11月11日(金)に開幕した舞台「あずみ~戦国編」。
大人気漫画『あずみ』(作:小山ゆう)が原作で、
昨年9月に川栄さん主演で上演された舞台「AZUMI~幕末編」の前作にあたる「戦国編」が今回の物語。
舞台では10年ぶりのリメイクとなります。
刺客として育てられた少女・あずみを演じる主演の川栄李奈さん、あずみの幼馴染で同じく刺客のうきはを演じる鈴木拡樹さんに稽古場でのお話を聞かせてもらいました!
――稽古に入っていかがでしたか?
川栄 殺陣が本当に多くて......大変です(笑)。
――会見では岡村さんが1.5倍とおっしゃってましたが。
川栄 そうですね。誰かを斬った直後にも結構たくさんあるので、やってて悲しくなるような場面も多くて。
――殺陣の量も多いけど、心の負荷も大きいということでしょうか?
川栄 はい。誰かを斬って心が辛いままで大量の殺陣をやるのは...通してみたら大変でした。
――鈴木さんは稽古場に入ってみていかがですか?
鈴木 僕は少し遅れて参加したんですけど、参加したときにはもう完成していて、それに衝撃を受けました。でも、ということはがんばって追いついたら何回も通しができる。そしたらいろいろなことが発見できるのかなって思って。
川栄 鈴木さんはまだ一週間も経ってないですよね、稽古に入って。でも1日で殺陣をほとんど入れて...。
――1日で!?
鈴木 いや、1日では覚えられないです(笑)。
川栄 でも覚えるの、すごく早かったです。びっくりしました。もう通せる状態なんですよ。私、鈴木さんよりも前に稽古に入ったのに全然台詞入ってなかったので(笑)。「やばい、やんなきゃ」って思いました。
鈴木 「楽しいな」って感じてるから、覚えるのも早くできるところはあるのかもしれないです。
――川栄さんは2度目のあずみ役ですけど、岡村さんの演出はいかがですか?
川栄 岡村さんは台本に書いてない気持ちを私にわかりやすいように教えてくれます。やっていて「どういうことなんだろう?」って部分があってもわかるように説明してくれるので、やりやすいです、とっても。
――「どういうことなんだろう?」というのはどんな部分に思うんですか?
川栄 あずみには、斬りたくないっていう気持ちと、でも使命のためには斬らなきゃいけないって気持ちがあって。このシーンではどっちのほうが大きいんだろうとか...そういう部分ですね。
――鈴木さんは岡村さんの演出は初めてですが、受けてみてどうですか?
鈴木 感情の流れも細かく追ってくれますし、近いニュアンスで演じている部分でも、一言アドバイスをもらうことで「同じ気持ちでやっていても見え方として違うんだ」ということに気付けたりします。そういう繊細な部分をどんどん探っていける環境なのかなって感じています。
――うきは役として求められていることってありますか?
鈴木 あずみへの接し方として、"お兄さん的なやさしさ"に近いものを出してくれって言われていて。そこが課題です。それを稽古の中で掴んでいけたら、もう一段階この舞台にふさわしいうきはっていう役が見えてくるのかなって感じています。
――お兄さん的なやさしさって?
鈴木 僕が末っ子っていうのもあって、自分にはあんまりない感覚なんですよ。でも、逆に言うとそうしてもらったことはあるので「どういうことをしてくれてたんだっけ?」って思い返してます。今はまだ出せてないと思うんですよね。
川栄 いやでもお芝居していても感じますよ!
――鈴木さんから見た稽古場の川栄さんってどんな方ですか?
鈴木 ついていきたくなる座長だなっていう風に感じていますし、そこは共演してるメンバーも同意見だと思います。あと一つ感じたのは、もし本当に川栄さんが戦国時代に生きてたら、実際めちゃくちゃ強いんだろうなって(笑)。それは殺陣だけじゃなくて、考え方とか。切れ者だなって思うんですよね。いろんなところを見てる。だから戦場でも広く見渡せるだろうし、殺陣のスキルとか見てても、これ実際に強いんだろうなって。
――いけそうですか?
