唐橋 充×藤原祐規×加藤良輔「わかんねえけどすげえ!ってクセになるのが"弥次喜多"です」

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しりあがり寿の奇想天外な世界観を、作・演出の川尻恵太(SUGARBOY)が歌や踊り、笑いの融合で見事に再現し、話題を呼んだ舞台「おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」」(昨年1月上演)。

昨年5月には同じメンバーで、「おん・てぃーびー「真夜中の弥次さん喜多さん」」(TOKYO MX『ブタイモン』内)としてドラマ版も放送され、地上波ながらギリギリを攻める内容に度肝を抜かれる人が続出した人気シリーズです。

その待望の新作舞台、「おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」双(ふたつ)」 6月21日(水)に開幕します!

原作をご存知の方は「舞台化なんて可能なの!?」と必ず思うであろうぶっとんだ世界観ですが、今作は初演以上にディープな世界が描かれそう...!

初演・テレビ版・今作と弥次さんを演じる唐橋 充さん、喜多さんを演じる藤原祐規さん、そして今作からの新キャストである加藤良輔さんにお話をうかがいました。

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――まず、お三方の関係からうかがいたいのですが。

加藤:フッキー(藤原)とはだいぶ長いですよね。
藤原:10年近くだよね。
唐橋:そんなに!
加藤:いろんな舞台で共演してます。

――唐橋さんと加藤さんは初共演だそうですね。

加藤:ちゃんとお会いしたのはこの作品の撮影と今日で2回目ですけど、既に興味津々です!
唐橋:僕は、片手で扇子を持つ芝居でも初日は絶対手が震えちゃうから両手で持つような男だよ?
一同:(笑)。
加藤:そう見えない。いろいろな作品に出られてる方ですし、ものすごくワクワクしています。
藤原:唐橋さんはお芝居の相談を一番する人かもしれない。本番中とかでも間(ま)だったり台詞の言い方を変えてくるんですけど、「今日あれやってたけどなんでなんですか?」って聞くと全部理由があるので。勉強になります。

唐橋:演劇的なことって話すのって恥ずかしいんだけど、これだけ話してて楽しい人(藤原)はいないんですよ。ただ、酔っぱらわないと言わないからね。ちょっと酔わせたりして(笑)。

フッキーさんが「あそこはああだよね」って言い出すと嬉しい、みたいな。

――この作品はどうでしたか?

唐橋:前回、いっぱい話してくれましたよ! だからそういう時間は楽しかったですね。

――そんな作品の続編ですが。

藤原:決まって嬉しかったです。でも同時に「マジか」っていう...。

唐橋:なまじ初演である程度の成果を胸に千秋楽を迎えたっていうのが、今回足枷になるんじゃないかという不安がある。稽古場でブレーキがかかっちゃうんじゃないかって。

藤原:たしかに。

唐橋:しかも台本上がってきたら、『弥次喜多 in DEEP』(漫画『真夜中の弥次さん喜多さん』の続編でより濃い世界が描かれている作品)のエピソードで...。

藤原:キャストと話しても、みんなわけわかってないですよ。

唐橋:理解できない(笑)。でもじゃあ前回の『真夜中の弥次さん喜多さん』はわかってたのかっていうとそうじゃないんですけど。

――初演ではどうされたんですか?

唐橋:わからないけど僕らで勝手に答えを出して「こうですよ」ってやるのは違うと思って。

原作のコマ通り、しりあがり先生の描かれた通りにやるのが一番伝わるはずなんですよね。

すごく多くの方に刺さってる金字塔なわけですから、わからないまま、信じてやる。

今回もきっとそれがいいよねって話をさっきしたんですけど、そう思えてよかったです。怖かったんだから、俺。

――初演、テレビ版を経てもそうなんですね。

藤原:いや怖いですよ。まず台本を読んで全然イメージができないのが怖いし。それにさっき唐橋さんも言ってましたけど、初演とテレビ版をやってなんとなくできた「俺らの"弥次喜多"、こうかも」っていうのをパンってハメちゃっていいのかダメなのか、合うのか合わないのかもわからない。

もしかしたら全く違うかもしれないし、驚くほどハマるかもしれない。それはもうやってみなきゃわからないので。だからとっても怖い。楽しみですけど。

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――そんな作品に加藤さんは今回から入るわけですが。

加藤:続編で入るってそれだけで結構難しいところがあるじゃないですか。その不安もあるんですけど。台本を読ませていただいて、内容がぶっ飛んでるというか、正直、全然わけがわからなくて。

今、何からやっていいのかっていう...。

藤原:ほんとそれだよ。

加藤:何をどうすればいいのかっていう、今そういう気分なんですよ。でも今日僕はこのふたりに会ってなんか...楽しそうだなって(笑)。楽しみだなっていうのが増えましたね。正直、ビジュアル撮影のときも、なんで僕はこの格好をさせられてたか...。

一同:(爆笑)

加藤:っていうところから始まってるので。今までにないスタートで楽しみです(笑)。

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――台本を読んで面白そうだと感じたところは?

加藤:わけがわからないからこそ全部のシーンが面白そうだと思いました。一人で何役もやるし、どうやるんだろう、早く見たいなって。カオスなものをつくりあげていく楽しみみたいなものはありますね。

藤原:これ多分、初めての立ち稽古とかくっちゃくちゃですよ(笑)。荒通しとかすごい凹みそう。
唐橋:「よし!」って思ってるやつはいないと思う。いたらそいつダメだよ(笑)。
加藤:なんかその感じ、たまらないっすね!

