2018年5月アーカイブ

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■Coloring Musical『Indigo Tomato』特別特集 vol.1■


『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』など数々の海外ミュージカルの演出を手がける一方、オリジナルのショー作品"SHOW-ism"シリーズなどを生み出し、日本では珍しいショー作家として確固たる地位を築いている小林香
国内外のミュージカルスターとタッグを組み、コンサートの演出家としても近年高い評価を得ている彼女ですが、『DNA-SHARAKU』『ifi』『ロコへのバラード』など、作家・脚本家としてもその才を発揮し、 多くのオリジナル作品を贈り出しているクリエイターでもあります。

ドラマチックでありながら繊細な心理をつくその作風で、多くのファンを獲得する小林が、 久しぶりの新作ミュージカルを上演します。

タイトルはColoring Musical『Indigo Tomato』
映像記憶能力や芸術的な能力が非常に優れている「サヴァン症候群」の青年とその家族が織りなす物語です。IndigoTomato01_01_4264.JPG

数学や暗記に特殊な能力を持つ青年・タカシ役に平間壮一
兄のタカシを支えてきた弟マモル役に溝口琢矢
ほか、タカシを外界に引っ張り出す野心家に大山真志、兄弟を見守る、明るくポジティブなカフェの店員に安藤聖、そして兄弟にまつわる多彩な女性を演じていくのは剣幸彩吹真央(Wキャスト)。

たった5人で演じられる、オリジナルミュージカル。

実力派揃いのカンパニーで、一体どんなカラフルな世界が広がるのか、いまから楽しみです!

すでに稽古もスタートしているカンパニーですが、パンフレット用の撮影をすると訊き、取材に伺ってきました。IndigoTomato01_02_4145.JPG
 



主人公・タカシを演じる平間さん。
ミュージカル『RENT』でのエンジェル役や劇団☆新感線「髑髏城の七人-Season月<上弦の月>」霧丸役など、人気作での主要な役柄を立て続けに演じている、若手注目俳優です。
人懐こい笑顔と朗らかな雰囲気が魅力の平間さんですが、撮影現場に現れた平間さんは、まさにそんなイメージどおりの方でした。

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『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』で、現代劇に初挑戦する歌舞伎界の新鋭・尾上右近さんに密着するこの企画。第2回目は、翻訳・演出を手がけるG2さんとの初顔合わせの場に伺った。

2012年にピューリッツァー賞戯曲部門を受賞し、これが日本初上演となる今作を、自ら演出したいと手を挙げたG2さん。薬物中毒から、苦しみつつも同じ境遇の人々とつながり、立ち直っていこうともがく人々の姿を、どう描こうとしているのか。

第1回のインタビューでは、G2さんが作・演出した新作歌舞伎に感銘を受けたと語っていた右近さん。初対面とあって少々緊張気味だったものの、G2さんの意図するところを貪欲に吸収しようとする姿が印象的だった。歌舞伎役者の右近さんが、イラク戦争帰りの青年エリオットをどう演じることになるのか。ふたりの対話をぜひ楽しんでいただきたい。

また、今回は、エリオットの従姉ヤズミン・オルティスに注目しながら、簡単なストーリーを紹介する。第1回目のエリオットのストーリーも参照しながら、この作品の奥深さの一旦に触れてほしい。

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■STORY■

プエルトリコ出身で現在はフィラデルフィアで暮らしているヤズミン・オルティス(南沢奈央)。音楽の非常勤教授として大学に勤めて1年目で、私生活では離婚問題を抱えていた。従弟のエリオット(尾上右近)には離婚を反対されているが、夫との関係はもう修復しようがないと感じている。そんな人生の岐路にあるとき、ヤズミンとエリオットの伯母であり、エリオットにとっては育ての母でもあるジニーが亡くなった。ふたりは葬儀の準備をし、遺灰を撒くためにプエルトリコに行く約束をする。その頃、エリオットの実の母親でドラッグ中毒者のサイトを運営しているオデッサ(篠井英介)の周りでも、ネットでつながっていた人間たちが動き始めていた。人々はやがて、ヤズミンやエリオットとも交錯していくことに。そして他者とのつながりが、それぞれの葛藤に光を差していく。

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woman_06.jpgミュージカル「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」早霧せいな

早霧せいなの宝塚退団後初となる主演ミュージカル「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」の公開稽古が行われ、劇中曲3曲を歌唱披露した。

本作は「シカゴ」「キャバレー」「蜘蛛女のキス」など数多くのミュージカルを手掛けてきたジョン・カンダー&フレッド・エッブによる華やかな楽曲が魅力のコメディミュージカル。

