2019年大河ドラマを担う脚本家としても注目を集める宮藤官九郎。
作・演出・出演を務める大パルコ人③ステキロックオペラ『サンバイザー兄弟』大阪公演が、12月8日(木)~18日(日)まで森ノ宮ピロティホールで上演される。大人計画とパルコが共同プロデュースする人気シリーズ第3弾。アメリカ映画『ブルース・ブラザース』を下敷きに、2033年の池袋で歌のうまいヤクザ、サンバイザー兄弟(瑛太、増子直純)が巻き起こす愛と抗争の日々を描く。劇中には出演者によるバンド演奏も盛り込まれ、全編を上原子友康(怒髪天)の書き下ろし楽曲で綴るギャグ満載のオリジナル・ロックオペラだ。
年号が平成から「素敵」に替わり、その恩赦で刑務所から釈放されたヤクザの金目鯛次郎(増子直純)。出迎えた舎弟の小鰭光(瑛太)の隣には、すっかり大人になった一人娘ぬめり(清野菜名)の姿もあった。その足で組長に挨拶に向かった鯛次郎だが、組長からは組を息子に継がせ、鯛次郎には若頭を担うよう昇進を告げられる。暴排条例の影響で今や組は崩壊寸前。そうと知った鯛次郎は、光と共に組建て直しのため奔走するのだった......。
『ブルース・ブラザース』への憧憬に留まらず劇中には映画、テレビ、音楽など、様々なカルチャーの名作、名盤、スターへのオマージュがさりげなくも随所に散りばめられている。衣装や小道具、映像を使った演出は質感やデザイン、配色まで「もう絶対にこれしかない!」と思わせるこだわりぶりで、見せ場の大型セットに至っては原寸大で思いの丈がドドーン!と再現される。作家やキャストが作品を愛し、それをも上回るサービス精神で観客を楽しませようという思いが120%のパワーで溢れ出すから、観客もサンバイザーを被るくらいの勢いで参加して欲しい。その最たるものが出演者によるバンド演奏だろう。役を担ったままドラムの合図で鍵盤を叩き、喉を震わせ、弦をはじき管楽器を響かせる。真剣勝負な眼差しにキャストの素顔がチラリと垣間見え、その虚構とリアルのブレンド具合が何ともいえない高揚感を生み出していく。とどめに、本作では不甲斐ないヤクザに徹する本家本元、怒髪天のフロントマン増子直純がひとたびマイクを握れば、渾身の涙声と、殿堂入りの名曲にも似た艶歌で日本人の"哀愁DNA"を共鳴させる。まるで居間のこたつで紅白歌合戦を観るような気分。たったワンフレーズで、別次元の歌世界へと誘うカリスマ性は本物。加えて、今言ったすべてを内包しつつ、ひとつの物語へと集約させていく作家の力量にも舌を巻かずにはいられない。
冒頭から未体験の感性を奮い立たせ中盤にはメロウな歌声も披露する瑛太、マジか!な言動で周囲を翻弄する清野菜名、不動の女優オーラが見た目のインパクトを超えて作品に深みを与えるりょう、全方位見せ場尽くしな三宅弘城、鋭利なツッコミも痛快な少路勇介、存在自体が18禁な皆川猿時など。その他、宮藤を含むキャスト全員が意外性と持ち味を発揮している。
「たまたま芝居ができるミュージシャンとたまたま楽器ができる役者が一緒にやることで、"ちゃんとしてないもの"が生まれる。それが3作目にしてやっと」と事前の稽古場インタビューで語っていた宮藤。それも増子を筆頭にこの11人が集えばこその境地だろう。音楽って素晴らしい、演劇って面白い。そう手放しで絶賛したくなる、シリーズ史上最強の到達点がここに!
取材・文/石橋法子
撮影 引地信彦
【公演情報】
大パルコ人③ ステキロックオペラ「サンバイザー兄弟」
2016/12/8(木) ~ 2016/12/18(日) 森ノ宮ピロティホール
2016/12/21(水) ~ 2016/12/23(金・祝) 仙台サンプラザホール
長塚圭史初期の代表作『はたらくおとこ』12年ぶり再演!
