チケット情報はこちら

obake_ringo_01.jpg モラトリアムパンツ「おばけリンゴ」公開舞台稽古より

演劇プロデュースユニット「モラトリアムパンツ」の舞台「おばけリンゴ」が2月23日(木)から開幕した。

Moratorium Pants(モラトリアムパンツ)は2011年に旗揚げした俳優・橋本昭博主宰の演劇プロデュースユニット。

今回上演される『おばけリンゴ』は、俳優の故・岸田今日子から「こどもも楽しめる舞台をつくりたい」と頼まれた谷川俊太郎が、ポーランドの作家ヤーノシュ作の絵本を元に執筆したもの。

モラトリアムパンツでは2015年10月に上演。谷川俊太郎に「若さ溢れる新しい『おばけリンゴ』」と高く評価された。

初日当日の2月23日に、本作の公開舞台稽古が行われた。動画は印象深いメインテーマを切り取ったもの。【動画1分】

記事全文をエントレで観る


エントレで観る
Youtubeで観る

(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ

チケット情報はこちら


OSK日本歌劇団『真・桃太郎伝説 鬼ノ城 ~蒼煉の乱~』東京公演が2月23日に博品館劇場で開幕した。桃太郎のモチーフと言われる彦五十狭芹彦命=イサセリ皇子を主人公に、古代日本の政治情勢から「桃太郎伝説」を照射、歴史ロマン溢れる新たな「桃太郎」の物語を作り出した意欲作。2月22日には報道向けに最終舞台稽古が公開されるとともに、トップスター高世麻央が囲み取材に応じた。
OSK_oni_01_2745.JPG
OSK_oni_02_2728.JPG
舞台は古代日本、大和朝廷が誕生したばかりの頃。天皇の腹違いの兄・イサセリ皇子は将軍の任をとかれ、失意のなか山中で修行にあけくれている。いつしかタケル(犬飼健)、ユン(猿沢唯)、マオリ(鳥羽真織)という仲間も出来、平穏な日々を過ごすイサセリ。だがあるとき、吉備の国で温羅(ウラ)という男が莫大なタタラ(鉄)の剣を用意し、朝廷に謀反を起こす準備をしているという情報が入り......。子どもの頃に触れたような心躍る伝奇的なドラマと、権謀術数が渦巻く政治劇が上手く絡まる作劇が見事で、まずはその物語にぐいぐいと心が引き込まれる。またイサセリに扮する高世が気高く凛々しく、ウラ役の桐生麻耶が温かくおおらかな役作り。対決するふたりの個性がしっかりと際立ち、見ごたえ十分。ほか、どの俳優も芸達者で見せる部分ではしっかりと骨太な芝居をし、時にはユーモラスな顔も見せ、緩急のある芝居でその物語をしっかりと伝えている。作・演出・振付は、OSK出身のはやみ甲。出身者ならではの、俳優たちの個性や特性を見事に浮き立たせた丁寧な作りが光った。
OSK_oni_03_2733.JPGOSK_oni_15_2885.JPGOSK_oni_04_2911.JPG

チケット情報はこちら

宝塚歌劇月組『グランドホテル』『カルーセル輪舞曲』東京公演が2月21日に東京宝塚劇場で開幕した。本作は月組新トップ・珠城りょうのお披露目公演
moon_GHGP01_1814.JPG

『グランドホテル』は1928年のベルリンにある超一流ホテルを舞台に、そこに行き交う人々のドラマを描く群像劇で、トニー賞5部門を受賞したブロードウェイ・ミュージカル。宝塚では1993年に涼風真世主演で上演。ブロードウェイ版同様、トミー・チューンを演出・振付に招聘して上演され、その質の高さ、作品の奥深さが話題となり、伝説となった。今回、その作品を24年ぶりに宝塚で上演するということで注目を集めている。珠城はホテルの客のひとり、フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵役。身分が高く、若く、ハンサムで、一見優雅に見えるが実は借金まみれというひと癖ある男を、ダンディに演じている。相手役である愛希れいかはかつては世界的人気を誇り、今は盛りが過ぎたバレリーナ、エリザヴェッタ・グルーシンスカヤ。トップ娘役としてまもなく5年目にさしかかる彼女が、成熟した魅力で実年齢よりかなり年上の役に挑んで好演している。珠城と愛希のトップコンビはこれが大劇場お披露目になるが、知的さも感じる落ち着きのある演技で、大人のふたりの繊細な恋を美しく魅せた。舞台狭しと大勢のキャストがフォーメーションを変えていく独特の演出も印象的で、見ごたえのある、質の高い演劇作品になっている。

