今をときめく若手俳優、吉沢亮が観る「フエルサブルータ」
世界初公開の巨大舞台装置"ウィンドトンネル"とは?
ーー「相当楽しかったし、かっこよかった」
そう語るのは映画『斉木楠雄のΨ難』や『銀魂』でも活躍していた吉沢亮。
端正な顔立ちで一見クールな表情の彼でも、興奮することがあるみたい。
そんな吉沢亮さんで観る「フエルサブルータ」をご紹介します。
今をときめく若手俳優、吉沢亮が観る「フエルサブルータ」
世界初公開の巨大舞台装置"ウィンドトンネル"とは?
ーー「相当楽しかったし、かっこよかった」
そう語るのは映画『斉木楠雄のΨ難』や『銀魂』でも活躍していた吉沢亮。
端正な顔立ちで一見クールな表情の彼でも、興奮することがあるみたい。
そんな吉沢亮さんで観る「フエルサブルータ」をご紹介します。
『レ・ミゼラブル』初代マリウス役や、『オペラ座の怪人』ラウル役で知られる英国ミュージカル界の大スター、マイルケル・ボール。世界が注目した『レ・ミゼラブル25周年記念コンサート』主役ジャン・バルジャン役で一躍スターダムへと駆け上がったアルフィー・ボー。間違いなく、世界最高峰の歌声を持つふたりのオジサマが共演を果たす、奇跡の初来日コンサート「マイケル・ボール&アルフィー・ボー トゥギャザー・ジャパン・ツアー2018」が2月、東京で開催される。ふたりにお互いの魅力から日本公演への期待まで、話を訊いた。
ふたりの出会いは2007年のミュージカル『キスメット』での共演。2016年には有名ミュージカルソングを収録した初共演アルバム『Together』をリリース。これはこの年リリースされた英国人アーティストのアルバムとして最大のヒットになった。ふたりのスゴイところは、ひとりでも素晴らしい歌声が重なると、その素晴らしさが10倍にも100倍にも輝くところ。アルフィーはこう語る。「私たちの声は非常にうまく合うんです。お互いに引き立たせることができる。重要なのはチームワークで、私たちは競争をしたりはしないんです。......マイケルはいつも私の気を散らそうとはするけれどね(笑)。最初は、仲の良いふたりが一緒になって歌い、ショーをやるという、ただ本当に楽しもうと始めたプロジェクトだったんです。それがだんだん大きくなって、我々が予想していた以上に凄いことになってしまいました」。
「音楽劇『夜曲』nocturn」が、12月14日(木)から18日(月)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスで上演されます。
本作は、1986年に初演された扉座・横内謙介氏の戯曲「夜曲 放火魔ツトムの優しい夜」を、新たに音楽劇として立ち上げるもの。今回、脚色を岡本貴也氏、演出を西田大輔氏、音楽をYOSHIZUMI氏が手掛けます。
果たしてどんな作品になるのか......ということで稽古初日に原作の横内謙介さん、演出の西田大輔さん、主人公の放火魔・ツトムを演じる川村陽介さん、ツトムに放火を依頼する謎の少女・サヨを案じる井上小百合(乃木坂46)さんを直撃! 初日に感じた手応えや今回の音楽劇へのアレンジ、原作の誕生秘話もうかがってきました。
*****
「なぜこの物語が生まれたか」
――今日は稽古初日ということで本読みをされたそうですが、いかがでしたか?
