作品の要といえる地の文を担当するとともに、謎めいた女・高子を演じます。ichugetsu01_01_1159.JPG

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■ミュージカル「メリー・ポピンズ」特集(6)■

いよいよ開幕が近づいてきたミュージカル「メリー・ポピンズ」。3月4日(日)には浅田真央さん出演の特別番組(詳しくはこちら)も決定し、開幕に向けますますの盛り上がりを見せています!

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げきぴあメリーポピンズ特集第6弾は、ジェーンとマイケルの父であるジョージ・バンクスを演じる駒田一さん山路和弘さんの対談をお届け。家庭でも規律と秩序を重んじる、厳格な銀行員であるジョージ。「この2人がWキャスト?」と言われるというお2人それぞれの役に向けた意気込みをお伺いしました。

真面目な堅物だけではない、何かプラスアルファを出せたら(駒田)

堅い人物であればあるほど、表面的で、実は泣き虫だったりする(山路)

――『メリー・ポピンズ』との出合いは?

駒田 小さいころからもちろん映画は観ていましたし、曲自体すごく親しみがありますからね。でもまさか舞台になるとはこれっぽっちも思っていなくて。人が空を飛ぶ、なんてね。でもそれが現実となり、さらに自分が父親役をやることになるとは...。そういう年齢に僕もなったんだなと、今しみじみ感じています(笑)。

山路 僕は子供のころに映画館で観ているんですよ。特に具体的な記憶は残っていませんが、不思議な夢の世界に連れて行かれたなという感覚は強烈に覚えていて。そんな僕もなんと父親役、というかおじいちゃん役でもいいような年齢になってしまったことに、これは困っちゃったなと今少し焦っているところです(笑) 。

――オーディションは非常に長期間にわたったと聞きました。

山路 いやぁ、長かったですね。呼ばれる度に「また? もういいんじゃない?」と思っていましたから(笑)。

駒田 僕はこのマッキントッシュ・カンパニーの作品は3作目ですが、これまでの2倍、3倍は長かったですね。最後の方はもう楽しんでいたくらい(笑)。

山路 その境地までいった!?

駒田 ええ。これでダメならしょうがないし、やれることはやったなと。だから正直決まった時は、「本当にやるんだ!?」と驚きましたし(笑)、じわじわと喜びが込み上げてきた感じです。

山路 僕は何回目かのオーディションの時、「キチッとした格好を見てみたい」と言われたんですよ。で、たまたま『アンナ・カレーニナ』のカレーニンの衣裳を引き取っていたので、「これでどうだ!」くらいの気持ちで着て行ったんです。でも反応は芳しくなくて...。ついに終わりかなと思っていたらこうなったので、不思議なものですよね。

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――演じられるジョージ・バンクスについて、現段階ではどんな人物として捉えていますか?

駒田 真面目な堅物という印象ですよね。でも僕がやるからには、それだけではない何かプラスアルファをうまく出せたらなと。もちろん演出家や稽古場の雰囲気にもよると思うんですが、ただ堅い人というのでは面白くないと思っていて。

山路 僕も堅い人物だとは思うんですけど、それって結局表面的なものだったりしますよね。堅い人物であればあるほど泣き虫だったり。うまくそのへんを出せればとは思っているのですが...、そういう自分の色みたいなことって、向こうのスタッフには許されるものですか?

駒田 正直な話、どんどんやった方がいいです。絶対に怒りませんし、必ず許してくれる。決めつけることは決してしないので。だから今回も、いろいろ試せる稽古場であると信じているんですけどね。

山路 なるほど。

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――では駒田さん、山路さんならではのジョージとは、どういった部分に表れてくるのではないかと思いますか?

