■『リトル・ナイト・ミュージック』特集vol.5■
ミュージカル界の大巨匠スティーヴン・ソンドハイムの最高傑作と称されるミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』 が4月に上演されます。
19世紀末のスウェーデンを舞台に、大女優と元カレ、年の差夫婦、年下の義母へ恋する息子、愛人の浮気を本妻に調べさせる旦那......などなど、様々な恋と思惑が入り乱れるラブ・コメディ。
主役である大女優デジレは、エリザベス・テイラーをはじめ、ジュディ・デンチ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズといった名だたる女優たちが演じてきた役。
劇中デジレが歌う『ピエロたちの喜劇(Send in the Clowns)』は多くの女優たちに愛され、歌われてきた名曲です。
このデジレに今回、日本が誇る大女優・大竹しのぶが挑みます!
大竹さんに作品について、役柄について等々、お話を伺ってきました。
◆大竹しのぶ INTERVIEW ◆
●「夢みたいに面白おかしい中に、人間の本質を突く辛辣さがあるところが魅力」
――大竹さんにとって、『スウィーニー・トッド』以来2作目のソンドハイム作品になります。まずは今回、ご出演を決められた理由をお聞かせいただけますか?
「『スウィーニー~』をやっている時に、共演の市村(正親)さんが『リトル・ナイト・ミュージック』のデジレをやったほうがいいよ、と言ってくださったんです。その時の私は、作品のことを知らなかったんですね、観たこともなかったですし。でも色々と調べてみたら、デジレはジュディ・デンチをはじめ素晴らしい女優さんたちがやってこられた役だと分かって、音楽もすごく素敵ですし、できたらいいなと夢見るようになりました」
――そんな時に、ちょうどオファーが?
「というか、市村さんが「しのぶちゃんで『リトル・ナイト~』を」って、もうことあるごとに言ってくださっていたので(笑)、それを聞いたプロデューサーの方々が実現してくださったのだと思います。...市村さん、自分が出るわけでもないのに(笑)。「僕の役はないし、僕も忙しいからね!」って、私の出演だけを勧めてくださいました(笑)」
――大竹さん、そして市村さんの夢が叶ってのご出演なのですね(笑)。稽古が始まった今あらためて、この作品のどんなところに魅力を感じていらっしゃいますか?
「夢みたいに面白おかしい中に、どこか辛辣さがあるところが、やっぱりソンドハイム作品だなあって思います。誰もが孤独を抱えているとか、若さというのはすごくキラキラしたものであるとか...描かれていることが、人間の本質を突いているんですよね。日が沈みかけて、太陽と月が一緒に出ている夕暮れ時なのか、それとも星がそろそろ出てきたのか、そういうワケの分からない感じの時間に起こる出来事ですが(笑)、音楽と詞を聴いているとイメージがどんどん膨らんで、「人生にもこういうことっていっぱいあるな」と思えてくるんです。マリアが今、そんな世界を具体的にするような演出をつけてくれているから、私たちがちゃんとその通りにやれば、きっとすごく素敵なミュージカルになると思います」
左から演出の谷賢一、出演の伊藤祐輝、古河耕史、細田善彦、ROLLY
舞台『High Life -ハイ・ライフ-』の公開稽古が行われ、一部のシーンが公開された。
本作は、カナダの劇作家リー・マクドゥーガルの戯曲処女作で、1996年にカナダ・トロントで初演。その後、欧米で数多く上演されている人気作で、日本でも多くの劇団やプロデュース公演が行われている。
今回、上演台本と演出を担うのは、先般異色の音楽劇「三文オペラ」で世間の注目を浴びた演出家・谷賢一。
音楽にはOpen Reel Ensembleから吉田悠・吉田匡、そしてドラムに山口 元基(moltbeats)が参加。映像をDRAWING AND MANUAL清水貴栄が担当し、古河耕史、細田善彦、伊藤祐輝、ROLLYといった魅力的な4名のキャストと奇才・谷賢一とともに不協和音をステージで奏でる。
本作の公開稽古が行われ、一部のシーンが公開された。動画は稽古の様子と、各人のコメントを抜粋したもの。【動画3分】
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
「銀河鉄道999」GARAXY OPERA 制作発表フォトセッションより
6月23日から東京・北九州・大阪で上演される舞台「銀河鉄道999」GALAXY OPERAの制作発表が行われ、星野鉄郎を演じる中川晃教らが劇中歌を歌唱披露した。
本作はあの「銀河鉄道999」を舞台化するもの。
1979年に公開された劇場版第1作のストーリーをもとに、オリジナルのシーンも交えて、主人公の星野鉄郎が宿敵の機械伯爵と時間城で対決するまでを描く。
主人公の星野鉄郎を演じるのは中川晃教。メーテルは2人組バンド「ハルカトミユキ」のGt/Voのハルカが演じる。さらに染谷俊之、矢沢洋子 、雅原 慶、入野自由、お宮の松、小野妃香里、塚原大助、平方元基が出演し、凰稀かなめが特別出演する。
本作の制作発表が行われ、中川晃教 自らが作曲したテーマ曲が歌唱披露された。【動画1分】
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
■ミュージカル『1789』2018年版特集vol.3■
ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』、稽古場レポートの後半です!
