■『アダムス・ファミリー』特別連載(1)■
印象的なBGMと妖しい出で立ち、ちょっと不気味でユニークな一家 "アダムス・ファミリー" 。
映画でもよく知られている彼らがブロードウェイでミュージカル化されたのは、2010年のこと。
日本では2014年に白井晃の演出で初演、ブラックな笑いとゴシックなテイストで描かれた "お化け一家の家族愛ミュージカル" は、大好評を博しました。
それもそのはず、脚本は『ジャージー・ボーイズ』などのマーシャル・ブリックマン&リック・エリス、作詞・作曲を手がけたのは『ビッグ・フィッシュ』などのアンドリュー・リッパという人気クリエイター。
さらに主人公であるゴメス(アダムス家のパパ)役の橋本さとしは、本作品で読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。
作品が元々持つミュージカルとしての良さに俳優のキャラクターがピタリと合った、最高のエンタテインメント作品になりました。
そのブロードウェイ・ミュージカル『アダムス・ファミリー』 が2017年、ふたたびやって来ます!
新キャストも迎え、2017年版はどんなステージになるのでしょうか...?
本番に向けいよいよ始動したその稽古場、"顔合わせ"と読み合わせ稽古を取材してきました。
"顔合わせ"は、稽古初盤に、キャスト、スタッフ一同が顔を揃える場です。 ここでは、関係者全員のご紹介とともに、演出の白井晃さんが意気込みを語りました。
「3年半ぶりの再演です。この作品を再演できるということが本当に嬉しく、皆さんのお顔を見ているとニヤニヤしてきますし、この作品ともう一度立ち向かえるんだと思うとニコニコしてきちゃう。それくらい、自分も楽しかった思い出です。懐かしい面々もいらっしゃいますし、新しいメンバーの皆さんも、新しい祖先の皆さん(作中、いわゆるアンサンブルの皆さんは、"アダムス家の祖先" という役どころで登場する)もいらっしゃいます。また新しい『アダムス・ファミリー』を、お客さんに提供できればと思っています。
この作品、舞台上で出演者は大変なんです。踊ったり、歌ったり、ものを動かしたり。でもそれを楽しんでやって頂きたい。こちらが苦しんで楽しんでこそ、お客さんに楽しんで頂けるものになると思っています。ラクしたら楽しんでもらえません。演じる側が苦しみながら楽しんで頂けるような作品に出来たらと思います」
白井さんは本作を上演するKAAT 神奈川芸術劇場の芸術監督ですが(2016年4月から。2014年4月からは芸術参与を務めていた)「実は3年前にここに来て、一番最初に上演した自分の演出作品が、『アダムス・ファミリー』なんです。そういう意味でも思い入れがある作品で、この劇場で上演してもらえることを楽しみにしています」といったお話も。
さて、顔合わせの日は、まだ歌稽古だったようですが、後日、読み合わせ稽古も取材してきました!
これは、台本をアタマから最後まで読み合わせていく作業です。
キャストの皆さん、まだ椅子に座った状態ですが、セリフだけでなく歌も入り、作品が本格的に動き出した感!
アダムス家のパパ・ゴメスは、橋本さとしさん。
初演でも、胡散臭い存在感の中にも、妻と娘に弱い愛すべきパパっぷりが絶賛されていました。
この日も、妻と娘に挟まれてオロオロする姿、可愛らしかったです!
モーティシア(ママ)は映画でもその真っ白な顔色と無表情、そして抜群のプロポーションでインパクト大のキャラクターですが、今回はダブルキャスト!
まずは、初演時に、完璧なモーティシアを演じ新境地を拓いた真琴つばささん。
無表情なようで感情豊かなモーティシアを、茶目っ気たっぷりに真琴さんが演じています。
橋本ゴメスとの掛け合い? ...駆け引き? も、楽しい!
おふたり自身も、楽しそうによく笑っていらっしゃいます。
そして今回初参加、もうひとりのモーティシアが壮一帆さん。
端正な魅力の壮さんが、個性の塊のようなモーティシアをどう作り上げるのかも楽しみにしたいですね。
ゴメスとモーティシアとしては初顔合わせながら、共演の続く橋本さん&壮さん。
こちらも息の合った夫婦になりそうな...。