劇団四季『恋におちたシェイクスピア』が6月22日、東京・自由劇場で開幕した。四季がストレートプレイを新作上演するのは、2006年初演の『鹿鳴館』以来12年ぶり。
物語は、芝居文化が花開くエリザベス朝の時代のイギリスを舞台に、台本執筆に行き詰っている若き劇作家ウィル(シェイクスピア)と演劇を愛する貴族の令嬢ヴァイオラの恋と、演劇を愛する人々の情熱を描くもの。婚約者のいるヴァイオラへウィルが抱く道ならぬ恋から名作『ロミオとジュリエット』が生まれていく過程や、女性が舞台にあがることを禁じていた時代に男装して舞台に立つヴァイオラに彼女の男装に気付かないウィル...といった、シェイクスピアの戯曲を想起させる要素をテンポよく盛り込んだ戯曲を、時に可笑しく、時に切なく、劇団四季らしい上品な舞台に仕上げた。
2018年6月アーカイブ
太宰治、没後70年。
彼の生い立ちから自殺までを描く舞台『グッド・バイ』が、太宰の誕生日であり命日である桜桃忌(6月19日)に劇場入りし、6月21日に開幕しました。
池下重大が主人公「田島周二」を、大空ゆうひがヒロインの「永井キヌ子」と「津島修治」の2役を演じます。
その他、キャラメルボックスの原田樹里、永楠あゆ美、野本ほたる、飛鳥凛らなど多彩な顔ぶれが出演し、脚本・演出は、悪い芝居の山崎彬が手掛けています。
初日を終えた出演者と山崎さんからコメントが到着しました!
★池下重大さん
パンフレットの鼎談で、大空ゆうひさんが今回の芝居のことを、音楽のライブをやるような感覚だと言っていましたが、初日を終えて、完全に同意します。最初の音を出したなら、あとは休憩を含めた2時間20分を一気に駆け抜ける。
これからの毎ステージが楽しみです。何が出るやら。
★大空ゆうひさん
一度舞台に上がったら何が起こるかわからない、まさに音楽のセッションのようなライブ感を感じています。
毎日、不安を抱えたまま、敢えて舞台に飛び出したい。
いい意味で地に足をつけないで無重力空間を楽しみたいです。その先に奇跡が、グッドバイがあると信じて!
☆山崎彬さん(脚本・演出)
出逢いと別れ。生と死。幸と不幸。作家・太宰治と人間・津島修治。
太宰治未完の遺作『グッド・バイ』を元に彼の生き様を描こうとしたら、結果的に太宰作品をたくさん散りばめたような舞台になりました。
没後70年の節目に、この芝居をこの座組で打てることに運命的なものをちょっぴり感じながら、毎日「グッド・バイ」し続けます。
「グッド・バイ」するにはまず出会わなきゃいけない。ぜひ劇場まで会いにきてください。
舞台写真(撮影:交泰)
しりあがり寿の漫画を原作とした舞台第3弾「おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』三重(みえ)」が東京・東京ドームシティ シアターGロッソで6月24日(日)まで上演中です。開幕に先駆け行われた公開ゲネプロに潜入してきました!
2016年1月の第1弾、同年5月のテレビ版、2017年6月の第2弾に続いての第3弾となる本作は、川尻恵太(SUGARBOY)が脚本・演出を務め、歌あり踊りあり笑いありで、あの奇想天外な世界観を再現した人気舞台シリーズ。弥次さん(弥次郎兵衛)は唐橋充、喜多さん(喜多八)は藤原祐規が、初演から演じています。
今作は、W主演のふたりに加え、田代哲哉、松本寛也が引き続き出演し、新キャストとして、佐藤祐吾、芹沢尚哉、深澤大河、大海将一郎、岩義人、コロ(ピヨピヨレボリューション)、湯澤幸一郎という個性豊か&濃厚な顔ぶれです! また、日替わりゲストとして、松村龍之介、納谷健、廣野凌大、伊崎龍次郎、阿澄佳奈が出演します(※スケジュールはこちら→https://www.clie.asia/on_yajikita/)。
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今作も、相変わらず薄っぺらな江戸の町から"リヤル"を求め、お伊勢さんへの旅を続ける弥次さん喜多さんの物語。「シーサイド・イン」など原作エピソードにオリジナルエピソードも加え、恋人同士の弥次さんと喜多さんを中心に、さまざまなエピソードがカオスな世界の中で描かれます。主演のおふたり以外は、一人何役も演じるのがこのシリーズの特色。日替わりゲストも複数役演じますので、ぜひ期待していてください!
