2017年6月アーカイブ

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ぴあニュース

1987年6月17日に帝国劇場で幕を開けたミュージカル『レ・ミゼラブル』日本公演が、6月17日に日本初演30周年記念日を迎えた。"日本初演30周年記念公演"と銘打つ今年の公演だが、6月11日からはスペシャルウィークとして、本編の上演後、歴代キャストが登壇するスペシャルカーテンコールを開催。中でもまさに30歳の誕生日となったこの日は、いわば"超スペシャル版"で、初演のジャン・バルジャン役の鹿賀丈史をはじめ、役150名の歴代・現役キャストが登壇、さらに本作の産みの親であるアラン・ブーブリルとクロード=ミッシェル・シェーンベルクも駆けつけ、この記念日を祝った。

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スペシャル・カーテンコールは、この日登壇した現役・歴代キャスト150名による、1幕ラストのビッグナンバー『ワン・デイ・モア』からスタート。オリジナルキャストである鹿賀が最初のワンコーラスを歌った時点で、客席からはため息と歓声の入り混じったような声が起きる。その後も、次々と新旧のキャストが歌い継ぐと同時に、大スクリーンにその顔が映し出されると、その都度大きな拍手が沸き起こった。『レ・ミゼラブル』は"スターを作るミュージカル"と称されているが、本作でデビューを飾り初演時にアンサンブルとして出演していた藤田朋子、子役として出演していた加藤清史郎らの姿も見える。

初演の初日のステージにも立っていた鹿賀は「今日の舞台を拝見しましたが、初演時の勢いよりもっと元気のいい舞台でした。...が、これもすべて我々が始めたこと(笑)」と茶目っ気たっぷりに挨拶。同じく初演キャストである島田歌穂は「私にとって大きく人生を開いていただいた作品。生涯、感謝し続けます」と話す。2003年からバルジャンを演じていた別所哲也は「僕にとって俳優人生で大切な大切な役であり、作品」と言い、2007年からマリウス役を演じていた山崎育三郎は「僕は『レ・ミゼ』が大好きで、アタマから最後までひとりで歌えるくらい『レ・ミゼ』おたく」と作品愛を語った。

さらに作曲家のシェーンベルク自らが弾くピアノにのせ、バルジャンのナンバー『彼を帰して』を新旧6名のバルジャン役者が歌うパフォーマンスに劇場は大きな感動で包まれ、ラストは誰もが知る名曲『民衆の歌』の大合唱へ。1時間超に及ぶスペシャルなカーテンコールは、熱い熱い拍手の中、幕を下ろした。

終幕後に行われた囲み取材には、歴代バルジャン役の鹿賀、今井清隆、別所哲也、初演キャストである島田歌穂、岩崎宏美、鳳蘭、現バルジャン役の福井晶一、ヤン・ジュンモ、吉原光夫が出席。鹿賀は「あっという間の30年。これだけ大掛かりなミュージカルを日本でやったのは、たぶん『レ・ミゼラブル』が初めてだった。その最初に作った時の気持ちを、初演の時には生まれていなかったような若い人たちが受け継いでくれている。今日は一緒に歌うことが出来て感動しました。非常にいい時間でした」と語っていた。

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公演は7月17日(月・祝)まで帝国劇場にて。福岡・大阪・愛知公演もあり。


ぴあニュースでもお伝えした『レ・ミゼラブル』日本初演30周年記念日スペシャル・カーテンコールの模様ですが、げきぴあではもう少し詳しくお伝えします。

30年の間にのべ2900人の俳優が出演したという『レ・ミゼラブル』。
そのうち、この日のスペシャル・カーテンコールに登場したのは約150名

まずはその、この日登壇した現役キャスト+歴代キャスト総勢150名による『ワン・デイ・モア』からカーテンコールはスタートしました。
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オリジナルキャストである鹿賀丈史(ジャン・バルジャン)が♪今日も...♪と歌いだすと、客席からはため息と歓声の入り混じったような声が。
バルジャン役は、鹿賀丈史今井清隆別所哲也、この日のバルジャン役・福井晶一