山路 それは自分ではわからないですね。周りには、「このふたりのWキャストっていうのもなかなかないですね」とはよく言われますが。

駒田 それ、僕もよく言われます。だからこそ面白いと思うんですよ。ある意味で本当のWキャストだと思うので。同じようなタイプの役者だと、僕なんか「どっちかでいいんじゃない?」と思ってしまうので(笑)。

山路 そもそも僕はプロになってから初のWキャストなんですよ。

駒田 あっ、そうですか!? 僕の中で山路さんってすごく渋い、ニヒルな印象があるんですけど、そういう意味でも赤と青くらいの違いが出るのかなと。さらにお互いの演じ方、お客さまの捉え方によってももちろん変わってきますから。

山路 僕は駒田さんがWキャストでいてくれることはすごく心強いですよ。稽古中も横にピタッと、ずっと寄り添っていきますので(笑)。

駒田 やめてくださいよ!(笑)

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取材・文:野上瑠美子

撮影:イシイノブミ

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いまや日本ミュージカル界に欠かせない存在である藤岡正明
今年も『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート『不徳の伴侶』『タイタニック』と出演作が次々と発表になっています。

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藤岡さんにそれぞれの作品について、そして、俳優として、ミュージシャンとして......様々なお話を伺ってきました!



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●「役者・藤岡正明」と「ミュージシャン・藤岡正明」?

―― 去年末はその武器である歌を使わないストレートプレイ『欲望という名の電車』でも大役を果たされていて、その前の『ビリー・エリオット』も芝居色の強い役柄を演じていました。もともとの出発点は音楽活動だと思いますが、最近は俳優としての藤岡さんを見る機会が多い。ちょっと今日は、「役者・藤岡正明」「ミュージシャン・藤岡正明」を語っていただければと思っているのですが......。

「『欲望という名の電車』は、自分でもなんで僕にあの役が来たんだろうと最初は思いました(笑)。まず、ミッチという役は "180何センチの大男" ですしね。たしかに、そういう意味では去年は "役者" に寄っていて、歌をガンガン歌うということもあまりなかったし、自分の音楽活動というものもほとんどなかったですね」


―― 一転して今年は、コンサート『TENTH』からはじまり、ミュージカルが何本も決まっていて、さらにライブツアーもある。2018年は「歌う藤岡正明」の年なのかな、と思ったのですが、これは狙ってのことですか?

「いえ、狙ってでは、まったくないです。ただ自分としては、"刺激的でありたい" と思っているんです。自分自身が「ここ!」と思える、この仕事をやる上での縁を感じられるところには、どんどん出ていきたい。ただ、いま「狙ってではない」と言いましたが、最近ちょっと、役者としてだけでなく、歌手としてムラムラしてきました(笑)」


―― ムラムラですか(笑)。

「だから久しぶりにミュージシャンとして、3月にライブツアーもやります。ここ最近は自分のオリジナル曲をやって、普通にギターを弾いてポップスを歌うってことをあまりしてこなかったんです。だから、オリジナルライブは2年半ぶりかな? でも実は、そのやっていない間に、ギターばかりいっぱい買っちゃって。何本増えたんだろう? ってくらい。それで、家でギターを弾くという時間が、ある意味忘れていたものを思い起こさせてくれる時間だったんです。役割としてのミュージシャンではなく、自分の部屋でビールでも飲みながら、ただひたすらギターを弾いているという行為が「俺にとって音楽ってなんなんだろう」みたいな......。そんなことから、最近ふつふつと、やっぱり音楽をやりたい! って思うようになったんですよね」

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デイサービスの悲喜こもごもをミュージカルにし、2015年の初演以来、日本中で絶賛の嵐を巻き起こしてきた『ザ・デイサービス・ショウ』。昨年初お目見えした明治座での公演も大盛況に終わり、早くも再演が決定した。先ごろ行われた明治座近くの水天宮節分祭には、中尾ミエ、尾藤イサオ、初風諄、田中利花が集合。豆まきに集まった大勢の人たちに劇中の振付を指導して歌い踊るなど、早くも熱が高まっている4人に、作品の魅力と明治座再演への意気込みを聞いた。

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──昨年夏に明治座で上演されてから1年も経たずに再演が決まりましたね。

中尾 最初は、普段の明治座での出し物とはちょっと違う作品なので受け入れてもらえるだろうかと心配していたんです。でも、みなさんに喜んでいただけて。せっかくなので再演ではもっと弾けたいと思っています(笑)。