3月上旬、まだ全体稽古が始まったばかりでしたが、非常にテンポよく進んでいく稽古場でした。
稽古場レポート、前半はコチラ→★
王妃を助けるためとはいえ、関係のない無実のロナンを投獄させてしまったオランプは、彼を救出しようと動き出します。
一方で王弟アルトワ伯は、事件の真相――本当は王妃マリー・アントワネットと、その愛人のフェルゼンが逢引きしていた――に薄々感付き、オランプを問い詰めます。
オランプ(Wキャスト)=神田沙也加さん
オランプ(Wキャスト)=夢咲ねねさん
オランプは仕える国王一家への忠誠心がありながらも、人としての善悪の判断はしっかり持っている聡明な女性。
神田さんも夢咲さんも、可憐さの中にその聡明さをきちんと作り出しています。
■『リトル・ナイト・ミュージック』特集vol.4■
ミュージカル界の大巨匠スティーヴン・ソンドハイムの最高傑作と称されるミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』 が4月に上演されます。
19世紀末のスウェーデンを舞台に、年の差夫婦、大女優と元カレ、年下の義母へ恋する息子、愛人の浮気を本妻に調べさせる旦那......などなど、様々な恋と思惑が入り乱れるラブ・コメディ。
主役の大女優デジレに大竹しのぶ、その昔の恋人である弁護士フレデリックは風間杜夫。
この、焼けぼっくいに火がつきそうな元カップルを中心に、様々な恋愛模様が入り乱れていくことになりますが......。
フレデリックを演じる風間杜夫さんにお話を伺ってきました。
大竹さんと風間さん、ともに映像のみならず舞台も多数ご出演されているベテラン俳優ですが、意外なことに共演は27年ぶり、舞台に限って言えば初共演とのこと!
作品や役柄について、そして大竹さんとの共演についてなど、たっぷりお話いただいています。
◆風間杜夫 INTERVIEW ◆
●吉幾三とソンドハイムには共通点がある?
――ミュージカル初挑戦ということで、今なぜこのオファーを受けられたかをまずはお聞かせください。
「まずは、僕は師匠のつかこうへいに「日本で一番踊ってはいけない役者」と言われていたわけですけど(笑)、今回は踊らなくてもいいっていうことがひとつ。それから、今回のプロデューサーとは一緒にカラオケをしたことがあって、だいたい僕は吉幾三先生の演歌を歌うんだけど、その歌い方でいいと言われたんですよ。それなら、しのぶちゃんと久々に共演できるのも嬉しいし、やってみようかなと。そんな軽い気持ちで受けたから、今「騙された!」と思ってますよ。吉幾三先生とソンドハイムのどこに共通点があるんだ!ってね(笑)。最初から楽曲を聴いていたら、絶っ対に引き受けてなかったと思います。ははは!」
――踊らなくて良かったはずが、ワルツのシーンもあるとか...?
「そうなんですよ。ワルツの稽古を1時間もやるともう足がつっちゃって、昔買った自動按摩器で毎日ウイーンウイーンって揉まなきゃ稽古場に来られない状況です。もう本当に、満身創痍だね(笑)」
――大竹さんとの共演も決め手のひとつだったとのことですが、27年ぶりに一緒の現場で過ごされてみて、あらためてどんな印象をお持ちですか?
