ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)新作舞台「世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#007『キネマと恋人』」が、11月15日(火)・16日(水)にシアタートラムにてプレビュー公演を行い、11月18日(金)に本公演の初日を迎えました。
本作はウディ・アレン監督の映画「カイロの紫のバラ」にインスパイアされKERAさんが書き下ろしたもの。
シアタートラムの小空間に映画への愛が満ち溢れた夢の世界が出現。
ひととき現実を忘れるKERA流ファンタジック・コメディに観客も大喝采の初日でした。
初日を終えたKERAさんと出演の妻夫木聡さん、緒川たまきさんが次のようにコメントを寄せました。
◆ケラリーノ・ サンドロヴィッチ (台本・演出)
『キネマと恋人』は、『カイロの紫のバラ』というとても好きな映画がモトネタなので、そういう意味でも特別な作品なのですが、プレビュー3公演を経
て、今日の芝居が一番良かったです。みんな楽しんでやってくれていて、今日も妻夫木に「楽しい?」って聞いたら「めちゃくちゃ楽しいです」という答えが返ってきたのでホッとしたんですけどね。今回は振付の小野寺(修二)くんや映像監修の上田(大樹)くんの力をいつもの倍以上費やしてもらい、スタッフや色んな人の力を借りて完成に至りました。演劇は総合芸術だということをまさに体現したような作品になったんじゃないかと思います。
◆妻夫木聡 (高木高助/間坂寅蔵役)
『カイロの紫のバラ』のように、観ている間は夢見心地で、劇場を出た後も「ああ、良い夢だったな」と甘くも苦い切なさが余韻として残れば良いなと思っていましたが、やはり人間が生で演じることによって、自分の想像以上に、さらに豊潤な作品になったと感じています。きっとエンディングには色々な受け取り方があって、僕が演じる寅蔵の「考え方だな」という台詞にもあるように、皆にとってのいつかのハッピーエンドにつながればと思っています。とにかく僕たちは演じていて楽しくて、いつまでも続けば良いという気持ちでいるので、これから一日一日、一分一秒を本当に大切にしながら演じていきたいです。
◆緒川たまき (森口ハルコ役)
この作品の中の登場人物は皆、厳しい現実と、甘い夢を見る時間とを行き来するようなところがあるんです。例えば私が演じるハルコさんは、大好きな映画を観ることで辛い現実を忘れることができます。上演時間が3時間を超えるお芝居ですが、疲れるというよりはむしろ、演じる度にまたこの作品に会えたという喜びで元気がチャージされていきます。私にとってそういう力がある作品なので、観てくださる方にとってもそうでありますように、と思っています。
次世代の歌舞伎界を担う花形俳優が、古典や舞踊の大役に挑戦する「新春浅草歌舞伎」。
戦後、しばらく途絶えていた浅草での歌舞伎興行を、若い俳優を中心に歌舞伎をやろうと、地元の熱い要望に応える形で1980年に復活。その後お正月の名物公演として37年続いてきました。
2015年からは尾上松也を最年長とし、主要メンバーを一新。20代の花形俳優が中心となり、フレッシュな顔ぶれで贈る「新春浅草歌舞伎」は2017年で3年目を迎えます。
来年の公演に出演する尾上松也、坂東巳之助、中村壱太郎、中村隼人、そして中村錦之助が都内で会見を開き、意気込みを語りました。
松也
「初めて出させていただいたのがついこの間のことのようです。来年で3年目ですがメンバーも少し変わりますし、私自身も初役の大役を勤めさせていただきますので、もう一つステップアップをした私たちをご覧いただけるように、これから準備を進めていきたいと思っています」
巳之助
「初めて浅草歌舞伎に出演した時の演目が『傾城反魂香』で、その時は修理之助の役で出させていただきました。それが(自分にとって)浅草歌舞伎の原点でしたし、大きなお役をさせていただく経験も乏しかった中、役者としても原点となった演目を浅草歌舞伎の3年目にさせていただけるということで気持ちも新たに勤めたいと思います。またその時に、先輩方に教えていただいたように、今回は修理之助を梅丸くんが演じますので、私もまだ若手ではありますが先輩と後輩という関係も意識しつつ、成長していきたいです」
壱太郎
「3年ぶりの出演です。学生の頃から先輩方の舞台を見ていて浅草歌舞伎は憧れの公演でしたので、最初に出させていただいた時は大変嬉しかったです。また浅草歌舞伎では大きな役もたくさん経験させていただきました。『傾城反魂香』のおとく、『吉野山』の静御前をどちらも初役で勤めます。『吉野山』を清元でさせていただくのは初めてです。初役の勉強をするのはもちろんですが、それがしっかりと力となってお客様に伝わるドラマとなるように頑張っていきたいです」
隼人
「高校二年生で出させていただいてから毎年毎年大きなお役を勤めさせていただいています。今回は4役やらせていただきますが、その中でも『御存鈴ヶ森』の権八は私が今まで演じてきた中で一番大きなお役です。この演目は新橋演舞場で(十八世)勘三郎のおじさまと吉右衛門のおじさまがなさったのを見て憧れた演目でした。その演目ができるという事と、リニューアルしてから3年目の浅草歌舞伎に自分の名前が連ねられる事は本当にありがたいです。勉強会ではないので、しっかりと先輩方に教えていただき、自分の中に吸収して皆様にお見せできればと思っています」
錦之助
「今年に引き続き、2年連続で出演させていただきます。上置きという立場ですけれども、気持ちとしては若い人たちと一緒になって皆様に楽しんでいただける芝居を創っていきたいと思っております。歳は上ですが気持ちはまだ20代のつもりでおりますので、皆様よろしくお願いいたします」
11月11日(金)に開幕した舞台「あずみ~戦国編」。
大人気漫画『あずみ』(作:小山ゆう)が原作で、
昨年9月に川栄さん主演で上演された舞台「AZUMI~幕末編」の前作にあたる「戦国編」が今回の物語。
舞台では10年ぶりのリメイクとなります。
刺客として育てられた少女・あずみを演じる主演の川栄李奈さん、あずみの幼馴染で同じく刺客のうきはを演じる鈴木拡樹さんに稽古場でのお話を聞かせてもらいました!