井上 ひとりで台本を読んだときにはあまり整理がつかなくて。自分で答えあわせをしようとがんばったんですけど、今日みんなで読んでみて、それは必要なかったんだなと思いました。皆さんとも話したのですが「わからなくていいんだな」って。
川村 不思議な題材だもんね。
井上 はい。だからそれをどう体験してもらうか、楽しんでもらうかっていうのを考えるほうが大事かなって。自分の中のサヨちゃん像も考えたんですけど、皆さんとやっていく中でそれがわかっていくのかもと思いましたね。
川村 僕もひとりで読んでいるときは、わからない部分が散りばめられていて整理がついてなかったんですよ。でも今日、みんなで本読みをしたときに「なるほどね!」って腑に落ちた感じがすごくたくさんあって。それって今まであまり感じたことなかった感覚というか。周りに身を任せることで楽しくなるような...。家で考えていたのとは全く違う風に喋ってる自分もいましたし。それでもう「宿題として考えてくるのはやめます」って勝手に決めました(笑)。
――身を任せることで楽しくなるというのはどういう感じなんでしょうか。
川村 自分勝手な登場人物たちが集まっているので、そもそも道理が通ってないことが多いんですよ。そのぶん頭で考えるんじゃなくて心で感じてもらえるようなものを僕らがつくって、それで「どうですか」ってやれたら、きっと成功なんだろうなと実感した、という感じです。
――横内さんも本読みに参加されたそうですが、どうでしたか?
横内 いい感じだったよ。まだ音楽を聴いてないからわからない部分もあるけど、そこは楽しみでもあるし。
――ラブストーリー感が強まっているそうですね。
横内 確かに今なら僕も多分そこをもうちょっと書こうとするんじゃないかなって思う。これ、もともと自分ではラブストーリーだと思ってなかった。初演を上演して気付いたことで。ツトムは六角精児、サヨちゃんは中原三千代でやってたんだけど、あるシーンでふたりが手を握って泣いてて「あれ!?」って。「中原美千代、ヒロインになってやがる」ってびっくりしたんだよ(笑)。そうやって役者が気付かせてくれた部分だったからね。
――西田さんはこの作品をどういう風につくりたいと思っていますか?
西田 横内先生の脚本を読み返して、改めて今の時代とリンクしてると思ったんですよね。横内先生はこれからなにが起こっていくかを考えてらっしゃったのかなと思ったりもしたんですけど。
横内 全然考えてない(笑)。
西田 (笑)。でも僕は自分のことを(ツトムのような)"ならず者"だと思っているので、「なぜこの物語が生まれたのか」みたいなことは、ふたりと共に探りたくて。そういうことを考える機会でもあるのかなと思っています。
――横内さんはご自身が書かれた本が、こうやって新しい世代によって上演されることにはどう感じていますか?
横内 今日の読み合わせを聞いていて、我ながら「つたない言葉だな」と思う台詞もあって。自分でやるとおそらく整理しちゃうと思うんですよ。でもそれが残っちゃってるところが、恥ずかしくもありよかった部分もあるのかなって思いながら聞いてた。「今だったらもっとすっきり上手にまとめるんだけどな」って思いつつも「でももしかしたらあのとき自分たちがやってる芝居には合ってたのかな」とかね。
――当時の空気がそのまま残っているのですね。
横内 この当時の自分は本当に手探りでいっぱいいっぱいだったから、傷跡も生々しいくらいで。あのときこの作品をやったから今こうなってるんだよなって部分がいっぱい見えますね。
――ちなみにこの戯曲はどういう風に書かれたのですか?
横内 僕は高校時代につかこうへいさんの芝居を観て「すごい!」と思って、台本を真似し始めたのね。それで高校演劇とかで褒められて、ずっと演劇をやることになるんですけど。つかこうへいさんの文体ってすごい強烈なので、真似し始めるとずっと真似になっちゃって。この作品を書いたときは、それがどうしたら変えられるかと考えている頃だった。それで古典...歌舞伎とかシェイクスピアとかに「これも演劇じゃん」って改めて気付いて。
ちょうど花組芝居の加納幸和さんと知り合ったこともあったんだけど。ネオ歌舞伎をやられている方だから。初演は加納さんに黒百合役で出てもらって、そこでいろんなことを教えてもらって。そういうことがこの作品には影響してる。"お話"がつくりたかったんだよね。その時代の流行りの演劇はストーリーがなかったから。自分にとっても転機になるように書いた作品です。
この時代に『夜曲』をやるうえでの変化
――横内さんは今回の上演に対して「こうあってほしい」というものがあったりしますか?
横内 さっき思ったことで、この初演のころにも得体の知れない事件ってあったんだけど、その頃は「特殊なもの」として社会的に排除されていた気がしていて。でもそのあと、宮崎勤っていう犯罪者が出てくるんですよ。それも「ツトム」で僕はハッとしたものがあった。
西田 宮崎勤って知ってる?