「27年前に映画で共演した時は、僕は30代で、しのぶちゃんは20代。待ち時間になると、ふたりして控室でダラダラゴロゴロしてたことを思い出します。そこはふたりとも、未だに変わっていなくてね(笑)。この間も、しのぶちゃんがソファでゴロっとしながらストレッチをしてたから、「本当はただゴロっとしたいだけなのに、それだと何か言われるかもしれないと思ってストレッチする振りをしてるんでしょ?」って言ったら、「どうして分かるの?」「そんなのお見通しですよ」って(笑)。でも、休憩中はそんな感じなのに、芝居となるとやっぱりすごい。昔も今も、一緒に芝居をするのが楽しい女優さんですね」
――特にどんなところにすごさを感じられるのでしょう。
「立ち稽古の初日から、もちろんセリフは全部入ってますし、すでにデジレっていう女性の目になってるんですよ。パッとスイッチが入った時の芝居の光り方というかね、そういう天才的なところは、若い頃から変わっていないと思います。加えて今は風格も出て、カンパニーをまとめるパワーも持っている。まあそれは、順番的なこともあるのかもしれないですけどね。上の先輩がだんだんいなくなって、最近では僕なんかも"演劇界の重鎮"とか言われちゃってますから。冗談じゃないよ、まだまだチンピラだよって言いたいですよ(笑)」
■ミュージカル『1789』2018年版特集vol.2■
待望の再演となるミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』、顔寄せに続き、稽古場も取材してきました。
そのレポートをお届けします。
この日の稽古場で最初にあたっていたシーンは、バスティーユ監獄のシーン。
バスティーユといえば、この物語の舞台であるフランス革命前夜の時代には主に政治犯が収容されていた場所。
その彼らを解放しようと市民たちが襲撃した事件、「バスティーユ襲撃」といえばフランス革命の始まりであり、バスティーユ監獄はフランス革命の象徴的アイコンです。
物語の主人公・ロナンは、王妃マリー・アントワネットとその愛人フェルゼン伯の逢引きに遭遇。
王妃の侍女オランプのとっさの機転で、やってきた秘密警察から王妃は逃げることが出来たものの、その騒ぎにまきこまれたロナンはたまたま革命派が印刷したビラを持っていたことから、捕えられ監獄へ入れられてしまったのです。
ロナン(Wキャスト)=小池徹平さん
ロナン(Wキャスト)=加藤和樹さん
舞台「トリスケリオンの靴音」赤澤ムック・碓井将大・粟根まこと・堤泰之
碓井将大・赤澤ムック・粟根まことの3人が出演する舞台「トリスケリオンの靴音」の公開稽古が行われた。
本作は堤泰之 (プラチナ・ペーパーズ)の書き下ろし作品。プロデューサーがキャスティングした3人の俳優のイメージを元に、物語を作ったという。
本作はとある田舎町が舞台。10年前に亡くなった彫金家の工房を資料館として公開したいと考える建築事務所職員(碓井)、彫金家の弟子だった男(粟根)、彫金家の娘の3人がそれぞれの思惑を持って対峙する。
本作の公開稽古が行われ、一部のシーンが報道向けに披露された。動画はこれをダイジェストにしたもの。【動画3分】
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
ミュージカル「ロマーレ」花總まり、松下優也
花總まり、松下優也らが出演するミュージカル「ロマーレ」の公開舞台稽古が行われた。
本作は19世紀に描かれたメリメ原作の「カルメン」をベースに、カルメンがロマ族として当時の社会でどのように生き抜いてきたかに注目し、小説やオペラで描かれていない部分をより強く描く。
出演は宝塚歌劇団「激情-ホセとカルメン-」(1999年)でカルメンを演じた花總まりが、今作でもカルメンを演じる。
またNHKの朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」に栄輔役で出演した松下優也がホセを演じる他、伊礼彼方、KENTARO、太田基裕、福井晶一、団時朗らが出演する。
演出・振付はTSミュージカルファンデーションの謝珠栄が手掛ける。
本作の公開舞台稽古が行われた。動画は劇中曲を中心にダイジェストにしたもの。【動画3分】
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
■『リトル・ナイト・ミュージック』特集vol.3■
ミュージカル界の大巨匠スティーヴン・ソンドハイムの最高傑作と称されるミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』 が4月に上演されます。
19世紀末のスウェーデンを舞台に、大女優と元カレ、年の差夫婦、年下の義母へ恋する息子、愛人の浮気を本妻に調べさせる旦那......などなど、様々な恋と思惑が入り乱れるラブ・コメディ。
主役の大女優デジレに大竹しのぶ、その昔の恋人フレデリックに風間杜夫という、ベテラン俳優の豪華共演も話題です。
3月某日、この物語に出演する蓮佛美沙子さん、安蘭けいさん、栗原英雄さん、ウエンツ瑛士さんの4人にお話を伺ってきました!