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しりあがり寿の奇想天外な世界観を、作・演出の川尻恵太(SUGARBOY)が歌や踊り、笑いの融合で見事に再現し、話題を呼んだ舞台「おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」」(昨年1月上演)。

昨年5月には同じメンバーで、「おん・てぃーびー「真夜中の弥次さん喜多さん」」(TOKYO MX『ブタイモン』内)としてドラマ版も放送され、地上波ながらギリギリを攻める内容に度肝を抜かれる人が続出した人気シリーズです。

その待望の新作舞台、「おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」双(ふたつ)」 6月21日(水)に開幕します!

原作をご存知の方は「舞台化なんて可能なの!?」と必ず思うであろうぶっとんだ世界観ですが、今作は初演以上にディープな世界が描かれそう...!

初演・テレビ版・今作と弥次さんを演じる唐橋 充さん、喜多さんを演じる藤原祐規さん、そして今作からの新キャストである加藤良輔さんにお話をうかがいました。

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――まず、お三方の関係からうかがいたいのですが。

加藤:フッキー(藤原)とはだいぶ長いですよね。
藤原:10年近くだよね。
唐橋:そんなに!
加藤:いろんな舞台で共演してます。

――唐橋さんと加藤さんは初共演だそうですね。

加藤:ちゃんとお会いしたのはこの作品の撮影と今日で2回目ですけど、既に興味津々です!
唐橋:僕は、片手で扇子を持つ芝居でも初日は絶対手が震えちゃうから両手で持つような男だよ?
一同:(笑)。
加藤:そう見えない。いろいろな作品に出られてる方ですし、ものすごくワクワクしています。
藤原:唐橋さんはお芝居の相談を一番する人かもしれない。本番中とかでも間(ま)だったり台詞の言い方を変えてくるんですけど、「今日あれやってたけどなんでなんですか?」って聞くと全部理由があるので。勉強になります。

唐橋:演劇的なことって話すのって恥ずかしいんだけど、これだけ話してて楽しい人(藤原)はいないんですよ。ただ、酔っぱらわないと言わないからね。ちょっと酔わせたりして(笑)。

フッキーさんが「あそこはああだよね」って言い出すと嬉しい、みたいな。

――この作品はどうでしたか?

唐橋:前回、いっぱい話してくれましたよ! だからそういう時間は楽しかったですね。

――そんな作品の続編ですが。

藤原:決まって嬉しかったです。でも同時に「マジか」っていう...。

唐橋:なまじ初演である程度の成果を胸に千秋楽を迎えたっていうのが、今回足枷になるんじゃないかという不安がある。稽古場でブレーキがかかっちゃうんじゃないかって。

藤原:たしかに。

唐橋:しかも台本上がってきたら、『弥次喜多 in DEEP』(漫画『真夜中の弥次さん喜多さん』の続編でより濃い世界が描かれている作品)のエピソードで...。

藤原:キャストと話しても、みんなわけわかってないですよ。

唐橋:理解できない(笑)。でもじゃあ前回の『真夜中の弥次さん喜多さん』はわかってたのかっていうとそうじゃないんですけど。

――初演ではどうされたんですか?