元宝塚歌劇団 雪組トップスター・早霧せいなが、退団後初となる主演ミュージカルで、バリバリのキャリアウーマンを演じる。

共演は相葉裕樹、今井朋彦、春風ひとみ、原田優一、樹里咲穂などミュージカル界で活躍する俳優に加え、バレエダンサーの宮尾俊太郎(Kバレエ カンパニー)が出演する。

本作の公開舞台稽古が行われ、劇中に登場する3曲が歌唱披露された。動画はこちらをダイジェストにしたもの。【動画3分】

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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ

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Photo:Matt CrockettDewynters.jpg

PhotoMatt Crockett/Dewynters

2018年7月4日に東急シアターオーブにて開幕するミュージカル『エビータ』! 世界的なミュージカルスターであるラミン・カリムルーが、チェ役として日本公演限定で出演するのも、ミュージカルファンにとっては大きな話題です(さらに、彼が日本で全幕ミュージカルに出演するのは今回が初めて!)。

そんな彼にフォーカスをしぼったミニ・ドキュメンタリー番組「素顔のラミン・カリムルー 新たな挑戦ミュージカル『エビータ』への軌跡」がWOWOWで放送されることが発表になりました!

「オペラ座の怪人」「レ・ミゼラブル」で知られる、ミュージカル界のトップスター、ラミン・カリムルー。
激動の革命時代のイランに生まれた彼がいかにして今の地位に辿り着いたのか...。

本番組では、著名プロデューサーや世界的に有名な作曲家、巨匠演出家に選ばれ続ける役者としての彼の魅力や、これまで人前では見せなかった本人の魅力を明らかにするため、ニューヨーク、ロンドンでの密着取材を敢行! これまであまり見せることの無かった貴重なプライベートシーンなどを織り交ぜながら、ラミン・カリムルーという人物に迫ります。ラミンファンは必見です! 7月の『エビータ』開幕前に、ぜひこちらもご覧ください!作品をより楽しめること間違いなしです。

ちなみに、無料放送回はWOWOWに加入されていない方でもご覧になれますよ~!

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「素顔のラミン・カリムルー 新たな挑戦 
 ミュージカル『エビータ』への軌跡」

■放送スケジュール
 初回(無料放送)
 ・2018年6月11日(月)13:00~ WOWOWプライム(BS191ch)
 リピート(無料放送)
 ・2018年6月16日(土)15:30~ WOWOWライブ(BS192ch)
 ・2018年6月27日(水)19:45~ WOWOWプライム(BS191ch)
 ※無料放送は、WOWOWにご加入いただいていない方でもご覧いただけます。
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撮影:平岩享

劇団ハイバイの岩井秀人が、平均年齢78.7歳の「さいたまゴールド・シアター」の人たちとタッグを組む。それだけでも楽しみなのに、これまで各地で名作を生みだしている「ワレワレのモロモロ」をゴールドとやっちゃうってんだから、ちょっと心が躍らないか?

----「ワレワレのモロモロ」はワークショップから作品を立ち上げるんですよね?

ええ。車座になって座って「みなさんそこそこ生きてらっしゃって、ひどい目にあった話があると思いますが、話せる範囲そんな話を教えてください」って。で、これぞっていうのを二つくらい選んで「こっちチームは彼女の話を、こっちチームは彼の話を演劇にしてください、20分で」みたいな感じです。

­­----でも、そういうところでそう言われてもなかなか喋れないんじゃないですか?

あるところでやったときには、まず先にそのころ書いていた「夫婦」に出てくる自分の話をしました。「父が、医者だったのに医療過誤みたいなので死んだんですよ、ゲラゲラゲラ」

----ゲラゲラって

そしたら他の人も父親が亡くなった話をして、そんで次の人が「じゃあ、私も死ネタつながりでー」って 話し始めて、「死ネタ」って言葉ぼくも初めて聞いたし、でも一瞬にしてポップカルチャーになったなって。その時点でもう結構なことだなって。

­­----結構なことをできていると?

ええ。その人もそのことを他人に話したのは初めてだそうで、本当にヘビーな話で......。
結婚することになって、離れて暮らしていた飲んだくれの父親を訪ねて、「お世話になりました。でも、どうか結婚式の時にはお酒を飲まないでください」って頼んだのに、聞く耳持たずにメチャクチャなこと言う父親に、初めて言い返したんですって。「今まで私はずっとガマンしてきたけど」って。そしたら次の日に母親から電話がかかってきて、「お父さんいないんだけれど......」って。

­­----えっ?!

