■『マイ・フェア・レディ』vol.9■
日本初演50周年にして、キャスト・演出を一新した新生『マイ・フェア・レディ』が現在、東京・日生劇場で上演中だ。今回はヒロイン・イライザは霧矢大夢と真飛聖のダブルキャストになっているが、霧矢版を観劇したレポートをお送りする。
イライザ:霧矢大夢
イライザ:真飛聖
物語は、下町の花売り娘・イライザが、言語学者のヒギンズ教授に正しい言葉と淑女としての礼儀作法を教わり、レディとして生まれ変わる過程と、その中で生まれていくイライザとヒギンズの淡い感情を温かなまなざしで綴っていくもの。劇場に足を踏み入れると、これもまた一新された可愛らしい舞台セットが観客を迎える。立体感があり、繊細に作りこまれた美しいセットながら、ドールハウスのようなファンタジックさもあり、まさに新生『マイ・フェア・レディ』を象徴するかのよう。そしてオープニングシーンがなんとも秀逸。ひとりの花売り娘(美鳳あや)が踊りながら誘うように舞台の奥へ奥へと進み、同時にセットがひとつずつ開いていく。自然と観客は、現実世界から物語の中へ入り込む感覚を味わえる。