【後編】新派版『黒蜥蜴-全美版-』の再演にかける思いとは?喜多村緑郎、河合雪之丞インタビュー

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6月2日に初日を迎える、今年創始130年を迎えた劇団新派の花形新派公演「黒蜥蜴 全美版」。好評を得た昨年6月の初演をさらにパワーアップさせた再演となります。

前編に続き、『黒蜥蜴ー全美版ー』について、喜多村さんと河合さんにお話を聞きました。

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――初演の『黒蜥蜴』は、いろいろ「新派っぽくない」というような劇評もあったと想像しますが、そのあたりはいかがですか?

緑郎ありましたね。

雪之丞まず、劇団新派として、新しい形というものを提示していくことの意味合いがありますよね。「新派っぽくない」というのは、多分古典らしくないということでしょう。新派とはなんぞやという定義が必要ですが、新しい感覚を発信していくというのは大事なことかなぁと思っています。

緑郎どのお芝居でも、俳優のいいところを全て出して、やれることを全てやるというのが齋藤さんのコンセプトなんです。前回の『黒蜥蜴』もそういう意味で、全てお客さんにさらけ出しました。だから我々は新派をやっているというような気分でもなかったです。

緑郎:ただ、齋藤さんは新派文芸部の方であるので、やはり新派の頭脳ですよ。齋藤さんはどの俳優さんを使う時でも多分最終目標は新派のようなお芝居を目指していると思うんです。

齋藤さんは新派の世界をいくらでも応用することができる。その応用というものが、歌舞伎でも新派でも新作だと思います。基本形が時代物や古典だとすると、新作というものは応用編。そういうつもりでいつも新作をやる時は取り組んでいます。

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――ステンドグラスや石膏彫刻など趣き深い雰囲気のある三越劇場での上演です。その魅力はどの辺に感じられますか?

雪之丞劇場の装飾等が創立当時のまま、すごく丁寧に残されていますよね。その劇場の内装を見に来るだけでもいいんじゃないかと思うぐらいの立派な内装です。

それに、お客様との距離がすごく近いことは特徴ですね。役者の一挙手一投足を見て頂ける。だから役者側としては非常に緊張感がある劇場です。

この『黒蜥蜴』の大道具に関しては、喜多村が全部提案して色々やりました。後ろを見ても前を見ても、劇場全体が『黒蜥蜴』の世界っていうような空間に作り上げたいということで、そのプランをやりました。世界観の統一化、客席と舞台の同一化というのは、すごく功を奏したのではないかなと思います。

――今回も同じようなプランを考えてらっしゃいますか?

緑郎そうですね。道具に関してはそう変わらないと思います。

僕もそれこそ平成9年に初めてこの劇場に出て、それから何作か出させてもらっているのですが、限られた空間で、劇場の魅力を出すにはどういう道具がいいんだろうなということを常に考えていたんですよ。

セリ(=舞台の一部が上下する仕組み)はない、盆(=円形に回転する舞台機構)はない、舞台の袖は狭い。でもこんなに素晴らしい装飾を活かさない手はないようなと常日頃から思っていて...それで提案をさせていただいたんですよね。

本当に初めてかな。初日開く前に、手応えがあったのは。これは絶対いけるぞと思っていましたし、お客様にもご好評頂いたからこそ今回の再演につながったと思うので、本当にありがたいです。お客様のありがたみを痛感しました。そして同時に手応えも感じていました。

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――明智小五郎と黒蜥蜴は互いに「惹かれ合う」役どころです。研修所の同期だったお二人ですが、役者としてお互いに惹かれるところはございますか?

雪之丞意識したことないですねぇ〜。

緑郎もう30年以上の付き合いになるんでね...。ただ、(雪之丞は)僕に足りないところを確実に持っているなと。

雪之丞お互いそうだと思います。やはり立ち役と女方なので、専門的に勉強してきた分野が違う。だから立ち役の人が女方をやったり、女方が立ち役をやったりすると、急に小学生並みになっちゃうので(笑)。ただ、芝居に対する情熱は彼を見習わなきゃいけないなと思いますね。

緑郎技術を理屈からきちんと習得した人だなぁと思います。僕は子どもの頃から日本舞踊もやっていなかったですし、全てのスタートが17歳からなんですね。でも、彼の場合は子どもの頃から色んなことをやっている。

体で会得したことを、理にかなった解釈で芝居を組み立てることができる人です。僕はどちらかというと精神論タイプなんですが、彼は技術派。だからお互い、持っているものが全く違うから、勉強になるところもありますし、助かるところもあります。

――最後にお客様へメッセージをお願いします!

雪之丞お子様からご年配の方まで皆さまに見て頂きたいです。男性の方でも女性の方でも、本当に「こういう方向けです!」というお芝居ではなくて、全ての方向けのお芝居です。皆さんに楽しんでほしいです。

緑郎そうですね。お芝居もあり、ラブロマンスもあり、冒険活劇でアクションあり。老若男女、ジャンル分けをすることなく、全てのお客様に楽しんで頂けた初演だったと思いますが、今年はさらにパワーアップしたいと思っていますので、とにかく騙されたと思って、見に来ていただければと思います。

・・・

花形新派公演「黒蜥蜴 全美版」は2018年6月2日(土) ~ 6月23日(土)まで、三越劇場にて。チケットは現在発売中。

取材・文:五月女菜穂
撮影:川野結李歌


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