【1789特集(7)】革命家トリオ登場! 三浦涼介&上原理生&渡辺大輔が語る『1789 -バスティーユの恋人たち-』

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■ミュージカル『1789』2018年版特集vol.7■



フランス生まれ、日本では2015年に宝塚歌劇団で初演され、翌2016年には東宝版として新たに上演されたミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』
待望の再演が現在、帝国劇場で上演中です!

「フランス革命」に材をとったこの作品、若者たちが自由と平等を求め、自分たちの生きる場所をよりよい世界にしようと戦う熱き物語ですが、作中ではロベスピエールダントンデムーランという実在した人物たちも登場。

映画や舞台など、様々な作品でも描かれる彼ら革命家たちは、その後それぞれが苦難の道へと歩んでいきますが、このミュージカル『1789』では彼らの若き青春の日々が描かれ、とにかくカッコ良く登場します!

その革命家たちを演じるのが三浦涼介上原理生渡辺大輔

3人に作品の見どころや、自分たちの役どころについて、そして『1789』で描かれているテーマについて...などなど、色々とお話を伺ってきました!

※インタビュー中、物語の展開に触れています。ご注意ください。

三浦涼介上原理生渡辺大輔 INTERVIEW ◆

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● ロベスピエール、ダントン、デムーラン、それぞれのキャラクターについて


―― 皆さんはそれぞれロベスピエール、ダントン、デムーランという、歴史上の人物を演じていらっしゃいます。史実があり、実在した人物ではありますが、このミュージカルではそれぞれ、どういうキャラクターとして捉えているかを教えてください。まず三浦さんは、マキシミリアン・ロベスピエールですね。

三浦「僕は初演の資料映像を観させていただいたり、演出の小池(修一郎)さんから「これを読んでおいて」と本を渡されたりと、入る前から情報源が多かったんです。ただ本に書かれているロベスピエール像のすべてがこの『1789』で見せられるわけではありませんので、若い頃の彼の、彼なりのまっすぐさというようなところを大切にしたいと思いました」

上原「ロベスピエール、熱いよね!」

三浦「どうやら初演はロベスピエールの中の要素として "冷" という字も入っていたようなのですが、今回は本当にまっすぐさと熱さ、みんなを引っ張っていく力...というところをすごく、小池さんにも言われたんです。でもなかなか上手くいかなくて、本番に入ってやっと、皆さんの熱量に自分も感化されて出来上がった感じです」


―― 三浦さんは、再演メンバーが多い中で今回からの参加ですから、大変なところもあったのでは。

三浦「最初は(初演でロベスピエールを演じた)古川雄大さんのイメージがすごく強くて、僕はすごくそこに惑わされていたんです(苦笑)。再演の作品に新メンバーとして加わるプレッシャーもあり、色々考えすぎちゃっていたんですよね。いつもだったらすんなり出来ているようなこともまったく進まず、すごくまわりに迷惑をかけてしまって。お稽古のあいだ、自分のロベスピエールが全然つかめずに本番に入ってしまった感じでした。でもゲネプロあたりで、この帝国劇場というステージに立って「こんな感覚なんだ」「こういうキャパなんだ」と実際にわかって(心が)開いた。それまで「帝国劇場に立つからにはこうじゃないと」というような固定的な意識があったところが取っ払われて、僕はたぶん今、そういうことをことごとく無視してやっているんだと思います(笑)。だから今は、僕は僕のロベスピエールをやろう、やってみようという気持ちでやっています」

▽ マキシミリアン・ロベスピエール(三浦涼介)1789_2018_07_11_0001.JPG


―― 上原さんは、演じるジョルジュ・ジャック・ダントンを、どういうキャラクターだと思っていますか。

上原「うん...。お酒を飲んでるだけですね」

三浦渡辺「(笑)!」

上原「根底は人情家。プチブルジョワだけど、一番 "シトワイヤン(市民・生活者)" と呼ばれる貧困層の人たちとも分け隔てなく接している。パレ・ロワイヤル(広場)でも、皆で一緒に飲んで、色々な意見を交わしたりしてるのかなぁ~、と思って。そういう熱さがあって、3人の中では、ほかの人々の架け橋となっているような存在なのかなって、自分では思っています」

―― 私、パレ・ロワイヤルのシーンでダントンがデムーランに言う「ハイハイお幸せに」ってところ、好きです。

三浦「あのくだり、いいですよね~」

上原「ああ、あそこ(笑)? あれ、なんかフっと出ちゃったんですよね、初演のときに」


―― 脚本にはないんですか?