また後半のレビュー『カルーセル輪舞曲(ロンド)』は、日本初のレビュー『モン・パリ』誕生90周年を記念した作品。世界各国をめぐるバラエティに富んだシーンは、月組の様々な魅力を味わえる。宝塚らしい美しい色彩や、宝塚ファンにはおなじみの『モン・パリ』のメロディを織り込んだテーマ曲も耳に残る。
moon_GHGP02_2175.JPG
初日前に行われた通し舞台稽古後には珠城、愛希が取材に応じた。珠城は名作『グランドホテル』の男爵を演じることについては「衣裳ひとつとってもオーソドックス。役柄としてはひと癖あり、王道とは言えないかもしれませんが、こういうスタイルの役を演じられるということは男役冥利に尽きます」と語り、また自身が目指すトップ像を「今まで背中を見てきたトップさんたちは、みなさん組の中で太陽のような存在だった。私もそういう、組の皆を照らすような大きい明るい存在でいたい」と話していた。

公演は3月26日(日)まで同劇場にて。

ミュージカル史に燦然と輝く名作『ミス・サイゴン』
ベトナム戦争末期のサイゴンを舞台に、ナイトクラブで働く少女・キムとアメリカ兵クリスの悲恋を中心に、戦争下で生きる人々の葛藤や苦しみ、愛が描かれる壮大なドラマです。

初演は1989年の9月20日、ロンドン・ウエストエンド。
日本では1992年に開幕、その後も上演を重ねる人気作。
今年2017年は日本初演から25年目のアニバーサリー・イヤーにあたります。

そんなアニバーサリー・イヤーに、ファン必見の映画が公開になります!
それは、『ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン』
misssaigon_movie01.jpg

ロンドン版25周年にあたる2014年9月、ロンドンのプリンス・エドワード・シアターで上演された25周年記念公演を、最新の映像技術で撮影、映画化したもの。

ロンドンでも1回限りしか上演されなかった貴重な舞台が、最新の映像技術で撮影され、
さらに公演後、映画のために観客を入れずに追加撮影も実施。

これにより、貴重な1回限りの映像+通常では撮影できない臨場感あるアングルでの撮影が実現、キャストの生き生きとした表情をとらえた、まったく新しい『ミス・サイゴン』となっています。
misssaigon_movie02.jpgmisssaigon_movie03.jpg

チケット情報はこちら

■『ビッグ・フィッシュ』vol.9■


日生劇場で好評上演中のミュージカル『ビッグ・フィッシュ』
とても素敵な世界が広がっています。

作品の魅力に迫ったこれまでの連載はコチラ→

今回は、2月15日の終演後に開催されたアフタートークショーをレポートします。
BigFish09_01_a_1371.JPGBigFish09_02_1398.JPG
出席者は霧矢大夢さん、赤根那奈さん、藤井隆さんの3名。
司会は中山昇さんです。

翌々日は公演の折り返し地点、【中日】というタイミングで行われた、このアフタートーク。
霧矢さんは主人公・エドワードの妻サンドラ、
赤根さんはエドワードとサンドラの息子・ウィルの妻ジョセフィーン、
藤井さんはエドワードの友人ドン・プライスを演じています。
プライベートでは、霧矢さんと赤根さんがともに宝塚歌劇団出身(しかも同時期を同じ月組で過ごしていたこともある)というご関係です。

ちなみに司会の中山さんは、漁師役etcを演じています。


●まずは我らがヒーロー、エドワード・ブルーム役の川平慈英さんについて。

霧矢「はじめからすごく雰囲気のいい現場で。まず川平慈英さんが本当にもう、"ムードメイカー"を通り越して...なんなんでしょうね」

藤井"ムード"ですね!(客席笑)

霧矢「そこに藤井隆さん、ROLLYさんが加わって。皆さん個性的ですし、この作品のために生まれたんじゃないかというキャストが揃って。毎日笑い転げてます」

赤根「慈英さんはお稽古場からフルパワーで、楽しんでいらっしゃるのが伝わってくる。始まってからも、本当にエネルギーが衰えるどころかクレッシェンドしていくんですよ。毎日、カーテンコール終わったあとも舞台袖で繰り広げられるパフォーマンスがあって...