12月2日(金)、3日(土)、松下IMPホールにて阿佐ヶ谷スパイダースPresents『はたらくおとこ』大阪公演が上演される。今年で結成20周年を迎えた阿佐ヶ谷スパイダースが、最も再演を望む声が多かった"暴走する男たちシリーズ"より、2004年初演の本作を12年ぶりに再演する。作・演出の長塚圭史にとって、初の全国9都市での上演を成功させ、複数の演劇賞を獲得した記念碑的作品。「青臭い反面、当時の自分からは『最近ちょっと考え過ぎるようになってない?』と言われてるような気もする」と40歳を迎えた長塚が、20代の自分と"タッグを組んだ"注目作だ。
北国の工場を舞台に、幻のリンゴ作りを夢見る5人の男とその家族を描いた物語。舞台には中央の壁を境に、右側に工場の事務所、左側に室内から続くトイレが奥にあり、手前には裏庭のような一角が広がっている。そこに、しんしんと音もなく雪が降り積もっていた。幻のリンゴ作りが頓挫し、残されたのは借金だけ。情熱があるのかないのか、男たちは事務所のストーブを取り囲み、やることと言えば机上の空論、あるいは他人へのダメ出しばかり。一向に状況は上向かない。そんなある日、地元の若い女が事務所にあるモノを持ち込んだことで、事態が一変する。事務所内の小競り合いは骨肉の兄弟喧嘩へと派生し、同時に地元女を巡る三角関係も勃発。気づけば農協からもマークされ、事務所を襲撃される事態に。冒頭から暴力的な場面の連続だが、衝撃度で言えば序の口。登場人物らはこの先、思いもよらぬ"ラスボス"とあいまみえることになる。そこで男たちがとった行動とは。そして明かされる、幻のリンゴ作りに秘められた真実とは......。
初演から紅一点の北浦愛をのぞき、奇跡的に初演メンバーが集結。舞台上では池田成志を筆頭に、魅力的な俳優陣が丁々発止の会話劇を繰り広げる。汗だくになりながらテンポ良く、危機的状況にも笑いを巻き起こす。とりわけ、中村まこと演じる工場長が追い詰められた末に見せる奇行の数々には、爆笑を禁じ得ない。しかし同時に、「喜劇はここまでだろう...」という一抹の不安もつきまとう。まるで巡ってきたジョーカーがいつ鎌を振り下ろすとも限らない、そんなヒリヒリとした緊張感を伴う演出は健在だ。作り込まれた美術や扇情的な音楽、手の込んだ仕掛けも多く、休憩なしの構成も観客の集中力を切らさない。役者の体温を皮膚感覚で感じられる小空間も功を奏し、贅沢な劇体験を約束してくれるはずだ。
長塚作品をどの時期で観始めたかによって、その印象は大きく異なるかもしれない。初演を観劇した人は今の自分にこの作品がどう響くのかも楽しみだろうし、2000年代から観始めた人には、彼の作品に対する見方が変わるかもしれない。いずれにせよ、小説のように何度も目にすることが難しい生の舞台において、名作を"読み返せる"絶好の機会となりそうだ。
(取材・文/石橋法子)
(撮影/引地信彦)
宝塚歌劇雪組公演 ミュージカル・ロマン『私立探偵ケイレブ・ハント』/ショーグルーヴ『Greatest HITS!』の東京公演が11月25日、東京宝塚劇場で開幕した。先ごろ退団を発表したトップスター早霧せいな主演作。『ルパン三世』『るろうに剣心』『ローマの休日』などを宝塚版として見事に舞台化してきた早霧率いる雪組にとっては、久しぶりのオリジナル作品2本立てだ。
『私立探偵ケイレブ・ハント』は20世紀半ばのロサンゼルスを舞台に、探偵事務所の所長ケイレブと仲間たちが追うとある事件を、ケイレブとその恋人イヴォンヌの大人の恋愛を絡めながら描く物語。ハードボイルドな作風を得意とする正塚晴彦の作・演出らしい、カッコよく洒脱な空気感を、雪組のメンバーが巧みに醸しだす。中でもやはりケイレブを演じる早霧と、イヴォンヌに扮するトップ娘役・咲妃みゆのカップルがいい。雪組主演コンビに就いてから2年がたつ今でもフレッシュで微笑ましいトップコンビだが、今回はいつになく大人カップルの魅力。正塚作品らしいキザなセリフや掛け合いも、演技巧者のふたりらしくテンポよく魅せた。
