舞台「大人のけんかが終わるまで」鈴木京香、北村有起哉、板谷由夏、麻実れい
鈴木京香・北村有起哉らが出演する舞台「大人のけんかが終わるまで」が開幕した。
本作は「滑稽な悲劇/悲劇的なコメディ」を秀逸に描くことで知られる劇作家・ヤスミナ・レザの新作。破局寸前の不倫カップルと、偶然、一晩いあわせることになった友人夫妻と、その姑という男女5人のコミカルな会話からなる大人のコメディだ。
上演台本は岩松了。演出は「炎 アンサンディ」で文化庁芸術祭賞 大賞などを受賞した上村聡史が手掛ける。
出演は鈴木京香、北村有起哉、板谷由夏、藤井隆、麻実れいの5人。
本作のプレスコールが行われ、一部のシーンが報道向けに公開された。動画はこれをダイジェストにしたもの。【動画1分】
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
開幕レポートの最近のブログ記事
劇団四季『恋におちたシェイクスピア』が6月22日、東京・自由劇場で開幕した。四季がストレートプレイを新作上演するのは、2006年初演の『鹿鳴館』以来12年ぶり。
物語は、芝居文化が花開くエリザベス朝の時代のイギリスを舞台に、台本執筆に行き詰っている若き劇作家ウィル(シェイクスピア)と演劇を愛する貴族の令嬢ヴァイオラの恋と、演劇を愛する人々の情熱を描くもの。婚約者のいるヴァイオラへウィルが抱く道ならぬ恋から名作『ロミオとジュリエット』が生まれていく過程や、女性が舞台にあがることを禁じていた時代に男装して舞台に立つヴァイオラに彼女の男装に気付かないウィル...といった、シェイクスピアの戯曲を想起させる要素をテンポよく盛り込んだ戯曲を、時に可笑しく、時に切なく、劇団四季らしい上品な舞台に仕上げた。
太宰治、没後70年。
彼の生い立ちから自殺までを描く舞台『グッド・バイ』が、太宰の誕生日であり命日である桜桃忌(6月19日)に劇場入りし、6月21日に開幕しました。
池下重大が主人公「田島周二」を、大空ゆうひがヒロインの「永井キヌ子」と「津島修治」の2役を演じます。
その他、キャラメルボックスの原田樹里、永楠あゆ美、野本ほたる、飛鳥凛らなど多彩な顔ぶれが出演し、脚本・演出は、悪い芝居の山崎彬が手掛けています。
初日を終えた出演者と山崎さんからコメントが到着しました!
★池下重大さん
パンフレットの鼎談で、大空ゆうひさんが今回の芝居のことを、音楽のライブをやるような感覚だと言っていましたが、初日を終えて、完全に同意します。最初の音を出したなら、あとは休憩を含めた2時間20分を一気に駆け抜ける。
これからの毎ステージが楽しみです。何が出るやら。
★大空ゆうひさん
一度舞台に上がったら何が起こるかわからない、まさに音楽のセッションのようなライブ感を感じています。
毎日、不安を抱えたまま、敢えて舞台に飛び出したい。
いい意味で地に足をつけないで無重力空間を楽しみたいです。その先に奇跡が、グッドバイがあると信じて!