――そういうところに入っていくの、俳優としては楽しみなものなんですか?
加藤:う~ん......ハーフハーフ。
一同:(笑)。
加藤:恐怖心と好奇心のせめぎあいです。

――そもそも舞台版の魅力ってなんだと思われますか。

藤原:生身の人間が漫画のキャラクターを演じるっていうことは、肉がちゃんとついて、心があって、台詞が生きてるということで。声も脳内で感じているものを僕らは形として出すので、

まずそこで弥次喜多ってこんなのじゃないじゃんって思われてしまう可能性もある。

難しいのは、とにかくカオスな世界観だけどやっぱりキャラクターというか人間は成立させなければいけないこと。

人間ドラマみたいなのが必ず透けて見えるし、そしてそれを見せたいわけですから。

それはとても難しいことだけど、できたら舞台ならではの面白さにつながっていくんじゃないかなと思っています。

いろんな人が出てきて、初演なんて大体死んでいきましたけど(笑)、

それはただ死ぬわけじゃないというか、そこに物語があって。僕らも僕らの愛の物語があるし。

そこでもし漫画と違った感情移入の仕方ができたら、もしかすると『真夜中の弥次さん喜多さん』を舞台化する意味があるのかなって。

だから「なにかやろう」というよりは、物語に沿って舞台上で起きたことに普通の人が反応したらこうだろう、でも弥次さんは違うかもしれない、喜多さんも違うかもしれないっていう、そういうところをいろいろ試せたらいいなと思いますね。

唐橋:(舞台は)止まらないのは強みですよね。ページが戻れない。もしかしたら理解できてないまま、でも僕らはいくよ、幕が閉じるまでって。そこに寄り添っていくしかないというのは強みというか、強みだと取っていかねばなって。

藤原:うん、そうですね。

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――加藤さんから見て弥次さんと喜多さんってどういう印象ですか?

加藤:怖いですよね。
唐橋:宿屋だったら泊まってほしくないもん。
藤原:(笑)。トラブル呼ぶ匂いしかしないもんね。

――魅力は感じますか?
加藤:うーん......。
藤原:魅力はわからないと思いますよ、ほんとに。それはおいおい感じてもらいたい。僕らの理想とする弥次喜多像をこの「双」から参加したみんなにもわかってもらえるようにがんばっていけたらいいなって。
加藤:探していきたいです。それで公演終わった後にこの質問、答えていいですか?
一同:(笑)。
唐橋:宣伝とは!

――(笑)。演じるおふたりから見てどうですか?
唐橋:まあ、近寄りたくはねえかな!
藤原:(笑)。
唐橋:でもそれが実はいいのかも。ふたりで完結してるっていうのは。なんかね、弥次さん喜多さんって答えが出てるか出てないか、完結してるかしてないか、解決したかしてないかを関係なく歩を進めていくんですよ。それって心臓に毛が生えてるか、全部受け入れてるか、話によっても違うと思うんですけど。それをどう見せられるのか。
藤原:完結したふたりがわけわかんない事象にとにかく巻き込まれていくっていうのが大筋だと思うんですけど、そこで「あのふたり、これからどうなっちゃうんだろう、ハラハラ」とか「乗り越えられてふたりまたイチャイチャしてる、ホッ」とか、なんかそういうのを、僕らは意図してやれないかもしれないけど、きっとお客さんにはあると思うので。がんばってそのふたりの関係性をより強固に鮮明に作っていけたらいいなと思います。

なんかおじさんふたり、男色で、ひとりはヤク中でとなっているけど、応援したくなるような、かわいいなって思えるような、なんだったらちょっとこの世界に入ってみたいなと思えるような、まとまり方ができればいいなと思います。ふたりが魅力的に見えたらいいなと。

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――この記事を見てチケット取ってみようかな、増やそうかなと思う人もいるかもしれないので、そういう方に向けて一言ずつお願いします。

加藤:ということはですよ?
藤原:ということは!
加藤:同じ回は二度とないんじゃないかと!
唐橋:ああーそれだ。
加藤:もちろん同じ旅の時間なんですけど、きっといろんな変化があると思うので。なので、何度観てもいろんな視点で楽しめるように。そういう風にすみずみまで観てもらえるように、ああ観てよかったなと思ってもらえるように、がんばりたいと思います!
唐橋:一回観ただけじゃわからない。二回、三回観ても...多分わからない。でも「わかんねえけどすげえ!」ってクセになるのが"弥次喜多"なんですよ。先生の描かれる"圧倒"をいかに落とさないかを課題にして。

何回観ても「おお、やっぱりわかんねえけどすげえ!」って思えるようなものをつくっていきたいなと思っております。さあ、うちのボーカルに締めてもらいます!

藤原:大体一緒なんですけど。
一同:(笑)。
藤原:稽古の中である種の答えみたいなのは演出の川尻さんが導いてくれるとは思うんですけど、果たしてそれで全員が全員「これ面白いね」って感想になるかどうかは本当にわからないんです。

好きな人は本当に好きだけど、刺さらない人もいて。そういう人たちがどういう感想を持つのか。気持ち悪いのか、怖いのか、もう本当にわけわかんなかったなのか、わからないけど、全部それ、"弥次喜多"観た感想で合ってると思うので。

「でも、すごかったね」って言わせるために僕らがどうしたらいいのかを稽古で突き詰めて、一生懸命やっていきます。どうなってるかはぜひ劇場で観てください!

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「おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」双(ふたつ)」は、

6月21日(水)から25 日(日)まで東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて。

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Ⓒしりあがり寿/2017おんすて弥次喜多

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