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いまや日本ミュージカル界に欠かせない存在である藤岡正明
今年も『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート『不徳の伴侶』『タイタニック』と出演作が次々と発表になっています。fujioka08 15th_1447.jpg

藤岡さんにそれぞれの作品について、そして、俳優として、ミュージシャンとして......様々なお話を伺ってきました!

今回は【後編】として、『不徳の伴侶』『タイタニック』、そしてTV番組『カラオケ☆バトル』のお話までお聞きしています。

★『ジャージー・ボーイズ』イン コンサートや、ご自身のライブツアーについて語った前編はコチラ★



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●朗読ミュージカル『不徳の伴侶 infelicity』(5/29~6/3 東京)


―― 『ジャージー・ボーイズ』イン コンサートのあとは、『不徳の伴侶』が5・6月にありますね。作・演出を荻田浩一さんが担当される作品です。

「僕、荻田さんの演出作に再演から参加したり、ミュージカルコンサートでご一緒したりはしているので、厳密に "お初" ではないのですが、イチから芝居を作り上げる現場でガッツリまともに向き合ったことが、実はないんです。もともと荻田さんのことはよく知っていて......まぁ、主に飲みの席で、なんですが(笑)。ただ、そのコンサートの演出で少しだけ触れた演出家としての荻田さんは、ちょっと怖いと思うくらいの真面目な目をしていました。言葉も、普段は柔らかい方なのに、違うものは違うとハッキリ言う。荻田さんが思い描くビジョンが、佇まいから伝わってくるんです。ですので、"荻田さんとガッツリ演劇をやりたい!" という気持ちですね」


―― 特に今回の作品は荻田さんの「自主公演」ですので、こだわりもひとしおではないかと想像しています。

「そうなんですよ、荻田さんが10年温めてきた題材だそうです。普段、とても大きな劇場などでもたくさん演出をしている方ですが、今回はこういった小劇場(赤坂RED/THEATERの座席数は200弱)。変な話、ここでお金儲けをしようとかじゃないですよね。この作品は、荻田浩一の情熱でしかない!ってことです。その情熱に、僕も乗りたいな、と思いました。まだ稽古も先ですが、面白くなるといいなと思っていますし、そういうものを、僕も欲しているのかも」


―― そういうもの、とは、商業的なあれこれを抜きにして良い作品を、という?

「そう、やりがいが見出せる作品。もちろんお金を稼ぐことも重要ですが、自分自身が夢を見ていたいなと思うんです。やっぱりこの仕事が好きでやっているから。そこに情熱を120パーセント注ぎこめたら、生きてる心地がするんだろうなって思って」

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3月3日(土)より、東京国際フォーラム ホールCにて開幕する『ジキル&ハイド』。主役のジキル博士&ハイド氏をミュージカル界の貴公子 石丸幹二が引き続き演じるのに加え、新たなキャストでの待望の再演に早くも期待が高まっています。2012年と2016年の過去公演では、純白のエマ役で出演していた笹本玲奈さんもその一人。昨年一年の産休を経て、今作では180度と違ったルーシーとして、ミュージカルの舞台に舞い戻ります。

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復帰を待ちわびた多くのファンの期待を背負って新境地に挑む玲奈さんに、今回の意気込みや女優としての転機について、そして、一度離れて改めて感じたミュージカルへの愛をたっぷり語ってもらいました。

―同作ではエマ役として、過去に2回出演されています。今回は役柄がガラッと変わりますね。

「私の中で、ルーシーは濱田めぐみさん(2012年・2016年上演)のイメージが強いです。めぐさんのルーシーは、しなやかで妖艶で、大人の女性という印象でした。それでも、ルーシーのナンバーは自分のコンサートではよく歌ってきたこともあり、いつかやってみたいという思いもありました。原作では出てこない役なのですが、それってすごく有難いことだなって。年齢設定や生きてきた背景など自分が考えてきた形で役作りができる部分もあるんですよね。これまで演じられてきた方とはまた違ったルーシーができるといいなと思っています」

―笹本さんの考えるルーシー像とは?

「2年前の上演から、ルーシーの言葉でとても印象に残っているセリフがあって...。ヘンリーのことを『あの人は私に優しかった』って言うんですけど、その言葉がすごく悲しいし、切ないですよね。彼女の今までの人生すべてを表していると感じたというか、たった一言優しい言葉をかけられたことで内面がガラッと変わるくらいに、これまで計り知れない苦労をして、残酷な人生を歩んできたんだなって。具体的にどんなことがあったかっていうのは今から紡いでいく部分だとは思うんですが、きっと親の愛も受けてこられなかったのかなとか、男性に心底愛されるってこともなかったんじゃないかなとか...。娼婦ですので体を求められても、心を見てもらえない。想像できない人生ですよね」

―そんな役柄へのアプローチにあたって、大切にしたいことは?