唐橋:わからないけど僕らで勝手に答えを出して「こうですよ」ってやるのは違うと思って。

原作のコマ通り、しりあがり先生の描かれた通りにやるのが一番伝わるはずなんですよね。

すごく多くの方に刺さってる金字塔なわけですから、わからないまま、信じてやる。

今回もきっとそれがいいよねって話をさっきしたんですけど、そう思えてよかったです。怖かったんだから、俺。

――初演、テレビ版を経てもそうなんですね。

藤原:いや怖いですよ。まず台本を読んで全然イメージができないのが怖いし。それにさっき唐橋さんも言ってましたけど、初演とテレビ版をやってなんとなくできた「俺らの"弥次喜多"、こうかも」っていうのをパンってハメちゃっていいのかダメなのか、合うのか合わないのかもわからない。

もしかしたら全く違うかもしれないし、驚くほどハマるかもしれない。それはもうやってみなきゃわからないので。だからとっても怖い。楽しみですけど。

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――そんな作品に加藤さんは今回から入るわけですが。

加藤:続編で入るってそれだけで結構難しいところがあるじゃないですか。その不安もあるんですけど。台本を読ませていただいて、内容がぶっ飛んでるというか、正直、全然わけがわからなくて。

今、何からやっていいのかっていう...。

藤原:ほんとそれだよ。

加藤:何をどうすればいいのかっていう、今そういう気分なんですよ。でも今日僕はこのふたりに会ってなんか...楽しそうだなって(笑)。楽しみだなっていうのが増えましたね。正直、ビジュアル撮影のときも、なんで僕はこの格好をさせられてたか...。

一同:(爆笑)

加藤:っていうところから始まってるので。今までにないスタートで楽しみです(笑)。

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――台本を読んで面白そうだと感じたところは?

加藤:わけがわからないからこそ全部のシーンが面白そうだと思いました。一人で何役もやるし、どうやるんだろう、早く見たいなって。カオスなものをつくりあげていく楽しみみたいなものはありますね。

藤原:これ多分、初めての立ち稽古とかくっちゃくちゃですよ(笑)。荒通しとかすごい凹みそう。
唐橋:「よし!」って思ってるやつはいないと思う。いたらそいつダメだよ(笑)。
加藤:なんかその感じ、たまらないっすね!

――そういうところに入っていくの、俳優としては楽しみなものなんですか?
加藤:う~ん......ハーフハーフ。
一同:(笑)。
加藤:恐怖心と好奇心のせめぎあいです。

――そもそも舞台版の魅力ってなんだと思われますか。

藤原:生身の人間が漫画のキャラクターを演じるっていうことは、肉がちゃんとついて、心があって、台詞が生きてるということで。声も脳内で感じているものを僕らは形として出すので、

まずそこで弥次喜多ってこんなのじゃないじゃんって思われてしまう可能性もある。

難しいのは、とにかくカオスな世界観だけどやっぱりキャラクターというか人間は成立させなければいけないこと。

人間ドラマみたいなのが必ず透けて見えるし、そしてそれを見せたいわけですから。

それはとても難しいことだけど、できたら舞台ならではの面白さにつながっていくんじゃないかなと思っています。

いろんな人が出てきて、初演なんて大体死んでいきましたけど(笑)、

それはただ死ぬわけじゃないというか、そこに物語があって。僕らも僕らの愛の物語があるし。

そこでもし漫画と違った感情移入の仕方ができたら、もしかすると『真夜中の弥次さん喜多さん』を舞台化する意味があるのかなって。

だから「なにかやろう」というよりは、物語に沿って舞台上で起きたことに普通の人が反応したらこうだろう、でも弥次さんは違うかもしれない、喜多さんも違うかもしれないっていう、そういうところをいろいろ試せたらいいなと思いますね。

唐橋:(舞台は)止まらないのは強みですよね。ページが戻れない。もしかしたら理解できてないまま、でも僕らはいくよ、幕が閉じるまでって。そこに寄り添っていくしかないというのは強みというか、強みだと取っていかねばなって。

藤原:うん、そうですね。

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――加藤さんから見て弥次さんと喜多さんってどういう印象ですか?