続く『Greatest HITS!』は、クラシックからオールディーズまで、誰もが知る名曲で綴るショー。こちらも早霧のパッションや、トップコンビの息の合い具合にスポットが当てられ、そして個性豊かな雪組メンバーひとりひとりの個性が輝くスピーディで楽しい作品だ。どの瞬間も見どころだらけ、今の雪組の魅力が存分に発揮されている。中詰めではクリスマスメドレーもあり、今の季節にもぴったりだ。
おりしも開幕前日の11月24日には、東京では珍しい11月の雪となったが、雪を連れてやってきた雪組が12月末まで、東京の地を華やかに彩ってくれそうだ。
==ミュージカル・ロマン『私立探偵ケイレブ・ハント』==
■2016年版『ミス・サイゴン』 vol.10■
先週11月23日、2016年の『ミス・サイゴン』東京公演が幕を下ろしました。
1992年の初演以来25年目、この日時点の国内上演回数は1426回。
そのうち839回をエンジニア役として務め上げていた市村正親さんが、今期で作品を"卒業"されることが発表になっています。
その市村エンジニアの帝劇公演最終日でもあったこの日は、キャストの皆さんの熱演と、客席の熱気が入り混じり、素敵な劇場空間となっていました。
スペシャルなサプライズもあったこの日の特別カーテンコールのレポートをお届けします。
まずはトリプルキャストで頑張った小さな俳優、この日のタム(キムの息子)役は君塚瑠華ちゃん。
「おつかれさまでした。ありがとうございました。」
と可愛らしい声で(笹本さんのマイクを使って、かな?)ご挨拶です。
舞台「スルース」 写真左から西岡德馬、新納慎也
トニー賞受賞の推理劇「スルース~探偵~」が11月25日から新国立劇場で上演される。
本作品はアンソニー・シェーファーによって1970年に書かれたサスペンス。ロンドンとニューヨークでロングランを重ねたのち71年にはトニー賞演劇作品賞やエドガー賞を受賞。日本では1973年に劇団四季によって初演。1972年、2007年に映画化もされている傑作だ。
今回はパルコプロデュースによって、キャスト違いの2バージョンが作られる。 最初に上演されるのが、西岡德馬×新納慎也バージョン。もう一つは、西岡德馬×音尾琢真というバージョンだ。
本日、西岡德馬と新納慎也によるバージョンのゲネプロが報道向けに公開された。動画はそのワンシーンを切り抜いたもの。【動画1分】
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
演劇×音楽の人気シリーズ第3弾、豪華キャストの意外な一面を大放出!!
絶賛ツアー開幕中の『サンバイザー兄弟』より、作家と出演者のインタビューを前後編でお届けするスペシャル企画。後編はりょうさん、三宅弘城さん、そして宮藤官九郎さんの3人をお迎えし、アメリカ映画『ブルース・ブラザース』に触発されたという最新作『サンバイザー兄弟』への意気込みを伺いました。そこで明かされたりょうさんの20年越しの思い、三宅さんが挑む初めてのアレとは......。想像力をフル稼働しても追い付かない宮藤ワールドの一端に触れ、いよいよ本番が待ちきれなくなるはずです!
「ありそうでなかった素っ裸のボクサー役。そこは冒険です」(三宅)
--それぞれの役どころから教えてください。
宮藤 「りょうさんは極妻です。『ブルース・ブラザース』も、ジェイクが意味なく謎の女に追いかけられていて、あれがすごい好きなんですよね。悪役は女の人がいいなと思って、ヤクザなので極妻。しかも役の触れ幅が大きいほど面白いので、出演がりょうさんに決まってから色々と設定を足しました。煩悩が一杯ある役です。」
りょう 「清野菜名ちゃんが、凄く自分に近い役だったそうで、みんなも「そうだよね~」という感じなんですけど、私はすごい誤解されてるなと(笑)。」
宮藤 「でしょうね(笑)。」
三宅 「でもいるよね、ヤクザから神父さんになる人とかね。」
宮藤 「実際に極道の妻から弁護士になった女の人とか、参考にしました。見た目は普通なのに入れ墨があるんですよね。本当の性格はどちらなんだろうなとか。」
--三宅さんや、宮藤さんの役柄は?