また、今回は過去シリーズ最多の楽曲数。メタル、タンゴ、バラード、J-POPなどなど、いろんなテイストの楽曲が独特の色彩を放ちます。
宝塚歌劇月組 TBS赤坂ACTシアター公演 ミュージカル『雨に唄えば SINGIN'IN THE RAIN』が6月16日に開幕した。初日に先立ち15日には通し舞台稽古が報道陣に公開され、主役のドン・ロックウッド役の珠城りょう、ドンの親友であるコズモ・ブラウン役の美弥るりかが取材に応えた。
1952年にジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズの出演で製作され大ヒットしたMGM映画をもとに舞台化されたミュージカル。サイレント映画からトーキー映画に移る時代を描いたコメディで、『Make 'Em Laugh』『Good Morning』など、誰もがどこかで一度は耳にしたことがあるはずの劇中歌に彩られている。中でも主人公のドンが土砂降りの雨のなか歌い踊るタイトルナンバー『Singin' in the Rain』は特に有名だ。
宝塚歌劇団では本作をこれまでに2003年に安蘭けい、2008年に大和悠河主演で上演したが、今回、10年ぶりに月組トップスター・珠城りょう主演で上演。2016年の珠城のトップ就任以降、友人・仲間といった役どころでともに舞台を作り上げてきた珠城と美弥が今回も息のあった芝居で作品の軸を担い、ほかのキャストもイキイキと楽しげに1927年のハリウッド黄金時代の人々を演じている。もちろん今回も「土砂降りのなかでのタップダンス」は見どころで、珠城も「実際に水を浴びてみると、本当に気持ちもどんどん高揚していく。この作品を通して、雨もキライじゃないな、と思えるようになった」と笑顔でコメント。色褪せない名作が、月組のフレッシュなパワーで新鮮に輝いた。
以下、珠城と美弥の囲み取材の模様をレポートする。
◆ 珠城りょう&美弥るりか 囲み取材レポート ◆
――まずはひと言ずつご挨拶を。
珠城「なんとか無事に舞台稽古を終えてほっとしています。とてもやることが多い作品で、ちょっとバタバタしてはいますが、自分自身もやっていて楽しいですし、お客さまにもきっとハッピーになって劇場をあとにしていただけるような作品になるのではないかなと思います」
▽ 珠城りょう
楽しそうなこの笑顔!珠城さん、囲み取材中、終始笑顔でした。
美弥「お客さまには気楽に楽しく観ていただきたいなと思うのですが、裏はけっこうバタバタしています(笑)。観客として観ていたときには、こんなに大変だとは思っておらず、いま改めて大変さを実感しています。梅雨の季節ではありますが、皆さまに雨が好きになっていただけるような素敵な作品になるよう、りょうちゃんを中心に、みんなで頑張っていきたいと思います」
▽ 美弥るりか
通し稽古後の囲み取材には初登場だった美弥さん。最初の挨拶はトップさんだけと思ったのか、「ご挨拶を」と振られ「あ、私もなんだ...そうなんだ...」と小さく呟いていたのがチャーミングでした
あの宝塚歌劇団に"男子部"が存在していた――。
意外な実話をもとに2007年に初演、2008年、2010年、2013年と再演を重ねた『宝塚BOYS』が5年ぶりに上演されます。
終戦直後の1945年に特設され、"明日の宝塚スター" を夢みてレッスンを重ねた宝塚男子部の面々。しかし彼らは宝塚大劇場の舞台に一度も立つことがなく、9年後、解散。
女性が男性を演じてこそのタカラヅカ、に挑んだ彼らの青春は、ちょっと可笑しく、ほろ苦く、熱く、切ない......。
5代目BOYSは2チーム制で登場します!!
○team SEA
良知真次、藤岡正明、上山竜治、木内健人、百名ヒロキ、石井一彰、東山義久
○team SKY
永田崇人、溝口琢矢、塩田康平、富田健太郎、山口大地、川原一馬、中塚皓平
さらに両チーム共通で愛華みれ、山西惇が加わり、2018年版『宝塚BOYS』が始動します。
【『宝塚BOYS』バックナンバー】
・2008年版稽古場会見
・2010年版開幕レポート
・2013年版
# 稽古場レポート
# 開幕レポート
今回、team SEAに出演する良知真次さん、藤岡正明さんにお話を伺ってきました。
良知さんは2013年、藤岡さんは2010年にも出演したBOYS経験者。
同じ「竹内重雄」役を演じたふたりが、今回は同じチームになっていますが...?