加藤:怖いですよね。
唐橋:宿屋だったら泊まってほしくないもん。
藤原:(笑)。トラブル呼ぶ匂いしかしないもんね。

――魅力は感じますか?
加藤:うーん......。
藤原:魅力はわからないと思いますよ、ほんとに。それはおいおい感じてもらいたい。僕らの理想とする弥次喜多像をこの「双」から参加したみんなにもわかってもらえるようにがんばっていけたらいいなって。
加藤:探していきたいです。それで公演終わった後にこの質問、答えていいですか?
一同:(笑)。
唐橋:宣伝とは!

――(笑)。演じるおふたりから見てどうですか?
唐橋:まあ、近寄りたくはねえかな!
藤原:(笑)。
唐橋:でもそれが実はいいのかも。ふたりで完結してるっていうのは。なんかね、弥次さん喜多さんって答えが出てるか出てないか、完結してるかしてないか、解決したかしてないかを関係なく歩を進めていくんですよ。それって心臓に毛が生えてるか、全部受け入れてるか、話によっても違うと思うんですけど。それをどう見せられるのか。
藤原:完結したふたりがわけわかんない事象にとにかく巻き込まれていくっていうのが大筋だと思うんですけど、そこで「あのふたり、これからどうなっちゃうんだろう、ハラハラ」とか「乗り越えられてふたりまたイチャイチャしてる、ホッ」とか、なんかそういうのを、僕らは意図してやれないかもしれないけど、きっとお客さんにはあると思うので。がんばってそのふたりの関係性をより強固に鮮明に作っていけたらいいなと思います。

なんかおじさんふたり、男色で、ひとりはヤク中でとなっているけど、応援したくなるような、かわいいなって思えるような、なんだったらちょっとこの世界に入ってみたいなと思えるような、まとまり方ができればいいなと思います。ふたりが魅力的に見えたらいいなと。

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――この記事を見てチケット取ってみようかな、増やそうかなと思う人もいるかもしれないので、そういう方に向けて一言ずつお願いします。

加藤:ということはですよ?
藤原:ということは!
加藤:同じ回は二度とないんじゃないかと!
唐橋:ああーそれだ。
加藤:もちろん同じ旅の時間なんですけど、きっといろんな変化があると思うので。なので、何度観てもいろんな視点で楽しめるように。そういう風にすみずみまで観てもらえるように、ああ観てよかったなと思ってもらえるように、がんばりたいと思います!
唐橋:一回観ただけじゃわからない。二回、三回観ても...多分わからない。でも「わかんねえけどすげえ!」ってクセになるのが"弥次喜多"なんですよ。先生の描かれる"圧倒"をいかに落とさないかを課題にして。

何回観ても「おお、やっぱりわかんねえけどすげえ!」って思えるようなものをつくっていきたいなと思っております。さあ、うちのボーカルに締めてもらいます!

藤原:大体一緒なんですけど。
一同:(笑)。
藤原:稽古の中である種の答えみたいなのは演出の川尻さんが導いてくれるとは思うんですけど、果たしてそれで全員が全員「これ面白いね」って感想になるかどうかは本当にわからないんです。

好きな人は本当に好きだけど、刺さらない人もいて。そういう人たちがどういう感想を持つのか。気持ち悪いのか、怖いのか、もう本当にわけわかんなかったなのか、わからないけど、全部それ、"弥次喜多"観た感想で合ってると思うので。

「でも、すごかったね」って言わせるために僕らがどうしたらいいのかを稽古で突き詰めて、一生懸命やっていきます。どうなってるかはぜひ劇場で観てください!