宮藤 「三宅さんはボクサー役。昔のギャング映画やちょっといかがわしい話には、必ずと言っていほど賭けボクシングの場面が出てくるんですよ、だいたい絡んでくる。三宅さんがボクシングをやってたことは知っていたので、それは使えるだろうと。」
三宅 「今回は、僕のせいで物語が始まるんですよね(苦笑)。」
宮藤 「僕はホステス役だったり。まだうろ覚えなので本番で迷惑かけないように、新人のような気持ちでやってます。」
--りょうさんは、念願の宮藤作品初出演ですね。
りょう 「官九郎さん、大好きです! 稽古では、今までに経験したことのないような瞬発力を求められるというか。普通はもうちょっと役について固められるんですけど。何が起こるか分からない、本当にライブだなと。」
--その場合、どこを頼りに役作りを?
りょう 「官九郎さんに言われたことをやろうと。皆川(猿時)さんと一緒の時に、さらにライブ感が上がりますので。」
宮藤 「一人野放しの人がいるので(笑)。皆川さんはラッパー役。彼と絡むとどうしてもライブになってしまう。でも、りょうさんはまだ固まってる方ですけどね。」
りょう 「どこか1本筋を通そうと思うんですけど、それが叶わない。それはいらないんだなと思うんですけど、難しいですね。」
宮藤 「岩下志麻さんみたいに最後までビシッとやったり、色んな役を演じてもらうよりは、あえて一つの役の中でブレてる方が面白そうだなと思って。書いてくうちにシフトしました(笑)。」
りょう 「強い時もあるし女っぽい弱さもある。今は、その瞬間瞬間でイキイキやっていれば、ヒールなんですけど結構愛おしく感じるかなと。思いっきりやってます。」
--三宅さんはボクサー役ということで、役作りのポイントは?
三宅 「髪の毛ですかね。後ろ長くして、横刈ってみたいな。」
宮藤 「辰吉(丈一郎)の感じで。あとは肉体美ですよね。ボクサーなのでほとんど脱いでます。」
三宅 「前作『高校中パニック! 小激突!!』での客いじりもそうですが、宮藤さんとは付き合いが長いんですけど、意外と初めてのことをやらせて頂けるので。今回も今までやってそうでやってなかった素っ裸っていう、そこは冒険です。」
--りょうさんは、ピアノ演奏にも挑戦されるとか。
宮藤 「2曲弾いて頂きます。1曲を2回弾くので3曲ですね。もともと1曲の約束だったのが、後から1曲足しちゃったんですよ。それは申し訳なかったなと。」
りょう 「大丈夫です。最初の1曲は1ヶ月ぐらい前から毎日1、2時間練習して、なんとか弾けるようになったんですけど。2曲目の練習を始めたら最初の曲を忘れてしまって、「全然弾けない!」と慌てた時期もありましたが、今は落ち着いてきました。」
三宅 「安心して聴いていられますけどね。弾き方がカッコいいんですよ。」
りょう 「足を広げて体全体でリズムをとりながらじゃないと、弾けないんですよ。そうしたら足の前に幕ができました。」
宮藤 「思いきり弾いて頂くために。基本、和装なので(笑)。」
演劇×音楽の人気シリーズ第3弾、豪華キャストが池袋の中心で浪花節を叫ぶ!?