上原「ないない、ないんですよ」

渡辺「あのへん、全部アドリブですよ!」

上原「そう、いつだったか、アドリブで出ちゃったんです。「モテない俺に乾杯」って自分が言ったすぐあとに、目の前でデムーランが婚約者とキスしてるから!」

渡辺「(笑)!」

三浦「デムーランがキスした瞬間に出る言葉も面白いよね」

上原「自分は「ンなーーー!」って叫んでます(笑)

渡辺「あのシーンでは、各々が色々なことを言ってるんですよ。小さい声で。マイクが入ってないから本当に色々(笑)」

上原「(笑)。だってデムーランは「僕は"人民に自由を!"と書いた最初の革命家になる!」って言ってるそばから、恋人とキスですよ! 自分の幸せの方に行っちゃうから! 「ンなーーー!」って声も出ちゃいますよ。で、「あーあーあーお幸せになっ」って湧き出ちゃったんですよ」


―― でもすごくキャラクターが出ている一言ですよね。

上原「出ちゃったんですよね~。そのあとで「ボンニュイ!」もつけちゃったもんね。今回の再演は、その言葉のあとに、ちゃんとデムーランが一礼して去っていくの。「おっ?」と思って(笑)」

渡辺「あれもとっさに(笑)。稽古場では普通に去って行っていたのですが、劇場に入ってから急に、一礼してみたらどうなるんだろうなって思って」

上原「別に褒めてねーぞっ、と思っています」

渡辺「キャラクターの個性って、そういうところなんだろうね」

上原「うん、すごくデムーランぽいな、って思う」

▽ ジョルジュ・ジャック・ダントン(上原理生)1789_2018_07_12_0203.JPG


―― 渡辺さんが演じるそんなカミーユ・デムーランは、どんなキャラクターでしょうか。

渡辺「初演の時は、それぞれのキャラクターがどういう感じなのかとか、革命家3人でこと細かく話し合ったりしていたんです。でも今回は、結局個性というものはやっているうちに絶対出てくるから、ロベスピエールはこういうキャラで、ここをこうして、というようなことを(新しく加わった三浦と)話したりは特段せず、自分たちも各々やるべきことをやろう、ということになりました。りょんちゃんも、すっとこの中に入ってきてくれましたし。

そんな中で、今回デムーランは小池さんとも話しながら、ロベスピエールと同じ熱さがあるのですが、ナイーブさ、一生懸命さが先に出てくる、という方向で作っています。この物語はそれぞれのキャラクターの成長期を描いている部分もある。自分が演説したり、戦ったりする中で、みんなの成長を見ながら、自分もなにか、ことを成しえないといけないという気持ちに強く動かされます。ロナンという存在は大きいのですが、それ以外の第三身分の人たちの姿にも心を動かされ、成長する...という部分を見せられたら、と思っています。そして僕個人としては、前回とはまた違うデムーランを見せたいと稽古当初から思っていたので、それが出ていればいいなと思っています」

▽ カミーユ・デムーラン(渡辺大輔)1789_2018_07_13_0337.JPG

 
 
● 再演で変わったポイントは...

―― 先ほど上原さんのお話でもありましたが、今回は、同じ第三身分でも立場が全然違うといったところなどもくっきりと伝わるようになった気がします。

上原「そうですね! 小池さんが「ドラマの部分をもうちょっと描きたい」ってことを仰ってたので、それがちゃんとできたってことなのかな」

渡辺「稽古場でも、芝居をとにかく重点的にやっていました。歌や振り付けより、とにかく芝居をわかりやすく、観る方にもっと理解していただけるように。だから芝居の部分では、3人の間でも意思疎通がずいぶん取りやすかったかな」


―― 前回に引き続き出演のおふたりは、「今回、ここが変わった」と思うようなところありますか?