★★ 良知真次 & 藤岡正明 INTERVIEW ★★
● 『宝塚BOYS』は「本当に尊い思い出」
―― おふたりとも2回目の『宝塚BOYS』ですね。前回出演した時の思い出を教えてください。
藤岡「もうね、思い出がありすぎて。事件もたくさんありました(笑)。体力的にも精神的にもタフでハードな作品ですし、夏の公演だったから、そういった意味でも疲弊していくんですよ。でもその感じも含めて『宝塚BOYS』だなって思う。やっぱり "夏" なんですよね。夏の青春の1ページ。なんかもう、部活みたいな感じです。僕らの時は兵庫公演があったんですが、移動の新幹線もわざわざみんなでギュッと固まって座って、座席を回転させて、遠足みたいな状態(笑)。名古屋で一瞬停車するあいだに、じゃんけんで負けたヤツがキオスクで名古屋土産を買ってくる、とか(笑)。まぁ、負けたのは俺で、しかも買ったのが八ッ橋で、みんなに「名古屋じゃないじゃん!」って言われたのですが(笑)。そういうこと全部が、修学旅行みたいで。本当にみんなと離れたくなかったし、それはあの作品の力と、出会えたメンバーの力なんだろうなと思っています。ただただ、本当に尊い思い出。当時を思い出すと、そこにいたのが竹内なのか、自分なのか、ちょっとわからないくらいです」
良知「本当に夏にぴったりの作品だと思います。作品的にもすごく熱いので、季節を考えたら夏ですよね。僕ら同い年なんですが、もう忘れた青春時代をまた思い出して、新たに作れるってなかなか出来ないこと。しかもお互い年を重ねた今回、また青春を過ごすことが出来るのは本当に奇跡だと思います。その奇跡を起こそうと思って起こせなかった――夢を叶えられなかった人たちの話なので、僕たちも命をかけてやらなければいけないな、と毎回思います」
▽ 良知真次
―― 前回の出演から今までのあいだ、様々な経験をされてきたと思いますが、改めてこの作品に向き合って作品に対する思いの変化などはありましたか?
藤岡「僕は作品に対しての思いの変化はあまりないです。ずーっと、ただただこの作品が好きだと思っている。ほかの作品であれば「あの頃はああだったな、今やるならこう出来るかな」と思うこともあるかもしれませんが、『宝塚BOYS』はまた出演できるなんて思っていなかったし、いちファンとして、作品がずっと残ってくれたらいいなと、この作品を愛してきました。逆に言えば、今回まさかまた出来ることになるとは思っておらずビックリしているので、これから何が出来るかなということを考えていきたいです」
▽ 藤岡正明
良知「僕は、そうですね...。あまり前回の記憶がないんですが...」
藤岡「あまり好きじゃなかったの!?」
良知「いや(笑)、いい意味で、好きも嫌いも結構忘れてしまうんですよね、僕。だからこそ前のことを引きずらずに次に進めるのかなって勝手に思っているんですが。でも色々な体験、経験があるからこそ、違う形で今回また作品に挑むことが出来る。そうじゃなかったら、違うキャストがいても、自分は同じことをやろうと思っちゃいますよ。でも今回はメンバーも変わり、全然違うカンパニーになるので、伝えたいメッセージも変わってくると思う。そういったものを、新しいメンバーと探っていきたいなと思います」
藤岡「良知、良いこと言うなぁ! 本当にその通りだよね。でも良知はこの間で、宝塚の振付をやったわけじゃん」
良知「そうね、それはやっぱりひとつ大きな経験としてあります。宝塚の稽古場に入った時に「ここかぁ!」と思いました。『宝塚BOYS』も、稽古場に入るところから物語が始まるので。凄いところに来たな、と思いましたし、その「凄いところに来た」という感覚を、いかにリアルに伝えられるかということを、今回は目指したいと思います」
※良知は2017年月組公演『瑠璃色の刻』でフィナーレナンバーの振付を手掛けた。
舞台「魔界転生」製作発表 フォトセッションより
上川隆也、溝端淳平らが出演する舞台『魔界転生』の製作発表が行われた。