絶賛ツアー開幕中の『サンバイザー兄弟』より、作家と出演者のインタビューを前後編でお届けするスペシャル企画。前編は作・演出・出演の宮藤官九郎さんが登場。本作の見所から創作に対する真摯な考えを、丁寧な語り口で明かしてくれました。結果、「みんなが宮藤さんみたいな考えなら良いのに!」と心がほんわかする事態に。ステキロックオペラに込められた作家・宮藤官九郎のリアルに迫ります。
「役者でありつつ演奏もする。
その曖昧な感じが、ありそうでなかった」
--大阪では先日、脚本を手掛けられた劇団☆新感線SHINKANSEN☆RX『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』(以下、『VBB』)が大盛況のうちに千秋楽を迎えました。あの作品にもヤクザが登場しましたが、『サンバイザー兄弟』もヤクザ兄弟のお話ですね。
『VBB』は演出のいのうえさんから吸血鬼というお題を頂いていたので、「血」というところからヤクザの「血を分けた兄弟」みたいなことに繋げたんですけど。『サンバイザー兄弟』はわりとちゃんとした理由みたいなものがあって。『ブルース・ブラザース』(アメリカ映画)の主人公や音楽を、未来の東京に置き換えたら、現代で言うヤクザであり、音楽も、演歌や浪花節がしっくりくるんじゃないかと。今回、音楽を怒髪天(日本のロックバンド)の上原子友康さんにお願いしたこともあり、怒髪天の歌世界が任侠っぽい「男」というものがテーマにもなっていたので。それぞれ別の理由ですが、どちらもヤクザものになりました。
--今のところ、思惑通りの仕上がりですか。
そうですね。それは作劇的な着眼点というよりは、怒髪天さんの音楽がより『ブルース・ブラザース』に通じるものがあったというか。僕の手柄というよりは、音楽的な部分が大きいと思います。やっぱり、友康さんがちゃんと元ネタを咀嚼して曲を作ってきて下さったことと、増子(怒髪天のボーカル)さんの歌の説得力というのが、このお芝居には不可欠なので。稽古場で歌を聴いているだけで、そんな気がしてくる。二人にお願いして良かったなと、日々思っていますね。
--増子直純さんと言えば、今回初舞台にして瑛太さんと主演のヤクザ兄弟を演じることでも注目を集めています。
ミュージシャンとしてライブでステージに立ち続けているので、初舞台はあんまり関係ないですね。やっぱりステージ上では完全な素ではないし、歌いながら演じていると思うので。稽古場で我々と普通に演じている姿を見ると、「ずっとやってきた人みたいだな」って思います。それぐらい堂々と演技している。凄いなって。今回の作品は増子さんのステージングを見て影響された部分もあるので。ご本人は「やりやすいように書いてもらった」って思うかもしれないですけど、僕も増子さんと出会わなければ、こういう役を書いていなかったと思います。
--シリーズ第2弾のバカロックオペラバカ『高校中パニック!小激突!!』では、氣志團の綾小路翔さんがご出演されました。何か共通点はありますか?
前回の翔もそうだったんですけど、普段フロントにいる人は、周りが自分に合わせるのが当たり前という中でやっているので、芝居の間の取り方とかが、すごい独特なんですよね。ボーカリストって、人に合わせないんだなって。二人とも「自分の気持ちいいようにやっていたら、今までは周りが合わせてくれてたんだな」と言っていたので、やっぱりそうなんだと(笑)。すぐに台詞を言わないから、芝居は止まってるけど、増子さんの中では成立してるんだろうなとか。そこが面白いですよね。
--その場合、演出というのは...。
早く言ってくださいとは言うんですけど。本人が言わなければ、まあ、いいかと(笑)。そこが埋まらないから、やっぱり役者って難しいところなんですけど。今回はサンバイザーブラザーズがコンサートをする場面があるので、結構増子さんが歌われる場面が多いんですよ。歌でかなりの動きを表現しているので、「台詞が付いているライブ」というぐらい自由にやってくれたらいいなと思っています。
--バンド演奏や歌という面では、役者さんも初挑戦な部分が多いのでは?