川村・井上 知らないです。
西田 宮崎勤の「連続幼女誘拐殺人事件」っていうのがあって、あれからいろんなことが始まったんですよね。
横内 そこから幻想と現実みたいなものがごっちゃになり始めて。それ以前は、そういう事件は「特殊なもの」として進んでたんだけど、宮崎勤の事件からみんながそこで立ち止まり始めたんだよね。知識人とか時代を読み解こうとする人が、宮崎勤に寄り添うような考えを提示したりして。それで初演の頃はツトムを"排除される者"として、見るからに危なそうな(笑)六角精児を使ってたんだけど。
彼(川村)みたいないい男がやると、より現代の孤独感とか満たされてないものとかが表現される可能性がある。そこにこの31年で生まれた別の展開が見られたりするんじゃないかって。そしてサヨを最先端のアイドルグループに所属する彼女(井上)がやることで、今日性とかが出るといいなって思う。
――おふたりは、この戯曲をやることをどういう風に感じていますか?
井上 不思議な縁だなと思っています。初演されたときには私、生まれてなかったので。でも今言われたように、この時代に私が演じる意味があるのなら、そこが伝わればいいなと思って頑張ろうと思います。
――サヨという役について感じていることはありますか?
井上 最初、この戯曲を読んだときにツトムだけが「蚊帳の外」だと思ってたんですよ。でもみんな蚊帳の外なのかもしれないなって思って。それぞれみんな孤独を抱えてるし、みんな違うし。なんかそういうことなのかなと思ったりしました。
――川村さんはどうでしょうか?
川村 やっぱり昔から受け継がれている作品で、ツトムっていう主人公をやらせてもらうプレッシャーはまだあります。でも今のこの2017年にやる『夜曲』のツトムとしては、素直にみんなに身を委ねて、みんなに影響されて、舞台で生きていければいいのかなとは感じていて。ただすごく綺麗な言葉の戯曲なので、その言葉は一つひとつ大切に言っていきたいなと思います。
――先ほど言われたツトム像みたいなところはどう感じられますか?
川村 なかなかの犯罪じゃないですか、放火って。だからその火をつけてしまう狂気っていうのは必要で、普通に喋ってるときとかの瞬間瞬間に「なんか火つけそう」「なんか気持ち悪い」「なんか嫌、この人」っていうのを観てる人に感じさせられたら、みたいなことは思っていますね。でも本当にまだこれからって感じです。
――西田さんが川村さんと井上さんに期待されている部分ってどんなところですか?
西田 ふたりは年齢が一回り離れてるのですが、そうなるとやっぱり生きてきた時代がちょっと違っていて。感覚も違うんですよね。だから同じ言葉を言っても受け取り方が違うし、そんなふたりの掛け合いっていうだけで面白いことがたくさんあるんですよ。もちろん僕が「こういう風にしたい」っていうことはあるんですけど、同時にわからないことを一緒に探っていきたいなと思っていて。今回、今までの『夜曲』とは絶対に違うものになるんですけど、「ほお」と思ってもらえる瞬間をふたりとつくりたいです。まずはその一個目を探したいですね。
――最後に主演の川村さんから読者への一言をお願いします。
川村 30年前の作品を、ちゃんと年月を経て「今回の『夜曲』もよかったね」と言ってもらえるように、これから稽古をがんばっていきます。この作品はとても不思議な空気があって、だからこそ「なんかいいよな」っていうのは劇場に来てもらわないとわからないと思うので。ぜひ劇場でご覧ください!