さらにその次の日くらいに、井戸端会議をしていた近所のおばちゃんたちの脇の側溝を、誰かがスゥーって流れていって。「あれぇ?」って。でもフタに隠れて見えなくなっちゃって。

----いやいや

けど、そこ海の近くで、潮の満ち引きがあるから、行ったり来たり現れたり隠れたりしてて......「今の〇〇さんのとこのお父さんじゃない?」って発見されて。

----いやいやいやいや

まー、重たい空気でその話は進んで、「やべぇ、どうすっかなぁ」って思ったんですけど、いたって明るい様子で「じゃ、もう片方のお父さんが練炭自殺しちゃった話と分かれて二チームに作ってもらいます、よーいドン」みたいな。

----あははは

でも、それやらないと、なんだかその話をしてくれた意味がなくなっちゃう気がしたんで。そしたら、まあー、とんでもない名作が二つできて。みんなで泣いちゃって、側溝のシーンでみんなで爆笑するみたいな。
話した本人にとっては、父親の死について自分が何割か加担しているんじゃないかって方向からしか考えられなくなっていたのに、近所のオバチャンたちからの視点や、さらには「側溝を流れてきた父を表現するために苦労した」という謎の要素まで加わったみたいで。

­­----客観視できるようになった?

そうですね。話してる時は思い詰めたような顔してた人が、他のチームが自分の父親のことをなんとか表現しようとしているのをゲラゲラ笑いながら見ている。それはすごくおもしろいことだし、ちょっとでも意味があることじゃないかなって。

げきぴあ3DSC_1160.jpg撮影:平岩享

­­----表現の可能性を感じますよね。

ええ。いろいろ心配してたけれど、結構どこまでも行けるんだなって。「演劇」として何かをするっていう僕の中での基準がグーンと下がったっていうか、普通の人の体験を立ち上げようとするっていうことだけでものすごくドラマチックなことだって......

­­----しっかりした作品にするっていうことの重要性ではなくて

そう。見たことがある形式に仕上げるだけが価値ではないなって。前々から、そう思ってはいたんですけどね。人の生き死に関することを当事者がいる中で立ち上げるって、「結構なことしてるよこの人たち!」って思ったんです。それは他の人も自分のことを語って、何かが分け合われた状態だからこそのことなんでしょうね。
僕の場合は人のことを知りたくて、同時に自分のことを知りたくて、すごく乱暴なワークショップに見えるけれども、根源的なことをやれているんじゃないかなと思っています。

­­----そして今回、ゴールド・シアターのみなさんから出てくるのは、やはり戦争などの社会的な物語が多いのでしょうか?

「運動」とか「組合」とかね。でもねやっぱり自分が体験しているからこそ、そんな大きな物語にはならないんですよね。
ほんとに右も左も豊かな人たちがいるのでそういう言葉の意味合いが人によって変わるんですけど、どっちでもいいって言っちゃあれなんですけれど、どっちが正しいかってことよりも、あなたが今どう思っているのかってところを聞きたい。

­­----それにしても、いろんな人生経験がある人たちだから、まとまらないんじゃないですか?

まとまらないのは、モロモロの武器っていうか。冷蔵庫を買ったってだけの話の人もいるし。

­­----あの大変な時代にようやくわたしの家にも冷蔵庫が来ました、みたいな?

いや、ぜんぜん現代で。「夫と相談して買い替えを決め、カタログを集めた」みたいな(笑)
「ディティールを細く書きたいんで、もうちょっと待ってください」って

­­----ほう

「冷蔵庫のサイズとかを調べているから」って......

­­----ディテールって、そこですか!

それでもこの物語、聞いただけでワクワクするようなアイデアを岩井から授けられて、ご本人と岩井の間を往復しながらすくすくと育ってきているという。はたして「冷蔵庫物語」は採用されるのか、期待しつつ待とうではないか。

ひとは歳をとると涙もろくなると言うが、それはけっして衰えを意味してはいない。むしろ個人史を積み重ねることで想像力が増し、誰かの一見なんでもない言動の裏にあるさまざまな事がらを想像できるようになるからこそ、我が事のように心が揺さぶられるのだ。
色とりどりの人生経験を重ねてきたゴールド・シアターというワレワレ。そして、十代の後半にひきこもっていたという、若くしてギュッと濃い体験をした岩井だからこそ聞くことができる、人の生き死にという根源的なところまでも含んだモロモロ。この出会いは、単なる「あるある話」を普遍的な方へと深化させるに違いない。
そこのキミ、ゴールド・シアターと岩井秀人という最強タッグの必殺技「ワレワレのモロモロ」、くらわないという手はないんじゃないか?!