「苦しい人生を送ってきた彼女ですが、ピュアな部分を持ち合わせている女性だとも強く思うんです。いくら男性に体を売っても、芯の部分ではとても純粋で、少女のような心を持っている。今までガチガチに鍵をかけられていた、そんな彼女の純真さがヘンリーの優しさによって解かれていく。そこを大切に表現したいです」

―言葉や態度の奥にあるものですね。

「口では、『私は人生を捨てたの、どうでもいいの』って言いながら、憧れや夢を固い箱に閉じ込めて何十年も生きてきたんだなって。そういう部分を見せられたらって思いますね。『あんなひとが』や『新たな人生』という歌も、彼女がピュアな部分を持ち合わせているからこそ出てくるものだと思うので」

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―19世紀ロンドンの過酷な社会背景の中で生きるルーシーですが、時代や環境は違えど、同じ女性として通じる部分もあるかもしれませんね。

「女性って誰しもがどこかで、愛されたい、とか、寂しさを埋めてもらいたい、とか多かれ少なかれ思っているんじゃないかなって。ルーシーにもそういうところがあって、そこが共感を呼ぶのかなって思います。物語は史実ではないですが、この時代の労働者階級の人たちがどういう暮らしをしていたのか、当時の娼婦の人がどれくらいのお給金をもらっていたのかとか、そういう時代背景にまつわる本や資料も今見ているところです。階級によって話す言葉、話し方も違うと思うので、そういったことも参考になるんじゃないかなと思っています」

―今回は歌うナンバーの印象もガラリと変わります。ワイルドホーンの楽曲にはどういう印象をお持ちですか?

「一言で言うと...役者泣かせですね(笑)。本当に大変な曲が多くって、喉に負担がかかります。『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』などでは、自分の音域にぴったりの曲をやらせてもらっていたのですが、今までのようなあどけなさが残る歌い方じゃダメですし、もっとねちっこくというか、情念のようなものを出していかなくてはならない。でも、音楽の力に乗せられてどんどん感情が溢れてくるんです。転調が多いので、気持ちがどんどん乗っていくし、演じる方も観る方も心を掴まれる。音を聞いているだけで感動させられるような力強さが魅力です」

―エマからルーシーへ。女優としても一つの"転調"となりましたね。

「階級社会の頂点にいる女性と底辺にいる女性。180度違う人生を背負っているなと感じています。ただ、そんなエマとルーシーにも共通点があります。育った環境や考え方は違っても、人を見た目で判断しない。うわべだけじゃなく、純粋な気持ちで心の中を読み取れる。そういう部分は唯一の共通点じゃないかなって。だから、劇中でも2人のデュエットがあって、同じ曲を一緒に歌えるんじゃないかなって」

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―人間の持つ純粋さ、複雑さ、残酷さ、弱さ。ルーシーを始め、登場人物の心の動きにドキッとさせられる作品ですよね。

「そう思います。でも、人間ってそうですよね、心で思っていることすべてを口に出して言えるわけじゃない。ルーシーも頭と心では、『この人に引っかかっちゃいけない』ってわかっているけれど、体が言うことを聞かないというか。そういう一致しない部分はハイドっぽいというか、二面性を感じる部分。一言で言うと、人間の本質をついた作品ですよね」

―自分すら知らない、二面性に気づいてしまうかもしれない...。

「殺人が絶対にいけないことというのは大前提ですが、ハイドが罪深い人達を殺していくところは、ちょっと爽快だったりもするんですよね。『自分もジキルであり、ハイドなのかもしれない』とか、『自分はもしかしたら、今思ってる自分じゃないのかな』ってちょっと怖くなることもあります。そんな気持ちに、楽曲の素晴らしさが相乗効果で響いていく。観終わった後に、『さあ、あなたはどうですか?』って、投げかけられているような...」

―ちなみにですが、笹本さんにも意外な一面はありますか?

「そうですね、二面性とはまた違うかもしれませんが、今までは子どもがいる生活がどんなものかなんて、考えたことがなかったんです。でも、出産して、自分の中の大きな変化を感じました。生まれた瞬間に価値観がガラリと変わったというか...」

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―どんな風に変わったのでしょうか?

「私生活を仕事に持ち込むことはもちろんダメだと思っているんですが、生活する上ではやっぱり子どもを優先することが多くなって。それに伴って、この先子供が育っていく中で、世の中がどのように変化していくのか、未来のことを考えるようになりました。今までは自分の今のことだけ考えていたのに(笑)」

―産休を経て、復帰。ミュージカルや女優業に対する心境の変化は?

「13歳でデビューしてから去年まで、ありがたいことにお休みなく仕事をいただいて、自分自身が話している時間よりも、役柄として話している時間の方が長いんじゃないかっていうくらい、女優として充実した日々でした。そんな中で、長い休みが欲しいなって思ったこともありましたし、自分を見失いそうになる時期もありました。でも、この一年間は、誰でもない"笹本玲奈"として生きてみたんです」

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―なるほど。

「今更ながら、『あ、自分ってこうだった』っていう発見もありました(笑)。でも、休めば休むほど、ミュージカルへの想いは大きくなって、その愛が再確認できた期間でもありました。こういう風に離れる時間って大事だったと思えましたね。そうじゃないと自分を見失って、もしかしたら、舞台も嫌いになっていたかもしれない。一度距離を置いて、外からミュージカルという世界を見つめた時に、改めて自分にとってのかけがえのない場所を見つけた気がしました。そう感じてからは、一刻も早く復帰したい! 歌いたい!という気持ちでいっぱいになって、今回はそういう思いが爆発すると思います(笑)」

―1つの転機を経験された笹本さんの復帰作、楽しみにしています! 最後に復帰を待ち望んだファンにメッセージをお願いいたします。

「昨年は結婚、妊娠、出産と1年ほど現場からは離れていましたが、その間もインスタグラムなどを通して、コメントやメッセージを頂く中で『こんなにも待っていてくださる方がいるんだ』とものすごく励まされましたし、とても感謝しています。支えてくださったみなさんに期待以上のものをお見せできる様にしたいと思っていますので、楽しみにしていてください」

取材・文:杉田美粋

撮影:イシイノブミ

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■ミュージカル「メリー・ポピンズ」特集(6)■

いよいよ開幕が近づいてきたミュージカル「メリー・ポピンズ」。3月4日(日)には浅田真央さん出演の特別番組(詳しくはこちら)も決定し、開幕に向けますますの盛り上がりを見せています!