渡辺「最後にロナンが死ぬシーンで、ふたり(ロベスピエールとダントン)の嘆き方がとても大きいんです。でも僕は冷静。...前回はそれが、逆だったじゃない?」

上原「そうだった」

渡辺「デムーランがボロボロ泣いていて、ロベスピエールとダントンに肩を叩いて慰められたりしてた。でも今回はそれが逆になっている、ロベスピエールがボロボロになってるっていうのが、その後の彼らを考えるとゾッとしちゃって」

上原「だからこそ袂を分かつ、みたいな?」

渡辺「うん、(ロナンの死で)ロベスピエールの中で何かが弾けて、そのまま...」

上原「どんどん恐怖政治に向かっちゃう、というね」
 ※史実では、そのあとでロベスピエールが恐怖政治へと突き進み、ダントンやデムーランとも決別します。

渡辺「そんな風に感じたんです。観ている方はどう感じるんだろう、どう見えているんだろうって思った」

上原「さっきのりょんの話で、小池さんがりょんのロベスピエールに熱い部分を求めていらっしゃったっていうのを聞いて、まさにその通りだなって思った。すごく熱いんですよね。こういう熱さが根底にあるから、彼がそういう熱さを持って理想を追い求めるから、この『1789』という作品の後の史実で、だんだんと恐怖政治をしいていくようになっていったのかなって、すごくわかるんです。りょんはアンジェイ・ワイダ監督の『ダントン』って映画に出てくるロベスピエールにそっくりだなって思うんですよ。ひたむきに理想を追いかけて奔走していた頃のロベスピエールだって思って見てて。だからすごく面白い」


―― 三浦さん、いかがですか。

三浦「...すごく難しい本を読んでおいて、よかったなって思います」

上原「ハハハ(笑)!」

三浦「お芝居で、僕らがセリフを交わすシーンって実はあまりないんですよ。だから、(本から得た知識で)自然とそうなったのかな、と」

渡辺「キャラクターの肉付けがね。でも、それで言ったらロベスピエールやダントンは映画や小説になっていたり、色々な作品に出てくるけれど、デムーランってあんまり出てこないんですよ!」

上原「まあまあ...」

渡辺「いや、嫉妬とかじゃなくて(笑)! その分、この『1789』という作品では、デムーランにもフィーチャーしていただけている。デムーランには2幕に『武器を取れ』というナンバーがあるのですが...」
 
 
 
● それぞれのソロナンバーについて

渡辺「...『武器を取れ』というナンバーはフランスでも歌われてなくて、宝塚版にもない。東宝版の初演のために書き下ろされた新曲なんです」

上原「大ちゃんすごいね! 世界でひとりしか歌ってないんでしょ?」

渡辺「この作品は実際にデムーランがパレ・ロワイヤルで「武器を取れ」と話した演説を、ちゃんと描いている。こういった革命家がいたからこそ、こういうことが起きた、第三身分の熱き魂の戦いというのが伝わっていれば嬉しいですよね。デムーランという存在も色々な方に知って欲しい!」

▽ 『武器を取れ』のシーン1789_2018_07_14_0583.JPG


―― いま渡辺さんから『武器を取れ』の話が出ましたが、皆さんそれぞれ、1曲ずつとても目立つソロナンバーがある。それについてもお伺いさせてください。上原さんは...。

上原「『パレ・ロワイヤル』ですね! あそこは楽しいっすねぇ~、すごく大変なんですけど。この作品、とても体力を使うんですよ。今日も本番中、2幕の終盤でアクロバットのひとりに舞台袖で「ラストまであと少しだから頑張ろうね」って声をかけたら、「でも理生さん、俺、(大変な)『パレ・ロワイヤル』が一番楽しいです!」って(笑)。辛いんですけど、みんな「楽しい」って言ってくれるから嬉しい。今回は稽古を通し、「ただ宴会のようにわっと盛り上がるのではなく、今は苦しいけれど、みんなで新しい明日を作るんだという希望、熱いものを持ってやってほしい」と言われて作ってきました。シーン自体、ブラッシュアップされていると思います」

渡辺「確かに今回、『パレ・ロワイヤル』のシーンは最後までこだわったもんね」

上原「こだわったね。印刷所でロナンとロベスピエールとデムーランが『革命の兄弟』を歌った後に、『パレ・ロワイヤル』で「身分なんか関係ない、どんな生まれだって関係ないんだ」と歌う。そのスピリッツがバスティーユ襲撃に繋がっていくんだと思う。それぞれに、キーになる言葉や要素が散りばめられていて、それを改めて感じながら今やっています」

渡辺「繋がっているからね。そのあとで(ロナンと3人が一緒に登場するのは)『自由と平等』になっちゃうから、ここで色々なことを示しておかないといけないしね。楽しんでいるだけじゃなく、実際にあそこで政治の話をしていたんだ、っていうことを、みんなの共通認識として持ってやる、熱い思いがプラスアルファされているという形になるように、最後の最後まで、みんなでやっていたもんね」

上原「こだわってましたね、すごく」

▽ 『パレ・ロワイヤル』のシーン1789_2018_07_16_0220.JPG


―― そしてロベスピエールには『誰のために踊らされているのか?』という、とても印象的なナンバーがあります。三浦さん、どんな気持ちで歌っていますか?