げきぴあ②DSC_1293.jpg撮影:平岩享

取材・文 鈴木励滋(演劇ライター/生活介護事業所「カプカプ」所長)

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さいたまゴールド・シアター番外公演

『ワレワレのモロモロ ゴールド・シアター2018春』

【公演期間】
2018年5月10日(木)~5月20日(日)
彩の国さいたま芸術劇場 大稽古場

【構成・演出】
岩井秀人

【出演】
さいたまゴールド・シアター ユニット

石井菖子、大串三和子、神尾冨美子、小林允子、佐藤禮子、谷川美枝、田村律子、
百元夏繪、益田ひろ子、小川喬也、高橋清、竹居正武、遠山陽一、森下竜一

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5月5日(土)、KAAT 神奈川芸術劇場 中スタジオにて、KAAT×サンプル「グッド・デス・バイブレーション考」が開幕しました。2010年『自慢の息子』で、第55回岸田國士戯曲賞を受賞するなど、現代の歪みを象徴する人々のエピソードをサンプルの様に呈示し、現代社会のあり様をありのままに受け止める作風で人気注目を集める松井周が演出をつとめます。また、12年振りの舞台出演となる女優の戸川純さんをキャストにむかえ、活躍目覚しい個性派の俳優たちとともに、現代の「家族」「死」のあり方を問いかけます。

初日を終えた、松井周さんよりコメントが届きました。


KAAT×サンプル「グッド・デス・バイブレーション考」松井周さん初日コメント


 初日が開けて、幕が開けてみないと分からないような、お客さんの視点でどういうイメージが広がるかが少し分かって、俳優やスタッフも作品のイメージを、より共有できたと思います。 
 戸川さんは存在感を発揮してくださって、期待していた以上のものを持っている方です。今回は老人役なんですけど、それを越えていく部分を自在に演じてくださって、それはびっくりしました。
 この作品をみて、大前提として、もう自由にみていただきたいです。今までより分かりやすかったり、ポップであったり、ベタだったりするかもしれません。ただ、テーマは重いかもしれません。基本的には『姥捨て』の話なので。人間はどんな環境でもしぶとく生きていくんだろうか?とか、シリアスな状況でもユーモアや笑いを見つけて生きていけるのだろうか?というのを考えてもらったり、感じてもらえれば、と思っています。今回は「人間が共生していく」ということを求めて作りました。こういう奇妙な形の家族がいましたよ、というのが印象に残ればと思います。

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げきぴサンプルGDV2.jpgげきぴサンプルGDV3.jpgげきぴサンプルGDV4.jpgげきぴサンプルGDV5.jpg

撮影:前澤秀登 
   Hideto MAEZAWA

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KAAT×サンプル 「グッド・デス・バイブレーション考」

【公演期間】
~2018年05月15日(火)

【会場】
KAAT 神奈川芸術劇場 中スタジオ

【作・演出】
松井周

【出演】
戸川純 野津あおい 稲継美保 板橋駿谷 椎橋綾那 松井周

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明治座5月「仮縫」開幕

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5月6日(日)、東京日本橋浜町の明治座にて、舞台「仮縫」の幕があがった。原作は昭和を代表する作家・有吉佐和子による『仮縫』(集英社文庫)で、今回が本作初めての舞台化となる。

予想を裏切るストーリー展開がとても楽しい。執筆から50年経った作品だが、きっと現代の働く女性には共感いただける内容ではないだろうか。

舞台は、現代に生きる『老女』が、デザイナーの卵である"清家隆子"(檀れい)や、オートクチュールデザイナーの女王"松平ユキ"(高橋惠子)等、女たちが華麗なる闘いを繰り広げた店・"オートクチュールパルファン"を追憶するところから始まる。

『老女』を演じるのは、山本陽子。大女優の貫禄を包み隠さず舞台上に発っする、黒くて禍々しいオーラが凄い。この老女が、舞台の随所に登場するので、客席からは「何が起きるんだろう?」と、始終ものがたりの先行きに不安感がつきまとう。

『老女』が去ると、舞台は一転、華やかな在りし日の「オートクチュールパルファン」へ。

赤い壁に囲まれた部屋の中央には、モーツァルトをバックミュージックに、たくさんのお針子に囲まれてドレスを誂えるマダム。「ざぁます」言葉で繰り広げられる、昭和の上流階級の世界。

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その世界を手のひらで転がすように支配しているのが、高橋惠子演じる「松平ユキ」。こちらもさすがの大女優っぷりで、この世界に君臨するに足る、隙のない成熟したキャリアウーマンを体現している。

松平ユキの弟、松平信彦を演じるのは、葛山信吾。整った顔立ちに、口跡の心地よい甘い声、次から次へと発せられる巧みな言葉に、スマートな立ち居振る舞い。完璧であるが故に、心の底が見えない危うい空気を醸し出す。

そして、老女、松平姉妹、熟練の先輩お針子たち、お客様であるマダムたち。

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このような世間から隔絶された、選ばれし者だけの一流の世界に飛び込んでくるのが、檀れい演じる「清家隆子」である。花道から登場する檀は、ファッション界に飛び込んだばかりの、明るくて無垢、一生懸命さが全面に出て、見た目も仕草もとにかく可愛い。

