峰倉かずや氏の大人気コミック『最遊記』(一迅社刊行)シリーズが原作のミュージカル『最遊記歌劇伝』待望の最新作『最遊記歌劇伝-異聞-』が2018年9月に上演されます。
初演は2008年の『最遊記歌劇伝-Go to the West-』、2009年には『最遊記歌劇伝-Dead or Alive-』が上演され、2014年に『最遊記歌劇伝-God Child-』、2015年に『最遊記歌劇伝-Burial-』『最遊記歌劇伝-Reload-』と続いてきた舞台の、約3年ぶりの新作。
今回は『最遊記異聞』(一迅社刊行)を原作に、本編から少し遡り、若かりし頃の光明三蔵・峯明の物語を描く。脚本・演出は、『最遊記歌劇伝-God Child-』から手掛ける三浦 香氏。
主人公・峯明を演じ、この作品が舞台初主演となる田村 心さんにお話をうかがいました!
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原作がめちゃくちゃ面白い!
――『最遊記歌劇伝』シリーズ新作に主演が決まっていかがですか?
今回、自分にとって初めての主演ということもあって、決まったときはとても驚きました。歴史ある作品であり、多くのお客さんに愛されている作品なので、プレッシャーみたいなものも感じました。(初演から出演する)唐橋 充さんからもお話を聞いて、『最遊記』シリーズへの熱を受け取ったので、そこはしっかり引き継いでいきたいなと思いました。
――どういう熱でしたか?
「初演のときにこれから何年も続いていく作品だと思った」「だけどどこかでくだけたら続かないと思いながら常にやっていた」とおっしゃっていたので、その想いは僕らも引き継いでいかなきゃなと思いました。気が引き締まる思いですし、それをパワーに変えてやっていきたいです。
――今は原作コミックスを読まれているそうですが、いかがでしたか?
めちゃくちゃ面白いですよ!今まで読んでなかったことを後悔するくらいハマってます。先が気になるのでハイスピードで読み進めています(笑)。
――どういうところが面白いですか?
三蔵一行の絆がいいですよね!普段は言い合いとかしてるのに、戦うときは信頼ゆえの連携プレーがあるところとか...。男心をくすぐられます。キャラクター同士の繋がりも面白くて、展開がめちゃくちゃ気になります。その中で今回の『最遊記異聞』は過去のエピソードで、本編の軸である玄奘三蔵の師、光明三蔵の物語がここから始まってるんですよね。そう思うとより「大事にしなきゃいけないな」と思いました。
――ご自身が演じる峯明はどうでしたか?
いつもニコニコしててマイペースだけど内に秘めた力は強い、そういうギャップが魅力のキャラクターだなという印象です。その二面性みたいなものはしっかり表現したいです。でも驚いたのは、峯明と(未来の姿である)光明三蔵のキャラクターの違い。何があったんだろうっていうくらい変わっていますよね。
――ご自身との共通点や逆に全く違う部分は?
自分としてはそのつもりはないのですが、マイペースと言われることがけっこうあるので、そこはリンクするところかも(笑)。逆に隠れてタバコ吸ったり、賭博やったり...そういう自由人な要素は僕にはないです(笑)。だけど峯明は強いから自由なんだと思うので、その強さをつくることができれば、自ずと自由にできるのかなと考えていて。心に余裕ができてくれば峯明らしさが出ると思うので、余裕ができるように稽古に臨みたいです。
――峯明の未来の姿・光明三蔵として、『最遊記歌劇伝-Burial-』『最遊記歌劇伝-Reload-』で光明三蔵法師を演じた三上 俊さんが出演されますね。
今から楽しみです。光明三蔵の過去のストーリーなのに、光明本人も出るわけですから、どんな演出があるのか。芝居としても三上さんの光明とリンクする部分があると思うので、三上さんを見て勉強させていただきたいと思っています。
初主演に感じる大きな喜び
――今回、初主演というところはいかがですか?