三浦「実はあれがオーディションの歌だったんです。ですので、一番長く歌っているから、一番安心して歌ってるかも(笑)。でも、2幕の冒頭なので頑張っています」

上原「一緒に踊ってて楽しいんですよ、自分のダンスはへっぽこですが(笑)」

渡辺「あそこは僕もやっていて一番気持ちいいかな。みんなのパワーが、ロベスピエールを抱え上げている感じがして」

三浦「フランス版でこの曲の頭の方で、ロベスピエールがこうやっていて(手の指をすり合わせるような動作)、それを「カッコいいな」と思って、ゲネプロくらいから僕もやり始めたんですよ。そうしたら(振付の)KAORI先生に「お金数えてるみたい」って言われちゃった」

上原「(笑)。チップ?」

三浦「俺は特に考えずに、カッコいいなって思ってやってたんですが」

渡辺「でもあのナンバーはみんなの熱き思いがクランプに繋がるところだからね」

上原「革命を象徴してるよね、良いシーンだよ」


―― 『誰のために踊らされているのか?』から『KRUMP』の流れは、ちょっと他のミュージカルでは味わえない面白さがありますね。

上原「『誰の為~』とクランプは能動的だから...、自分たちで、自分たちの思いをぶつけるから、しんどくても気持ちでいける。革命は、民衆の賛同がないことには始まらず、暴動で終わっちゃうんです。みんなの思いが同じ方向になる、それを象徴しているシーンで、そこにあのクランプが本当にマッチしている。クランプって、もともと怒りを表現するダンスなので」

渡辺「そうだね、怒りという感情をとても表現しやすい」

上原「逆にペイロール様に蹂躙されるシーンなんかは、受身だからすごく疲れる! その後の銃撃戦は「これからバスティーユを落とすんだ!」って気持ちでいけるから、意外と平気」

渡辺「えー、そうかな(笑)」

三浦「うん、俺も楽だと思ったことはない!」

上原「えー、そお? でもとにかく2幕は踊ってるよね! 僕の中では、2幕になったら突然ダンス公演、なんです(笑)。歌うより踊っている方が多くて!」

三浦「今日も1幕が終わって、楽屋戻ってきたら「おーし、2幕のダンス公演がはじまるぞ!」って言ってたよね(笑)」

上原「だって歌うシーン、1幕でほぼ終わりなんだもん! 2幕は出てきたら踊る、みたいな」

▽ 『誰のために踊らされているのか?』のシーン1789_2018_07_15_0003.JPG

 

● ロナンとの関係性について

―― それぞれ、ロナンとの関係性をどう捉えているのかも教えてください。

上原「自分にとっては、義理のお兄ちゃんです」

渡辺「わかりやすっ!」

上原「(笑)。でも多分、パレ・ロワイヤルで、もともと会っていたんだろうなって思ってます」


―― 物語の展開としては、ロベスピエールとデムーランがロナンと出会うシーンの方が先に描かれていますが、舞台上で描かれていないところで、ですか。

上原「そうそう。ロナンはパレ・ロワイヤルで寝泊りしてるし、そこは革命家たちのたまり場なのでダントンもよく行っている。「なんか見慣れない顔がいるな」「ボースから来た農民らしいよ」「へぇ~」みたいな感じで、自分が先に会ってるのかなって思っています。もともと身の上話でも聞いたりしていたのかな、と。今回の再演では、ロナンはこのチラシにもなっている衣裳を、パレ・ロワイヤルのシーンから着るんですよ。初演では、パリの街角でふたりと出会うところからこの衣裳だったんですが。なので、パレ・ロワイヤルのシーンで少し身奇麗になったこの衣裳で登場して「おっ、威勢がいいじゃん!就職先が決まったのか、頑張れよ!」みたいな、割と近しい関係なのかなと思ってやっています」

渡辺「デムーランとしても、最初に会った時とロナンの服が変わっているから「あれ、身なりがよくなったな!」と。そういうちょっとした変化で、田舎からパリに出てきて、しばらくパレ・ロワイヤルで寝泊りしてて、デムーランやロベスピエールと出会って...という時間経過がわかりやすくなりましたよね」