**********
音楽劇「夜曲」nocturn
2017年12月14日(木)~12月18日(月)
東京芸術劇場 プレイハウス
【原作】「夜曲 放火魔ツトムの優しい夜」(横内謙介:扉座)
【脚色】岡本貴也
【演出】西田大輔
【音楽】YOSHIZUMI
【出演】川村陽介 谷内伸也(Lead) 井上小百合(乃木坂46) 姜暢雄 KENTARO
蒼乃夕妃 法月康平 有澤樟太郎 山崎裕太 橋本全一 瀬尾卓也 藤田玲 山下容莉枝 ほか
2010年のトニー賞で作品賞を含む4冠を達成したミュージカル『メンフィス』。実在のラジオDJ、デューイ・フィリップスの半生をモチーフに、人種差別が根強く残る1950年代のアメリカ南部の街メンフィスで、黒人音楽を世に広めようとした白人DJ、ヒューイ(山本耕史さん)と黒人シンガー、フェリシア(濱田めぐみさん)の切ない恋をつづります。
2015年の初演に続き、フェリシアの兄でナイトクラブの経営者デルレイをジェロさんが演じ、デルレイの店のバーテンダー、ゲーター役の米倉利紀さん、ラジオ局で掃除夫を務めるボビー役の伊礼彼方さんが新加入しました。11月2日に行われた制作発表会見の後、3人にお話を伺いました。
――本日の会見には一般のお客様もいらっしゃっていました。開幕までまだ少しありますが、実際にお客様を前に歌ってみた感想は?
ジェロ 一緒に歌ってくださっていたお客様が何人か見えました。
伊礼 手拍子もしてくださったりね。
ジェロ うん。皆さんが『メンフィス』の再演を楽しみに待ってくださっているんだと実感が湧いてきて、すごくうれしかったです。
伊礼 ほんと。期待を感じたので、本番に向けてますます頑張りたいと思います。
米倉 僕は、ここまでお稽古を積んできたことを大切にソロの部分も共演の皆さんと合わせる部分も登場人物の心情をしっかり意識しながら歌えたかなと思っています。その心情も今後のお稽古次第で変わっていくと思うので、本番に向け、ここから新たに進んでいくんだ!と感じた制作発表でした。
2010年トニー賞では、作品賞を含む4部門を受賞。
2015年の日本初演も連日スタンディングオベーションとなった熱狂のミュージカル『メンフィス』がふたたびやってきます!
物語は、1950年代のアメリカ・メンフィスで、当時タブーとされていた黒人音楽であるブルースを、ラジオやTV番組で紹介した実在の白人ラジオDJデューイ・フィリップス(このミュージカルではヒューイ・カルフーン)の半生をモデルに描いたもの。
人種の壁、人種差別といった当時のアメリカ社会をとりまく問題とともに、その壁を乗り越え愛し合う男女の姿が描かれる作品です。
ボン・ジョヴィのデヴィッド・ブライアンが手がけたソウルフルな音楽も、人気の要因のひとつ。
2015年の日本初演版は主人公のヒューイを山本耕史、ヒューイが恋する黒人シンガー・フェリシアを濱田めぐみが演じ、大好評を得ましたが、今年の再演も、その鉄壁のオリジナルキャストが続投!
ただし、"新演出"となり、ガラリと変わるとのことで......。
一体、どうなるのでしょうか!?
今週末には初日の幕をあけるこの作品の稽古場を取材してきました!
稽古場に伺ったのは、11月中旬の某日。
この日は、数シーンの振り返り稽古ののち、「通し稽古」をするという日。
本番までまだ2週間以上ある日程でしたが、2017年メンフィスカンパニー、この時点ですでに何度か「通し稽古」をやっているそうです。
今回は、主演のほかに演出も務める山本さんから
「新しいことに気付いたら、それに反応してください。自由に。(自分の動きを)決めてしまわないで。ただし、「こういうことをやってやろう」ではなく、自然に反応して」
と、通し稽古に挑むにあたっての心構えが語られます。
2010年のトニー賞で作品賞を含む4冠を達成したミュージカル『メンフィス』。1950年代のアメリカで、当時タブーとされた黒人の音楽であるブルースをラジオやテレビ番組で紹介した実在の白人DJ、デューイ・フィリップスの半生をモチーフにしたミュージカルです。
日本初演は2015年。伝説のDJ、ヒューイ役を山本耕史さん、ヒューイが恋する黒人シンガー、フェリシア役を濱田めぐみさんが演じ、全編を彩るグルーヴ感満載のソング&ダンスとともに大好評を博しました。その『メンフィス』が、主演の二人をそのままに今年12月に再演が決定! 前回に引き続き演出・振付を手掛けるジェフリー・ページさんに意気込みを伺いました。
