
新国立劇場バレエ団「ホフマン物語」が10月30日から新国立劇場で上演される。バレエダンサーの小野絢子に見どころを語ってもらい、さらに稽古場を案内してもらった。
バレエ「ホフマン物語」は振付家ピーター・ダレルの大傑作と言われる作品。壮年を迎えた主人公のホフマンが、若かりし頃の恋の話を回想していくという形式で、3人の女性との恋の話がバレエで展開される物語だ。ストーリーがわかりやすく演劇的なため「ドラマティックバレエ」とも称される本作の魅力はどんなところにあるのか? 新国立劇場バレエ団のプリンシパルで、日本を代表するバレエダンサーのひとりである小野絢子に伺ってきた。【動画6分】
――ホフマン物語について
小野絢子(ダンサー/アントニア役)
「ホフマン物語はフランスのオペラで有名なものなんですけども、それを振付家のピーター・ダレルがバレエにしたものです。最初の場所の設定は19世紀のドイツで、50~60代くらいのホフマンという詩人が恋人の到着を待っている間に、街の人にせがまれて、若かりし頃の3人の女性との恋愛遍歴を語っていく物語です。」
「私がやらせて頂くアントニアという女の子は、とても心臓が弱くて病弱で、本当は踊ったり過度な運動をしてはいけない子なんですけども、バレリーナを夢見ている女の子なんです。そこにドクター・ミラクルというキーパーソンが登場して、彼に催眠術をかけられてしまうんです。心臓は全く良くなってバレリーナになれる夢を見させてくれるんですね。ホフマンにピアノを弾いてくれとせがみ、私は治ったのよと踊り狂ってしまうので、最後は悲劇的な結末になってしまうんです。」

――ドラマティックバレエとは?
「本来はおそらくドラマティックバレエという用語はないのですが、見せるものの主がバレエなのではなく、ドラマの要素を主において、ドラマを見せるためにバレエがある。もちろん感情や言葉を伝えるためにはテクニックは必要なんですが、テクニックそのものを見せるようになってはいけない。例えば今日私はソロのところで『形になり過ぎている』というダメ出しを受けたりしました。『踊りはあくまでせりふと一緒』ということだと思いますね。」
小野絢子へのインタビュー取材をした後に、休憩中の共演者のところに案内してもらい、さらに4人のダンサーからもそれぞれの視点で「ホフマン物語」の魅力について語ってもらった。
最初にアントニア、ジュリエッタの2役を務めるダンサーの米沢唯に話を聞いた。
米沢 唯(ダンサー/アントニア役・ジュリエッタ役)
「音楽が全幕通して素晴らしいです。私は一幕は出てませんが、一幕のお人形の踊りはオペラでも素晴らしいんです。音楽が流れると『ああ、いいな』と思うし、自分が踊る三幕の舟歌は昔から好きな曲だったので、踊れることがすごく嬉しいです。
三幕ともすごくドラマが動いていって、飽きさせない。ストーリーがスピーディーに動いていくので見ごたえがあると思います。」

――小野さんと同じアントニア役をWキャストで演じますね
小野絢子
「今回は特に役作りに関しては話合ってるよね。」
米沢 唯
「踊りも一幕を練習している間、私たちはヒマだったりするので、この稽古場に来て絢子さんと『こうやってやるといいかな』と、二人で話して研究しています。」
小野絢子
「では、次はホフマン役をトリプルキャストで演じる3人に聞いてみましょう!」

