ミュージカル『グランドホテル』#15 初日直前囲み取材詳報

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■ミュージカル『グランドホテル』vol.15■


1920年代のベルリンの豪華なグランドホテルを舞台に、様々な事情を持った人たちのドラマが交錯する――。
名作ミュージカル『グランドホテル』が、英国の鬼才トム・サザーランドと、日本の才能ある俳優たちによって蘇ります。

昨日行われた会見の模様、もう少し詳しくお伝えします。
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〈GREEN〉オットー・クリンゲライン役、中川晃教
「私はオットー・クリンゲラインという、重い病気を患っているユダヤ人を演じます。医師から宣告されている残りの人生をこのグランドホテルで生きたい、そしてグランドホテルで人生を探したい、という役。光と輝き...ギラギラしている光をまとっている、そんなクリンゲラインを生きられたらと思います。作品は、休む暇もなく舞台の端から端まで、上も下も、全部余すことなく堪能していただく舞台です。集中してやっていきたいと思いますし、お客さんにも集中力が必要かと思います!」
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〈RED〉オットー・クリンゲライン役、成河
「とてもアグレッシブでスピーディなミュージカルになると思います。REDにしてもGREENにしても、華やかで煌びやかで、かつ影がある。とても哲学的なメッセージを込められた作品です。僕とアッキー(中川)が演じるオットーは、その中でもすごく哲学的なメッセージを背負ってホテルを出て行くので、その部分を注目していただければ」
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〈GREEN〉エリザヴェータ・グルシンスカヤ役、安寿ミラ
「引退間近のバレリーナ、グルシンスカヤをやらせていただきます。年齢を重ねてきたからこそいただけた役だと思います。人生に絶望したバレリーナが、男爵と出会って、また生きる喜び、踊る喜びを取り戻す過程を精一杯演じたいと思います」
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〈RED〉エリザヴェータ・グルシンスカヤ役、草刈民代
「私も本当にバレリーナだったので、稽古場でも、トゥシューズを久しぶりにはいたり、バレエの衣裳を着たりして、踊っていた頃の自分を思い出しながらやっていました。今の年齢だからこそ出せるような恋心なども盛り込まれていますので、楽しみながら精一杯演じたいと思います」
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〈GREEN〉フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵役、宮原浩暢
「僕自身初めてのミュージカルです。何もわからないところから、まわりの先輩方にアドバイスを頂きまして、常にスリルを楽しんで生きる男爵、今まで他人のことを本当に好きになったことがない男が初めて真実の愛に気付くというというところや、年の離れたこの恋愛を、お客さまに楽しんでもらえれば。そして、自分も恋をしたいと思ってもらえるようなキャラクターを演じていきたいと思います」
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〈RED〉フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵役、伊礼彼方
「私もガイゲルン男爵を..."フェリックス・アマデウス・ベンヴェニュート・フォン・ガイゲルン男爵"を演じさせていただきます。1928年という時代背景は、爵位を剥奪される手前くらいなのですが、それでも生活レベルを下げられない、必要なものより欲しいものを手にしてしまう男が、グルシンスカヤに恋に落ちて、やっと出会えた一筋の光...。それがどういう結末になるか、これはREDとGREENでは違いますので、両方とも観ていただければと思っています」
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〈GREEN〉フレムシェン役、昆夏美
「若くて、タイピストで、ハリウッド女優を目指すフレムシェンを演じます。フレムシェンはハリウッドの女優を目指しているのですが、なぜハリウッドに行きたいのか、今の自分の生活から抜け出したいのか...ただハリウッドに行きたいというだけではなく、彼女の根底に何があるのかということを深くつきつめてお芝居をしていきたいと思います。ひとつの作品が全然違う結末になるというのは本当に面白い試みだと思いますので、皆さまにも両方見ていただきたいです」
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〈RED〉フレムシェン役、真野恵里菜
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「同じくフレムシェンを演じさせていただきます。フレムシェンは今の生活から抜け出したい、自分の夢を叶えたいという一心。私自身ミュージカル初挑戦なのでわからないことだらけだったんですが、役柄と重なって頑張って...」
と真野さんが話しているところで、真野さんを撮る撮影陣に嫉妬したか?伊礼さんがフレームイン!
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真野さん、「何言ったらいいかわからなくなっちゃったじゃないですか!」と押し戻します(笑)。
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気を取り直して、「私らしいフレムシェンを演じれたらなと思っています。この作品、結末も違うのですが、Wキャスト、役者さんが変わるとこんなにひとつの役が変わるんだなというのもとても面白く感じているので、ぜひ両方楽しんでいただけたら嬉しいです」