☆山崎彬さん(脚本・演出)
出逢いと別れ。生と死。幸と不幸。作家・太宰治と人間・津島修治。
太宰治未完の遺作『グッド・バイ』を元に彼の生き様を描こうとしたら、結果的に太宰作品をたくさん散りばめたような舞台になりました。
没後70年の節目に、この芝居をこの座組で打てることに運命的なものをちょっぴり感じながら、毎日「グッド・バイ」し続けます。
「グッド・バイ」するにはまず出会わなきゃいけない。ぜひ劇場まで会いにきてください。
舞台写真(撮影:交泰)
宝塚歌劇月組 TBS赤坂ACTシアター公演 ミュージカル『雨に唄えば SINGIN'IN THE RAIN』が6月16日に開幕した。初日に先立ち15日には通し舞台稽古が報道陣に公開され、主役のドン・ロックウッド役の珠城りょう、ドンの親友であるコズモ・ブラウン役の美弥るりかが取材に応えた。
1952年にジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズの出演で製作され大ヒットしたMGM映画をもとに舞台化されたミュージカル。サイレント映画からトーキー映画に移る時代を描いたコメディで、『Make 'Em Laugh』『Good Morning』など、誰もがどこかで一度は耳にしたことがあるはずの劇中歌に彩られている。中でも主人公のドンが土砂降りの雨のなか歌い踊るタイトルナンバー『Singin' in the Rain』は特に有名だ。
宝塚歌劇団では本作をこれまでに2003年に安蘭けい、2008年に大和悠河主演で上演したが、今回、10年ぶりに月組トップスター・珠城りょう主演で上演。2016年の珠城のトップ就任以降、友人・仲間といった役どころでともに舞台を作り上げてきた珠城と美弥が今回も息のあった芝居で作品の軸を担い、ほかのキャストもイキイキと楽しげに1927年のハリウッド黄金時代の人々を演じている。もちろん今回も「土砂降りのなかでのタップダンス」は見どころで、珠城も「実際に水を浴びてみると、本当に気持ちもどんどん高揚していく。この作品を通して、雨もキライじゃないな、と思えるようになった」と笑顔でコメント。色褪せない名作が、月組のフレッシュなパワーで新鮮に輝いた。
以下、珠城と美弥の囲み取材の模様をレポートする。
◆ 珠城りょう&美弥るりか 囲み取材レポート ◆
――まずはひと言ずつご挨拶を。
珠城「なんとか無事に舞台稽古を終えてほっとしています。とてもやることが多い作品で、ちょっとバタバタしてはいますが、自分自身もやっていて楽しいですし、お客さまにもきっとハッピーになって劇場をあとにしていただけるような作品になるのではないかなと思います」
▽ 珠城りょう
楽しそうなこの笑顔!珠城さん、囲み取材中、終始笑顔でした。
美弥「お客さまには気楽に楽しく観ていただきたいなと思うのですが、裏はけっこうバタバタしています(笑)。観客として観ていたときには、こんなに大変だとは思っておらず、いま改めて大変さを実感しています。梅雨の季節ではありますが、皆さまに雨が好きになっていただけるような素敵な作品になるよう、りょうちゃんを中心に、みんなで頑張っていきたいと思います」
▽ 美弥るりか
通し稽古後の囲み取材には初登場だった美弥さん。最初の挨拶はトップさんだけと思ったのか、「ご挨拶を」と振られ「あ、私もなんだ...そうなんだ...」と小さく呟いていたのがチャーミングでした
ミュージカル「シークレットガーデン」花總まり、石丸幹二、石井一孝
石丸幹二、花總まり、石井一孝らが出演するミュージカル「シークレット・ガーデン」が日比谷・シアタークリエで開幕した。
本作は1991年にブロードウェイで開幕。同年のトニー賞ではメアリーを演じたデイジー・イーガンが11歳で助演女優賞を受賞したほか、脚本賞、装置賞を受賞した。
ミュージカル版では特に、原作では描き切れていない、子供を取り巻く大人たちにも焦点を当てて、それぞれの物語を描き出しているのが特徴だ。
妻を亡くして日々を空しく生きる男・アーチボルド役は石丸幹二。亡き妻リリー役は花總まり。アーチボルドの弟・ネヴィル役は石井一孝。物語の主軸を担うメアリー役は「アニー」「ライオンキング」などでも活躍する池田葵と上垣ひなたがWキャストで演じる他、昆夏美、松田凌などが出演する。
本作の公開舞台稽古が行われた。動画はこれをダイジェストにしたもの。【動画3分】
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