霧矢ミュージカル『グリース』(笑)。慈英さんのカーテンコールの扮装が"それ風"なので、ずっと袖で、そのマネをやって、私たちに見せてくださっている(笑)」

▽ 霧矢大夢さん
BigFish09_11_1500.JPG
中山「止まっている瞬間がないんですよね~」

藤井「慈英さんがすごく素敵な空気を出してくださって。稽古中でも「ムムっ」とか「クゥー!」とか言ってくださるんですよ(笑)。失敗しても「いいんです!」と親指を立てて言ってくださって。おかげさまで僕、人生でこんなことしたことないんですが、いい癖が出来ました。家でも何かあったら「いいんです」と親指を立てて言うようになりました。あと稽古場で楽しかったのは、霧矢さんがおいしい差し入れをいつも持ってきてくださったこと!カレーパン、ラスク、ドーナツ...それをみんなで食べてみんなで感想言うのも楽しい時間でした」

霧矢「稽古場から本番まで、"どよん"とした空気にになることがほとんどなかったですよね」

...と、カンパニーの素敵な空気が伝わってくるエピソードを披露。

▽ 「いい癖が出来た」という藤井さん
BigFish09_13_1392.JPG

ちなみに「日生劇場の空間も壁がブルーになっていて『ビッグ・フィッシュ』の世界になっている。素敵」と霧矢さん。

▽ こんなかんじです
BigFish09_15_0018.JPG

「ROLLYさんがすごく素敵なことを仰っていました。『お魚のおなかの中にいるみたいですよね』って」と藤井さん。

チケット情報はこちら

ついに30周年を迎えるミュージカル『レ・ミゼラブル』。新キャストの生田絵梨花(コゼット)、二宮愛(ファンテーヌ)、松原凜子(エポニーヌ)、鈴木ほのか(マダム・テナルディエ)が、オーディションの具体的な様子から、役作りに向けての意外な取り組み、好きなシーンなど、和気あいあいと語り合った。

g1.jpg
sseed_01.jpg 「ストレンジシード」について話すウォーリー木下

静岡ストリートシアターフェス「ストレンジシード」の総合演出を手掛けるウォーリー木下に、本企画についてインタビュー取材した。

「ストレンジシード」は演劇、ダンス、アート系大道芸など多彩なパフォーミングアーツ・舞台芸術が一同に会し、ゴールデンウィークの3日間、いつもの街を劇場に変えてしまうという壮大なフェスティバル。

今回は駿府城公演と静岡市街を非日常空間に変貌させます。

本企画の総合演出を昨年から務めているウォーリー木下にインタビュー取材し、本企画の魅力について聞いた。【動画3分】

記事全文をエントレで観る


エントレで観る
Youtubeで観る

(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ
2月4日に第24回読売演劇大賞が発表になりました。
最優秀作品賞にはミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が、
そして最優秀男優賞には、同作で主役、フランキー・ヴァリを演じた中川晃教さんが選ばれました。
 
読売演劇大賞の歴史の中で、ミュージカルが最優秀作品賞を受賞するのは初めてのこと。
『ジャージー・ボーイズ』は最優秀作品賞、最優秀男優賞のW受賞!
 