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げきぴあメリーポピンズ特集第6弾は、ジェーンとマイケルの父であるジョージ・バンクスを演じる駒田一さん山路和弘さんの対談をお届け。家庭でも規律と秩序を重んじる、厳格な銀行員であるジョージ。「この2人がWキャスト?」と言われるというお2人それぞれの役に向けた意気込みをお伺いしました。

真面目な堅物だけではない、何かプラスアルファを出せたら(駒田)

堅い人物であればあるほど、表面的で、実は泣き虫だったりする(山路)

――『メリー・ポピンズ』との出合いは?

駒田 小さいころからもちろん映画は観ていましたし、曲自体すごく親しみがありますからね。でもまさか舞台になるとはこれっぽっちも思っていなくて。人が空を飛ぶ、なんてね。でもそれが現実となり、さらに自分が父親役をやることになるとは...。そういう年齢に僕もなったんだなと、今しみじみ感じています(笑)。

山路 僕は子供のころに映画館で観ているんですよ。特に具体的な記憶は残っていませんが、不思議な夢の世界に連れて行かれたなという感覚は強烈に覚えていて。そんな僕もなんと父親役、というかおじいちゃん役でもいいような年齢になってしまったことに、これは困っちゃったなと今少し焦っているところです(笑) 。

――オーディションは非常に長期間にわたったと聞きました。

山路 いやぁ、長かったですね。呼ばれる度に「また? もういいんじゃない?」と思っていましたから(笑)。

駒田 僕はこのマッキントッシュ・カンパニーの作品は3作目ですが、これまでの2倍、3倍は長かったですね。最後の方はもう楽しんでいたくらい(笑)。

山路 その境地までいった!?

駒田 ええ。これでダメならしょうがないし、やれることはやったなと。だから正直決まった時は、「本当にやるんだ!?」と驚きましたし(笑)、じわじわと喜びが込み上げてきた感じです。

山路 僕は何回目かのオーディションの時、「キチッとした格好を見てみたい」と言われたんですよ。で、たまたま『アンナ・カレーニナ』のカレーニンの衣裳を引き取っていたので、「これでどうだ!」くらいの気持ちで着て行ったんです。でも反応は芳しくなくて...。ついに終わりかなと思っていたらこうなったので、不思議なものですよね。

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――演じられるジョージ・バンクスについて、現段階ではどんな人物として捉えていますか?

駒田 真面目な堅物という印象ですよね。でも僕がやるからには、それだけではない何かプラスアルファをうまく出せたらなと。もちろん演出家や稽古場の雰囲気にもよると思うんですが、ただ堅い人というのでは面白くないと思っていて。

山路 僕も堅い人物だとは思うんですけど、それって結局表面的なものだったりしますよね。堅い人物であればあるほど泣き虫だったり。うまくそのへんを出せればとは思っているのですが...、そういう自分の色みたいなことって、向こうのスタッフには許されるものですか?

駒田 正直な話、どんどんやった方がいいです。絶対に怒りませんし、必ず許してくれる。決めつけることは決してしないので。だから今回も、いろいろ試せる稽古場であると信じているんですけどね。

山路 なるほど。

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――では駒田さん、山路さんならではのジョージとは、どういった部分に表れてくるのではないかと思いますか?

山路 それは自分ではわからないですね。周りには、「このふたりのWキャストっていうのもなかなかないですね」とはよく言われますが。

駒田 それ、僕もよく言われます。だからこそ面白いと思うんですよ。ある意味で本当のWキャストだと思うので。同じようなタイプの役者だと、僕なんか「どっちかでいいんじゃない?」と思ってしまうので(笑)。

山路 そもそも僕はプロになってから初のWキャストなんですよ。

駒田 あっ、そうですか!? 僕の中で山路さんってすごく渋い、ニヒルな印象があるんですけど、そういう意味でも赤と青くらいの違いが出るのかなと。さらにお互いの演じ方、お客さまの捉え方によってももちろん変わってきますから。

山路 僕は駒田さんがWキャストでいてくれることはすごく心強いですよ。稽古中も横にピタッと、ずっと寄り添っていきますので(笑)。

駒田 やめてくださいよ!(笑)

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取材・文:野上瑠美子

撮影:イシイノブミ

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いまや日本ミュージカル界に欠かせない存在である藤岡正明
今年も『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート『不徳の伴侶』『タイタニック』と出演作が次々と発表になっています。

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藤岡さんにそれぞれの作品について、そして、俳優として、ミュージシャンとして......様々なお話を伺ってきました!



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●「役者・藤岡正明」と「ミュージシャン・藤岡正明」?