福岡雄大(ダンサー/ホフマン役)
「50代から始まって、20代、30代、...50代と年齢が変わっていくので、踊りの切り替えとかが難しいかなと思っています。」
菅野英男(ダンサー/ホフマン役)
「二幕はクラシックっていう感じだけど、一幕と三幕はコメディチックな要素も入ったりとか、人間のドロドロしたものが出てきたりとか。そういう意味でそれぞれの幕でカラーが違うから楽しめる作品だと思います。」
井澤 駿(ダンサー/ホフマン役)
「三幕に関しては『十字架を切って改心したにも関わらず、誘惑に負けそうなホフマン』っていうのがすごく人間らしいというか。最終的に後悔で終わるっていうのも人間らしいですよね。」
――バレエ鑑賞の初心者でも楽しめそうですか?
福岡雄大
「すごく分かりやすい作品なので、演劇を観ているような感覚だと思います。」
小野絢子
「ザ・クラシックバレエっていうのはバレエの形を知らなきゃいけないこともあるよね。ここで拍手をするとか、ここはこういう場面だとかっていう決まりがあるけれども、このバレエ「ホフマン物語」はそういうのを知らなくてもお話を楽しめるよね。」
福岡雄大
「確かに、初めてバレエを観る人でも受け入れやすいオススメの作品ですよね。」
菅野英男
「マイムとかが理解できていなくても、『ああ、こういう関係性なんだな』というのがわかりやすいもんね。」
ダンサーの方々が口々に言っていた通り、稽古を観ていた時に、どんなシーンを踊っているのかなんとなく伝わってきた。私は普段演劇ばかりを観ていて本格的なバレエを観に行くのは躊躇していたが、どうやら本作は楽しんで観られそうだ。
ドラマティック、つまり演劇的なバレエである本作で、バレエ鑑賞デビューしてみてはいかがだろうか?
公演は10月30日(金)から11月3日(火・祝)まで、新国立劇場 オペラパレスで上演。
(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)









"ダンスの神様"フレッド・アステアと、ジンジャー・ロジャースが主演した大ヒット映画『TOP HAT』の舞台版が、英国からいよいよ日本にやって来た! 9月30日から10月12日まで東急シアターオーブで上演された東京公演は、連日大きな盛り上がりを見せ大反響。「これは絶対観るべきミュージカルだ!」などと口コミでも広がり、日に日に当日券に並ぶ人の列が伸びていった。往年のファンからフレッド・アステアを知らない層まで、一瞬で虜にする楽しさと迫力。興奮冷めやらぬ観客同様、英国から来日したキャストたちも、毎日エネルギッシュに舞台を務めている。
東京公演の千秋楽の翌日、10月13日、大阪公演に先がけ二人は大阪の阪急うめだ本店で、来日公演記念パフォーマンスを披露した。ちょうどこちらでは『英国フェア2015』のイベントを開催中(10月15日(木)まで)。上にミラーボールまで設置されている4フロア吹き抜けの「祝祭広場」には英国の旗が揺らめき、異国情緒が溢れていた。こちらに舞台と同じ黒燕尾服&白い羽根のドレスを着た二人が登場。背の高い美男美女の姿に、階段の上まで埋め尽くした観覧者から、ため息のような声がもれる。アランは「イギリスを離れて4週間弱になりますが、イギリスに帰って来たみたいで嬉しいです」と。シャーロットも「小さな劇場みたいで驚きました」と笑顔を見せる。
そして作品のハイライトと言える、デュエットダンス『Cheek to Cheek』のナンバーを披露。アランの「ヘブン~♪」という甘く優しい歌声に始まり、ステージ上いっぱいを使って華麗なダンスを1曲歌い踊り切る。ポスターにもなっているシャーロットの180度以上足上げポーズでは、「ウワッ!」とどよめきが。さらに背中の柔らかさを存分に生かしたシャーロットの優美なダンス、軽やかにアランがリードするリフトにも大きな拍手が送られる。こういう場でも全く手を抜かず、全力で踊り切る二人のプロ根性、素晴らしい人柄...すべてが二人の笑顔に集約されていた!
東京公演の手応えについて尋ねられたシャーロットは、「舞台の最後にはお客様が総立ちになって一緒に踊って下さり、何人もの方々が繰り返し足を運んで下さった。日本の方々にこの作品が愛されて私たちも幸せです。大阪の皆さまも同じように愛して下さると思うので、公演が始まるのが楽しみです」とコメント。日本公演限定の客席降り&カーテンコールは、特にマックスで盛り上がること必至だ。
以前に行われた制作発表で、この舞台に出演できる喜びを「夢が叶って、僕たちのキャリアはこれからどうなるんだろうと心配しているぐらいです」と語っていたアラン。その横で笑っていたシャーロット。あの幸福感に満ちた舞台は、まさに二人の幸福オーラから放たれるものでもある。いよいよ10月16日(金)梅田芸術劇場 メインホールにて開幕する大阪公演。これを観逃すと、恐らく二度とウエストエンド経由の「天国のような」ハッピーシャワーは浴びられない!









