蓮佛さんはフレデリックの若妻・18歳のアン、
ウエンツさんはフレデリックの息子である "憂鬱そうな" ヘンリック、
栗原さんはデジレの現在の恋人で "脳味噌は豆粒" と言われてしまうカールマグナス伯爵、
安蘭さんは伯爵の妻であり、アンのクラスメイトの姉でもあるシャーロット
...を、演じます。
蓮佛美沙子&安蘭けい&栗原英雄&ウエンツ瑛士
INTERVIEW
――『リトル・ナイト・ミュージック』出演の経緯や、出演の決め手となった点などを教えてください。
蓮佛「私は今回初舞台です。2年ぐらい前から舞台をやってみたいなと思っていたんですが、大竹(しのぶ)さんが主演と聞いた瞬間に「やる!」と言ってしまって」
栗原「初舞台、初ミュージカルがソンドハイム! よくチョイスしたなと思う」
蓮佛「選んだつもりはないんです(苦笑)。決め手は大竹さんでした。周りの監督さんとかから「一緒にやってみるといいよ、すごいよ」というお話を伺っていて、同じ空間でお芝居をしてみたいとずっと思っていた女優さんだったので。そうしたら、実はミュージカルだということを後から聞いて、「すごいのを『やる!』って言っちゃった......。でもなんで私にオファーが来たんだろ?」みたいなスタートでした(笑)」
ウエンツ「実際、大竹さんはどう? すごい?」
蓮佛「意外と一緒の空間にいるシーンがなくて......」
ウエンツ「じゃあ、意外とすごくもない?」
蓮佛「そうじゃなくて(笑)! 私が言うのも大変おこがましい話ですけど、やっぱり圧倒されるようなオーラがあります。役に入る瞬間の袖でのオーラの切り替わりだとか、具体的に言葉で表現するのは難しいんですけど、"なんかすごいものを見れちゃっている感" はひしひしと感じています」
ウエンツ「僕は2、3年前からこの時期にこの作品が上演されるというのは知っていたので、参考になるようなものをいろいろ観たりしていました。一番惹かれたのは、マリア(・フリードマン)が演出っていうこと。マリアについてもいろいろ調べたんです。ジョン・ケアードさんに「彼女は素晴らしいから絶対演出を受けて!」って言われたりもしました。もちろん作品や共演者も重要ですけど、そういう方に演出してもらう機会ってめったにないので、そこが一番にありました」
蓮佛「海外の演出家さんは初めてですか?」
ウエンツ「そう。でも海外のスタッフの方は急に来日できなくなったり、なんてこともあるらしいから、「本当に来てくれるかな」って、蓋を開けるまでドキドキしていたんだけど」
安蘭「私も蓮ちゃん(=蓮佛)と一緒で「大竹さんとならこのミュージカルをやってみたい!」と、出演を決めました。この作品の『Send in the Clowns』という曲は昔から知っていて、すごくいい曲なので自分のコンサートでも歌っていたんです。大竹さんの歌声で、お芝居の中で聴けるのもすごく勉強になるなと思ったし。それに私が演じるシャーロットの曲もすごくいいんですよ」
栗原「すーごくいい!」
安蘭「ソンドハイムの曲ってとにかく全部難しくて、1回聴いて耳に残る曲ってなかなかないんですけど、『Send~』とか私の歌う曲は中でもメロディアスで、聴いてすぐに「いい曲だな」と残る曲だと思います」
栗原「(小声で)お上手だからですよ......」
安蘭「大きな声で言って!」
栗原「(笑)。僕は去年『不信』という舞台をやっているときにお話をいただきました。最初どの役かわからなかったんだけど、カールマグナスと聞いて、劇団四季が日本で最初にこの作品を上演したときに鹿賀(丈史)さんがなさった役だなと。役のイメージはわかったんだけど、途中で「待てよ、ソンドハイムだ!」と気づいたとき、マネージャーに「ちょっと考えさせて」って言ったんです。でもそれから顔ぶれがだんだんわかってきて、大竹さんと風間(杜夫)さんが出演されると。このおふたりというと、僕は『青春かけおち篇』(1987年公開)という映画が印象的なんですよね。役者としては、自分も現場に参加して、憧れていた人と芝居のキャッチボールができたら楽しいだろうなって。だから多少のリスクは努力でどうにかして、これはやるべきだなと思ったんです。それでもソンドハイムはやっぱり難しいですけど(苦笑)」