これが、二幕・三幕と場が進むに連れて、新たな一面を次々と見せてくれるのだが・・。その変貌っぷりは、この舞台の眼目のひとつであるので、ぜひ実際の舞台をご覧になって楽しんでいただきたい。

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そして、主要登場人物として忘れてはならないのが、古谷一行。

その物語での存在自体が、謎に包まれているマイペースな大人の男。その振る舞いと、たっぷりな色気によって、松平ユキと清家隆子の人生に大きく関わってゆく。

登場人物は多くはないが、演じる俳優たちの裏打ちされた演技によって、舞台上には非常に濃厚な空気が溢れている。

クラシック音楽、パリの街角がよく似合うミュゼット、そしてなぜか東京音頭など、時代を彩った音楽もまた舞台によく合う。

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最後に、タイトル『仮縫』とは。

どんな優秀な洋裁師でも、「仮縫」なしに洋服を仕上げることはできないし、「仮縫」があると思うから、自由に挑戦ができる。「仮縫」の間なら、何回も補正が出来るから。

「仮縫」から「本縫」の過程を人生に見立てて進む話は、ラストシーンにハッとさせられる。非日常の世界だが、自分にも置き換えながら観ることができる、ぜひオススメしたい作品である。

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「男の子達が、男の子だけで集まって、何を語って、何を考えているの!?」を描く超リアル男子会をテーマに、2013年6月に初演、2014年12月に第2弾を上演し大好評だった『BOYS☆TALK』シリーズ。3年半ぶりに、さらに今回はちょっとディープなオトナの男子会『DANDYS ☾TALK』も同時上演!6月6日(水)~17日(日)に東京・CBGKシブゲキ!!で上演されます。

約3年半ぶりの復活となる『BOYS☆TALK』第3弾に出演する、神里優希さん辻 凌志朗さんにお話をうかがいました。前半に続き、どんどん自由になっていくおふたりの"ボーイズトーク"にご注目ください!

なんでこんなヤツに心開いちゃったんだ!(笑)

――男子会はしますか?
 :男数人でご飯行ったりするよね。
神里そうね。
辻 そこでお互いのこととか、夢のこととか話す...
神里(遮って)ほら今!カッコつけてる!!何が夢やねん!
辻 なんで! 優希もずっと夢語ってたのに!
神里読者はそういうのが読みたいわけじゃないって!
辻 夢語ってもいいじゃん!
<・・・しばし爆笑しながら揉める・・・>
 :しばらく夢は語らないようにします。
神里俺はそういう凌志朗が好きっすね!
 :(笑)

――では気を取り直して、男子会ではどんな話をするんですか?
神里(遠くを見ながら)まあでも夢とか語ってますよね。
ふたり (笑)
神里ただ僕は大人数になるとあんまり喋らなくなる。
 :ああ!そう!それこそカッコつけてますよ。
神里あははは!
 :ひとり端っこで「俺、エレガント」みたいな。
神里そんな空気、出したことない!(笑)
 :淡々とお酒飲んでるんですよ。

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――そういうとき辻さんはどうされてるんですか?
辻 俺は「びぴょーん!」とか言ってる。
神里びぴょーん!?(笑)

――そこだけ聞くと真逆のタイプですが、さっきのお話だと似たところがあるんですね。
神里甘えん坊なところがね(笑)。そして寂しがり屋。
辻 そうね。人といたいときあるよね。
神里でも俺は誰でもいいわけじゃないよ。
辻 優希はそういうとこあるね。
神里だから大人数の飲み会だとあんまり喋らないし。話したい人と話す。
 :そう。だから俺、福岡で話したとき、めっちゃ嬉しくて。「神里優希が遂に本音を喋った」みたいな。やっと言ってくれた、みたいな。
神里心を開くと、とことんですから。

――どうして辻さんには心を開いたんですか?
神里なんでだろうな。.........なんでだろうな!?なんでこんなヤツに開いちゃったんだ!(笑)
辻 (笑)
神里フィーリングだよ。
 :でも僕もみんなには開けないんですよ。弱音とかは気心知れた人じゃないと話せないし。
神里わかる。弱音は言えない。

――お互いの弱音は聞いたことありますか?
ふたり あります。

――だったらこの舞台上でも思わず喋っちゃうことが出てきそうですね。
 :確かに!
神里ちょっと気をつけようか(笑)。

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共通点はサッカー、足速い、服

――ほかに共通点はありますか?
辻 服とサッカーじゃない?
神里そうだ!
辻 あ、足も速い。
神里足速い!
 :合宿でみんなで走ったとき、俺、2位だったよね。
神里ちょっと、待って!俺が2位だったよ!!!
 :俺が2位だよ!
神里違う!これだけは絶対譲らへんから!マジで!!
辻 覚えてないの!?
<・・・しばし本気で揉める・・・>
辻 多分それ他のときと間違ってるよ。
神里あ、そうかも......。
辻 僕ら、足が速いコンビです。
神里でも納得いかない。違うときに2位だったのかな。
辻 そうだよ。