2月15日、中川晃教さんの受賞記念取材会が開催されました。
中川さんらしく、その喜びの思いや、『ジャージー・ボーイズ』という作品が自身にとってどのような位置づけの作品になったのか、またその作品を作り上げる苦労、さらにはこれから先見つめる未来についてまで、言葉を尽くして丁寧に語られていました。
その様子をレポートします。
nakagawa_yomiuri01_1313.JPG
 
会見冒頭には、「作品はまず自分がその作品と出会うことからスタートし、共演者やカンパニーと約1ヵ月の時間をかけて、練り上げて作っていきます。その時間を経て幕は開きますが、多くの方々に劇場に足を運んでいただいて、その魅力を感じていただくことで、盛り上がっていく。劇場に足を運んでいただく、"観にいきたい"と思っていただけるお客さんを作るためには、メディアの皆さんに作品の魅力を届けてもらうことで、結果に結びつくのだということを最近特に感じています。『ジャージー・ボーイズ』では特に、メディアの皆さまに盛り上げていただいたことを実感しました。その結果いただいた賞だと思っています」と、集まったメディアにお礼を述べていました。
そんなところにも中川さんの人柄がしのばれます。
 
 
―― 今回の受賞に際して、『ジャージー・ボーイズ』のキャストや演出の藤田俊太郎さんと、何か連絡はとりましたか?
 
「作品賞、演出家賞、男優賞の三冠をとった(読売演劇大賞はノミネート=各賞の受賞。その中から「最優秀」が改めて選出される)時に、『ジャージー・ボーイズ』はLINEグループがなかったので、個々に知ってる人たちと「おめでとう、やったね」とLINEやFacebookで喜びを分かち合いました」
 
 
―― たくさんのお祝いの言葉をいただいたと思います。特に心に残った言葉があれば。
 
「どの方のメッセージも心に残っているのですが、近年ご一緒する機会が多いプロデューサーから「中川さんが、そして中川さんが出演したこの作品が受賞したことを、中川さんと一緒に仕事をして、中川さんを知る人みんな喜んでいると思います」というメッセージをいただいたんです。その言葉はすごく響きました。今回、もちろん『ジャージー・ボーイズ』に関わったすべての人の努力が報われたなと思った受賞だったのですが、同時に、これまで僕が出会ってきた人たちすべてへの感謝の気持ちを持つということが、自分のなかでふっと腑に落ちた。そういう思いにさせてくれたメッセージだったので、心に残っています」
nakagawa_yomiuri11_1327.JPG

チケット情報はこちら

去年、七回忌を迎えたつかこうへい作「熱海殺人事件」は1973年の初演以来、様々なバージョンで演じ継がれてきた4人芝居。

2月に上演される最新作はタイトルに"NEW GENERATION"と冠し、若さみなぎる面々がこの傑作を受け継ぐ。

中でも主演・木村伝兵衛部長刑事役の 味方良介 は、風間杜夫、阿部寛ら名だたる男優が演じてきたこの大役を、史上最年少の24歳で挑むことに。

「テイク・ミー・アウト」などでも好演し、メキメキ頭角を現している注目株に、その胸中を訊いた。


★げきぴあ②NL0_8286.jpg


――味方さんが「熱海」の木村伝兵衛を演じるという一報を聞いたとき、かなりの驚きがありました。

理由としては年齢と、去年の「新・幕末純情伝」に続いてつか作品がまだ2作目ということがあると思うのですが。

ご自身はこのオファーを、どう受け止めたのでしょうか?


「僕自身も 『え? いいんですか、僕で 』 というのが正直な感想でした(笑)。『やりたいです! やらせてください』 とすぐお答えしたんですが、自分が思っている以上に"木村伝兵衛"という存在の大きさを今、感じています。

『お前にできんのか?』 というのも含めて、周りからの期待を感じるし。

先日もある舞台を観に行ったとき、見知らぬ中年男性の方に、『味方くんですよね? 「熱海」楽しみにしてます』 と声を掛けられて。

『そこまで大きなことなんだな』 という実感が、日に日に増していくというか。たぶん僕の今までもこれからも全てが変わるような役なので、自分が今できる以上のことをぶつけていきたいし、見せていきたい。

今の自分の手札にないもの、引き出しにないものを使わなきゃいけない役だと思うんですけど、それもものにして、これまでに木村伝兵衛を演じてきたいろんな方々の中に、胸を張って並べるようにしたいなっていうのは、お話をいただいたときから思っていることですね」


――確かに、錚々たる先輩たちが演じてきた役ですよね。最近では、2014年に馬場徹さんが演じました。味方さんにとってはミュージカル「テニスの王子様」で同じ役(柳生比呂士)を演じたという共通点があります。