伊勢直弘が脚本・演出を手掛ける『BOYS☆TALK第3弾/DANDYS☾TALK』が6月6日に開幕、それに先がけ『BOYS☆TALK』の公開ゲネプロと囲み取材が行われた。
『BOYS☆TALK』は、2013年に初演したシリーズの、約3年半ぶりとなる第3弾。実際の名前に限りなく近い役名、本人に近いキャラ設定、その場で出されるお題など、観ている側にはどこからどこまでが芝居なのかわからなくなる"超リアル男子会"を描く人気シリーズ。今回は2チーム制で、「★チーム」に大原海輝、大海将一郎、神里優希、辻 凌志朗(辻は一点しんにょう)、深澤大河、「☆チーム」に川隅美慎、谷 佳樹、山中健太、横井翔二郎、和合真一、鷲尾修斗と、注目の若手メンバーがズラリ。さらにオトナの男子会『DANDYS☾TALK』も上演され、鎌苅健太、KIMERU、郷本直也、佐藤貴史、寺山武志、米原幸佑が集結する。
囲み取材で大原が「アドリブ劇ならではの毎公演違う内容はもちろん、このキャストだからこそできるものを楽しみにしてほしい」と話したように、お題を受けての妄想劇場や大喜利では、それぞれの個性が炸裂。だからこそチームワークも重要で、その回のゲストによっても展開が変わってくるのが楽しい。
また、谷が「僕は、この稽古を通して自分が変わっていることに気付けました。それぞれの出演者のファンの皆さんが持っているイメージをいい意味で裏切る、そんな一面もお見せしていきたいです」と語ったように、普段、舞台上では役を演じている姿しか見せない俳優たちの素の表情がたっぷり。観客から"リアル質問郵便局"に届いた悩みをみんなで考えるコーナーなどもあり、アンサーそのものはもちろん、それに対するリアクションや、突飛なアイデアなど、ふとした瞬間にもその人らしさがこぼれ、思いもよらない一面が見られる。
神里が「すごくメンタルが鍛えられます(笑)。素の部分と役の部分のグレーゾーンが魅力の舞台です」、横井も「普段のお芝居とは違ってアドリブがメインですので、自分のポジションが会話中にもどんどん変わっていくのですが、それが面白いところだと思います。戦々恐々としてるんですけどね(笑)」とコメントしたように、「『もちつもたれつ』という言葉がピッタリな舞台なんじゃないかな。"事故回"や"神回"が生まれると思います。我々は本気でふざけてます!」(和合)という男子会。本気な男たちのおしゃべりは、どこに辿り着くのか着かないのか...ぜひ楽しみに覗き見してほしい。
日替わりゲストも個性豊かな公演は、6月17日(日)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて上演中。
取材・文:中川實穂
撮影:鏡田伸之
(C)BOYS★TALK製作委員会
渡辺えりが作・演出を務め、80年代から小劇場界を牽引してきたオフィス3○○が、(前身の劇団3○○から数え)創立40周年を迎えます。
記念公演となる『肉の海』が現在、東京・本多劇場で上演中。
その公演レポートをお届けします!
昨日掲載された舞台稽古の写真を見ただけで、『肉の海』がただならぬ作品だと感じた方は多いはず。事実、渡辺えり率いるカンパニーのエネルギーに、ずぶんと "海" に呑み込まれるような舞台だ。
オフィス3○○が創立40周年を記念し、渡辺が純文学の新鋭・上田岳弘の小説『塔と重力』を下敷きに、渾身の力を込めて作り上げた『肉の海』。その幕開け、客席からくたびれたおばさん天使(渡辺)がとぼとぼやってきて、いきなり本音を吐き始める。「ああ、涙が止まらない。水分を出したくないのよね、カサカサにシワシワに乾いてくるのよ......」とぼやいていると、別の天使たち(久世星佳、土居裕子)が現れ、3人が歌い出す。それは涙の歌だ。
「誰のために泣いているの?」――。
どうやら彼女たちは自分が何者かわからない様子。「あなたは誰?」と言い合っていると、突如、そこはアリスのワンダーランドになっていた。ここで度肝を抜かれたのが、三田和代演じる老女のアリスだ。どうやらこのアリス、夢から覚めないうちに不思議の国で100年も生きてしまったらしい。よほど思索にふけったのだろうか。彼女の放つ言葉がどれも真理を突いているように思えるのが面白い。そこに少女のアリス(これが初舞台の屋比久知奈)が現れ、いつしか現実の世界へ。
渡辺えりが作・演出を務め、80年代から小劇場界を牽引してきたオフィス3○○が、(前身の劇団3○○から数え)創立40周年を迎えます。
記念公演となる『肉の海』はが本日・6月7日(木)より開幕。
その舞台稽古を取材しましたので、速報でお届けします!
