新生『マイ・フェア・レディ』の世界 衣裳編

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■『マイ・フェア・レディ』vol.4■


日本初演から50年目の『マイ・フェア・レディ』は、すでに何度も書いておりますが、キャストに演出に、何から何まで新しくなります。
新生『マイ・フェア・レディ』、どうなるんでしょう...!
早くその世界を知りたい方に朗報です!
作品世界を支える衣裳さん・美術さんに、貴重なデザイン画をご提供いただくとともに、お話を伺ってきました。

本日は、衣裳の十川ヒロコさんのインタビューです。



――新生『マイ・フェア・レディ』の衣裳における、全体のコンセプトを教えてください。

『マイ・フェア・レディ』の代表的なコスチュームデザインの印象を大切にしながら、20世紀初頭の衣裳が、現代にも着たいと思わせられるような今のモード感のスパイスをふりかけ、エレガントでエッジのきいているデザインにと進化させています。


――逆に、「とても細かい部分だけれど、ここはこだわった!」という部分は?

アクセサリーや細かな部分にも、階級別ごとに、こだわりの工夫を取り入れました。
花売りや労働者の衣裳には、ボタンや石、コルクなどで作ったアクセサリーや、アンティークレースを使用してキュートに。
貴族のアクセサリーはスワロフスキーを中心に、竹ビーズやラインストーン、ビジューをふんだんに取り入れてゴージャスに。
こうした違いを出しながら、帽子・アクセサリー・小物はすべてオリジナルで製作しました。

――演出のG2さんからは、要望やポイントなど、どんな話がありましたか?

G2さんの演出は、登場するキャラクターそれぞれの人物像をあたたかく、丁寧に、そして大切にしている作品が多く、今回も等身大のイライザの姿や、階級が下でも毎日を楽しく自信をもって人生を送っている労働者や花売りの姿を表現して欲しいとのお話がありましたので、一人一人丁寧に、楽しくスタイリングをしています。


――各キャストの衣裳のポイントやこだわった点などを具体的に教えてください。

○イライザ
Wキャストということで、全く同じ衣装というわけではなく、左右シンメトリーに。
デザインは究極にシンプルに、イライザのスタイルの良さ、美しさ、モード感を表現しています。

41_photo2.jpg41_photo1.jpg○ヒギンズ教授
ジャケットのターンナップカフスなど、20世紀初頭のディテールをポイントに、全体をモノトーンの色使いにしてスタイリングをモダンにまとめています。

○ピッカリング大佐
燕尾服の襟元から裾にかけて白いパイピングを入れてモダンにアレンジシャツの襟の黒いパイピングもポイントになっています。

○ドゥーリトル
「労働者」という土茶系のイメージを、あえてモノトーンの色使いでまとめたオシャレでモダンな労働者に。

○ピアス夫人
シンプルなデザインの中にも、各所に黒のパイピングをプラスして、エッジのきいたデザインにしています。

○フレディ
パンツに入れた2本ラインの側章や、ジャケットのポイントポイントにパイピングでアクセントをつけ、彼の若々しさ、遊び心を表現しています。

○アインスフォード夫人
全体的に落ち着いたグレーの色みでまとめながら、レースやショールなど細部のアイテムで彼女のもつ優しさを表現しています。

○ヒギンズ夫人
多種なレースとビジューを使いゴージャスでありながらも、ラインはシャープに、全体をライトグレーで上品にまとめました。


――『マイ・フェア・レディ』というと、やはりセシル・ビートンの衣裳が印象的です。今回も、チラシなどを拝見する限りでは、そのテイストを踏襲しているのかと思われますが、衣裳さんの目から見た、セシル・ビートンの衣裳の魅力を教えてください。また、もし「ここはガラリと変えます」という部分があればそのポイント、そうした意図などを教えてください。

セシル・ビートンの衣裳はとても素敵で、何度も拝見していますと、隠し味があり、遊び心満載で余裕すら感じられます。
計算されつくしているデザイン・衣裳デザイナーというよりも、全体の背景に対しての色構成や人物のキャラクターづくりの打ち出しを衣裳で表現する仕方など、まるで総合演出プロデュースのような立場で、完成されていると思います。
「新生イライザ」は、セシル・ビートンのイライザとはまた違った隠し味、遊び心を楽しみながら取り入れられているのではないかなと思います。


――衣裳というのは、舞台作品において、その作品の時代感を出すのに重要なポイントであると思いますが、『マイ・フェア・レディ』の舞台である20世紀初頭は、どんなファッションが流行していた時代なのでしょうか? また、それをどう舞台に取り入れているのかを教えてください。

女性ファッションの大変化の時期。
コルセットから解放され、ボディーコンシャス追求のみの時代から、ラインはルーズフィットに、素材もコットン・シルク・ウールだけでなく、ストレッチジャージのような素材のドレスも流行し、幅広く、デザインの自由、遊びが生まれ、個性としての選択の幅が広がりました。
今回もドレスのラインにしても、マーメイドラインから、フレア、タイトまでいろいろなデザインを取り入れて、この時代ならではの、個性豊かなドレス衣裳の舞台になっていると思います。


――新生『マイ・フェア・レディ』、どんな舞台になりそうでしょうか?

G2さんの演出ですから、一人一人のキャラクターが個性豊かな人物像となって、演出も、もちろん衣裳も、20世紀初頭という舞台設定でありながらも、どこか現代に通じるような、今を生きる私たちが入り込みやすいような、そんな新たな『マイ・フェア・レディ』になっているのではないかなと思います。




公演は5月5日(日・祝)から28日(火)にかけ、東京・日生劇場にて行われます。
チケットは発売中。
その後、石川、福岡、愛知、大阪でも上演されます。

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