――この『メンフィス』という作品をジェフリーさんはどう捉えていらっしゃいますか。
「どの社会にもメインストリームというものがあって、自分たちの思う美しさと違うからという理由で、あえて目に入らないようにしている、無視している物や人って、たくさんあると思うんです。そうした埋もれた物や人に美しさを見いだせる男性(ヒューイ)がメンフィスという街に現れる。彼は自分が見つけた美しいものを世界中の人たちに知らしめるということをやってのけるんですけれども、それが本作のテーマだと僕は思っています。物語で描かれる黒人社会と白人社会の分裂は、あくまでメタファーの一つにすぎないんですよ」
イギリス植民地時代のアフリカに移住したある家族を中心に、不倫や同性愛、少年愛となんでもござれな世界を描いた舞台『クラウドナイン』が12月1日(金)に開幕します。
本作は、フェミニズム演劇の旗手として知られる英劇作家キャリル・チャーチルによる衝撃作と言われる作品で、ストーリーもさることながら、一幕と二幕で一人の登場人物を違う役者が演じる(例:妻役のベティを一幕では三浦貴大、二幕では伊勢志摩が演じる)、役者の性別も変わる、一幕と二幕で100年の時間が経っているにもかかわらず登場人物は25歳しか年を取っていない、などなど、舞台のセオリーに反する破天荒さを持ち、オフブロードウェイでもロングラン公演されるヒット作です。
その演出を手掛けるのは木野花さん。木野さんが本作の演出をするのは今回で3度目、29年ぶりでもあります。
一体どんな舞台になっているのか......というわけで、一幕の一部の公開稽古と、髙嶋政宏さん、伊勢志摩さん、三浦貴大さん、正名僕蔵さん、平岩紙さん、宍戸美和公さん、石橋けいさん、入江雅人さん、演出を手掛ける木野花さんの囲み取材の様子をお届けします!
*******
この日は、本番まであと9日というタイミング。囲み取材で伊勢さんが「稽古初日の頃は、トンネルの向こうに木野さんがいて、『あそこに辿り着かなきゃ』と思っていたのですが、今は木野さんの姿も見える。あとは最後のダッシュって感じです」、石橋さんも「初めて本読みしたときとは全然別の芝居になってきていて。木野さんの演出で、日々面白く変わっています。ラストスパートを頑張りたいです」とコメントしたように、大詰めの段階です。
稽古が始まってまず驚いたのは、その世界観。冒頭で"不倫や同性愛、少年愛となんでもござれな世界"と書きましたが、それを俳優の皆さんがしっかり体現していて......つまり衝撃的な光景が広がっているんです!
その中でも、好きなシーンを聞かれてにこやかに「僕はやっぱり伊勢さんの股間に入るシーンが一番好きです。それと、平岩さんの『ねえ、あれ大きくなったよね!』っていう。あれは好きですね(笑)」と挙げた髙嶋さんの振り切れっぷりは印象的。
木野さんが髙嶋さんの印象を「案外、放し飼いはやばい(笑)。本当に脇道にどんどんどんどん行っちゃうので」と語るように、インパクトのある姿の連続でした。その一方「二幕はセクシャルな悩みを抱えながらやっている役で。根はすごくやさしいいい人なんだなって。髙嶋さんの新しい面が見えて面白いです」(木野)と全く違う姿を見せてくれるそう。
そう、この作品の面白さのひとつが、俳優が一幕・二幕で全く違う役を演じるということ。この日の稽古では一幕のみの公開だったのでその変貌ぶりはみられませんでしたが、囲み取材ではその苦労が語られました。
正名さんは「私は一幕では白人の軍人の家族に雇われているアフリカの現地住民の召使という非常に抑圧された役ですが、二幕では一転して5歳の白人の女の子。しかも場所が公園ですので、ひたすら駆けずり回り、はしゃぎまわり、怒られまくるっていう役で。単純に運動量の差がものすごい(笑)。それにまだ自分が馴染めていない状況ではございます」、石橋さんも「一幕では家庭教師で同性愛者の女性の役なんですけど、二幕は夫婦仲がこじれて大変な状況の中で子供を育ててるお母さんの役で。女性としての背景が全然違うので、15分休憩の間にどれくらい気持ちを切り替えられるかなというところ。がんばりたいと思います」とコメントを聞いているだけで大変さが伝わります!