『魔界転生』は、1967年(昭和42年)に『おぼろ忍法帖』として単行本化された、山田風太郎の人気伝奇小説で、壮大なスケール、雄大な歴史ロマン、そして、奇抜かつ摩訶不思議な展開、時空を超えたアクション・エンターテインメントの最高傑作と云われる作品。
本作が、2014年に舞台「真田十勇士」を手掛けたマキノノゾミの脚本、映画監督・堤幸彦の演出のコンビで舞台化される。
主人公・柳生十兵衛役は上川隆也、天草四郎役は溝端淳平、柳生但馬守宗矩役は松平健。
さらに、高岡早紀、藤本隆宏、山口馬木也、浅野ゆう子といったベテラン陣に加え、村井良大、松田凌、玉城裕規、木村達成、猪塚健太らが出演する。
ド派手なアクション、変幻自在なフライング、プロジェクションマッピングを駆使し、実力と個性が冴え渡った華のあるキャストでスペクタクル時代劇の決定版『魔界転生』に挑む。
本作の製作発表会見が行われ、脚本のマキノノゾミ、演出の堤幸彦、出演の上川隆也、溝端淳平、高岡早紀、村井良大、松田凌、玉城裕規、木村達成、猪塚健太、栗山航、丸山敦史、山口馬木也、藤本隆宏、浅野ゆう子、松平健が登壇した。
動画は各人の挨拶部分を抜粋した。【動画14分】
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
伊坂幸太郎の小説が原作の舞台『死神の精度 ~7 Days Judgement』が8月から9月にかけて、東京、岡山、愛知、兵庫、山形、宮城、岩手で上演されます。
この作品は、2009年に伊坂作品が初めて舞台化された『7Days Judgement ─死神の精度─』の再演。ターゲットの死を7日間で見定めて「可」か「見送り」かジャッジする死神と、任侠の男・藤田、藤田を慕うヤクザ阿久津が出会い、運命が転がるさまを描いたストーリーで、死神・千葉を萩原聖人さん、ターゲット・藤田をラサール石井さん、阿久津を植田圭輔さん、藤田と敵対するヤクザ栗田など複数役を細見大輔さんが演じます。脚本・演出は、初演に続き和田憲明氏が務めます。
そのビジュアル撮影の現場で、萩原聖人さんと細見大輔さんにお話をうかがいました。この日が初対面のおふたりの変化球だらけの対談、ぜひご覧ください!
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和田さんとの再会に運命を感じます(萩原)
――出演が決まっていかがですか?
萩原 (脚本・演出の)和田憲明さんとやるのが約四半世紀ぶりなんですよ。
――「演劇集団 アーリータイムリーズ」公演の『アーリータイムブルース 〜母なる夜に抱かれて~』(1991年/作・演出:和田憲明)と『クローズ・ユア・アイズ 〜ライカでグッドバイ〜』(1992年/作・演出:和田憲明)以来ですね。
萩原 そうです。なので敢えて先に言うと...不安と期待でいっぱいです。
――不安と期待。前回はどうだったか覚えていますか?
萩原 僕はものをつくるときとか何かを教えるときは、やさしさは人をダメにするという持論があるので、当時厳しいと評判の憲明さんの演出は、とても良い経験をさせて頂いたと思います。でも、僕は当時すごく稽古嫌いで(笑)。本番は好きなんですけど、稽古に行くのは嫌でした。今はそんなことないんですけどね。ただもうお互いいい歳になって、残された時間も限られてきたので。そういう意味ではものすごく運命を感じます。
――この再会に?
萩原 はい。お互い避けていたわけでもないですが、なんか縁がなかった。でもそのときやってた仲間たちは憲明さんとその後もやってたので、今は「がんばるぞ」って気持ちです。
――ちなみに稽古嫌いじゃなくなったのはどうしてですか?
萩原 いや今も稽古はあまり好きじゃないですよ(笑)。前は感覚で(芝居の)答えを出していて、それが評価として「正解」とされることが多かったので、それでいいと思っていて。でも今は稽古で悩んだり苦しんだりするのを体験する回数が多ければ多いほど、発見も多いと思うようになりました。
――細見さんはいかがですか?