尾藤 お芝居、舞台というのはナマモノですから、前の年にやったのをなぞっちゃいけないですし。いい緊張感を持ちながらやれたらいいなと思いますね。

初風 また明治座でできるのは本当に幸せなことですよね。

田中 本当に。あれだけのたくさんの人が観てくださってるっていうことが感激で。

初風 だから、足腰を鍛えて、元気でできるように頑張りたいと思います。

中尾 みんな、元気でいるっていうのが大変なことなんです。若い人と違って(笑)。

初風 明治座まで通うだけでも大変なんですよ(笑)。でも、楽しいことだから。

中尾 高齢のみなさんにとっては、この作品に出演することが、まさに"デイサービス"になっているんです。だから、実際にもこういうデイサービスがあったらいいなと思うんですよね。何か目的を持って一生懸命練習をして人様に見ていただくっていうことができる場所があってほしいなと。

──この作品は、デイサービスに通う高齢者とヘルパーが一緒にバンドを結成していくお話。平均年齢70歳を超えるキャストの方々が実際に楽器を演奏されるのが魅力のひとつです。バンドとしての手応えはいかがですか。

田中 観に来てくれた役者の方が、生演奏だと知って驚いてました。音は別に録音したものを流してるんだと思ってたって。それぐらい本格的だっていうことですよね。

初風 まさに「継続は力なり」です。私はキーボードですけど、最初はもう手が固まっちゃって、右手だけで精いっぱいだったのが、今は両手で暗譜して弾けるようになりました。

中尾 みなさん楽しんでできるようになってますよね。最初はそれこそ必死で楽器しか見てないという感じだったけど、今は振りをつけて踊りながら演奏できるようになって。だからどんどん難しいことをやってもらって、レベルアップしていこうと思ってます。

田中 私はタンバリンでそんなに難しくはないので動きを研究しようと思ってます(笑)。尾藤さんもマイクパフォーマンスがどんどん派手になってますよね。

尾藤 みなさんの演奏が上達してるので、やっぱりノッちゃうんです(笑)。だから本当に、何か新しいことを始めるのに遅いということはないと思いましたね。

中尾 実際にお客さんの拍手が鳴り止まないですしね。拍手の音を聞くとわかるんです。本当に喜んでくださってるかどうか。

初風 お客さんが全員で踊ってくださってるのを見ると、壮観ですよね。

──改めて、ストーリーにはどんな魅力があると感じられますか。

中尾 作者の方自身が介護の資格を持って実際に携わっていらっしゃいますから、きれいごとじゃなく本音のところが描かれているんですよね。だから、介護している方も、わかるわかる、現実はそうだよねと共感できる。そこがこの作品の強みだと思います。

田中 私はヘルパー役なので、その本音がちゃんと上手く伝わるように演じることが大事だなと思っています。

中尾 これをミュージカルにしたのも、セリフで言うとキツくなったり暗くなったりする部分が、歌だとカラッと言えるからなんですね。手前味噌ですけど、私、この作品の歌全部好きなんです。「クレイジー・ジージー」とか「ボケてなんかないぞ」とか、歌だからこんな表現ができるんだと思います。

──どんな方に観てもらいたい作品でしょう。

尾藤 僕は男の人に観てほしいですね。男性は芝居を観に来ることが少ないっていうのもありますし、介護の理解も深まりますからね。

中尾 デイサービスの方が丸ごと来てくれたらいいですよね。介護される側とする側が一緒に楽しんでもらいたい。そして、冗談ではなくこの作品はいつ誰が欠けるかわからないので(笑)、次にいつできるかお約束できません。これが最後だという気持ちで燃え尽きたいと思いますので、ぜひ足をお運びください。

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(取材・文:大内弓子)

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3月3日(土)に開幕するミュージカル「ジキル&ハイド」

作品の面白さは既にご承知の通りだと思いますが、2012年版から3度目の主演を務める石丸幹二さんをはじめ、娼婦ルーシー役の笹本玲奈さん、ジキル氏の婚約者エマ役の宮澤エマさんと、日本ミュージカル界で屈指の歌唱力を誇る3人の豪華競演も話題の作品です。

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医師として理想を追求するも、分裂する人格を制御しきれず、愛と欲望の挟間で深く苛まれる主人公を中心に、人間の持つ"光と影"、"表と裏"を描いた本作。げきぴあでは、稽古場の潜入レポートを前編・後編でお届け中!