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「おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」双(ふたつ)」は、

6月21日(水)から25 日(日)まで東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて。

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Ⓒしりあがり寿/2017おんすて弥次喜多

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alata_01.jpg サムライ・エンターテインメント「アラタ~ALATA~」フォトセッションより

有楽町に新たにオープンするオルタナティブシアターのこけら落とし公演「アラタ~ALATA~」が7月7日から開幕する。

オルタナティブシアターは株式会社スタジオアルタが有楽町に新たに開業する新劇場。どんな人が観ても楽しめるように、言葉にとらわれないパフォーミングアートを提供するのがテーマだ。

こけら落とし公演となる「アラタ~ALATA~」は、殺陣やワイヤーアクション、ヒップホップ、ジャズ、コンテンポラリーなどのダンス、プロジェクションマッピングなどを駆使したエンターテインメントになるという。

作は横内謙介、演出は岡村俊一。
音楽はMili、ダンスクリエイターはElina、サムライアクション・ディレクターは早乙女友貴が手掛ける。

本作の稽古の様子が報道陣向けに公開された。動画はこの一部を抜粋したもの。【動画1分】

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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ

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これってホントに日本舞踊!?

驚きと楽しさに満ちた新シリーズ第1弾

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市川染五郎(松本錦升)が理事をつとめる日本舞踊協会の新シリーズ第1弾、日本舞踊 未来座『賽=SAI=』」が、今月15日より国立劇場小劇場で幕を開ける。伝統の継承と革新を目指して、新しい日本舞踊の創作に挑んだ本作、稽古場に伺うと、「これが日本舞踊?!」と、驚きの連続でした。

チャレンジに満ちた計4作品、今回はその中から、染五郎が演出を手がけた『擽-くすぐり-』をメインに、公演直前の熱気をお届けします!

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約120流派・5000名の日本舞踊家が流派の枠を超えて集う日本舞踊協会、お固い日本舞踊のイメージを打破すべく立ちあげたのが、新シリーズ『未来座』だ。タイトルの「賽」には、転がる「賽子(サイコロ)」のように姿を変え、進化していくとの決意が込められている。

第1回の今回は、水にまつわる4作品を上演する。水は時間とともに姿を変え、過去、現在、未来へと流れていくもの。その姿に日本舞踊の未来を重ねて、4作品はそれぞれ、まったく違った顔を見せる。おとぎ話あり、ミュージカル風あり、自由で多彩! こんなイメージ、今までなかったかも!

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その中でも『擽-くすぐり-』は、水の未来を描く作品だ。水の未来って何? そんな疑問を吹き飛ばすように、速いテンポ、太鼓と鼓の音に乗って足を踏み鳴らし、出演8人が漂う水になる。始まりは命の源流、羊水だ。たぷんたぷんと揺れる水、何だか気持ちいい。

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音楽は、ドラマーでパーカッショニストの仙波清彦。仙波さんは、邦楽囃子方の家元に生まれ、歌舞伎界で活躍しながら、1982年に総勢40名の『はにわオールスターズ』を結成した生ける伝説だ。人数もすごいが、戸川純、デーモン小暮、奥田民生など参加メンバーもすごすぎる! 

その自由な音楽に惚れ込んだ染五郎さん。5月に大好評を得た『氷艶 HYOEN 2017--破沙羅』ではオリジナル音楽を依頼したが、今回は既存の作品から気になるリズムを自らチョイスした。

「とにかく動く、踊るこの作品には、仙波さんの音楽しかない!と思って。約40曲の中から感覚で選んでつなぎ合わせました。」と言う通り、プリミティブあり、DJテイストあり、バラエティに富んだ音楽が次々登場する。

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『擽-くすぐり-』というタイトルには、「おもしろかったら、ただ笑って」という気持ちを込めたのだとか。その言葉通り、コミカルな動きもたくさん。

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水は、液体、個体(雪、氷)、気体(蒸気)へと、さまざまに形を変えていく。ざぶん、ざぶんと打ち付けるような大波は海? 8人がくっついては離れ、またくっつく。隊列と変えつつ動いていく群舞に心が躍る!

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水の中をゆっくりと進む「すっぽんダンス」?!