ちょっと、なんだかズルイので、GREENチームの男爵&フレムシェン2ショットも載せておきますね(笑)。
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〈GREEN〉ヘルマン・プライジング役、戸井勝海さん
「たぶん吉原さんと全然違う役作りをしているんじゃないかなと思うんですが、私の場合は誠実に誠意をもって、家族大好きで生きてきた男が、会社と家族を守るためについたたったひとつの嘘、そこから人生の坂道を一気に転がり落ちていく、そんな男を、優しく悲しく演じられたらいいなと思います。皆さん仰っていますが、結末も違えば途中の演出も役者の動きも全然違うので、自分も一日も早くREDも見てみたいなと思っています」
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〈REDヘルマン・プライジング役、吉原光夫さん
「自分の役は覚醒して、腐食して、破綻していくという、器の小さい男だったらわからないなという役なので、(自分には)やりやすいかなという感じがします(笑)。作品としてはREDの方が1ナノくらいは面白いんじゃないかな(一同笑)。REDの方をぜひ観てください」
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〈GREEN〉ラファエラ役、樹里咲穂
「グルシンスカヤに尽くす付き人のラファエラを演じさせていただきます。ラファエラはひとことで言って「愛」ということに尽きると思います。グルシンスカヤを本当に心の底から愛していて、でも女性ゆえに超えられないものがあって、そこに葛藤するという姿を皆さまに観ていただき、共感していただければ嬉しいです」
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〈RED〉ラファエラ役、土居裕子
「私も樹里さんと同じく、ラファエラという、グルシンスカヤのドレッサー(付き人)の役です。樹里さんと並ぶと樹里さんのミニチュアみたいですが(笑)、同じ役なんです。色々な愛の形がある中で、女性に恋するという役どころを生まれて初めて演じることが出来て幸せに感じています。草刈さんを愛しつくしてしまおうと思います。作品については、愛の形、幸せの形というものが、人それぞれ違う、それがいったいどういう方向に向くか...というところが見どころじゃないでしょうか」
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〈GREEN〉オッテンシュラッグ医師役、光枝明彦
「軍医オッテンシュラッグを演じます。誰からも愛されず、愛することもないという大変冷たい役です。狂言回し的な役です。演出のトムからの受け売りですが、1928年というと第一次世界大戦がちょうど終わった頃。戦争体験した方、そうでない方2種類いると。オッテンシュラッグは軍医ですから戦争体験しています。もう1種類の人間は先に何が起こるかわからないけれど、極楽鳥のように地獄の上を舞い遊んでいる。さて、皆さんがご覧になって、誰が極楽鳥で、誰がちゃんとわかっているか、その辺をご覧になるのも一興かと思います」
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〈RED〉オッテンシュラッグ医師役、佐山陽規
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「光枝さんと同じドクターの役をやります。とても孤独な役です。ほかの皆さんとはちょっと距離を置いて見ている、直接ほかの人と芝居をする場面はそんなにない。それだけに、距離感みたいなものをどう演じるか、そこを計っていくのがなかなか難しいと感じています。大先輩と同じ役なのでとても緊張していますが、今日はじめてGREENチームの最後の場面をちらっと拝見しましたが、本当に違うのでぜひ両方観にきてください」
伊礼「REDを?」
佐山「...えっとそうですね、REDを(笑)」
伊礼「REDを3回みたら、GREENを1回くらい?」
中川「(GREENは)箸休めか!」

(このあたりから、REDチームの猛アピールが...!)