―― 去年末はその武器である歌を使わないストレートプレイ『欲望という名の電車』でも大役を果たされていて、その前の『ビリー・エリオット』も芝居色の強い役柄を演じていました。もともとの出発点は音楽活動だと思いますが、最近は俳優としての藤岡さんを見る機会が多い。ちょっと今日は、「役者・藤岡正明」「ミュージシャン・藤岡正明」を語っていただければと思っているのですが......。

「『欲望という名の電車』は、自分でもなんで僕にあの役が来たんだろうと最初は思いました(笑)。まず、ミッチという役は "180何センチの大男" ですしね。たしかに、そういう意味では去年は "役者" に寄っていて、歌をガンガン歌うということもあまりなかったし、自分の音楽活動というものもほとんどなかったですね」


―― 一転して今年は、コンサート『TENTH』からはじまり、ミュージカルが何本も決まっていて、さらにライブツアーもある。2018年は「歌う藤岡正明」の年なのかな、と思ったのですが、これは狙ってのことですか?

「いえ、狙ってでは、まったくないです。ただ自分としては、"刺激的でありたい" と思っているんです。自分自身が「ここ!」と思える、この仕事をやる上での縁を感じられるところには、どんどん出ていきたい。ただ、いま「狙ってではない」と言いましたが、最近ちょっと、役者としてだけでなく、歌手としてムラムラしてきました(笑)」


―― ムラムラですか(笑)。

「だから久しぶりにミュージシャンとして、3月にライブツアーもやります。ここ最近は自分のオリジナル曲をやって、普通にギターを弾いてポップスを歌うってことをあまりしてこなかったんです。だから、オリジナルライブは2年半ぶりかな? でも実は、そのやっていない間に、ギターばかりいっぱい買っちゃって。何本増えたんだろう? ってくらい。それで、家でギターを弾くという時間が、ある意味忘れていたものを思い起こさせてくれる時間だったんです。役割としてのミュージシャンではなく、自分の部屋でビールでも飲みながら、ただひたすらギターを弾いているという行為が「俺にとって音楽ってなんなんだろう」みたいな......。そんなことから、最近ふつふつと、やっぱり音楽をやりたい! って思うようになったんですよね」

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ラサール石井が構想10年の時を経て舞台化したオリジナルミュージカル『HEADS UP!』

2015年の初演時は、そのストーリーの面白さ、ミュージカルとしての質の高さが大きな評判となったこの作品がパワーアップした再演版として昨年末から上演中。全国ツアーを経て、いよいよ3月2日より東京凱旋公演が登場します。

哀川翔、橋本じゅん、青木さやか、池田純矢、今拓哉、芋洗坂係長、大空ゆうひ ら、バラエティ豊かな顔ぶれも魅力ですが、初演に引き続き新人舞台監督の新藤祐介を演じる相葉裕樹さん、劇場付き雑用係の熊川義男を演じる中川晃教さんのおふたりに、作品の魅力について、たっぷり伺ってきました。

◆ストーリー◆
ミュージカルファンなら誰もが知る "あの名作" が1000回目の公演を迎え、華々しく終了したはず...だった。が、ベテラン主演俳優は某地方都市の古い劇場で1001回目を上演することを要求。誰も鶴の一声には逆らえず、上演することになったが、舞台美術は廃棄済み、キャストのスケジュールも押さえていない、スタッフも人手不足、演出家は理想のプランを頑として譲らず...。しかも、舞台監督はメインをはるのが初めての新人!
それでも、スタッフたちは、幕を開けようと必死に知恵を絞って奔走する。幸か不幸か、チケットは完売!観劇のために必死に都合を付けた観客たちが、期待に胸ふくらませて待っている!!
果たして幕は無事に開けられるのか...!?そして、主演俳優が「1001回目」にこだわった理由とは...?



◆ 相葉裕樹 & 中川晃教 INTERVIEW ◆

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●『HEADS UP!』が東京に帰ってきます!

―― 昨年12月の神奈川から始まった再演版『HEADS UP!』。富山・長野・大阪・名古屋を経て、3月には東京に帰ってきます。地方公演は、いかがでしたか?

中川「地方公演って、忙しいよね。タイトなスケジュールじゃないですか。もちろん本番はあるし、舞台稽古もあるし、(その土地の名物を)食べることもしなきゃいけないし...! 慌しいよね」

相葉「そうですね、ご飯は楽しみですよね。僕は富山で白エビを食べました! (哀川)翔さんについていったら美味しいものが食べられるんです(笑)。基本、毎日声をかけてくださいます。すべてにおいて翔さんは "兄貴" です。アッキーさんはどんなものを食べているんですか?」

中川「白えび、俺も食べました。俺は基本的に地方の美味しいものにパッといく感じかな。ちゃんと、食べてますよ(笑)」

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●『HEADS UP!』は "舞台愛" に溢れたミュージカル

――『HEADS UP!』、2015年の初演が非常に評判が良くて、演劇関係者の間でも「観に行った方がいい!」と話題になっていました。まずは『HEADS UP!』の魅力について、お伺いしたいです。