踊り手のしなやかな動きで、不思議なことにゆらゆら揺れる水が見えるよう。まるでこちらも水中に入り込んだような気分に。

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ときには水の重さも表現する。その重みで役割を果たす水車だ。

舞台では「セリ」があがり、観覧車のように高さも表現する。「盆(舞台中央の回転舞台)」を回すシーンもあり、舞台機構もフル活用される。

海のあとには、花街のようなシーンも。「"水"商売です(笑)。男女のシーンも描きたくて。好きになって、嫌いになって、また好きになる。雨がふれば、人が寄り添う。水ってそういう力もありますよね」(染五郎)。

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えっ、もしやコレ、「ゲッツ!」?

「この人主役のコーナーです!って感じ。これ以上ない表現でしょ」と、染五郎さん。

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一瞬、日本舞踊ってことを忘れるダンサブルな表現も、日本舞踊の型を飛躍させたものだとか。ビシッと決まる見得は凛々しく、カッコいい!

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くっついては離れ、くすぐり合うことで起こる水の未来を、肉体で表現していく25分。

時に素早く、時にゆったり、緩急をつけながら、とにかく踊る、踊る、踊る! 胸をはずませ、ノンストップで動き続ける姿は、凛々しいアスリートのようだ。

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こちらはファンタジックな『水ものがたり』。水の精が住むという小さな村で遊ぶ子どもたち、のどかな風景が見えるようで、心癒される。

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今が盛りの女流舞踊家五人衆が、名舞台の1シーンをよみがえらせる『女人角田〜たゆたふ』。艶やかで、ビシビシ決まる型には日本舞踊の"粋"がつまっている。

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『当世うき夜猫』は、都会の片隅で生きる野良猫たちの物語。猫たち、ニャンともかわいい。上妻宏光の三味線もドラマチックだ。

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今回は4作品の通し稽古で、かなりの大人数。広い稽古場は熱気であふれる。 

皆さん、ハードな踊りに汗はびっしょり、息はぜぇぜぇ。それでも、出番となると、きりりと顔が引き締まる。

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カーテンコールのお稽古も。全員が揃うと圧巻だ。演出家の指示に、全員が即反応して形が決まる。さすがはプロ集団!

2時間30分の通し稽古は、あっという間に終了。

4作品とも違った楽しさで、日本舞踊ってとことん自由なのだと驚いた。気づけば指先でリズムを刻み、自然と体が揺れてくる。こんなに楽しいものだったなんて! 伝統をベースの進化する姿は、まさに未来座の象徴だ。

「水って無色透明、形はないのにすごく存在感がある。常に進んでいますよね。つくづくおもしろいテーマだと思います。日本舞踊は肉体で心情、情景を表現しますが、何を表しているかではなく、エネルギーそのものを自由に感じてもらえたら。出演者全員、ひたすら動いて、筋肉痛です(笑)。そりゃ痛くもなるでしょうよ、というものをお見せしますので、ぜひ、気持ちよく踊っている姿を観に来ていただければと思います」(染五郎)

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取材・文:大西美貴

撮影:阿部章仁

公演情報

6月15日(木)〜6月18日(日) 会場:国立劇場小劇場 

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kimiga_01.jpg 舞台「君が人生の時」野々すみ花

坂本昌行、野々すみ花らが出演する舞台「君が人生の時」が新国立劇場 中劇場で開幕した。

本公演は新国立劇場が「日本の演劇がどのように西洋演劇と出会い進化してきたか」をテーマにした企画の第11弾。

ウィリアム・サローヤンによる「君が人生の時」は、1939年ニューヨークにて初演。ニューヨーク劇評家賞とピュリッツァー賞を受賞(本人は辞退)した作品だ。

演出は新国立劇場の演劇芸術監督を務める宮田慶子。翻訳は『星ノ数ホド』の翻訳で、小田島雄志・翻訳戯曲賞を受賞した浦辺千鶴が手掛ける。

V6の坂本昌行、元宝塚歌劇団・宙組トップ娘役の野々すみ花に加え、丸山智己、橋本淳、木場勝己などが出演する。

本作のプレスコールが行われ、劇中の一部のシーンが公開された。動画はこれをダイジェストにしたもの。【動画1分】

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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ

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是近敦之企画 舞台「幕ヲ引カセヌハ紫煙二燻ル己ノ聖痕」是近敦之・森公平

本格アクション舞台『是近敦之企画』 幕ヲ引カセヌハ紫煙二燻ル己ノ聖痕が、6月14日から神保町花月で上演される。是近敦之・森公平にインタビュー取材した。

本作・幕ヲ引カセヌハ紫煙二燻ル己ノ聖痕(読み:まくをひかせぬは しえんにくゆる おのれのせいこん)は、歌舞伎「三人吉三」を元にした任侠もの。
三人吉三さながらにテラ、オジョウ、ボンの3人が登場。華やかな大衆演劇と、その裏に隠されたものを巡って争いが起こっていくというのが大きなストーリーだ。

本格的なアクションが登場すると話題のこの舞台。本作を企画し、俳優としても出演する是近敦之と、出演の森公平にインタビュー取材した。【動画2分】

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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ

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歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが都内で会見を開き、歌舞伎座「七月大歌舞伎」で成田屋一門の市川右之助さんが、二代目市川齊入を襲名する運びになったと発表されました。

 

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右之助さんは、三世市川寿海の部屋弟子となり関西で修業を重ねた後に、海老蔵さんの父・十二世市川團十郎に入門。以来、長年に渡り成田屋一門を支えてきた最古参の俳優です。

 
襲名披露を行うのは、昼の部『盲長屋梅加賀鳶(めくらながやうめがかがとび)』
海老蔵さんが鳶頭の梅吉と按摩の道玄の二役を、道玄の相棒として悪事に加担する女按摩・お兼を右之助改め齊入が勤めます。

今回襲名する齊入は右之助さんの曽祖父・初代市川右團次が息子に名前を譲った際に名乗った名前です。
その名跡を継ぐことになった右之助さんは「お世話になった寿海のおじさん、一生のうちで大半をお世話になった十二代目團十郎の旦那、そして若旦那のおかげと感謝しております」と緊張した面持ちでご挨拶されました。

海老蔵さんが生まれる前から團十郎さんのもとで修業をされていた右之助さんは、1947年生まれの69歳。
襲名の話が来た当初は、「この歳で襲名していいのか」と思われたそうですが、海老蔵さんから「歌舞伎の未来のために後進の指導にあたって欲しい」という要望を受けて「もう一回一肌脱ごうという気持ちになって、(名前を)相続させていただくことになりました」と決意を語りました。

6月3日より全国の映画館で上映しているシネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』の初日舞台挨拶が東京・東劇で行われ、出演の市川染五郎さん、市川猿之助さん、市川弘太郎さん、シネマ歌舞伎版監督の浜本正機さん、舞台版構成とシネマ歌舞伎版監修の杉原邦生さんが登壇しました。

 

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MCはアフロのカツラに金ピカのジャケットと蝶ネクタイ姿で現れた弘太郎さん。
テンション高く登壇者を呼び込むと、ラップのBGMにノッて客席から染五郎さんと猿之助さんが登場。
しかしよく見ると、猿之助さんの手には別の映画『花戦さ』(猿之助さんも出演している)のチラシが。
それを配りながら歩く猿之助さんに「あっ、すいません。あの~『やじきた』の...これ、『花戦さ』じゃないんで...」と申し訳なさそうにツッコむ弘太郎さん。
のっけから自由な雰囲気で始まったイベントに観客は大喜びでした。

杉原さん、浜本監督に続き、猿之助さんが「〈やじきた〉で......(小声で隣の染五郎さんに喜多八だっけ?と確認してから)喜多八をやらせていただきました」と自己紹介すると、染五郎さんも「歌舞伎もするラッパー市川染五郎です」と挨拶し、おとぼけぶりを発揮するふたり。
滞りなく進行させようと奮闘する弘太郎さんとの楽しいやり取りをレポートします!