「木村伝兵衛を演じると発表した日に、演出の岡村(俊一)さんがばーちょん(馬場)さんを連れてきてくれて、一緒にご飯を食べました。

そのとき、『大丈夫だよ、楽しみにしてるよ』 って。もっと言うと 『イケるイケる、お前ならイケる』みたいな軽い感じだったので、僕は内心、『いやちょっと待ってくださいよ、そんな簡単に言いますけどね!』っていう(笑)。

でも話が進んでいくと、『これは4人の中で誰が主演だっていう作品じゃない。その日の空気やテンションでみんなが主役になるし、みんながフィーチャーされる。その中でお前は絶対負けるなよ!自分を信じて突き進んで、木村伝兵衛として勝ち残れ!』 という力強い言葉をもらったりしました」


★げきぴあ①NL0_8188.jpg


――その共演者たちについて、現段階での印象などを聞かせてください。


「文音さん(水野朋子役)についてはほとんどお会いしたことがなくてこれからなのですが(取材時)、多和田秀弥(熊田留吉役)と黒羽麻璃央(大山金太郎役)は 『テニミュ』 で一緒にやっていて、

秀弥とはつい最近の 『テイク・ミー・アウト』 から立て続けに一緒。僕にとってはガチガチに緊張感のある空間で、秀弥というリラックスできる存在がいるのは、助かるなと思っています。人間性を知っているからやりやすさもあるし、遠慮せずに言い合えるし。

対して麻璃央とは 『テニミュ』 以来で、当時の彼は知っているけど、それ以降の経験を積んできた彼は知らないので、ほぼ初共演のような気がしています。

麻璃央はつか作品も岡村さんの演出も初めてで、秀弥は岡村さんが演出するつか作品は初なのかな。でも岡村さんが選んでいるから絶対に間違いはないだろうし、熱量のある2人なので、何も心配なところはありません」


――味方さんは、生前のつかさんに会ったことは?


「ないんです。 『新・幕末純情伝』 で初めてちゃんと知りました。でも初めて作品に触れて、いろんな資料をもらったり、つかさん本人を知っている先輩方に思い出話を含めていろいろ聞いたり。

『あの作品のこのシーンがカッコいいんだ』 みたいなことも、たくさん教えてもらいました。つかさんの作品は"泥臭い"と言われると思うんですけど、その泥臭さって、泥団子を究極まで磨くと、ものすごく綺麗な球になるじゃないですか。

僕はああいうイメージなんです。でも砕いたら泥なんだ、みたいな。本来はけしてきれいじゃないものが光っている。光らせているものは、演者や演出家やいろんな人間たちの愛じゃないのかなって」


――つか作品を経験すると、覚醒したようにひと皮むける若手は多いです。味方さんもその一人かと思いますが、どういう点が今までの演劇体験と違うんでしょう?


「僕はもともとミュージカルを目指してこの世界に入って、去年 『新・幕末』 のひとつ前に 『グランドホテル』 という大作のミュージカルに出演させていただきました。子供の頃から観てきたミュージカル俳優たちの中に自分がいて、まさに夢見ていた世界でした。

そしてもちろんすごくいい経験で勉強になったのですが、何か心が埋まらない感じが正直あったんですね。

それが次に 『新・幕末』 をやったときに、「これか!」と。ミュージカルの場合は歌や音楽や振付という、助けてくれたり補ってくれるパーツがいっぱいあるんだけど、つか作品の場合は自分の体ひとつと台詞だけで、ドン!と居なくてはならない。

自分の力量全てが試されるし、演劇における稽古の大切さも改めて感じさせてくれます。『新・幕末』はド頭、僕演じる桂小五郎の長台詞から始まるので、責任もものすごく感じたし。

でもこれだから演劇って楽しいっていうか、言い方が軽いですけど(笑)『演劇やってるな』 って実感があるんです。岡村さんとも 『どうだ、演劇やってるだろ?』 『演劇やってますね。楽しいですね!』って会話を交わしたりして」