相葉「あるミュージカルを上演する1日の裏側を描いた作品だということもあり、舞台愛に包まれている作品です。舞台監督や照明、制作、キャスト......誰にスポットを当てても共感できますし、お客さまも作品を上演する上で欠かせない存在ですから、その気持ちもきちんと描かれている。『チケットは売れている』という曲では、一生懸命働いて、スケジュール帳に「この日」って書いて、楽しみに舞台に観にくるお客さまのことを歌っています。それは実際自分が客として観に行くときの気持ちでもあります。そして普段触れ合っている作り手側の皆さんの熱い気持ちも、この作品を通して改めて知ることが出来て、僕はより一層、舞台が好きになりました」

中川「僕は役者としてこの作品に関れていることに意味を感じるんです。僕たちの仕事って、観に来てくださったお客さまが「いいものを観た」「楽しかった」「なんか元気になった! 帰りに美味しいもの食べよ」でも何でもいいのですが、前向きに元気になっていただけるようなものをお届けすることだと思うんです。今回僕が演じる熊川義男という役は、例えば『ジャージー・ボーイズ』のフランキー・ヴァリ役のように、その声を表現するとか、テクニックを磨くとか、誰もが知ってる楽曲を歌うとかではないんですが、"役者としての使命" に向き合う役だと思っていますし、自分が常にそれを感じながら仕事と向き合ってきたということに確信を持てた役です。今まで演じてきた役それぞれに、それぞれの "特別" はありますが、"舞台に立つ自分自身" という視点からの特別感を抱いたのは、この作品が初めてかもしれません」

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ついに来日!マシュー・モリソン in コンサート

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『ヘアスプレー』や『ファインディング・ネバーランド』のオリジナルキャストとして、大観衆から喝采を浴びているブロードウェイのミュージカルスター、マシュー・モリソン。海外ドラマ『glee/グリー』のシュースター先生でもおなじみの彼が、日本初のソロコンサートをいよいよ明日開催します!

そんな大事なコンサートを控えたマシューがいる、本番前夜のリハーサルスタジオにおじゃましました。

スタジオの扉を開けると、ゲスト出演する中川晃教と、今まさにデュエットするというところ。

静かに、ゆっくりとマシューが美声を響かせると、ともに歌うことがなによりも嬉しそうに、中川は笑顔。マシューにつづいて中川のファルセットボイスがスタジオに響くと、マシューも楽しそうにニッコリ。お互い歌声を高め合いながら、圧巻のコーラスで魅せてくれました。

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▼マシュー・モリソン、中川晃教

今回の来日コンサートはセットリストの異なる2回公演。

16:00開演回は、ミュージカルナンバーに加えて、『glee/グリー』で披露した「Sway」やジャズのスタンダートナンバー「It Don't Mean a Thing(スウィングしなけりゃ意味がない)」などを披露する"ブロードウェイ/アメリカンソングブック バージョン"

そして、19:30開演回は、ザ・ビートルズの「LET IT BE / HEY JUDE マッシュアップ」などヒットチューンが満載の"ブロードウェイ/ポップヒッツ バージョン"

迫力あるバンド演奏で披露した「LET IT BE」は、リハーサルと思えない大盛り上がりで、バンドとの息もピッタリでした。

リハーサル後に、本番への意気込みをふたりに聞きました。


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▼マシュー・モリソン、中川晃教


――リハーサルを終えて、手ごたえは?

マシュー●すばらしかったです。新しいバンドで、しかも新しい場所で、というのはこれが初めてのことだったので、リハーサル前はちょっとドキドキしてたんです。でも、皆さんとてもプロフェッショナルな方たちばかりで、とてもすばらしかったです。

中川●僕はマシューさんの隣で、彼がどういうふうにミュージシャンやスタッフの方々と明日に向けてコンサートを作っていくのか? そのプロセスをちょっとだけ見ることができました。今回は2公演でずいぶんとセットリストが変わって、マシューさんの音楽の魅力、マシューさんのバックボーンにある音楽をたくさん届けてくれる。そのマシューさんの気持ちが嬉しくて、素敵なエンターティナーなんだってことを感じました。

――中川さんとデュエットしてみていかがでしたか?

マシュー●すごく才能があって、とても素晴らしい方だと感じました。それに男性があんなに高い声で歌うなんて、本当にびっくりしました。もう一度、自分もボーカルレッスンをやって、アキさんみたいに歌ってみようと思ったりもしました。ステージでそのまま歌う方が多いと思うんですが、役に入り込み、心をこめた歌声がすばらしいと思いました。

中川●ありがとうございます。ミュージカルの同業者のみんなは、僕がマシューさんとご一緒させていただけることを、すごくうらやましがってます。マシューさんが発するものすべてがインスピレーションになり、エナジーになってます。

マシュー●アキさんはとても素晴らしい方なので、もし可能であれば、いつかアメリカで一緒にコンサートをしてみたいです。

――今回は日本語でも歌う曲があるということですが?

マシュー●(人差し指を口元にあてて)シー! 冗談です(笑)。「SUKIYAKI(上を向いて歩こう)」をバンドの皆さんにアレンジしていただきました。今は日本語で歌う練習を一所懸命しています。

――楽しみにしています。それでは最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

マシュー●大好きな日本で僕のショーを観てもらえることがすごく嬉しく思っています。これから、何度も何度も日本に来たいと思ってます!