詳しいストーリーはコチラ&今作の概要は前編に。今回は、前編で紹介した理事会のシーンに続き、婚約パーティーのシーンの稽古をお届けします!

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さてさて...ジキル博士(石丸幹二)とエマ(宮澤エマ)の婚約パーティー。実寸でお芝居をするのはこれが最初だそうで、「とりあえず1回やってみましょう」とシーンが始まりました。

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このシーンは、ほとんどのキャストが登場し、それぞれの関係性が表れる情報たっぷりの場面。だからこそでしょうか、演出の山田和也氏からも、主要キャストはもちろん立ち話をしているキャスト達まで、丁寧な演出が入っていました。

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例えば理事会の面々を通して描かれたのは、エマの利発さや社交性。彼らが声高にジキル(パーティー主役なのに!)の悪口を言っているところで、友人のアターソン(田代万里生)はどうにも太刀打ちできませんが、エマはそれをやってのけます(見ていてスッキリするシーンです!)。

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エマの結婚に必死で反対するストライド(畠中 洋)のシーンでは、エマの反応にも彼女の性格がよく見えるんですよね。このシーンに限らずではありますが、例えば数歩歩く、ただそれだけの姿にもエマの"自分の意志"を感じさせる、宮澤さんのお芝居が素敵です!

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ほかにもアターソンがジキルに、エマの父親(ダンヴァース卿/福井貴一)に余計なことを言わせないために必死でお喋りする姿からはアターソンの人柄、そしてジキルの人柄も感じますし、理事会の人々の様子を遠巻きに見ている招待客の反応からも、さまざまな情報が得られます。

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そんな中でも愛がギュギュッと詰まっているのが、ジキルとエマのシーン。

ジキルは自分の婚約パーティーにすら遅刻して来ますが、それを責めることなく、だけど拗ねてみせるエマは、なんともやさしい人。理事会で人体実験を否決され失意に沈むジキルはそんな彼女に本音・弱音をこぼしますが、これもまたエマの前だけの姿なのだということが、言葉がなくともスッと伝わってくるんですよね。何も疑わず「エマは理解してくれる」と思っているジキル、そんなジキルを受け止めるエマに、ふたりの積み上げてきた時間も感じられます。このときの石丸さんの芝居は、他のシーンにはない素直さや弱さがあってとても魅力的、そしてかわいらしくうつりました!

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そこで始まるのがふたりのデュエット「ありのまま」(稽古場で口ずさんでいる方がとても多かった曲です!)。それはそれは見事なハーモニーが披露され、稽古場はうっとりとしたムードに。さらにこの日の稽古では"振り"にもたくさんの想いが込められていることがよくわかりました!

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振りからも、お互いを大切に扱っている様、そして心が通じ合っているからこその滑らかな動きが伝わってくるように、動きを何度も確認し合いながら進めていくふたり。メロディや歌詞と合わせた動きがベースですが、ところどころ振付の先生から「気持ち的には離れられないよね」と動きの変更も。こうやって、歌だけでなくその動きからもふたりの想いが染み込むシーンがつくられるのですね。歌い終わった後には自然と拍手が沸き起こっていました!

その後の、エマと父親(ダンヴァース卿)の会話も素敵なシーン。愛する娘が結婚していく寂しさ、夫となるジキル博士への(理事会メンバーとしても抱える)気がかり、そして娘の幸せを祈る気持ち...そんないろいろな気持ちが短い場面にギュッと込められています。ダンヴァース卿を演じる福井さんは、ともすれば父から娘への心配とも受け取れるシーンで、信頼がベースにある芝居を提案。その結果、とても温かなシーンがつくられていました。

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......と、げきぴあが潜入したのはここまで! ストーリー的にはこの後が怒涛の展開ですが...この続きはぜひ劇場でご覧ください!!