そうなんですよ。りょうさんもピアノを練習してくれたり、瑛太くんは歌を歌います。ミュージシャンの方が演奏して我々は芝居に専念した方が、クオリティは高いのかもしれない。でも、役者が演奏すると独特な空気やムードが生まれるんですよね。自分たちで演奏することで、芝居も変わってくるし。全部自分たちでやる"DIY精神"というか。たまたま芝居ができるミュージシャンと、たまたま楽器ができる役者が一緒にやることで、"ちゃんとしてないもの"が生まれる。それが3作目にしてやっと。役者でありつつ演奏もする、その曖昧な感じがありそうでなかったんじゃないかな。
--今回は、出演者全員が歌を歌うか楽器を演奏し、それぞれに見せ場があるんですね。
そうですね。そういう意味でもすごく達者な人たちに見えるかもしれないですけど、無理してやってもらってますから(笑)。役を演じながら演奏するからなのか、すごく演奏にも気持ちが入ってる。僕はそこが凄くいいなと思います。
舞台「スマイルマーメイド」 左から出演者の吉田メタル、蒼井翔太、加藤清史郎
蒼井翔太が人魚姫を演じることで話題の舞台「スマイルマーメイド」の稽古場で出演者の蒼井翔太、加藤清史郎、吉田メタルにインタビュー取材した。
舞台「スマイルマーメイド~The Smile Mermaid~」は、声優・俳優として活躍する蒼井翔太の主演舞台。加藤清史郎、原田優一、D-BOYSの荒木宏文、宮城紘大、唐橋充、劇団☆新感線の吉田メタル、秋本奈緒美などが出演する。
人魚姫を題材としながらも、良く知られている従来の作品とは異なるストーリーになるのだとか。
本作の魅力について主演の蒼井翔太、加藤清史郎、吉田メタルにインタビュー取材してきた。蒼井翔太の透き通るような歌声も少しだけお聞きください。【動画3分】
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
劇団☆新感線の高田聖子が主宰を務める月影番外地の次回公演「どどめ雪」の稽古場に潜入し、本作で四姉妹を演じる高田聖子、峯村リエ、内田慈、藤田記子にインタビュー取材した。
月影番外地「どどめ雪」 左から峯村リエ、高田聖子、内田慈、藤田記子
月影番外地は劇団☆新感線の高田聖子の演劇ユニット。前々回「くじけまみれ」、前回「つんざき行路、されるがまま」に続いて作は福原充則、演出は木野花が手掛ける。
前作の「つんざき・・・」は妻が口笛だったり、音が重要な要素だったが、今回は「どどめ雪」。どうやら「細雪」のような四姉妹の話だというが、
「どどめ色」+「細雪」=???
果たしてどんな色の雪なのか全く想像がつかないが、そのあたりのことも含めて、四姉妹を演じる高田聖子、峯村リエ、内田慈、藤田記子にインタビュー取材した。【動画4分】
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
12月に開幕する、劇団四季の海外新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』。
1996年に公開されたディズニー長編アニメーションに基き、2014年にアメリカで開幕したミュージカルの、日本初演です。
劇団四季では今までにも数多くディズニーミュージカルを上演していますが、今回はアニメ映画でお馴染みの楽曲なども使われますがそのストレートな舞台化ではなく、ヴィクトル・ユゴーの原作小説を最重視し、作ったミュージカル。
アニメでは描かれなかったシビアでシリアスな面も描かれた、大人のための演劇作品になっています。
11月24日、その稽古場取材会が開催されました。
その模様をレポートします。
物語は15世紀末のパリが舞台。
街の中心に存在するノートルダム大聖堂の鐘突き塔に住んでいる、カジモドという名の鐘突きは、その容貌からこの塔に閉じ込められて、外の世界と隔離されている。
友と言えば、何故か彼を前にした時に生命を宿す石像(ガーゴイル)と、鐘だけ。彼は塔の上から町を眺め、いつも自由になることを夢見ていた...。
稽古場で披露されたのは3つのシーン。
まずは主人公・カジモドが外の世界への憧れを歌うナンバー『陽ざしの中へ』。
日本では『僕の願い』というタイトルで親しまれている、作品を代表するナンバーですね。
カジモド役候補・海宝直人さん。
この物語、原題は『The Hunchback of Notre Dame』となっているとおり、カジモドはHunchback(せむし男と訳されることが多い)という外見的特徴を持っています。
登場した海宝さんを見て、正直なところ「よくこの演技をしながら歌えるな...!」と思ってしまいました。
身体の使い方も、声の出し方も普段とは違っています。
海宝さん、熱演。