宝塚歌劇月組 TBS赤坂ACTシアター公演 ミュージカル『雨に唄えば SINGIN'IN THE RAIN』が6月16日に開幕した。初日に先立ち15日には通し舞台稽古が報道陣に公開され、主役のドン・ロックウッド役の珠城りょう、ドンの親友であるコズモ・ブラウン役の美弥るりかが取材に応えた。
1952年にジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズの出演で製作され大ヒットしたMGM映画をもとに舞台化されたミュージカル。サイレント映画からトーキー映画に移る時代を描いたコメディで、『Make 'Em Laugh』『Good Morning』など、誰もがどこかで一度は耳にしたことがあるはずの劇中歌に彩られている。中でも主人公のドンが土砂降りの雨のなか歌い踊るタイトルナンバー『Singin' in the Rain』は特に有名だ。
宝塚歌劇団では本作をこれまでに2003年に安蘭けい、2008年に大和悠河主演で上演したが、今回、10年ぶりに月組トップスター・珠城りょう主演で上演。2016年の珠城のトップ就任以降、友人・仲間といった役どころでともに舞台を作り上げてきた珠城と美弥が今回も息のあった芝居で作品の軸を担い、ほかのキャストもイキイキと楽しげに1927年のハリウッド黄金時代の人々を演じている。もちろん今回も「土砂降りのなかでのタップダンス」は見どころで、珠城も「実際に水を浴びてみると、本当に気持ちもどんどん高揚していく。この作品を通して、雨もキライじゃないな、と思えるようになった」と笑顔でコメント。色褪せない名作が、月組のフレッシュなパワーで新鮮に輝いた。
以下、珠城と美弥の囲み取材の模様をレポートする。
◆ 珠城りょう&美弥るりか 囲み取材レポート ◆
――まずはひと言ずつご挨拶を。
珠城「なんとか無事に舞台稽古を終えてほっとしています。とてもやることが多い作品で、ちょっとバタバタしてはいますが、自分自身もやっていて楽しいですし、お客さまにもきっとハッピーになって劇場をあとにしていただけるような作品になるのではないかなと思います」
▽ 珠城りょう
楽しそうなこの笑顔!珠城さん、囲み取材中、終始笑顔でした。
美弥「お客さまには気楽に楽しく観ていただきたいなと思うのですが、裏はけっこうバタバタしています(笑)。観客として観ていたときには、こんなに大変だとは思っておらず、いま改めて大変さを実感しています。梅雨の季節ではありますが、皆さまに雨が好きになっていただけるような素敵な作品になるよう、りょうちゃんを中心に、みんなで頑張っていきたいと思います」
▽ 美弥るりか
通し稽古後の囲み取材には初登場だった美弥さん。最初の挨拶はトップさんだけと思ったのか、「ご挨拶を」と振られ「あ、私もなんだ...そうなんだ...」と小さく呟いていたのがチャーミングでした
―― 見どころは?
珠城「見どころは全部と言いたいところなんですが(笑)。ひとりひとりの登場人物が、役名がある人たちだけではなく、映像を撮影していく中の撮影スタッフだったり、ちょっとした役で出てる子たちもみんな細かいところまで役づくりをして、イキイキとお芝居をしてくれています。ミュージカルナンバーも多く、作品をご覧になったことがないけれど曲だけは知っているという方もたくさんいらっしゃると思いますが、そのダンスナンバーも魅力なのではと思っています」
美弥「そうですね、りょうちゃんが言ってくれたようにたくさんの名曲がありますし、1幕ラストは本当に雨が降っていて、舞台稽古ではじめて私たちも雨が降っているのを見たのですが、けっこうどしゃぶりで...」
珠城「けっこう大雨...(笑)」
美弥「大雨警報が出そうなくらいのどしゃぶりで、見ているこちらはドキドキしていたのですが、(舞台袖に)はけてきたりょうちゃんは「楽しかった」みたいなことを言ってて、凄いと思いました。(珠城に)あれはどうですか?」
珠城「(笑)。お稽古場では水があるテイで、想像でやっていたので、実際に水を浴びてみると、本当に気持ちもどんどん高揚していく。それによって、より、嬉しくて幸せな気持ちになります。今まで雨が降ると「あぁ憂鬱だな」と思うことが多かったのですが、この作品を通して、雨もキライじゃないなって思えるようになりました」
――雨を実際に浴びてどんな気持ちですか。
珠城「けっこうすごい土砂降りなんですが、この季節にはちょうどいい温度で」
美弥「ほんと?」
珠城「冷たすぎずぬるすぎず、とても気持ちがいいです。でもけっこう土砂降りなので、まつげだけは死守したいなと思っているんですが(笑)。でも最後は帽子もとったりしてますし、衣裳が濡れると色が変わっていく生地なので、そこも見ていただけたらと思います」
――美弥さんは、色々なことが起きる大ナンバー『Make 'em laugh』がありますが、そのシーンの感想をお願いします。
美弥「前回の星組さん、宙組さんの時とは小道具・大道具が変わってニューバージョンなんですが、とにかくずっとマラソンをして走り続けてる感じで、やりがいのあるナンバーです。みんなと息があわないと完成しない場面ですので、タイミングとかをみんなと相談しながら細かく色々とやってきたのですが、でも観る方にはこちらの大変さはどうでもよくて、笑っていただけるような、くすっとしていただけるような場面になればいいなと思っています」
――タップシーンもありますが、タップダンスはいかがでしたか。
珠城「タップダンスはここにくるまでが大変で...!」
美弥(笑っている)
珠城「本当に毎日、美弥さんと、1日1回はタップシューズ履こう、と言って毎日練習してきたのですが、その成果が少しでも......出ていればいいな~!と思いながらやっています。いかがですか?」
美弥「ドキドキですね。今回はタップシューズにもマイクをつけていただいていて、すごく鮮明に(音が鳴る)。ある意味失敗しても鳴ってしまうので(笑)、ちょっとドキドキしますが、本当にふたりでたくさんお稽古してきたので。その成果が皆さまに伝わると嬉しいです」
――おふたりのコンビが重要になってくると思いますが、ご自分たちでこのコンビはいかがでしょう?
ふたり「わはは!」
珠城「そうですねー、でも最近、お芝居を通して関係を深めていったり、『All for One』とかでしたら仲間として存在していたりとか、関係性が深い役をさせていただいてからの、今回の幼馴染という役なので、安心感がとってもあるんですが...(笑)」
美弥「ありがとうございます(笑)。もちろん学年の差とかもあるのですが、それをお互いが感じさせず、心の会話が出来る。お芝居も私たちは細かく相談するタイプでもなく、お互いがやってきたことを「あ、そうやるんだ、じゃあ自分はこうしてみようかな」と自然とやっていってる感じです。そういうところも、言葉が少なくても友情が見えていくというところに繋がればいいなと思っています」
珠城「ハイ!」
▽ 囲み取材の受け答えや、お互いを見る視線からも、息のあいっぷりが伝わってきました!
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【公演情報】
7月4日(水)まで TBS赤坂ACTシアター(東京)
※7月1日(日)全国各地の映画館でのライブ中継あり。
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