物語は芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した純文学の新鋭・上田岳弘の最新作『塔と重力』が原作。『塔と重力』は阪神大震災を経験し、倒潰したホテルから生還したものの恋人の "美希子" を亡くした男性が主人公。20年後、美希子の記憶を抱いたまま生きる主人公が、Facebook上で再会した友人から「あること」を持ちかけられるが...という物語。
この『塔と重力』のストーリーをメインモチーフに、渡辺えりがほかの上田作品や、『不思議の国のアリス』など様々な要素を盛り込んで再構築、深いテーマ性や軽やかな笑いが入り混じったエネルギッシュな舞台になっています。
そして劇団創立40周年に相応しく、豪華な顔ぶれにも注目です!
▽ もちろんこの方、渡辺えりさんも出演!
▽ 渡辺えりさん、久世星佳さん、土居裕子さん
"超音楽劇"ですから、音楽も盛りだくさん。
皆さんの歌声、素敵です。
4月28日(土)、新宿・シアターサンモールにて、ミュージカル「しゃばけ」参〜ねこのばば〜が開幕しました。 原作は畠中 恵氏の大人気時代小説『しゃばけ』(新潮文庫刊)。シリーズ15周年を記念し、2017年1月にシリーズ1作目をミュージカル化。原作の世界観を歌とダンスで見事に表現し、同年9月にはミュージカル「しゃばけ」弐 ~空のビードロ・畳紙~を上演しました。
今回上演されるのは、ミュージカルシリーズ3作目となる【ミュージカル「しゃばけ」参〜ねこのばば〜】。開幕に先駆け行われた、公開ゲネプロとマスコミ向けのフォトセッションと挨拶には、一太郎(若だんな) 役 植田圭輔、仁吉 役 中村誠治郎、屏風のぞき役 藤原祐規、守狐役 福井将太、秋英役 法月康平、寛朝役 石坂 勇、また日替わりでゲストが演じるねこまた役 廣野凌大(4/28に出演)が登壇し、それぞれ意気込みを語りました。
廣野:「僕は日替りのねこまたを演じるのですが、この役は演出の浅井さんに「好きにしていいよ」と言われているので、のびのびと演じています。日替りということで僕以外の俳優さんのねこまたも毎日毎回、刺激が強過ぎるくらいに違ったものになると思います。ねこまたという役柄がアクセントになってお客様に楽しんでいただければと思います。先輩の方々に助けられながら明日の初日精一杯挑みます」
福井:「ミュージカル「しゃばけ」シリーズは今回で3作目で、僕は初演から出させていただいていますが、今までの作品の中で1番ダンサブルでショー的な要素が強いものになっています。先ほど、廣野さんのお話にもありましたが、日替りゲストの玉千代、女性の場合はおたまという猫またが登場するんですが、その部分で毎公演毎公演さらに楽しんでいただければと思います」
法月:「僕は、ミュージカル「しゃばけ」シリーズ、初参加となりますが「しゃばけ」のほっこりした世界観の中に、今回少しピリッとした、お芝居で見せるような、秋英を作っている最中です。最後までキャラクターを追求しながら、みんなで怪我のないように作っていきます。」
石坂:「僕も「しゃばけ」には、初参加となりますので、お客様に「あの年寄りいらなかったんじゃないの?」と言われないように精一杯頑張ります(笑)。役者にできることは、スタッフの皆さんと共に稽古場で作り上げて来ましたので、あとはお客様に劇場にお越しいただいて、ミュージカル「しゃばけ」参〜ねこのばば〜が完成すると思っております。ぜひ劇場にお越しください」
藤原:「僕も福井さんと同様、シリーズ3作品全てに出演しているんですが、前作では、一太郎と仁吉がいなかったので、今回初演よりも一太郎と仁吉のことがよりわかったことが新鮮でした。それがとても嬉しくて「しゃばけ」の世界もより深まったんじゃないかと思っています。新キャラクターたちも独特な新しい風を吹かせてくれています。法月が先ほど「ピリッとさせる」と言っていましたが、僕ら(屏風のぞきと守狐)はふんわりさせることを目標に物語に華を添えられたらいいなと思っています」
中村:「今回は佐助がいないので、佐助の分まで、英治さんの分まで...佐助のコミカルさだったりを佐助がいない分、二人分を仁吉一人で表現して、(植田)圭輔を支えていきたいと思います。何よりもお客様に1番楽しんでもらえるような舞台を全身全霊を込めて作りたいと思います」