がんばらなきゃいけないです。自分が今まで出演してきた舞台の座長の方々は、皆さん人としても役者としても尊敬できる方ばかりで。僕はまだ実力も経験も及ばないのでその人たちと同じにはなれないですけど、自分なりに見てきたもの、学んできたことを、このカンパニーで出せたらなと思います。
――誰かイメージする人はいたりするんですか?
加藤真央さんと味方良介さんは僕の初舞台の座長だったので、ふたりから学んだことは多いです。そのとき言ってもらった言葉はケータイにメモしていて、今もそれを読んで舞台の本番を迎えたりするくらい。自分にとっては特別な存在で、感謝もしていますし、尊敬もしていますし、憧れでもあります。
――そんな素敵なお手本がいらっしゃるんですね。
そうですね。ただ、だからといって変に気負わず、自分らしくしようとは思っています。時には周りにも甘えたいですし。だけど絶対いいカンパニーにしたいです。
――三浦 香さんの脚本・演出も初めてですよね。
そうです。でも役者仲間から「楽しい現場になると思うよ」とか「いい人だからたくさんお世話になりなさい」と言われたので、今回ご一緒できるのが楽しみで嬉しいです。勉強させていただくことが多くなるのかなと思います。
――歌もありますが、いかがですか?
キャラクターとして歌うのは別の作品で経験して「難しいな」と思っていました。ただ歌うだけではダメですし、そこにキャラクターらしさを乗せて、さらに自分の気持ちも乗せていくという作業は大変なことでした。その学びを今回少しでも活かせたらいいなと思います。峯明らしさや峯明の気持ちがしっかり歌に乗るように心がけていきたいです。
――吸収したことが次の作品に活きるというのはいいですね。
そうですね。役者としてできることや表現が一つひとつ増えていくのは楽しいです。日々勉強ですが、僕にとってはこれがやりたいことですし、自分が選んでやっていることなので。苦しさも大変さもあるけど「楽しい」って思えるようになってきました。
――「なってきた」ということは辛いときもありましたか?
逃げたいときはありましたね。今はチャレンジできる環境があるのも幸せだと感じますし、なにより役をいただけていることが幸せだと思っています。役として表現できる喜びは大きいです。
――「辛い」が「楽しい」に変わった瞬間っていつですか?
僕は役を取れない時期が1年位あったので、その時期があったから役をもらえる喜びを知れたと思います。稽古場での苦しさと、役がもらえない苦しさだったら、もらえないほうが苦しかった。だからがんばれます。
――それじゃあ尚更この初主演は...。
そうなんですよ!だから今は驚きと嬉しさと若干の不安もありつつ...という感じです。
――楽しみにしています!
はい。いいカンパニーにして、いい作品にしていくために、自分も作品と峯明としっかり向き合って、大切にしていきたいです!
公演は9月4日(火)から9日(日)まで東京ドームシティ シアターGロッソにて。
取材・文:中川實穗 撮影:川野結李歌
【原作】峰倉かずや『最遊記異聞』(一迅社刊)
【脚本・演出】三浦 香
【公演日程】2018年 9月4日(火)〜9日(日)【劇場】東京ドームシティ シアターGロッソ
【出演】峯明 役:田村 心、桃醍 役:小沼将太、玄灰 役:深澤大河/青藍 役:古谷大和、道卓 役:前川優希、蝶庵 役:二葉 勇、丸福 役:月岡弘一、抄雲 役:齋藤健心、義兆 役:福井将太、隆善 役:谷戸亮太、待覚法師 役:うじすけ/光明三蔵法師 役:三上 俊、烏哭三蔵法師 役:唐橋 充 [アンサンブル]寿也、田中大地、和久井大城、田頭和樹、松田一希、飯田寅義
【制作】CLIE【製作】最遊記歌劇伝旅社(CLIE・フロンティアワークス)
【公式HP】https://www.clie.asia/saiyukikagekiden/ibun/
【公式Twiiter】@saiyuki_kgkdn【推奨ハッシュタグ】#最遊記歌劇伝
(C)峰倉かずや・一迅社/最遊記歌劇伝旅社 2018