中川●本場の、本物の、そして今なお活躍されているマシューさんの声や姿を生で観られる。これは本当に幸せなことだと思います。今回だけじゃなくて、これからも続けていけるようなコンサートになるように、自分ができることを頑張りたいと思います。


そして、音楽監督も務める下野ヒトシ(Bass)&宮崎隆睦(Sax)にお話をうかがいました。

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▼(写真左から)宮崎隆睦(Sax)、ブラッド・エリス(Music directer/Piano)、マシュー・モリソン、中川晃教、下野ヒトシ(Bass)


――リハーサルを終えて、マシューさんの印象は?

下野●歌と踊りがどちらもすごくてスター性があるし、フィーリングが日本人とは違ったエンターテインメント性というのを一番感じましたね。

宮崎●とにかく美しい。それが一番最初の印象です。すごい人っていうのは、やっぱりそういうものを持ってるんだなって思いました。

――明日のコンサートはどんなものになりそうですか?

下野●"ブロードウェイ/ポップヒッツ バージョン"は、有名な曲が多いんですが、それをマシューならではのダンスとパフォーマンスで聴ける機会ってそんなにないと思う。本場のコンサート会場で観てるのと同じ雰囲気で味わってもらいたいですね。それと、「SUKIYAKI(上を向いて歩こう)」は、かなりいいできです。ありがたいことに僕らがアレンジをさせていただいて、ミュージックディレクターのブラッド(・エリス)とマシューもすごく気に入ってくれてます。マシューはただのシンガーではなくて、アクターなので、歌、ダンス、パフォーマンスなどトータルで楽しんでもらえたらと思います。それに、ホーンセクションは日本のトップクラスが揃いました。クオリティの高い演奏も存分に聴いてもらいたいです。マシューもリハーサルから「最高だ!」っていちいち褒めてくれました。

宮崎●少ないリハーサルの中で、しかもマシューたちは時差ボケがあったり大変だと思うんですけど、ベストを尽くしてくれて。僕らもそれに応えたいと思う。本番が本当に楽しみです。

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マシュー・モリソン in コンサートは2月24日(土)Bunkamuraオーチャードホールにて開催。

皆さんのご来場をお待ちしております。

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■ミュージカル「メリー・ポピンズ」特集(5)■

3月18日からのプレビュー公演まで1ヶ月を切ったミュージカル「メリー・ポピンズ」。個性豊かなWキャストが揃った今作から、スペシャル対談が実現!

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げきぴあメリーポピンズ特集第5弾は、ジェーンとマイケルの母、そしてジョージの妻であるウィニフレッド・バンクス役を演じる木村花代さん三森千愛さん。そしてあの名曲「鳥に餌を(Feed The Birds)」が印象的なバードウーマン役、またメリーが去った後のバンクス家にやってくるミス・アンドリュー役を演じる島田歌穂さん鈴木ほのかさん。女性キャスト4名が、作品の魅力からオーディションのエピソードまでたっぷり語ってくれました!

大人も子供もどの世代の方も楽しめる、素晴らしい絆の物語です(木村)

この舞台を観る人生の中の一瞬の3時間が、ものすごい宝物になる(三森)

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――『メリー・ポピンズ』という作品の魅力とは?

三森 子供の時から大好きな作品ですが、大人になって改めて見た時に、こんなにも家族のことを描いていた作品だったのかと初めて気づかされました。"家族"という大事なテーマを、華やかなダンスや歌で表現している。本当に楽しくて心に響く作品だと思います。

木村 私はメリー・ポピンズの魔法って、いわゆるキラキラした魔法ではないと思うんです。誰しもが持っている、忘れかけたものを思い出させてくれる存在ではないかなと。だから何度見ても、その時々でいろいろな気づきがある作品なのかなと思います。

島田 まずは音楽が素晴らしいですよね。誰もが知っている曲がたくさんあって。それがついに舞台化されたと知りとても嬉しかったのですが、あの映像が舞台でどうなるのか、まったく想像がつかなかったんです。でもニューヨークで生の舞台を観た時に、「これはすごいものが出来ちゃった!」と大興奮をして。そんな作品の日本初演に携わらせていただき、本当にありがたいと思います。

鈴木 ディズニー作品というと王子様とお姫様が出て来て...というのが定番ではありますが、『メリー・ポピンズ』はまず人間ドラマがすごくしっかりしているんですよね。『レ・ミゼラブル』などを手がけられたサー・キャメロン・マッキントッシュが、これをミュージカル化したかった理由がものすごくわかる気がします。

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――2011年の『ヴィラ・グランデ青山~返り討ちの日曜日~』、2015年の『ブロッケンの妖怪』に続き、3作目の竹生企画です。これまでの手応えは?
倉持 いや、よかったと思いますよ。
生瀬 まぁ「ちょっと手応えは......」とか言われてもね(笑)。
倉持 なんで3回目やるんだって話ですよね(笑)。ただ自分の中ではちょっと落ち込むところもあって......。
生瀬 そうなんですか!?どこどこ?
倉持 竹中さん、生瀬さんが強力なので、助けられ過ぎているなって実感はあります。あまり面白くないところも面白くしていただいたりして。
生瀬 謙虚ですねぇ。だって倉持さんが自分で書いて、自分で演出しているわけですから、それはおかしな話ですよ。僕らはただの素材であり、どう料理するかは倉持さん次第。だから面白いのは全部倉持さんの手柄です!
倉持 はい、ありがとうございます。