――稽古に入っていかがでしたか?
川栄 殺陣が本当に多くて......大変です(笑)。
――会見では岡村さんが1.5倍とおっしゃってましたが。
川栄 そうですね。誰かを斬った直後にも結構たくさんあるので、やってて悲しくなるような場面も多くて。
――殺陣の量も多いけど、心の負荷も大きいということでしょうか?
川栄 はい。誰かを斬って心が辛いままで大量の殺陣をやるのは...通してみたら大変でした。
――鈴木さんは稽古場に入ってみていかがですか?
鈴木 僕は少し遅れて参加したんですけど、参加したときにはもう完成していて、それに衝撃を受けました。でも、ということはがんばって追いついたら何回も通しができる。そしたらいろいろなことが発見できるのかなって思って。
川栄 鈴木さんはまだ一週間も経ってないですよね、稽古に入って。でも1日で殺陣をほとんど入れて...。
――1日で!?
鈴木 いや、1日では覚えられないです(笑)。
川栄 でも覚えるの、すごく早かったです。びっくりしました。もう通せる状態なんですよ。私、鈴木さんよりも前に稽古に入ったのに全然台詞入ってなかったので(笑)。「やばい、やんなきゃ」って思いました。
鈴木 「楽しいな」って感じてるから、覚えるのも早くできるところはあるのかもしれないです。
――川栄さんは2度目のあずみ役ですけど、岡村さんの演出はいかがですか?
川栄 岡村さんは台本に書いてない気持ちを私にわかりやすいように教えてくれます。やっていて「どういうことなんだろう?」って部分があってもわかるように説明してくれるので、やりやすいです、とっても。
――「どういうことなんだろう?」というのはどんな部分に思うんですか?
川栄 あずみには、斬りたくないっていう気持ちと、でも使命のためには斬らなきゃいけないって気持ちがあって。このシーンではどっちのほうが大きいんだろうとか...そういう部分ですね。
――鈴木さんは岡村さんの演出は初めてですが、受けてみてどうですか?
鈴木 感情の流れも細かく追ってくれますし、近いニュアンスで演じている部分でも、一言アドバイスをもらうことで「同じ気持ちでやっていても見え方として違うんだ」ということに気付けたりします。そういう繊細な部分をどんどん探っていける環境なのかなって感じています。
――うきは役として求められていることってありますか?
鈴木 あずみへの接し方として、"お兄さん的なやさしさ"に近いものを出してくれって言われていて。そこが課題です。それを稽古の中で掴んでいけたら、もう一段階この舞台にふさわしいうきはっていう役が見えてくるのかなって感じています。
――お兄さん的なやさしさって?
鈴木 僕が末っ子っていうのもあって、自分にはあんまりない感覚なんですよ。でも、逆に言うとそうしてもらったことはあるので「どういうことをしてくれてたんだっけ?」って思い返してます。今はまだ出せてないと思うんですよね。
川栄 いやでもお芝居していても感じますよ!
――鈴木さんから見た稽古場の川栄さんってどんな方ですか?
鈴木 ついていきたくなる座長だなっていう風に感じていますし、そこは共演してるメンバーも同意見だと思います。あと一つ感じたのは、もし本当に川栄さんが戦国時代に生きてたら、実際めちゃくちゃ強いんだろうなって(笑)。それは殺陣だけじゃなくて、考え方とか。切れ者だなって思うんですよね。いろんなところを見てる。だから戦場でも広く見渡せるだろうし、殺陣のスキルとか見てても、これ実際に強いんだろうなって。
――いけそうですか?
川栄 すぐ殺されます(笑)。
鈴木 あと、独特なところに笑いのツボを持ってる。一人でずっと大笑いしてるんですよ。
川栄 すぐ笑っちゃうんです。
鈴木 (劇中の)桟敷三兄弟のシーンがお気に入りなんですよね?
