ピーチャム・カンパニーで演出をやってます川口典成です。
昨年に引き続き、フェスティバル/トーキョー公募プログラムに参加させていただきます。
たしか「最近興味を持っていること」というお題をいただいたので、そのようなことを書いてみようかと思います。
さいきん「感じる」とはなにか、ということを考えます。
いや、そうではなくて、「感じたことを話す」という行為について考えます。
たとえば、美術館や映画館にいって、作品を見て、「感じたことを話す」ということがあります。
そのときに、「感じたまま」をお互いに話す、というようなことが求められることがありますが、しかし、「感じたまま」とは何でしょうか。
そのフレーズに触発されている時点で、すでに「感じたまま」ではなくなっているのではないでしょうか。
そもそも「感じたまま」を言葉にすると、おそらくその美術館や映画館にいた時間と同じ時間か、多くの場合それ以上の時間がかかることは明白です。
「感じたまま」を話すことなど不可能です。
では「感じたことを話す」という行為は何をしているのでしょうか。
おそらく「感じる」という現象を説明しようというお互いの行為なのです。
どのような枠組みで自分が「感じた」のか(五感もあらゆる枠組みに規定されていることは言うまでもないことですが)、「感じた」現象そのものをを問う、ということなのだと思うのです。