再演でより迫力を増す『デスノート THE MUSICAL』、まもなく開幕【稽古場レポート】

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2015年に日本でワールドプレミアの幕をあけ話題となった『デスノート THE MUSICAL』の待望の再演が、6月24日(土)の富山公演からスタートする。ブロードウェイで活躍するフランク・ワイルドホーンが音楽を手がけるなど世界トップレベルのクリエイターたちが制作、日本公演のほか韓国版も上演され、ワールドワイドな展開を見せているミュージカルだ。再演でも、主役の夜神月をWキャストで務める浦井健治と柿澤勇人、月を追い詰める探偵L役の小池徹平ら、当たり役だと好評を博したキャストたちが続投。初演を超える熱演に期待が高まる。6月中旬、その稽古場を取材した。deathnote2017_01_01_0579.JPG

原作は言わずと知れた大ヒット漫画『DEATH NOTE』。名前を書かれた人間は40秒以内に死ぬ"死神のノート"を手に入れた高校生・夜神月が、正義の名の下、犯罪者たちを粛清していくという物語だ。この日は初の"通し稽古"(本番同様、冒頭から最後まで通して行う稽古)とのことで、稽古場にはピリッとした空気が流れている......かと思いきや、意外に和やかな雰囲気。些細な会話で俳優たちが笑い転げている。だが「はじめます」の声がかかるととたんに静かになり、熱を帯びたような空気になった。オープニングは、40秒からカウントダウンしていく時計の音と映像。この段階で映像が使われている稽古場というのも珍しいが、減っていく数字が不穏さを煽っていく。

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続いてシーンは月が通う高校の教室へ。現代日本の、ありふれた光景だ。月ら生徒たちと教師が、正義について議論している。ここで歌われる「正義はどこに」は作品を貫くテーマだ。「正義は社会の基準」という教師に対し、月は「正義は権力の道具でしかない、真の正義を求めるなら正しい指導者を見つけなければ」と反論する。のちに自らを正義と信じ暴走していく月の危うい信念が伝わると同時に、議論を尻目に携帯をいじっている同級生たちの姿なども興味深い。この日の月は浦井健治。落ち着いた声のトーンと余裕のある表情で月の頭脳明晰さが伝わってくるが、一方ですでに少し狂気をも感じる。そして物語が進むにつれ迫力は増していき、カッとした表情や焦り、怒りを隠した笑顔など、その細かい表現から目が離せない。いまやミュージカル界を牽引するスターである浦井、2年間の充実の経験によって、初演時にも増して魅力的な月を作り上げている。deathnote2017_01_05_0329.JPGdeathnote2017_01_06_0711.JPG

L役の小池徹平も熱演だ。物を指先でつまむ独特の動作や前屈みの姿勢などが印象的な特異なキャラクターだが、こちらは抑えた演技の中で、確実にこの役柄を体現。死神レム役の濱田めぐみの情感のこもった歌声、弥海砂を演じる唯月ふうかのキラキラのアイドルっぷりなども相変わらずの安定感。新キャストで月の妹・粧裕役の高橋果鈴のフレッシュさ、月の父である夜神総一郎を演じる別所哲也の理性と苦悩も、漫画から抜け出したようだ。そしてこの日の稽古場で何よりインパクトがあったのは、今回初参加で死神リュークを演じる石井一孝。うっすら死神メイクをしているとはいえ、その眼ヂカラ、大きな口、動きまで原作のイメージ通り! まるでCGのようだ。さらに迫力の歌声にも度肝を抜かれること間違いナシ。石井本人も楽しそうで、その姿がそのまま、月ら人間たちの行動を面白がるリュークそのものだった。deathnote2017_01_07_0604.JPGdeathnote2017_01_08_0480.JPGdeathnote2017_01_09_0540.JPG

カンパニー全体のまとまりやハーモニーもよく、総じて初演よりぐっと迫力が増している印象。本番のステージを楽しみに待ちたい。公演は6月24日(土)に富山オーバード・ホールで開幕。台湾、大坂公演を経て、9月2日(土)から24日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場で上演される。チケットは発売中。deathnote2017_01_010_0717.JPG


▽ 夜神月=浦井健治さん。
月は頭脳明晰、成績優秀な優等生。そんな彼がデスノートを拾ったことから、「自分こそが神に選ばれ、犯罪者のいない世界を創る"新世界の神"だ」と暴走していきます。deathnote2017_01_51a_0698.JPG

▽ L=小池徹平さん。
グレーゾーンすれすれの捜査をする探偵。個性の塊のような役に、小池さんがなんともナチュラルになりきっています。小池さんの知性を感じる歌声のトーンも魅力的。deathnote2017_01_52_0592.JPG

▽ 弥海砂=唯月ふうかさん。
原作とは少し設定を変え、アイドルになっているミサミサ。アイドルらしいキラキラ感と、重い過去を背負い屈折した思いを抱える少女を、若き実力派・唯月さんが生き生きと演じます。deathnote2017_01_53_0485.JPG


▽ 夜神粧裕=高橋果鈴さん。
新キャストである高橋さんですが、もはや「妹」にしか見えないフレッシュさ!deathnote2017_01_54_0556.JPG


▽ 死神 レム=濱田めぐみさん。
死神でありながら人間に対し"愛"という感情を抱いてしまうレムを、濱田さんが妖しくも情感たっぷりに演じます。濱田節が光るレムのナンバーも名曲ですよね!deathnote2017_01_55_0360.JPG


▽ 死神 リューク=石井一孝さん。
記事にも書きましたが、まるでCGのよう。怖くも、愛嬌のある死神で、リュークそのものです。ぜひ原作ファンの方にも見ていただきたい、石井さんのリューク!
そしてこの物語、人間である月とLが、どこか人間離れした域でバトルをしているのに対し、死神たちが人間臭いのも面白い。deathnote2017_01_56_0343.JPG


▽ 夜神総一郎=別所哲也さん。
別所さんも新キャスト。犯罪者を粛清していくキラ(=月)の捜査をする正義の人。別所さんの大人男性の魅力が全開です。deathnote2017_01_57_0621.JPG


▽ 退屈したリュークが、死神のノートを人間界に落としたことから、物語は始まります。このシーンの死神のデュエットナンバーも、必聴!deathnote2017_01_61_0378.JPG


▽ 犯罪者を抹殺していくという自分の行為を正義と信じる月。その正義は暴走し、ついに犯罪者のみならず、キラ(=月)を追う捜査官までも手にかけます...。浦井さんの鬼気迫る表情から目が離せません!deathnote2017_01_62_0683.JPG

取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)

【公演情報】
・6月24日(土)・25日(日) 富山オーバード・ホール
・8月19日(土)~21日(月) 梅田芸術劇場メインホール(大阪)
・9月2日(土)~24日(日) 新国立劇場 中劇場(東京)
※7月に台湾公演もあり。


【『デスノート THE MUSICAL』バックナンバー】
2015年公演
製作発表会見レポート
浦井健治×柿澤勇人インタビュー
『デスノート』稽古場に潜入! 魅力の一端をご紹介
楽曲披露イベントレポート

2017年公演
浦井、柿澤、小池らが集結!『デスノート THE CONCERT』

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