3人の孤児たちの魂の叫び――舞台『オーファンズ』 山時聡真×本島純政×村井良大 鼎談インタビュー

愛に飢えた3人の孤児たちの魂の共鳴を描き出す、ライル・ケスラーによる傑作舞台『オーファンズ』が山時聡真、本島純政、村井良大の3人を迎えて上演される。廃屋のような閉ざされた家で生きる、愛情深いが凶暴な兄のトリートとナイーブな弟のフィリップ、そしてひょんなきっかけから彼らと出会い、ふたりを導いていく謎の男・ハロルド。この3人の繊細な関係性を山時、本島、村井はどのようにつくり上げていくのか? 開幕に向けて稽古が進む中、話を聞いた。

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――ここまで稽古をされてきての手応えや、この3人の関係性をどのようにつくっていっているのか? という部分をお聞かせください。

山時 僕が演じるトリートは凶暴で、そして、すごく不安定な男。物語全体を通してギャップの激しい役でもあるので、そのグラデーションをどうやってつくっていくのか? 稽古に入る前は不安でした。稽古が始まって不安はなくなってきていますが、どうやって自分を解放するのか? どうやったら遊び心を出したり、自分から新しいものを発信したりしていけるのかといった部分は、本番までしっかり稽古を重ねて答えを見つけていきます。

村井 (山時に)どちらかというと"受ける"芝居の方が好き? それとも、自分がきっかけになって新しい風を生み出すような芝居が好き?

山時 どうでしょう(笑)? とにかく必死でおふたりに引っ張っていただいている状態ですが......。

村井 「自分を解放して、遊び心を......」と話していたけど、俳優のタイプとして"受ける"方が好きなのかも、と思ってた。

山時 そうなのかもしれません。

本島 いや、ウソ(笑)!?

村井 違うと思うんだ(笑)?

本島 僕は山時くんと顔を合わせる前に、これまで出演されていた映画やドラマのお芝居を見せてもらったんですけど、絶対に"攻め"のタイプだろうって(笑)。実際、稽古でも自分からお芝居のフックをつくってくれるんです。こちらの感情が爆発しやすいように動いてくれたり、こちらがやりやすいようにやってくれるので。

山時 これは自分で言うことではないかもしれませんが、根が真面目すぎるのかなと思います(苦笑)。常に自分の中で"正解"を見つけたがってしまいます。ただ、やっぱりトリートという役は、解放しなければいけない部分もあるし、最初は僕がフィリップを支配し、統治しているように見えますが、ハロルドが加わることで、その関係性が徐々に逆転していく。そのことへの不安や焦り、寂しさみたいなものを、ふたりの関係性の中で見せていきたいと思っています。なので、村井さんが普段から助けてくださる部分がすごく大きいです。「このセリフ、言いにくそうだけどどうしようか?」みたいな感じで、僕たちに考えさせつつ、良い方向に導いてくださって、そこはハロルドとふたりの関係性と近いなと感じています。 

村井 そこは僕も意識しつつ、でもふたりに自由にやってほしくて、ギリギリまで言わずに見ている時もあります。

本島 やっぱりこの3人だからこそ築ける関係性があるはずだし、そこは大切にしたいと思っています。村井さんも、山時くんも、自分の役のことだけじゃなく「フィリップってこんなふうに考えてるのかな?」とか意見やアドバイスをくださるので、その声も大事にしながらつくっていっています。

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――山時さんと本島さんは、ふたりとも21歳ですね? ご一緒されていかがですか?

本島 同い年ですが、学年は僕がひとつ上です。

山時 明日、村井さんも一緒に初めてごはんに行きます(笑)。稽古では、(本島が)予期せぬことをしてくるので、いつも驚かされていますが、それもトリートとフィリップの関係性に近いなと感じています。稽古場を離れると、お互いにまったく気を遣わず隣にいるという感じです。ふたりが一緒にいても、ひと言も話さないことはよくあります(笑)。それってなかなかないことで、普通なら会話しようとするけれど、そういうのが一切ありません。深まるところまで深まっている気がします(笑)。

本島 たしかにしゃべんないね。並んで歩きながら「じゃあ、バイバイ」って(笑)。最初からそんな感じだったよね。

山時 ふたりとも美容が好きだったり、性格診断の「MBTI」もまったく同じだったりと、「わかる!」と共通する部分も多くて(笑)。

本島 とはいえ、山時くんのほうが僕よりも100倍くらい真面目ですね(笑)。役への熱量がものすごくて、いつも呑み込まれそうになってます。

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――村井さんは、そんなふたりをどんな思いで見守っているんですか?

村井 ふたりが居心地よくいることが嬉しいですし、ふたりとも一生懸命作品に向き合っているのも見ているし「えらいなぁ」って毎日思っています。21歳の時ってこんな感じだったかなぁ? って(笑)。シンプルに無茶できるんですよね。この若さとか衝動が既にひとつの大きな価値なんだなと感じます。おそらく、作家が想定した実年齢に近いであろうトリートとフィリップをこのふたりが演じるというのがすごく重要な意味を持っていて、やっぱり本物に勝るものはないなと。それを僕は『デスノート THE MUSICAL』を甲斐翔真くんとWキャストでやった時にひしひしと感じたから(苦笑)。もちろん、大人が子どもの役も演じられるのが演劇の魅力のひとつではありますが、こういうリアルなお芝居で、本物の若者がもがいている姿を見せるって、それだけで伝わるものがあるから。

――そんなふたりに対峙するハロルドが、物語のキーパーソンになっています。 

村井 今回、僕が演じるハロルドも、あえて年齢設定を低めにしていて、でもそれは逆にすごくリアルだなと思います。ハロルドもふたりにいろいろ言うけど、自分がちゃんとしていなかったり、不完全さがあって、それが魅力でもあるので。上の立場のハロルドがふたりに何かを教えるという古い価値観ではなく、3人が密室の中で互いに何かを学び合っているような作品になっていて、そういう意味でも、この作品はいま上演する意味があると思っています。

取材・文/黒豆直樹

 

〈公演情報〉

『オーファンズ』

日程:2026年6月28日(日)〜7月5日(日)

会場:東京芸術劇場 シアターイースト

[作]ライル・ケスラー

[翻訳]小田島恒志

[演出]荒井遼

[出演]山時聡真 本島純政 / 村井良大

\\チケット好評発売中//

https://w.pia.jp/t/orphans/

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