三浦「僕は、ロナンとロベスピエールの関係性がどうなのかというより、毎日すごくナチュラルに、僕らの中で役作りが出来ている気がしているので、あまりこだわっていないですね。(小池)徹平と(加藤)和樹でも全然違うし、彼らもその日作り上げるロナンが違うし。こっちが熱く押していく日には向こうは付いて来てくれるし、向こうが熱い芝居をして、こちらがその熱に乗っかる日もある。それが楽しくて日々演じています」

渡辺「僕は、デムーランは本当にロナンのことを兄弟だと思ってる、ということを大事にしています。育ちは違うかもしれないけれど、通じるものがある。牢獄での「あいつらはお前たち貧しい者のことなど考えていない」というペイロールの言葉をきっかけに、『自由と平等』では衝突が起きる。でも「自分は本当に兄弟だと思っている」「わかって欲しい」とロナンを説得するんですが、その説得が上手くいく日もあれば上手くいかない日もある。りょんちゃんが言ったとおり、毎日違うし、徹平と和樹で全然違う」

三浦「和樹は今日泣いてたね」

渡辺「ずーっと涙を流してたね。だからさっきの話に戻りますが、最後のシーンは、その兄弟の遺志を無駄にしないように、自分が引き継いで何かをやらなきゃ、って方向に行った(から冷静さがある)のかなって」


―― ちなみに...お三方とロナン、兄弟だとしたら誰が一番上のお兄さんで、どういう並びだと思いますか?

渡辺「僕は、デムーランかロナンのどっちかが末っ子だと思うな。デムーランが三男で、末っ子がロナンかなあ

上原「えっそう?」

渡辺「それで、ロベスピエールが長男、ダントンが次男

上原「あー、ダントンは次男だね」

三浦「うん、次男っぽいね」

上原「俺は、デムーランが長男だと思ってたなあ」

渡辺「まぁ人それぞれに思うところはあると思うけれど(笑)、性格的に実直真面目で我が道を行くタイプのロベスピエールが一番上にいて、自由奔放で、熱き部分も持ち合わせるダントンがいて、そのふたりを見て育ったデムーランがその下にいて、ロナンは一番下で自由に出来るっていう...感じがしたかな」

上原「なるほどね!」

三浦「うん、それでいいよ」

上原「いいです」

渡辺「満場一致で(笑)」
 
 

● 普段の3人の顔は...

―― お三方、会話のテンポがいいですね! 普段からこんな感じですか?

渡辺「いっつもこんな感じです。でも最近ですね...」

上原「(何かを察し)それ、言っても(記事に)使わないよ!」

渡辺「絶対使ってください! あの、最近の年下は、口の利き方がなっとらんのです!」

上原「アハハハ(笑)!」


―― 実年齢は皆さんどの順番ですか?

渡辺「僕が一番上で、りょんちゃんと理生が同い年。彼らはですね、先輩方に言ったら叱られるぞ、っていう返しをしてくる!」

上原「大ちゃんだから言えるんだよ~」

渡辺「このあいだは、僕が真面目に喋ってたら「うっせえ」って言われたんですよ。「うっせえ」ですよ、びっくりだよ!」

上原「ネタですよ、ネタ!」

渡辺「ネタってわかるからツッコむけど! 口の利き方(笑)!」

上原「怒られた...この年になって...」

三浦「公共の場で(笑)」


―― (笑)。皆さん楽屋は一緒なんですか?

上原「いや、僕とりょんちゃんが一緒で」

渡辺はヒロ(廣瀬友祐)と一緒です」

上原「いつもね、大ちゃんがマイクを取ってきてくれるんですよ」

渡辺「アップを地下でやっているので、それを終えたら、1階でふたりのマイクを取って楽屋に上がっていくんです」

三浦「(上原に)もう取りに行くつもりないでしょ(笑)」

上原「ある、あるよ! 自分もアップをしてから、一応1階で降りるんだよ、で、マイクを見て、今日も持っていってくれたんだありがとう、って心の中で言って」

三浦「"一応" って言っちゃった!」

上原「そんな任せっきりにするつもりはないよ、でもいつもありがとう!」

渡辺「うちの廣瀬君もそうなの。毎回「ごめんね~」って言ってるけど、絶対本気で謝ってない(笑)。...そういえば理生は今朝、シャワー入れたの?」

三浦「入れなかったんだよね」

上原「入れなかったの。掃除してて。僕はいつも、朝シャワーを浴びて、身体をほぐしながら発声してるんです」

三浦「今日もそのつもりで来たのに、シャワー室が全部掃除中だって、「どうしようりょん、どうしようりょん、あー困ったな」って言いながら5・6回、楽屋と往復してるの。「掃除をせかすのも悪いじゃん、でももう一回行ってみようかな」って(笑)」