川栄 お気に入りです。笑っちゃう...つまんなくても面白くなっちゃう(笑)。
――ほかにも楽しいシーンはありますか?
川栄 (飛猿役の)星田(英利)さんが毎回無茶ぶりをしてくるんですけど、冷や汗かきながら稽古してます(笑)。「本番はもっと無茶ぶりするから」って言われてて、怖いですけど楽しいです。
鈴木 僕も星田さんと絡むシーンが少しあるので、そういうところのやり取りを楽しめたらいいなと思います。あとは加藤清正のちょんまげが取れるときの音も大好きです(笑)。
川栄 ポンッていう(笑)。好きですね、あの音は。
鈴木 気落ちいいんですよね。
川栄 きれいな音が出ますもんね(笑)。
鈴木 何度かありますので、楽しみにしててください。
――楽しそうなカンパニーですが、稽古場はどんな雰囲気ですか?
川栄 みんな集中するときはガーッと集中して、団結してやってるって感じはありますね。
鈴木 僕は今(遅れを)取り返すしかないのでもくもくとやっているところで、まだ座組の感覚も深くはわかってないかもしれないですけど、和気藹々とした部分もありながら、お芝居に関しては俳優同士でも「こうした方がいいんじゃないか」「ああした方がいいいんじゃないか」って言ってくださったりもして。そうやって話してすぐ試してみたりもしますし。だから他の現場よりも一段階、グループ芝居の打ち合わせは綿密にできてるんじゃないかなって思います。
――今、稽古で挑戦しようとしていることはありますか?
鈴木 僕は2幕の頭に見せ所、一番パートの多い殺陣のシーンがあるんですけど、そこはもうボロボロでもいいので駆け抜けきりたいという目標があります。
――公演期間を駆け抜けるということ?
鈴木 期間どころじゃなく、1公演で全部使い切るつもりでいきたいと思います。
――それは...大変ですね!
鈴木 それを毎公演やるっていうのが目標です。1日2公演あったら次のことももちろん考えなきゃいけないですけど、それでも全部使い切りたいなと思ってますね。
――川栄さんはいかがですか?
川栄 私もこの前初めて通して、本当に体力が持たないなって...。死にそうになって。今、鈴木さんが言ったうきはのシーンのあとなんかも、あずみは心もボロボロなんですけど、それ以上に殺陣がハンパなくて。もうちょっと体力つけなきゃなって思ってます。
鈴木 あずみは殺陣の量もすごいし、感情もすごく揺さぶられるので。殺陣が肉体だとしたら、精神の疲れもすごくくると思うんですよ。そのバランスの中でよく立ち続けられてるなって思います。"あずみとしている"っていう意味でもですけど、リアルな意味で舞台上で"立ってる"っていう状況すら難しいんじゃないかな、と。だから最後まで立って、しっかりカーテンコールまで出てるのはすごいなって感じます。
――最後にメッセージをお願いします。
鈴木 10年前にやった作品を現代に置き換えて、新しいものにしてお届けしようというつもりでみんな臨んでいます。ギリギリいっぱいまで時間をかけて、いい作品を作りたいと思っています。ぜひぜひ劇場でご覧ください。お待ちしています。
川栄 今回は戦国編ですが、時代劇って若い人は特に「どういうことなんだろう」ってわからない部分が多いと思うんです。でもこの作品はすごく人間味があって、若い人が観ても感じることがあると思います。ぜひいろんな人に観てほしいです。
公演は、11月27日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて。
------------------
■「あずみ~戦国編」
公演日程:2016年11月11日 (金) ~2016年11月27日 (日)
会場:Zeppブルーシアター六本木
原作:小山ゆう(「あずみ」小学館刊)
構成・演出:岡村俊一
出演:川栄李奈 鈴木拡樹/
早乙女友貴 小園凌央 斉藤秀翼 三村和敬/
山本 亨/
吉田智則 久保田創/
有森也実
星田英利 他
■2016年版『ミス・サイゴン』 vol.9■
イギリスの劇作家アラン・エイクボーンによって書かれた『扉の向こう側』(英題"Communicating Doors")が上演される。今回、このアラン・エイクボーンの原作をもとに、芦沢みどりが翻訳し、板垣恭一が上演台本・演出を手掛ける。
キャスト6名の紹介をしよう。
女優陣3名は、元宝塚歌劇団雪組のトップスターと娘役トップ経験者が揃った。
男役として、『ベルサイユのばら』で気品あるフェルゼンを、また退団公演『一夢庵風流記 前田慶次』の前田慶次を颯爽と演じた壮 一帆。宝塚退団後3作品目の今回は、なんとSMクイーンの役!「やっと女性らしい役が来たと思ったら、娼婦、しかもSMクイーン役とは!」と笑うが、「自分自身をどこまでさらけ出せるかが勝負。体当たりで挑みたいです」と、意気込む。