川栄 すぐ殺されます(笑)。
鈴木 あと、独特なところに笑いのツボを持ってる。一人でずっと大笑いしてるんですよ。
川栄 すぐ笑っちゃうんです。
鈴木 (劇中の)桟敷三兄弟のシーンがお気に入りなんですよね?
川栄 お気に入りです。笑っちゃう...つまんなくても面白くなっちゃう(笑)。
――ほかにも楽しいシーンはありますか?
川栄 (飛猿役の)星田(英利)さんが毎回無茶ぶりをしてくるんですけど、冷や汗かきながら稽古してます(笑)。「本番はもっと無茶ぶりするから」って言われてて、怖いですけど楽しいです。
鈴木 僕も星田さんと絡むシーンが少しあるので、そういうところのやり取りを楽しめたらいいなと思います。あとは加藤清正のちょんまげが取れるときの音も大好きです(笑)。
川栄 ポンッていう(笑)。好きですね、あの音は。
鈴木 気落ちいいんですよね。
川栄 きれいな音が出ますもんね(笑)。
鈴木 何度かありますので、楽しみにしててください。
――楽しそうなカンパニーですが、稽古場はどんな雰囲気ですか?
川栄 みんな集中するときはガーッと集中して、団結してやってるって感じはありますね。
鈴木 僕は今(遅れを)取り返すしかないのでもくもくとやっているところで、まだ座組の感覚も深くはわかってないかもしれないですけど、和気藹々とした部分もありながら、お芝居に関しては俳優同士でも「こうした方がいいんじゃないか」「ああした方がいいいんじゃないか」って言ってくださったりもして。そうやって話してすぐ試してみたりもしますし。だから他の現場よりも一段階、グループ芝居の打ち合わせは綿密にできてるんじゃないかなって思います。
――今、稽古で挑戦しようとしていることはありますか?
鈴木 僕は2幕の頭に見せ所、一番パートの多い殺陣のシーンがあるんですけど、そこはもうボロボロでもいいので駆け抜けきりたいという目標があります。
――公演期間を駆け抜けるということ?
鈴木 期間どころじゃなく、1公演で全部使い切るつもりでいきたいと思います。
――それは...大変ですね!
鈴木 それを毎公演やるっていうのが目標です。1日2公演あったら次のことももちろん考えなきゃいけないですけど、それでも全部使い切りたいなと思ってますね。
――川栄さんはいかがですか?
川栄 私もこの前初めて通して、本当に体力が持たないなって...。死にそうになって。今、鈴木さんが言ったうきはのシーンのあとなんかも、あずみは心もボロボロなんですけど、それ以上に殺陣がハンパなくて。もうちょっと体力つけなきゃなって思ってます。
鈴木 あずみは殺陣の量もすごいし、感情もすごく揺さぶられるので。殺陣が肉体だとしたら、精神の疲れもすごくくると思うんですよ。そのバランスの中でよく立ち続けられてるなって思います。"あずみとしている"っていう意味でもですけど、リアルな意味で舞台上で"立ってる"っていう状況すら難しいんじゃないかな、と。だから最後まで立って、しっかりカーテンコールまで出てるのはすごいなって感じます。
――最後にメッセージをお願いします。
鈴木 10年前にやった作品を現代に置き換えて、新しいものにしてお届けしようというつもりでみんな臨んでいます。ギリギリいっぱいまで時間をかけて、いい作品を作りたいと思っています。ぜひぜひ劇場でご覧ください。お待ちしています。
川栄 今回は戦国編ですが、時代劇って若い人は特に「どういうことなんだろう」ってわからない部分が多いと思うんです。でもこの作品はすごく人間味があって、若い人が観ても感じることがあると思います。ぜひいろんな人に観てほしいです。
公演は、11月27日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて。
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■「あずみ~戦国編」
公演日程:2016年11月11日 (金) ~2016年11月27日 (日)
会場:Zeppブルーシアター六本木
原作:小山ゆう(「あずみ」小学館刊)
構成・演出:岡村俊一
出演:川栄李奈 鈴木拡樹/
早乙女友貴 小園凌央 斉藤秀翼 三村和敬/
山本 亨/
吉田智則 久保田創/
有森也実
星田英利 他