公演は3月3日(土)から18日(日)まで東京・東京国際フォーラム ホールC、3月24(土)・25日(日)に愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、3月30日(金)から4月1日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演。

取材・文:中川實穗

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ラサール石井が構想10年の時を経て舞台化したオリジナルミュージカル『HEADS UP!』

2015年の初演時は、そのストーリーの面白さ、ミュージカルとしての質の高さが大きな評判となったこの作品がパワーアップした再演版として昨年末から上演中。全国ツアーを経て、いよいよ3月2日より東京凱旋公演が登場します。

哀川翔、橋本じゅん、青木さやか、池田純矢、今拓哉、芋洗坂係長、大空ゆうひ ら、バラエティ豊かな顔ぶれも魅力ですが、初演に引き続き新人舞台監督の新藤祐介を演じる相葉裕樹さん、劇場付き雑用係の熊川義男を演じる中川晃教さんのおふたりに、作品の魅力について、たっぷり伺ってきました。

◆ストーリー◆
ミュージカルファンなら誰もが知る "あの名作" が1000回目の公演を迎え、華々しく終了したはず...だった。が、ベテラン主演俳優は某地方都市の古い劇場で1001回目を上演することを要求。誰も鶴の一声には逆らえず、上演することになったが、舞台美術は廃棄済み、キャストのスケジュールも押さえていない、スタッフも人手不足、演出家は理想のプランを頑として譲らず...。しかも、舞台監督はメインをはるのが初めての新人!
それでも、スタッフたちは、幕を開けようと必死に知恵を絞って奔走する。幸か不幸か、チケットは完売!観劇のために必死に都合を付けた観客たちが、期待に胸ふくらませて待っている!!
果たして幕は無事に開けられるのか...!?そして、主演俳優が「1001回目」にこだわった理由とは...?



◆ 相葉裕樹 & 中川晃教 INTERVIEW ◆

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●『HEADS UP!』が東京に帰ってきます!

―― 昨年12月の神奈川から始まった再演版『HEADS UP!』。富山・長野・大阪・名古屋を経て、3月には東京に帰ってきます。地方公演は、いかがでしたか?

中川「地方公演って、忙しいよね。タイトなスケジュールじゃないですか。もちろん本番はあるし、舞台稽古もあるし、(その土地の名物を)食べることもしなきゃいけないし...! 慌しいよね」

相葉「そうですね、ご飯は楽しみですよね。僕は富山で白エビを食べました! (哀川)翔さんについていったら美味しいものが食べられるんです(笑)。基本、毎日声をかけてくださいます。すべてにおいて翔さんは "兄貴" です。アッキーさんはどんなものを食べているんですか?」

中川「白えび、俺も食べました。俺は基本的に地方の美味しいものにパッといく感じかな。ちゃんと、食べてますよ(笑)」

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●『HEADS UP!』は "舞台愛" に溢れたミュージカル

――『HEADS UP!』、2015年の初演が非常に評判が良くて、演劇関係者の間でも「観に行った方がいい!」と話題になっていました。まずは『HEADS UP!』の魅力について、お伺いしたいです。

相葉「あるミュージカルを上演する1日の裏側を描いた作品だということもあり、舞台愛に包まれている作品です。舞台監督や照明、制作、キャスト......誰にスポットを当てても共感できますし、お客さまも作品を上演する上で欠かせない存在ですから、その気持ちもきちんと描かれている。『チケットは売れている』という曲では、一生懸命働いて、スケジュール帳に「この日」って書いて、楽しみに舞台に観にくるお客さまのことを歌っています。それは実際自分が客として観に行くときの気持ちでもあります。そして普段触れ合っている作り手側の皆さんの熱い気持ちも、この作品を通して改めて知ることが出来て、僕はより一層、舞台が好きになりました」

中川「僕は役者としてこの作品に関れていることに意味を感じるんです。僕たちの仕事って、観に来てくださったお客さまが「いいものを観た」「楽しかった」「なんか元気になった! 帰りに美味しいもの食べよ」でも何でもいいのですが、前向きに元気になっていただけるようなものをお届けすることだと思うんです。今回僕が演じる熊川義男という役は、例えば『ジャージー・ボーイズ』のフランキー・ヴァリ役のように、その声を表現するとか、テクニックを磨くとか、誰もが知ってる楽曲を歌うとかではないんですが、"役者としての使命" に向き合う役だと思っていますし、自分が常にそれを感じながら仕事と向き合ってきたということに確信を持てた役です。今まで演じてきた役それぞれに、それぞれの "特別" はありますが、"舞台に立つ自分自身" という視点からの特別感を抱いたのは、この作品が初めてかもしれません」

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