――(笑)。
神里(気を取り直して)共通点はサッカー、足速い、服ですね。前に凌志朗に服をもらったこともある。
 :そうなんです、似合いそうな服を。

――仲良しですね。神里さんはあげたりしないんですか?
辻 もらってないです。
神里あげないです。
ふたり (笑)

――この舞台でお互いの見てみたい面はありますか?
 :優希は闇を持ってそうだから...
神里持ってねえ!(笑)
辻 闇を持ってない楽天家な優希を見てみたい。
神里僕は凌志朗にはずっとクールでいてほしい。
 :そうなの!?
神里結局ボロが出ると思うから。
辻 (笑)
神里そのはじける瞬間をお客さんにも見てほしいです!

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――では最後にげきぴあ読者の皆さんに一言お願いします。
 :こんな作品は他にないと思いますし、ぜひリラックスして、気軽に笑いに来てほしいです。その中で、僕たちが作品を面白くしようとしている姿勢も感じてもらえれば嬉しいですね。

――ありがとうございます。
 :次、優希、いいこと言ってくれるんだろうな。
神里ああ!嫌いなタイプや。
 :(笑)
神里俳優本人なのか役なのか、そのグレーゾーンが魅力の舞台だと思います。役を観に来るでもなくて、本人を観に来るでもなくて、男子会を覗き見しに来てほしいです...気軽にね。
辻 それ俺が言ったやつだけどな!
神里(笑)。渋谷だし、僕らの男子会を観た後、それをネタにお客さん達が女子会をしてくれるような、そんな作品にできたらいいなと思います!!!

公演は、6月6日(水)から17日(日)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて。チケット一般発売は2018年5月5日(土・祝) 昼12:00から。

取材・文 中川實穗 / 撮影 川野結李歌

【脚本・演出】伊勢直弘
【公演日程】2018年6月6日(水)〜6月17日(日)
【劇場】CBGKシブゲキ!!
【出演】※各項目毎 五十音順
《BOYS☆TALK》
大原海輝、大海将一郎、神里優希、川隅美慎、谷 佳樹、辻 凌志朗(辻は一点しんにょう)、深澤大河、山中健太、横井翔二郎、 和合真一、鷲尾修斗
《DANDYS☾TALK》
鎌苅健太、KIMERU、郷本直也、佐藤貴史、寺山武志、米原幸佑
[日替わりゲスト]
磯貝龍虎、碕 理人、平野 良、平牧 仁、米原幸佑
【公式HP】https://www.clie.asia/bt3/
【推奨ハッシュタグ】#BOYSTALK #DANDYSTALK
企画・製作:CLIE ©BOYS★TALK 製作委員会

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2013年6月に初演、2014年12月に第2弾を上演し大好評だった『BOYS☆TALK』シリーズ。「男の子達が、男の子だけで集まって、何を語って、何を考えているの!?」を描く超リアル男子会が2018年6月に豪華キャストで大復活!さらに今回はちょっとディープなオトナの男子会『DANDYS ☾TALK』も同時上演!6月6日(水)~17日(日)に東京・CBGKシブゲキ!!で上演されます。

伊勢直弘氏が脚本・演出を手掛ける本作は、役者本⼈と一文字しか違わない役名や本人に寄せたキャラ設定で、どこからが本音でどこまでが台詞なのかわからない"超リアル男子会"。

約3年半ぶりの復活となる第3弾に出演する、神里優希さん辻 凌志朗さんにお話をうかがいました。

*****

俳優としての腕が試される作品

――普段とは毛色が違う作品ですが、出演が決まっていかがですか?
神里過去作品の映像を見たのですが、俳優本人と役とが混ざったような芝居で、面白そうだなと思いましたね。
 :"男子会を作品として成立させる"ということが難しそうだと思いましたし、そこを楽しみにもしています。俳優としての腕が試されるところなのかなって。
神里そうだよね。役もきっとつくり込みすぎると普通の役になっちゃうし。そうじゃなくてあくまで自然体で、尚且つ作品として完成させるのが難しそう。

――なにか既にイメージしているものはありますか?
 :第2弾の映像を見て思ったのは、宮下雄也さんが面白過ぎて(笑)。あそこまでの腕は持ってないですけど。
神里あそこを目指してやっていけばいい......のかな?
――(笑)。演出・脚本は伊勢直弘さんですが、神里さんは初タッグ、辻さんは『Like A』の脚本で関わられていますね。
 :そうですね。ただ、『Like A』のときは打ち上げでお会いしたくらいで。そのときに「よかったよ!」と言ってくださったので、今回演出でお世話になるのはとても楽しみです。
神里伊勢さんのインタビューを読んだのですが、この作品では、本番中は常に舞台袖にいて、指示を出してくれるっておっしゃってました。
 :バラエティー番組みたいだよね。

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――そういうつくり方の作品は経験ありますか?
神里ないです。「舞台袖に演出家さんがずっといる」ということがまずないので。それがもうこの作品ならではなのかなって。

一人が好きな寂しがり屋!?