渡辺「アハハハ! 別のフロアのシャワー借りればよかったじゃん」

上原「ダメだよ、他の作品の稽古してるから。うるさい!って言われちゃう」

渡辺「そんなに声、響かせるんだ...」

上原「そりゃ発声練習ですから。一回響かせてその日のコンディションをみないとね」


―― 楽しいお話の流れで、何かハプニングがあったとか、稽古場や本番のエピソードがあれば教えてください。

上原「昨日ありました! 昨日はいっぱい事件があったよね~。『パレ・ロワイヤル』でシャルロットを抱き上げて回すシーンがあるんですが、なんでか、息が合わなくて抱き上げる高さも中途半端で。しかもシャルロットがふっと頭を下げたところで、被ってる三角帽の角が喉にクリーンヒットして「ぐぇ」ってなった!」

三浦「歌ってる最中に!?」

上原「そう。マジか、って思いながら。恥ずかしかったよ、昨日」

渡辺「ふたりに注目するところだからね。一気に抱き上げていなかったから、珍しいなって思った。その何日か前にはヒロのサーベルが...」

上原「あ、ポキって折れたよね」

渡辺「袖に戻った瞬間にね」

三浦「ヒロはマント踏んでスライディングしたこともあったね」

上原「そうだった、ヘッドスライディング(笑)。...あなたもその日、やってたじゃん」

三浦「え? なんだっけ」

上原「コートの裾踏んじゃって」

三浦「僕? 自分の? あったっけ」

上原「えぇぇーーー」

渡辺「(笑)!」

三浦「最近、(ロベスピエールの)彼女の服の紐が引っかかっちゃって、ハグしたら離れられない、とか、マイクが彼女の髪の毛に入り込んじゃって抜けない、とか...結構ありますね(笑)」

渡辺「まあ、そういうこともライブならではだよね」

三浦「トラブルがあっても、気にしないようにしています」

渡辺「本当に毎日何かあるよね。でも決め事はちゃんと決めて、特にアンサンブルの皆が本当に頑張ってくれています。各リーダーがいつも細かくチェックしていて、「ここが危なかったから注意して」と全員に連絡してくれる。みんなこそ、一番キツイのに...。そういうのに助けられています」

三浦アンサンブルのみんな、本当によく動くし、元気! 俺ら、あれくらいのダンスで脚パンパン!とか言ってられないよね」

渡辺「そうだよね」

上原「本当だよね。もう、合言葉みたいになってるよね、「誰ひとり欠けることなく、千秋楽で笑おう」って。今回、いい具合に力を抜いてやらなきゃダメだって思っていて。踊るからどうしても筋肉を使うんですが、そればっかりやっていると歌えなくなっちゃう。上手に力を抜いて、毎回最高のパフォーマンスを届ける、というのが、もしかしたらカンパニー全体で、大きな課題かもしれません」
 

 
● 最後に、この作品で届けたいこと

―― 楽しいお話をたくさんありがとうございました。最後に特にお客さまに伝えたいことがあればお願いします!

上原「じゃあ自分からいいですか? 今回、ロナンが死んじゃうところで、すごく悔しいんです。一番生きなきゃいけない人が死んじゃった。死んじゃいけない人が死んでしまった、守れなかった。無力感ややるせなさがあるのですが、多分それが原動力で、あの人権宣言を作るに至ったんだという気持ちを噛み締めています。人権宣言で言っていることって、今の世の中の規範にもなっていることで、普遍的で、理想の世界じゃないですか。それがなかった時代に、そういうことを願って作った人たちがいたんだよってことを感じて欲しい。この18世紀末の舞台で、21世紀の客席に向けて、そういうメッセージを微力かもしれないけれど届けて、それを感じてもらえたら一番嬉しいかなと思って毎日、汗をかいて頑張っています」

三浦「うん」

渡辺「理生の今ので、キレイに終わっておこう」

上原「いいかい?」

三浦上原渡辺「ありがとうございました!」1789_2018_07_21_0565.JPG

  

 
取材・文:平野祥恵(ぴあ)
舞台写真提供:東宝演劇部
 

【公演情報】
4月9日(月)~5月12日(土) 帝国劇場(東京)
6月2日(土)~25日(月) 新歌舞伎座(大阪)
7月3日(火)~ 30日(月) 博多座(福岡)

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