細見 去年、お話をいただいたのですが、実は僕、憲明さんの作品を一度も観たことがなくて。それで、直接お話させていただいたんですよ。ただそのとき、僕が役者として曲がり角に立っていて、ちょっと後ろ向きな時期だったんですね。なのでお話してるときも若干後ろ向きな感じというか(笑)、マイナス思考な会話をしたんですけど、そのあと「決定しました」って聞いて。腹をくくりました。
――細見さんは舞台も少し久しぶりですよね。
細見 この作品の前に一作やるんですけど、去年の夏ぶりです。なので今はちょっと不安が大きいですね。
――楽しみもありますか?
細見 もちろん、楽しみでもありますよ。楽しみで、もうこれが最後でもいいかなって気持ちもあるくらい。それくらいのものになってほしいなって思ってます。
足元は必死で漕いで、上は涼やかにやりたい(細見)
――皆さん初対面ですか?
萩原 そうですね。
細見 僕は(ラサール)石井さんとは以前ご一緒したことがあるのですが、萩原さんと植田(圭輔)くんは初です。植田くんは何歳くらいなんですか?
――28歳です。
細見 ええ! 見た目はもっと若いですよね!
――(笑)。伊坂幸太郎の『死神の精度』という作品をやるというのはどう感じましたか?
細見 僕は以前、他の伊坂作品をやらせてもらったことがあるのですが、伊坂さんの作品って、ご自身の思っていることがストレートに台詞に出ていたりするんですよ。だから作品は違ってもどこか共通するものがあって。そういう世界観が素敵だなと思います。
――演じるうえではどうですか?
細見 難しいなと感じます。ファンも多いですからね。特に『死神の精度』は映像もありますし、どう違った面を出せるかなっていうのは素直に思ってます。
萩原 僕はどちらかというと苦手な世界観なんですよ。でも、それをやるのが楽しい。
――どういうところが苦手なんですか?
萩原 ファンタジックなところかな。だからやってみたいなと思いましたね。
――その中でご自身の死神・千葉の役はどうでしたか?
萩原 よく喋るな、と。
細見 (笑)
萩原 世の中の事、知らない割によくしゃべるなあ!と(笑)。独り言も多いし。
――人間ではない役ですが、そこはどうですか?
萩原 でも「常識を知らないだけ」という感じですよね。大体、「人間の感覚」っていうのもあやしいものですよ。人間の感覚がない人、いっぱいいますからね。だからそこは僕なりのピュアさというか、それは表現っていうところになると思うんですけど、「そんなの知らないとか嘘だろ」って見えちゃった時点でダメなので。そこはこれからいっぱい悩むと思うし、そういうことに関して、とても厳しい演出家だと思いますから......50前にして心が折れるかもしれません。でも折れても再生すればいいだけなので。
――細見さんは今回、複数役を演じられそうですね。
細見 そうなんです。実は今、それに気づいて(笑)。でも大丈夫。早替えも複数役やるのも慣れてますから!
――ラサール石井さん演じる藤田と敵対するヤクザや、死神・千葉の仲間だったり、どの役もカッコいいですよね。
細見 そうですね。でもまだ全然想像つかないですけど(笑)。足元は必死で漕いで、上は涼やかに、白鳥のようにやりたいです。死神同士もほぼ掛け合いになりそうですね。
萩原 そうだよね。ほとんど会話劇だから。
迷ったら来なきゃダメ(萩原)
――2009年に初演して、9年後の今やることは何か感じますか?
萩原 そこは全然考えてないです。メッセージ的なものは受け取る側の感覚なので。僕らは一生懸命芝居するしかないですからね。
――作品が終わったときに何か残ったりするんですか?
萩原 終わったときは「あーよかった!終わった!」しかないですよ。ただ、26年前に憲明さんとやったときも「あーよかった!終わった!」と思ったけども、今こうやって再会したときには「あれは何かにはなってるんだろうな」と思ったりはします。
――今回、萩原さんは久しぶりに和田さんとやるというのが大きいんですね。
萩原 そうですね、自分の中では。もちろん作品の魅力もありますけど、久しぶりに憲明さんと会って、自分がどうなるのかを知りたいので。
――細見さんとして大きいのは、久しぶりの舞台ですか?
細見 うん、そうですね。でも男4人っていうのは単純に楽しみですよ。別に女の人が嫌いなわけじゃないですけど(笑)、やっぱり男だけの芝居って楽しくて好きなんですよ。
――では最後に、読者の方に押しの一言をお願いしたいです。
細見 この作品は舞台上で毎回何かしら事件が起こりそうなので、それは見逃さないほうがいいと思います。
萩原 でもさ、「来るな」って言っても来る人は来てくれるし、「来い」って言っても来ない人は来ませんからね。
一同 (笑)
――迷ってる人はどうですか?