――おふたりは普段からよく喋るタイプですか?
神里ふたりだと喋りますね。
辻 :前に共演した作品(ミュージカル『テニスの王子様』 3rdシーズン)の福岡公演のときに、夜中2時くらいまでふたりでさ...
神里あったね(笑)。
 :それこそ男子会をしましたよ!

――何を話したんですか?
神里お互いの夢の話とか、今後どうしていきたいかとか、
 :日常の話もしましたし...男同士の会話です。

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――この作品は、そういう会話を芝居なのかリアルなのかわからない感じでやるのだと思うのですが、演じる側はどこに面白さを感じますか?
 :より「自分自身」が重要になってくると思うんですよ。普段、役を演じるときは、いかに「役を育てられるか」ですけど、この作品は「本人」も大事なのかなって。
神里本人を育てなきゃ!
辻 でも俺、優希がどうなるのか楽しみ。優希ってミステリアスな印象があるから。お客さんの前でどういう面を見せるのか、すごく楽しみです。
神里一番危険じゃない?
 :何言うつもりなの!?
神里自分でも怖い。「素でいいんだ」と思っちゃったらなんか...何を言うかわからない(笑)。
辻 見てみたい、そういうとこ。役もそうだし、本人もそうだけど、クールな姿を多く見てきたから。こういうところでどうなるのかなって。
神里新境地をね。

――「自分でも怖い」というのは、見せてない部分がいっぱいあるということですか?
神里そうだと思いますね。
辻 優希ってどういう人なん?
神里え(笑)。急にインタビューされてるやん。
辻 どういう人なの、普段。
神里普段......こういう感じよ。のほほんとしてる。なんも考えてないんじゃない?(笑)
辻 スイッチ入ると喋るよね、関西人だから。
神里うん。スイッチ入るとめっちゃ喋る。ただ逆に入らないと本当に喋らないので。舞台でスイッチが入らなかったら終わりだな。

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――終わりですか(笑)。
神里スイッチ入らない日が怖いですよ。
 :日替わりなの!?
神里(笑)。ちゃんと喋ります!

――神里さんから見た辻さんはどんな人ですか?
神里それこそ変ですよ。
 :変!?
神里変わってますね。急に変な声出したりするんですよ。
 :あはは! 変な声というか、「わー!」って叫んじゃうんだよね。これは本当に仲のいい人にしか見せない素顔です。
神里人ってそういうもんだよ。でもなんでそうするの?ストレス?
 :(笑)。違う違う!なんだろう、そう育っちゃったんだよ。
神里どう育ったんだよ(笑)!でも多分、一人が好きなんだと思いますよ。
辻 ああ、そうだ。
神里でも寂しがり屋、みたいな。
 :あああ!そうそう。
神里僕もそうなので。

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――似たタイプなんですか?
辻 思考とかけっこう似てるところあるよね。
神里いや違う。一緒にするな。
 :(笑)
神里俺はやだ!
辻 なんだよ(笑)!俺が歩み寄った途端に!
ふたり あははは!
 :でも初めて会ったときは優希のほうからきてくれたんですよ。そのおかげで入りやすかった。

――神里さんはツンデレっぽい感じなんですか?
 :そう!ツンデレ感がある。
神里あはは!でも前作で「ツンデレな女の子は好きか」ってトークテーマあったよね。
 :あったあった。俺、大好き。

――じゃあ神里さんのことも大好きです?
 :男はまた別ですよ!ツンのときに「この人、カッコつけてる」って思っちゃうし。
神里そうやな。でも凌志朗もあるよ。「あ、今、カッコつけてるな」ってとき。
辻 ほんとに!?

お二人のボーイズトークは後編に続きます!