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――竹生企画に書き下ろす上での面白さとは?
倉持 まずあまり気を遣わなくていいっていう安心感はありますよね。これ出来るかな?みたいなことが、おふたりに関してはありませんから。
生瀬 倉持さんの中には竹中さんのイメージ、僕のイメージってものがあるわけですよね?
倉持 ありますね。
生瀬 それが僕は面白いんですよ。台本を読んだ時に、自分ってこんなふうに見られているんだなって。
倉持 ただ竹中さん、生瀬さん、それぞれにというよりかは、おふたりの関係にあてて書いている感じですね。生瀬さんの方が引っ張っていくタイプかな、とか。
生瀬 竹中さんはすごくシャイですけど、僕は結構破壊しちゃうタイプですからね。その点、竹中さんにとって僕は、ものすごく苦手な人間だと思う(笑)。
倉持 竹中さんは一つひとつ、きっちりとした自分の世界観を持っていますからね。そこを生瀬さんにどんどん土足で踏み込まれ、崩されてしまう(笑)。でもそういうのって、書いていてやっぱり面白いんですよ。

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――今回竹中さんと生瀬さんは、とある事故で生き残ったふたりという設定ですね。
倉持 ええ。前回、前々回が腐れ縁のふたりという設定だったので、今回は赤の他人にしようと。ただ九死に一生を得たという強烈な共通項があれば、ひとつ確かな核になると思ったんです。
生瀬 僕の中には昔からずっとあたためていたお話があって、それを倉持さんにお伝えしたんです。帰りの燃料を積まないで目的地に向かった宇宙船のお話なんですが、今回倉持さんからうかがっている内容とは全然違う。でもタイトルに"火星"が入っていたりして、僕の夢が実現しているような気がします。
倉持 実は竹中さんからもSF的なお話がありまして、それで『火星の二人』というタイトルにしました。火星って30年に2回だけ地球に大接近するらしいんですけど、なんかそれもいいなと。ふたりは他人なんだけど、15年前にも強烈な接点があった、みたいな話になると面白いと思ったんです。

――その事故をきっかけに、物語はどういった展開を見せていくのでしょうか?
倉持 竹中さんの家族のもとに、生瀬さんが居候として割り込んでくることになります。しかも竹中さんの家に入れてもらえなかったので、庭にテントを張って居候を始めるという......(笑)。
生瀬 ハハハ、テント面白いですね。で、竹中さんが"なぜ人の家にテントを張っちゃいけないのか"をキチンと説明したりして。
倉持 そうそう。それだけで面白くなると思うんですよ。テントを張るか、張らないかだけで、15分はいけると思います(笑)。

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――おふたりのやり取りがこれまで以上に楽しめる作品になりそうですね。
倉持 そうですね。これまでの中では一番ふたりのシーンが多くなると思います。3回目にして、"竹生企画"の名に偽りなしの芝居になるかなと。
生瀬 たぶん竹中さんは嫌だと思いますけどね(笑)。これまでもふたりきりは嫌だって、他の役者を呼んでいるわけですから。
倉持 上白石さんも竹中さんのご紹介ですが、いい女優さんですよね。かわいらしいし、芝居も出来るし、新しい方とご一緒できるのも楽しみですね。

「火星の二人」東京公演は、2018年4月10日(火)から25日(水)までシアタークリエで行われる。

(取材・文:野上瑠美子 撮影:源賀津己)

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■ミュージカル「メリー・ポピンズ」特集(4)■

2018年3月、ついに日本初演を迎えるミュージカル「メリー・ポピンズ」。日本を代表するミュージカル俳優、そして演劇にとらわれない活躍をする役者・歌手のみなさんが揃う日本初演。観劇の組み合わせに迷っている方も多いのでは?

げきぴあキャストインタビュー第四弾は、Wキャストでバート役を演じる柿澤勇人さん!。自身とバートの違いや、オーディション期間中のある演出家の方からのアドバイス、そして柿澤さんの思う『メリー・ポピンズ』日本初演への意気込みをお伺いしました。

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"ミュージカル『メリー・ポピンズ』製作発表より"

子供と同じ目線でいることがバートを演じる上での第一歩に

――『メリー・ポピンズ』との出合いは?

「22歳の時、劇団四季を辞めてすぐにニューヨークへ行ったんです。で、その時最初に観たのが『メリー・ポピンズ』。向こうの友達には、『着いたその日に舞台を観ても絶対に寝ちゃうからやめた方がいいよ』とは言われていました。でもマンハッタンに降り立った以上、どうしてもミュージカルが観たくて。とりあえずよさそうだなと選んだ作品でしたが、これが本当に面白くて、もちろん最後まで寝ることもなく。時差ボケにも負けないほどの魅力が『メリー・ポピンズ』にはあると思います(笑)」

――そんな作品にご自身が出演することになるとは、不思議な縁ですね。

「はい。もちろん当時は自分がバートをやるなんて思っていませんでしたし、オーディションが始まった時も僕はバートじゃないと思っていたんです。というのも劇団四季を退団してから、闇のある人間ばかりを演じてきたので(笑)。また自分自身、そういう役を得意としてきたと思いますし。でも親しい演出家の福田雄一さんにオーディションの話をしたら、『やんちゃなところとかチャーミングなところがカッキー(=柿澤)にぴったりだと思うし、絶対にバートはやった方がいい』と言ってくださって。自分がチャーミングだとは思いませんが(笑)、この役を通して新たな自分を発見出来るかもしれないなと思ったんです」

――オーディションにはどんな思いで臨んでいたのですか?