俳優と役柄の性別が一致しないのもこの作品の面白さ。その中でも三浦さんの女性っぷりは取材でも話題になりました。木野さんが「三浦くんは一幕で女性の役なんですけど、上品さが身に付いているので、けっこう早い時期にその気になれてて。逆に二幕での労働者階級のゲイの男役で手こずってる部分があります。荒っぽいというか、世の中に"怒りをこめてふり返れ"的なものが三浦くんから見えてきたら、役の幅が広がって面白いんじゃないかと思っています」とお話しされたように、とにかく女性役が板についているんです! その女性らしさと三浦さんのがっしりした体格が味わい深い空気を醸し出していて、三浦さんを抱きしめるシーンのある入江さんは「三浦くんの身体に手が回らないんだよ、でかくて。それが衣装を着るとより際立ってるので、そこが好きです」。
性別が違うといえば平岩さんが一幕で演じる少年・エドワードも魅力的。木野さんも「めちゃくちゃかわいい。紙ちゃんかエドワードかっていうくらいにスムーズに役作りに入っていけた」とコメントされていましたが、そのかわいさを持ちながら、入江さん演じる探検家ハリーと関係を持っているというなかなかな秘密も...。その秘密が垣間見えるシーンではドキッとしました。そんな役について平岩さん自身は「まだまだ穴を掘っていきたい。自分の見るべき景色は先だなと思っています」とストイック。本番でどんな姿が見られるか期待大です!
囲み取材では、そもそもなぜ木野さんは29年ぶりに『クラウドナイン』の演出をしようと思ったという話題も。「当時はセクシャリティに関して日本は遅れていましたが、ようやく今だったらお客さんにまた違う世界が見せられるかな、受け取ってもらえるかなっていう感じがありました。3回目ですけれども初演のような気分で取り組んでいます。新鮮です」と、色々な意味で今だからこその本作が見られそう。
「全体として、今回は本当に笑える芝居でもあるんです。そこはこのメンバーでいけると思っていて。案の定、一人ひとり面白いキャラクターを持ってるので。本番になって、お客さんが入ったときにどんなふうになるか楽しみです」(木野)という舞台『クラウドナイン』は間もなく開幕!
公演は、12月1日(金)から17日(日)まで東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて。
2018年、少年社中は20周年を迎える。これを記念した第一弾のステージ、少年社中✕東映 舞台プロジェクト「ピカレスク◆セブン」が年明け1/6(土)より東京・大阪・愛知の3都市で上演される。
すでに豪華なキャストが発表されているが、主人公の一人として「トクガワイエミツ」を演じる俳優・宮崎秋人さん、そして脚本・演出を手がける少年社中主宰・毛利亘宏さんに話を伺った。
2018年3月に上演が決定した、本格文學朗読演劇 極上文學シリーズの第12弾『風の又三郎・よだかの星』。
「極上文學シリーズ」とは、日本文學の上質な世界観を立体的に表現し、ワンランク上のこだわり、"読み師"と"具現師"からなる構成でビジュアルと音楽、動いて魅せるスタイルが人気の文學朗読演劇シリーズ。
今回は新たな試みとして、6人の声優陣からなる"語り師"も加わり、さらに期待値がアップ。マルチキャスティング制で、日替わりの組み合わせで上演し、変化のある公演も人気を集めています。
その第12弾で読まれるのが、宮沢賢治の『風の又三郎』と『よだかの星』。名作です!!
演出はキムラ真さん(ナイスコンプレックス)、脚本は神楽澤小虎さん(MAG.net)が手掛ける本作、果たしてどんな作品になるのか...ビジュアル撮影の現場におじゃまして、『風の又三郎』の又三郎役・深澤大河さん、『よだかの星』のよだか役・三浦海里さんを直撃。作品のことに加え、かつては同じアイドルグループで活動していたおふたりの舞台作品初共演についてもお聞きしました。