花組芝居 創立二十五周年記念公演「菅原(すがわら)伝授(でんじゅ)手習(てならい)鑑(かがみ)~天神さまの来た道~」稽古場REPORT!
1987年、高尚になり堅苦しく難解なイメージになってしまった「歌舞伎」を、昔のように誰もが気軽に楽しめる娯楽にと「ネオかぶき」をキャッチフレーズとして活動を始めた「花組芝居」。
創立二十五周年の記念すべき公演は、義太夫三大名作の一つ「菅原伝授手習鑑」です。
「歌舞伎」「文楽」って何?チケット代も高いし、内容が難しそう...そう思っている方は、まずこの花組芝居をご覧あれ。日本古来の英知の詰まった舞台をユニークに見せてくれます。
澄んだ秋空の午後、花組芝居の稽古場にお伺いしました。
あらすじ
時は平安、延喜の御世。
斎世(ときよ)親王と、菅丞相(かんしょうじょう)(菅原道真)の娘、苅屋姫(かりやひめ)とは密かな恋仲。
菅丞相の失脚を狙う左大臣藤原時平(しへい)の陰謀により、
二人の逢瀬を謀反に仕立てられた菅丞相は、九州・大宰府へ流罪となる。
三つ子の兄弟、梅王丸、松王丸、桜丸は、
菅丞相への義理と各々の立場とに挟まれ苦悩の日々を送るが、
更なる時平の陰謀を知り、
時の急流に巻き込まれながら生きる道を異にしていく。
しかし遠く九州から都を案ずる菅丞相の怒りは、
雷神となって空を越え、時平の悪事を滅ぼす。
やがて天神として祀られた丞相は後世に伝えられていく。
あらすじだけを読むと、少し難しいかもしれませんが、そこは小劇場界で根強いファンを持つ花組芝居。演出の加納幸和さんの手によって、見る間に見やすく、独創的な「ネオかぶき」の世界が広がってゆきます。
この日の稽古は、「筆法伝授」のシーン。菅丞相がかつての弟子であった源蔵に書道の奥義を授けるといった内容です。
四年前に不義の罪で菅家を勘当されてしまった源蔵は、今では子供たちに書を教えながらなんとか暮らしを立てています。
久しぶりの旧主との対面に恐縮する源蔵を、子供に書を教えるのは尊い仕事だと褒める丞相。
浴衣などの稽古着も凛々しい稽古場風景。セリフは人形浄瑠璃の義太夫節に則っています。
「子供に指南致すとは、賤しがらざる世の営み。然らば手跡も変わるまじ...」