「『ラディアント・ベイビー』(16年)という舞台でアキレス腱を切ってしまい、今回のオーディションでも踊れない時期が結構あったんです。正直これはダメだなという思いもあったんですが、逆にいいこともあって。アキレス腱切断という役者人生最大の絶望を味わったせいか、それ以降あまり緊張することがなくなったんです。ちょっとくらい失敗しても、なるようになるかって思えるようになって。今回のオーディションでもまったく緊張しませんでしたし、楽しむことすら出来た。それが結果的にいい方向に働いたと思いますし、アキレス腱のことがなかったらバート役との向き合い方も違っていたと思います」

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"ミュージカル『メリー・ポピンズ』より 柿澤バート&平原メリー"

――バートを演じる上で足がかりになりそうなこととは?

「いわゆる二枚目でもないし三枚目でもない、何とも言えない役どころですよね。でもやっぱりチャーミングなところが魅力なのかなと。こんなに闇のない役を演じるのは初めてですが(笑)、オーディションの時に感じたのは、子供たちとの交流を大事にしていきたいなということ。きっとバートが小さい時はこういう子供だっただろうし、常に子供と同じ目線でいることが、バートを演じる上での第一歩になるのではないかと思います」

――バートのシーンやナンバーで楽しみにしているのは?

「僕が一番楽しみであり、恐れてもいるのが(笑)、逆さまに吊られながら天井でタップを踏むという大ナンバー『ステップ・イン・タイム』。高いところは別に大丈夫なんですが、これまで逆さまに吊られてタップを踏むって経験がないですからね(笑)。ただバートの一番の見どころですし、ショーストップ出来るほどのナンバーでもあると思うので、ぜひ成功させたいなと思います」

――日本初演の『メリー・ポピンズ』がいかなる舞台になるのか、期待は高まります。

「歌あり、ダンスあり、芝居ありっていう、ミュージカルのすべての要素がフル稼働して成り立つ作品です。その分、ロンドンやニューヨーク公演のクオリティに達するまでには、みんなが本当に努力しないといけなくて。ただやるからには必ずその水準まで引き上げてみせますし、日本ならではの『メリー・ポピンズ』をぜひ楽しみにしていただけたらと思います!」

取材・文:野上瑠美子

撮影:イシイノブミ

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第6回目を迎えた、"15分編集なしの演劇動画を競う"《クォータースターコンテスト》の結果発表と授賞式が昨年12月に開催されました。

 

クォータースターコンテスト(以下QSC)は、演劇・舞台系動画のニュースサイト・エントレが2012年に立ち上げたコンテストで、グランプリを獲得すると賞金30万円が副賞として授与されます。

 

審査員は演劇・映像分野で活躍するクリエイターが務め、第6回は、初回から続投の鴻上尚史さんをはじめ、第3回から参加している映画監督の行定勲さん、初参加の福原充則さん桑原裕子さんの4名が担われました。

 

今大会の投稿作品数は81本、そのうち事前の選考で選ばれたノミネート作品は11本。
審査方法は、ノミネート作品の中から各審査員が1位から3位までの順位を決め、総合点数がもっとも高い作品がグランプリとなります。
その結果、グランプリは劇団子供鉅人の山西竜矢さんの作品「さよならみどり」が獲得しました。

 

第6回クォータースターコンテスト(QSC6) 結果発表はコチラ

 

さて、QSCにはもうひとつ、協力団体が選出する各賞があります。
第6回は、8つの団体が賞を設け、6作品が各賞を受賞しました。(2団体の賞は該当者なし)

 

げきぴあは第1回目から参加させていただいておりまして、選定基準は「この団体、あるいはクリエイターが創った本物の舞台が観たいかどうか」です。が、過去の受賞作には舞台での上演は難しい作品もありましたので、今回は原点に立ち返り、【げきぴあ賞】を選ばせていただきました。

その結果、第6回QSCの【げきぴあ賞】はくちびるの会「ポスト、夢みる」に決定いたしました!!

 


  

◆『ポスト、夢みる』

 

  

昔ながらの赤いポストを女性に見立て、郵便局員・白ヘルへ抱く淡い恋心と、移りゆく街の風景を重ねた切ない物語。ノスタルジックなタッチで描かれた背景のイラストが時間の経過で変化する様や、照明の使い方が印象的で、全体の構成もうまくまとまっていました。特に、夕日に染まったポストと白ヘルとのやりとりは秀逸です。

 

[動画作品情報]
撮影カメラ:iPhone7
作・演出 山本タカ
ポスト:橘花梨
白ヘル・学ラン:佐藤修作
演出助手・音響:佐野七海
音楽:朝日太一
イラスト:やだともか
小道具:北澤芙未子
機材協力:エイプリルズ
協力:イトーカンパニー、エイプリルズ、ゴーチ・ブラザーズ、四次元ボックス

 


 

【げきぴあ賞】の副賞はインタビュー掲載です。
本作の作・演出を務めた山本タカさんにお話しを伺いました。

 

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