■『マイ・フェア・レディ』vol.1■
オードリー・ヘップバーン主演の映画でもよく知られている『マイ・フェア・レディ』。
もとは、1956年にブロードウェイで初演されたミュージカルです。この時の主演は、あの、ジュリー・アンドリュース。
この作品、日本で初めて日本語で上演されたブロードウェイ・ミュージカルだ、というのはミュージカル通なら誰もが知っているところ。
日本のミュージカルの礎となった作品なんです。
その、日本初演は1963年。ちなみにこれは、オードリーの映画が公開される前の年です。
今年は日本初演から、50年目の記念の年にあたります。
アニバーサリー・イヤーに登場する2013年版『マイ・フェア・レディ』は、全面リニューアル!
主役のイライザは、前回(2010年)公演まで20年間にわたり演じてきた大地真央にかわり、霧矢大夢&真飛聖がダブルキャストで挑みます。
さらにヒギンズ教授に寺脇康文、ピッカリング大佐に田山涼成、イライザの父ドゥーリトルに松尾貴史、ヒギンズ夫人に江波杏子、etc.etc...と豪華キャストが集結しました。
そして、翻訳・訳詞・演出にG2。スピーディでコミカルな作品作りを得意とする彼が、この大作ミュージカルをどう演出するのかも気になるところ。
G2さん、クレジットに「翻訳」とあるように、セリフも歌詞もガラリと一新されるようで...!?
ほかにも、衣裳、舞台セット、何から何まで新しく生まれ変わる『マイ・フェア・レディ』。
どんな舞台になるのか、今から楽しみです。
(こちらの写真は制作発表より)
●STORY●
ロンドンの下町。
貧しい花売り娘のイライザは、言語学者のヒギンズ教授の提案で、訛りの矯正と淑女になるための礼儀作法を教わることになる。
厳しいヒギンズ教授のレッスンに堪えたイライザは、見違えるような麗しき貴婦人へと変貌を遂げる。
華々しく社交界のデビューを飾ったイライザだったが、ヒギンズ教授にとって自分は研究対象にしか過ぎないと気付き、彼の元を去ってしまう...。
げきぴあはこの新生『マイ・フェア・レディ』の稽古場にも早速伺ってまいりました!
本日は平方元基さん演じるフレディを中心とした稽古場の様子をお届けします。
このシーンの主な出演者は、ほかに寿ひずるさん扮するピアス夫人です。
まずはピアノのそばで、歌稽古から始まりました。
「君住む街」というタイトルで親しまれているナンバーです。
アスコット競馬場でイライザに出会い、彼女の美しさと楽しさに恋に落ちたフレディが、彼女に会いにヒギンズ邸にやってくる...というシーンで歌われます。
劇中を代表するナンバーであり、ミュージカルコンサートなどでも良く歌われる、素敵な曲です。
今回は「君が住む街」というタイトルになっている模様。今までの歌詞も格調高く素敵でしたが、
今回の歌詞は...とってもナチュラルで、キュート。
でもとても綺麗な日本語が散りばめられていて、私、一度聴いただけで大好きになりました。
平方さん、絶好調。歌稽古の段階からくるくる変わる表情が素敵!
素敵な中にも、コミカルな部分も挟みつつ...いいかんじに<うざカッコイイ>フレディです~。
「あなたのそばで、うふふ、と笑っていた男、とおっしゃっていただければ」というセリフがあるのですが、その「うふふ」の表情が秀逸で、拝見しながらニヤニヤしちゃいました。
皆さんもぜひ舞台で注目していただきたいです!
コメディも多く手がけるG2さん、やはり笑いへのこだわりも強いようで「2度目の"うふふ"はピアス夫人を直撃して」等々、細かいです。
「この音は、最後まで伸ばしちゃいますか?」
「いっちゃいましょうか!」
などなど、音楽的なこともトントン拍子に進んでいきます。
寿さんにもG2さんは「このシーンはリアクションの嵐なんですが...」と断りをいれながら、
「フレディは「お急ぎにならなくとも」というセリフで、逃げたいピアス夫人を引き止めて。ピアスさんは、"急ぐもなにも行けなくなっちゃったよ"で」。
「今の「まことに相すみませんが」は、「相すみません」感を一切入れないで言ってみてもらえますか。...じゃあ次は笑いながら言ってみましょうか」とトライアルを繰り返し...。
どんどん笑いが増幅されていきます。
と同時に、フレディの恋に落ちたばかりのうかれっぷりと、その愛らしさも増幅していき。
こんなキラキラな表情です。
もちろん、演出を受ける表情は真剣そのものです。
そのまま立ち稽古へ。
フレディが、イライザの住む街へ到着。
「ここがあの人の住む街か~」という気持ち、うん、わかります~。G2さん、「夢見ごこちで歩いていたらいつのまにか到着していた。「こんな街か~」を背中から感じて」との言葉。
こちらは警官役の笹木重人さん。
ふたりがすれ違い、向き合い、言葉を交わし、警官が去る、という流れも笑いにこだわります。
G2さん曰く「ちょっとした微妙なズレが面白いんです」。
中でもタイミングをはかっていたのが、フレディの笑う声に警官がつられ笑いするところ。
そんなこんなをしながらG2さん...足つった!とこんな体勢に...。
一番面白いの、G2さんじゃないでしょうか。
しばらくこのままで演出が続きました。
こちらは花売りとの絡みです。
ウキウキのフレディを、胡散臭げに見つめる花売りは横岡沙季さん。
「太陽がここにいる!」というフレディに対する花売りの気持ちは「いねーよ!ぜってーいねーって!怖ぇよ!」という感じ、とG2さん。
ピアス夫人は、フレディと言葉を交わしたあと一度屋敷にひっこみ、再度登場しますが
「いなければいいんだけど...いるよいるよー、しかも歌ってるよー...」みたいな感じです、と指示が入りました。
G2さんの言い回し、ほんとに楽しい。
...とにかく色々と、新鮮です!
G2さんは今回の上演について「リメイクではなくリボーン(再誕生)」と語っていますが、
まさにその言葉のとおり、2013年現在の感性で向き合った『マイ・フェア・レディ』になっているようです。
特に"現代風"をアピールしているわけではありませんが、今までのものをいちどフラットにし、ゼロから自然体に向き合い作り上げられつつある新しい『マイ・フェア・レディ』。
そして50年愛され続けている作品だというのがよくわかる、素敵な音楽に、しっかりとしたストーリー。
新鮮な中にも、名作はやはり名作だなあと実感した稽古場でした。
●公演情報●
【東京公演】5月5日(日・祝)~28日(火) 日生劇場
【石川公演】6月7日(金) 金沢歌劇座
【福岡公演】6月11日(火)・12(水) キャナルシティ劇場
【愛知公演】6月15日(土)・16日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
【大阪公演】6月21日(金)~23日(日) オリックス劇場(旧大阪厚生年金会館)
チケットは東京・石川・愛知が発売中、福岡が4月21日(日)、大阪が4月20日(土)にそれぞれ一般発売開始。