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公演は、6月6日(水)から17日(日)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて。チケット一般発売は2018年5月5日(土・祝) 昼12:00から。

取材・文 中川實穗 / 撮影 川野結李歌

【脚本・演出】伊勢直弘
【公演日程】2018年6月6日(水)〜6月17日(日)
【劇場】CBGKシブゲキ!!
【出演】※各項目毎 五十音順
《BOYS☆TALK》
大原海輝、大海将一郎、神里優希、川隅美慎、谷 佳樹、辻 凌志朗(辻は一点しんにょう)、深澤大河、山中健太、横井翔二郎、 和合真一、鷲尾修斗
《DANDYS☾TALK》
鎌苅健太、KIMERU、郷本直也、佐藤貴史、寺山武志、米原幸佑
[日替わりゲスト]
磯貝龍虎、碕 理人、平野 良、平牧 仁、米原幸佑
【公式HP】https://www.clie.asia/bt3/
【推奨ハッシュタグ】#BOYSTALK #DANDYSTALK
企画・製作:CLIE ©BOYS★TALK 製作委員会

チケット情報はこちら

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■ミュージカル『1789』2018年版特集vol.7■



フランス生まれ、日本では2015年に宝塚歌劇団で初演され、翌2016年には東宝版として新たに上演されたミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』
待望の再演が現在、帝国劇場で上演中です!

「フランス革命」に材をとったこの作品、若者たちが自由と平等を求め、自分たちの生きる場所をよりよい世界にしようと戦う熱き物語ですが、作中ではロベスピエールダントンデムーランという実在した人物たちも登場。

映画や舞台など、様々な作品でも描かれる彼ら革命家たちは、その後それぞれが苦難の道へと歩んでいきますが、このミュージカル『1789』では彼らの若き青春の日々が描かれ、とにかくカッコ良く登場します!

その革命家たちを演じるのが三浦涼介上原理生渡辺大輔

3人に作品の見どころや、自分たちの役どころについて、そして『1789』で描かれているテーマについて...などなど、色々とお話を伺ってきました!

※インタビュー中、物語の展開に触れています。ご注意ください。

三浦涼介上原理生渡辺大輔 INTERVIEW ◆

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● ロベスピエール、ダントン、デムーラン、それぞれのキャラクターについて


―― 皆さんはそれぞれロベスピエール、ダントン、デムーランという、歴史上の人物を演じていらっしゃいます。史実があり、実在した人物ではありますが、このミュージカルではそれぞれ、どういうキャラクターとして捉えているかを教えてください。まず三浦さんは、マキシミリアン・ロベスピエールですね。

三浦「僕は初演の資料映像を観させていただいたり、演出の小池(修一郎)さんから「これを読んでおいて」と本を渡されたりと、入る前から情報源が多かったんです。ただ本に書かれているロベスピエール像のすべてがこの『1789』で見せられるわけではありませんので、若い頃の彼の、彼なりのまっすぐさというようなところを大切にしたいと思いました」

上原「ロベスピエール、熱いよね!」

三浦「どうやら初演はロベスピエールの中の要素として "冷" という字も入っていたようなのですが、今回は本当にまっすぐさと熱さ、みんなを引っ張っていく力...というところをすごく、小池さんにも言われたんです。でもなかなか上手くいかなくて、本番に入ってやっと、皆さんの熱量に自分も感化されて出来上がった感じです」


―― 三浦さんは、再演メンバーが多い中で今回からの参加ですから、大変なところもあったのでは。

三浦「最初は(初演でロベスピエールを演じた)古川雄大さんのイメージがすごく強くて、僕はすごくそこに惑わされていたんです(苦笑)。再演の作品に新メンバーとして加わるプレッシャーもあり、色々考えすぎちゃっていたんですよね。いつもだったらすんなり出来ているようなこともまったく進まず、すごくまわりに迷惑をかけてしまって。お稽古のあいだ、自分のロベスピエールが全然つかめずに本番に入ってしまった感じでした。でもゲネプロあたりで、この帝国劇場というステージに立って「こんな感覚なんだ」「こういうキャパなんだ」と実際にわかって(心が)開いた。それまで「帝国劇場に立つからにはこうじゃないと」というような固定的な意識があったところが取っ払われて、僕はたぶん今、そういうことをことごとく無視してやっているんだと思います(笑)。だから今は、僕は僕のロベスピエールをやろう、やってみようという気持ちでやっています」

▽ マキシミリアン・ロベスピエール(三浦涼介)1789_2018_07_11_0001.JPG


―― 上原さんは、演じるジョルジュ・ジャック・ダントンを、どういうキャラクターだと思っていますか。

上原「うん...。お酒を飲んでるだけですね」

三浦渡辺「(笑)!」

上原「根底は人情家。プチブルジョワだけど、一番 "シトワイヤン(市民・生活者)" と呼ばれる貧困層の人たちとも分け隔てなく接している。パレ・ロワイヤル(広場)でも、皆で一緒に飲んで、色々な意見を交わしたりしてるのかなぁ~、と思って。そういう熱さがあって、3人の中では、ほかの人々の架け橋となっているような存在なのかなって、自分では思っています」

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