萩原 そりゃ、迷ったら来なきゃダメです。観ないで後悔するよりは観て後悔するほうがいいですから。
細見 その通り!
萩原 (細見との)共通の見解としては、多分「やらないで後悔するよりはやって後悔するほうがいい」ですよね。
細見 ははは!
萩原 でも夏に男4人芝居って最悪じゃないですか。
――そんなことないですよ(笑)。
萩原 それを観に来てほしいです!
細見 そうだ、男の人にも観に来てほしいですね。芝居を観たことないような人にも来てほしい。AKB48劇場と同じくらいの熱量はあると思いますから!
公演は8月30日(木)から9月9日(日)まで東京・あうるすぽっとにて上演後、岡山、愛知、兵庫、山形、宮城、岩手を巡演。
歌舞伎の舞台を映画館で楽しめるシネマ歌舞伎の最新作は、2017年8月に東京・歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」で上演された『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』が早くも登場!
6月9日より、全国の映画館で絶賛上映中です。
十返舎一九の滑稽本『東海道中膝栗毛』といえば、おなじみ、弥次郎兵衛と喜多八(やじさん、きたさん)がお伊勢参りの途中で騒動を引き起こす、珍道中が人気のお話。
その「弥次喜多もの」を、松本幸四郎(当時は市川染五郎)と市川猿之助が新たな物語として構築。2016年8月に上演した『東海道中膝栗毛』は、アメリカ・ラスベガスにも行ってしまうという、奇想天外な展開で大当たりをとりました。
その続編ともいうべき"歌舞伎座捕物帖"は、やじさんときたさんが歌舞伎座で起こった殺人事件に巻き込まれるというミステリー仕立ての物語。
上演時は、結末をお客様の拍手で当日決めるスリリングな演出や、テレビの人気キャラがらみの小ネタも満載で、前回以上にパワーアップした舞台で観客を魅了しました。
6月17日の「父の日」、『歌舞伎座捕物帖』の公開を記念して、幸四郎の息子・染五郎と、市川中車(香川照之)の息子・團子が舞台挨拶に登場しました。
染五郎は、父・幸四郎について尋ねられると「変」と一言。「ポテトチップスは野菜と言って食べていたり、変なところは数えきれないほどあります」と。続いて團子は「洗面所やリビング、台所にも昆虫の本があって、そればっかり見ています」とそれぞれの父の印象を語り、客席を笑わせました。
▼染五郎
▼團子
また、本作での父との共演についてそれぞれ次のように話しました。
團子「今まで実際にその場にいて共演するってことが初めてでした。実際に芝居をしているところを見て、遅くから(歌舞伎の世界に入って)頑張っていてすごいなと思いました」
染五郎「父は挑戦という言葉が似合う。高麗屋は代々、挑戦する家なのでそれを受け継いでいてすごいなと思います」
ふぉ~ゆ~の福田悠太、越岡裕貴、辰巳雄大、松崎祐介が主演する舞台『年中無休!』が、7月から8月にかけて東京、大阪、神奈川、愛知で上演されます。劇中にはアカペラなどのパフォーマンスも満載!その歌稽古にお邪魔しました!
『年中無休!』は、東京・北千住の古道具屋が舞台。1987年から2002年まで活動していた劇団カクスコが92年に初演した作品です。当時人気を博したこの作品を登米裕一が脚色し、ウォーリー木下が演出。出演者には、ふぉ~ゆ~のメンバーに加え、当時の空気を知る大高洋夫、八十田勇一が名を連ねます。
実はこの日の歌稽古、福田悠太は初参加。5月末〜6月末に本番の舞台『DAY ZERO』の稽古などでこれまで参加できていなかったため、楽譜を片手に緊張気味です。曲は出演者全員によるアカペラ「A LOVERS QUESTION」。
八十田勇一さんの第一声でスタート。八十田さん、大高洋夫さんの刻むビートに、辰巳さんのメインメロディが高音で伸びやかに響きます。楽しそう!