★げきぴあ⑤NL1_4290.jpg



――アツいですね! 今、お話にも出ましたが、味方さんが木村伝兵衛をやることに驚いたのは、もともとミュージカル志望であることを知っていたからでもあります。
むしろ演劇(ストレートプレイ)のど真ん中の作品・役であり、大きな方向転換とも感じるのですが、そのあたりの心境を聞かせてください。


「ミュージカルや歌うことは今でももちろん好きなんですけど、好きなこととやれることって違うんだなって思ったり......いや、それ以上に演劇の深さや楽しさに触れたんです。
一番初めは3年前に 『恋するブロードウェイ♪ vol.3』でスズカツ(鈴木勝秀)さんの現場を経験したことで、『歌わんでいい』と言われて。

そのときは歌う舞台だったので 『え?』 と思いながら(笑)、『お前は30まで芝居を勉強すりゃいいんだよ』 って話をしてくれたことがすごく胸に響いて。
ミュージカルをやるにしても、芝居というものをちゃんと背負っていたいなという気持ちになっていったんですね。ミュージカルだってベースはお芝居なので、そこを背負ってやったら歌うことを含めていろんなことが変わってくるはず。 『グランドホテル』 でご一緒した成河さん(元★☆北区つかこうへい劇団)を観ていても、やっぱり魅力が全然違うんですよね。

空気をガラッと変える力があって、自分もそうありたいと思うので。そのとき、成河さんに 『つかさんの作品に出るんです』 と相談したら、『イイよ!良介だったらイケるよ!』 って言ってくれたのがうれしかったですね」


――いろんな成長や気持ちの変化を飲み込んでの味方さんの木村伝兵衛! ますます楽しみになりました。


「 『白鳥の湖』 が大音響で流れるあのオープニングを想像しながら台本を読んでいるだけで、『わー、スゴい!』って思うんです。

木村伝兵衛は色っぽいっていうか、エロいというか。『 「白鳥の湖」......そっか、ヤラしいな 』 って。

ちょっとワケわかんないかもしれないですけど(笑)。もちろん年齢が上の人たちがやることで出る色気ってあると思うんですけど、逆に僕しかできない、若さゆえのエロさが出たらいいなと思っています」


★げきぴあ③NL0_8289.jpg

★げきぴあ④NL0_8300.jpg


ライター:武田吏都

--------------------------------------------

【公演情報】

熱海殺人事件 NEW GENERATION

作:つかこうへい

演出:岡村俊一

会場:東京・新宿 紀伊國屋ホール

期間:2017年2月18日(土)~3月6日(月)


出演:味方良介 / 文音 / 多和田秀弥 / 黒羽麻璃央




チケット情報はこちら

チケット情報はこちら

増田こうすけの人気ギャグ漫画を作にした『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 〜奥の細道、地獄のランウェイ編〜』。2月15日(水)の開幕を目前にした稽古場におじゃましてきました!

名作のパロディや歴史的な偉人、動物、ケダモノなどさまざまなキャラクターが登場し、シュールな台詞が特徴の原作。漫画は読んだことあるけど舞台は観たことない、という方は「あのシュールな世界観をどうやって舞台に?」「生身の人間でできるもの!?」と驚かれるかと思いますが、2015年に初演、2016年に再演、そして今回は完全新作のオリジナルという...そう、人気作なのです!

11111111-.jpg
<< 前の10件  97  98  99  100  101  102  103  104  105  106  107   >>
アーカイブ

カテゴリー

ジャンル

カレンダー

アーカイブ

劇団別ブログ記事

猫のホテル

文学座

モナカ興業

谷賢一(DULL-COLORED POP)

劇団青年座

劇団鹿殺し

 はえぎわ

柿喰う客

ONEOR8

M&Oplaysプロデュース

クロムモリブデン

演劇集団 円

劇団チャリT企画

 表現・さわやか

MONO

パラドックス定数

石原正一ショー

モダンスイマーズ

ベッド&メイキングス

ペンギンプルペイルパイルズ

動物電気

藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

松居大悟

ろりえ

ハイバイ

ブルドッキングヘッドロック

山の手事情社

江本純子

庭劇団ペニノ

劇団四季

最近のブログ記事

演劇チケットぴあ
劇場別スケジュール
ステージぴあ
劇団 石塚朱莉