植田:「ミュージカル「しゃばけ」がいよいよ第3弾まで来まして、全作に出演してくださっている皆さん、そして初演から戻って来た私たち(一太郎と仁吉)、今回から参加する皆さんがいる中で、また胸を張って「素敵なしゃばけです!」と言えるような作品になって帰ってこれたことを本当に嬉しく思っています。ただ作中に「大切なものや綺麗なものを独り占めしたいという気持ちがいつかすすけてしまわないように」という台詞があるんですけれども、お芝居が好きでこの作品が好きでという気持ちが私欲にならないように、あくまで演劇としてお越しくださるお客様に届けるものであるということを、しっかりと自覚して今までこの作品を紡いできてくれた人たちの想いを汲んで、「しゃばけ」を皆様にお届けできたらなと思います。それから、今回は初めての大阪公演もありますので、大阪の皆様にも届けられるように東京で素敵なスタートを切って精進してまいります」
妖封じで有名な寛朝和尚(石坂 勇)に捕まってしまった猫を助けるために広徳寺に訪れた一太郎(植田圭輔)。そこで僧侶の死体を発見し、寺の人間が下手人だと考えた一太郎は仁吉(中村誠治郎)をはじめとする妖たちと共に事件の謎を追い始める......というミステリアスな事件を軽快な歌とダンスを交じえて解決する演出は、ミュージカル「しゃばけ」ならでは。歌もダンスもさらにパワーアップした今作、東京公演は5月6日(日)までシアターサンモールにて。大阪公演は5月19日(土)、20日(日)大阪ビジネスパーク円形ホールにて。
©2001 畠中恵/新潮社 ©2018 CLIE
カメラマン:鏡田 伸幸
■ミュージカル『1789』2018年版特集vol.5■
ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』が現在、帝国劇場で上演中。その公演レポートをお届けします!
【公演レポート】
フランス革命に材をとったミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』が現在、東京・帝国劇場で上演中だ。2012年にフランスで初演、日本では宝塚歌劇団での上演を経て2016年に装いも新たに帝国劇場で上演されたもの。今回はその、好評を博した帝国劇場版の再演だ。キャストも大半が初演からの続投で、さらに一層熱気の高まったステージを魅せている。主人公ロナン、その恋人オランプ、王妃マリー・アントワネットの主要3役がダブルキャスト。それぞれを観た感想を記す。
物語は、18世紀末のパリが舞台。財政は破綻し、搾取される民衆は疲弊しているが、貴族たちは贅沢三昧。民衆たちの不満は高まっている。そんな中、税金滞納を理由に父を貴族に殺された農夫ロナンは、革命運動を牽引しているデムーラン、ロベスピエール、ダントンらと出会い、革命へ身を投じていく。ある日、王妃マリー・アントワネットと、その恋人フェルゼン伯の逢引きに遭遇してしまったロナン。侍女オランプの機転で王妃はその場を逃れるも、ロナンは誤解からバスティーユ監獄に投獄されてしまう。その事件をきっかけにロナンは自身も知らないうちに王室のスキャンダルに深く関り、一方でオランプと次第に惹かれあっていく...。若者たちが"人間が生きることの意味"を問い、より良い世界の実現を目指していく熱い戦いを縦軸に、様々な階層の恋人たちのままならぬ恋を横軸に絡めたドラマチックなストーリーが、ノリの良いロック・ミュージックに乗って描かれていく。
主人公ロナンをダブルキャストで演じる小池徹平、加藤和樹をはじめ、メインキャストは30代前半の俳優が中心。ミュージカルの殿堂・帝国劇場で上演される作品としては異色の、若いカンパニーだ。その若さゆえの思い切りの良さ、ひたむきな熱さが作品中に溢れ、2016年の初演でも"若いパワー"が巻き起こす熱狂が伝わった本作。今回の再演でも初演同様の熱さがほとばしっている。が、若いということは成長も早いということ。ロナン役の小池と加藤がともに、ひとまわりもふたまわりもその存在感を増し作品をどっしりと支えるとともに、他のキャストもそれぞれ成長を感じさせる充実のパフォーマンスを見せ、作品をさらに輝かせた。
▽ 小池徹平