
現代劇に初挑戦することになった尾上右近さんを応援すべく、市川猿之助さんが稽古場に駆けつけてくれました。
スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』の若手公演に、その力を見込んで右近さんを抜擢した猿之助さん。
対談で発せられた猿之助さんの言葉に、右近さんは大いに力づけられたようです。

歌舞伎も現代劇も、大事なのは観る方に喜んでもらうこと
■歌舞伎と現代劇の違い
右近 この『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』で現代劇に初めて挑戦させていただくことになったのは、猿之助のお兄さんにいち早くご報告しました。もともと、「現代劇もやれたらいいね」っていうことを言ってくださっていたので、「ついにやることになりました」と。
猿之助 やっぱり、歌舞伎以外のお芝居をやることで、いろいろな経験が積めるからね。それが歌舞伎役者にとってプラスになるかどうかはわからないけれど。自分の人生が豊かになるという意味では、非常にいい機会になると思うんですよ。
右近 ご報告したときも、僕という人間自体がどうなるのかを楽しみにしてくださってるんだなということが伝わってきました。とくに、僕がけっこうテンパる性格だというのは重々ご承知なので、それを含めて「どうなるかねぇ」って(笑)。
猿之助 そう。そんなふうには見えないけど、すごく緊張するし、すぐ余裕がなくなっていっぱいいっぱいになっちゃうからね。
右近 そういう姿を、いつもいつも楽しそうに見守ってくださっていて。それが僕としてはうれしいんです。
猿之助 だってやっぱり、余裕でできる範囲のことをやっていたってつまらないでしょ。僕だって、自分の許容量以上のことを与えてもらって成長してこられたんですから。だから、『ワンピース』でも、「麦わらの挑戦」という若手公演の回を設けて、主人公のルフィをはじめ、僕がやっている複数の役をダブルでやってもらったんですよ。
右近 まさかダブルキャストでさせていただけるなんて、思ってもみませんでした。