 

弘太郎さん「シネマ歌舞伎の宣伝のためだけに作られたこの曲『YJKT』ですが、4月にレコーディングされて、ラップも初めてだったと思います。いかがでしたでしょうか?」
猿之助さん「終演後の疲れている時にやらされてね。行ったら結構本格的で」
染五郎さん「テンポがちょっと遅れてますよと言われて、ふたりとも」
猿之助さん「ダメ出しされて」
染五郎さん「何回も何回も練習しましたよ。"いや~いいんですけどね~。もう一回お願いします!"って結局ダメだったんじゃないかって(笑)」

  

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猿之助さん「しまいにはマイクのせいにしてたよね、僕ら?」
染五郎さん「時間差で聞こえるみたい、とかね(笑)」

 

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ここですかさず弘太郎さんが「プロのラッパーみたいでしたよ、ねっ皆さん」と客席にふると場内からは大きな拍手。それを聞いた染五郎さんは、
「目指せピコ太郎なんでね。会社でもふっとした時で構いません、(動画は)見なくていいですから、部屋に入ったらアクセス、帰ったらアクセス。それだけで1日80回くらいは稼げますから」
と大きな目標を達成すべくお客さんへ協力を求めていました。

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ディスグーニー『From Three Sons of Mama Fratelli』の公開稽古が6月2日、都内にて行われた。ディスグーニーは、劇団「AND ENDLESS」で20年近くに亘り、全ての作・演出で数多くの実績を残してきた西田大輔が「創ることは出逢うこと」をテーマに掲げ、演劇界のみならず幅広くエンタテインメント界での新たな冒険を目指し、舞台作品の創作・製作・興行を自ら行うために2015年3月に設立したもの。第4弾公演となる今回は、人気の高い西田作品3本を新たなキャストにより、回替わりで一挙上演する。時代や国、テイストも異なる3作で、西田の創る異なる世界観が楽しめる企画だ。この日の稽古場では、その3本『GOOD-BYE-JOURNEY』『枯れるやまぁ のたりのたりとまほろばよ あぁ 悲しかろ あぁ 咲かしたろ』『SECOND CHILDREN』それぞれ一部のシーンが抜粋で披露された。

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5月31日に、宝塚歌劇月組公演『All for One~ダルタニアンと太陽王~』の制作発表会が行われました。

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作品は、デュマの『三銃士』をもとに、新たな発想で鬼才・小池修一郎が書き下ろすダルタニアンと三銃士の冒険浪漫活劇。
今年正月、トップお披露目公演『グランドホテル』を大成功におさめた珠城りょう率いる月組が、夏休みシーズンに心躍る活劇を繰り広げます。
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会見では小池さんから
「珠城りょうはもともと真面目な人なので、死ぬ役や、重たい責任を果たす役が多かった。新しい体制になって2作目なので、のびのび出来るものがいいかな、三銃士をベースにしたら面白くなるかな、と」

「17世紀、ルイ14世が20歳くらいになる頃、親政をはじめる頃に時代を設定。史実とそうではない部分を織り交ぜます」

「"トンデモ三銃士"と言われるかも(笑)」

「デュマの『三銃士』の話は本当はルイ13世の時なのですが、14世だと20年後くらい。なので、(銃士たちには)20歳くらい若返ってもらう。(デュマ作の話と違い)ダルタニアンは、もう銃士隊の中で一番の使い手になっている。要するに、よく知られている『三銃士』の物語の後、という設定。ダルタニアンがルイ14世に剣を教えるのですが、なかなか上手くいかず、そこから色々なことが起こっていく」

「大劇場公演は夏休み時期でもありますので、娯楽性、エンタテインメント性の高い作品に。多くの世代の方に楽しんでもらえるように」

...等々、気になるワードがポロポロと飛び出しました!

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