初参加の福田さんは、楽譜片手にピアノのそばで懸命に音を聞き取ろうとします。歌唱指導の宗田良一さんからは「初めてなのにいい感じ!」と応援。
越岡さん、真剣な表情で自分の音を丁寧に確かめています。真剣な表情。
松崎さんは、曲のかなめとなるところで低音をきかせる、オイシイ役どころ。しかしそのリズムをとるのがとても難しい!何回繰り返してもうまくいかず、自信を無くしかけた時に、宗田さんから「決まったらカッコイーから大丈夫!」と明るい励ましが飛びます。「よし、思い切ってやろう!」と気合いを入れる松崎さん。ついに低音をバッチリと決めました。
1時間ほどで、同じ曲を15回近く繰り返します。
最初は探り探りだった音合わせも、少しずつまとまって、大きな曲のうねりになっていきます。中でものびのびと歌っていた辰巳さん。松崎さんによると「(辰巳と)2人で5時間、歌稽古したこともあるよね!?」とのこと。越岡さんは「一回歌稽古に参加しないと、置いていかれてるのがわかる」と。だからさっき真剣な表情で、みんなの音を聞き取ろうとしていたんですね。
アカペラ以外にもパフォーマンスはあるそうで、「今はウォーリーさんとどんなことやろうかと考えているところ」(辰巳)。いったい舞台になるのでしょう...!?
稽古終わりの4人に、作品についていろいろと聞いてみました。
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役柄は、北千住の古道具屋で働く同僚たちです。
4人主演の舞台、配役はみなさんそれぞれのキャラクターに近いのでしょうか?
辰巳「打ち合わせの後にウォーリーさんが「一緒にご飯を食べにいきましょう」と誘ってくださって。その時に「誰がどの役だか見えた」そうです」
福田「これまで4人で出た舞台はどれもふぉ〜ゆ〜っぽいし、やる前もやっている時もやった後もよかったなーって思うんです。また今回も僕たちに合いそうな作品に出会うことができました。僕たちに何ができるかという可能性が表現できるし、公演が終わって自分たちがどんな変化をしているか楽しみです。カクスコさんを観たことがない方にも「面白かった」と思ってもらえるようにしたいですね」
辰巳「もちろん、カクスコさんのファンにも楽しんでいただきたい!」
松崎「今までふぉ〜ゆ〜で出演した舞台とはまた違うから、挑戦だよね。力を入れすぎなくていいかなと思っています。また違った自分が見られそう!」
北千住の古道具屋さんを覗いた気分になりそうです!
松崎「『年中無休!』を観た後、北千住の街中でお茶しながら「今日の舞台はこうだったねー」なんて話して欲しいね」
辰巳「そういえばコッシー、北千住の人に声かけられたんだよね?」
越岡「そう!『滝沢歌舞伎』を観に行った時に60代くらいの女性に話しかけられたんです。「私、北千住に住んでるんですけど、チケットとったから絶対観に行くわ!」ってすごく笑顔で言ってくれて、俺、嬉しくて「観にきてねー!」って答えました。地元の方が観に来てくれる舞台。チラシに写ってるのも地元の人たちなんですよ」
出来上がったばかりのチラシを見て「このチラシすっごく好き!」と盛り上がる4人。「あっ、この人近くの美容院の人だ」「ベトナム料理屋さんのご主人も!」と楽しそう。
福田「すぐ近くの商店街の方々が撮影に来てくれたんだよね」
松崎「地域密着型ジャニーズを目指して(笑)」
辰巳「北千住の親善大使狙ってます!(笑)」
チラシ裏面は、古道具に囲まれた4人が仲良さそうに身を寄せ合いながらも、それぞれ自分の興味がある方向を向いている写真です。
辰巳「裏面もすごく好き。下北沢にあるみたいな"劇団"感があるチラシ!こんな写真を撮るジャニーズは他にはいないでしょう。ふぉ〜ゆ〜でよかったなと思える1枚です!」
公演は、7月26日(木)〜8月6日(月)に舞台となる北千住・シアター1010(センジュ)、9日(木)〜12日(日)大阪・サンケイホールブリーゼ、17日(金)鎌倉芸術館、24日(金)〜26(日)愛知県産業労働センターにて上演されます。
取材・文:河野桃子
特攻隊に志願した四兄弟の姿を描く舞台『大きな虹のあとで~不動四兄弟~』。
芸能事務所・研音の若手俳優の熱演が光り、初演から1年という早さでの再演が実現した。そこで引き続きの登板となる市川知宏と入江甚儀、さらに今回からの参加となる上杉柊平、瀬戸利樹の4人に話を聞いた。