エリック役、藤岡正明
「エリックは出産間際の妻がいて、ホテルで働きながら、子どもが生まれるのをずっと今か今かとそわそわしながら待っているのですが、僕も、去年の12月25日に第二子が生まれまして、本当にタイムリーな役をいただいたなという実感です。リアリティある父親を演じていきたいなと思います。この中では僕と湖月さんがシングルキャストなので、僕らだけが両方知っています。GREENチーム、REDチーム、本当に違う。正直稽古をやりながら、こんなに違うと覚えるの本当に大変...って思ってました。それくらい違うので、まったく別の作品を観るくらいのつもりで来ていただけるといいと思います。両方のチームを見ていただくと、全く違った感想、全く違った印象を持っていただける作品に仕上がっているんじゃないかと思います」
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スペシャルダンサー役、湖月わたる
「今回、"DEATH"...死という役を頂きました。作品のテーマである愛と死、その象徴的な存在としていられたらいいなと思っています。GREENにREDと、まったく同じ曲なんですが、まったく違う振付で、素敵な男爵さんとバレエを踊らせていただいて、最後死の接吻をいただきにいきます。本当にこの『グランドホテル』、稽古場からもすごい感動とワクワク感がありましたが、こうしてステージに立ち、照明とセットの中に皆さんが入ったのを見ると、さらに強く思います。1928年のベルリンにあるグランドホテルに皆さま、どうぞお越しください」
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――両チームに出演する湖月さんと藤岡さんに、両チームの違いをどこに感じるかを教えてください。

藤岡「稽古をしながら「これ、デジャブなんじゃないかな」と思うことばかりだったんです。例えば戸井さんのプライジングとディスカッションした翌日に、光夫さんのプライジングと同じディスカッションするんですよ(笑)。でもトムの言っている言葉がちょっとずつ違うんですよ。ふたりに伝える言葉とか方向性がちょっとずつ違うので、すごくそのあたりがドキドキして楽しかったんですが、そういう意味で全く違います」

湖月「セットの転換が違ったりとか、場面の見え方が全然違うと思います」
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藤岡「たぶん両方のチームで共有できている情報が"言葉"。それが、違うエンディングに向かっていくので、いい意味で違う作品です。...チームの雰囲気自体も、全然違いますね!GREENにもREDにも、どちらにもメンドクサイ人がいるんですよ(笑)」

樹里「GREEN、めんどくさくないよ?」

藤岡「あっ...そうだね。GREENの方が和気藹々としてたかもしれない。REDの方が、けっこう...色々な道を通ってきてる気がします。どっちの方が悪いというわけじゃないんですよ」

伊礼「GREENがねずみだったら、REDはハリネズミです

成河「よくわからないよ!」

湖月「言葉でいうのは難しいねー。私が踊っていて違うと思うのは...片方はすごく大人の魅力。エネルギッシュで戦っている感じがする。もう一方は生まれ持った貴公子的な、おだやかな中にふつふつと情熱が流れているみたいな...」

伊礼「僕が貴公子ですか!」

湖月「いや大人の魅力の方」
...で、チームの皆さんから「戦ってる方だよ!」とツッコミを入れられまくる伊礼さんです。
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――お互いへのエールを!

成河「いまこんな笑顔で会見をやってますが、会うの久しぶりなんです。2週間くらい完全に別々に分けられて作っていたので。僕は今日、アッキーと久しぶりに会って、少し台本の話したら止まらなくなっちゃって。すごくそれが面白いんですよね。ひとりでは作っていて見えない部分が見えたり。もちろん何を選択をするかは、それぞれなんですが。顔合わせたときにふっとお芝居の話できたのが嬉しかったので、今後、それぞれがそれぞれのオットーの分身として違いが出ていけば、きっと2チームに分けた意味が出てくるのでしょうし、そういうことを楽しみたいなと思います」

中川「稽古場も前半は同時に稽古を進めていましたが、後半にいくにつれ分業になっていきました。稽古場でも片方が終わったら入れ替わって「おはよう」「終わったんだ、お疲れ」みたいな稽古を10日くらいやり、劇場に入ってからも同じペースでやっています。僕としては、REDチームはすごく気になる存在です。それはずっと、この公演が千秋楽を迎えるまで、ずっと気になり続けるんだろうな。そう思えるのは、REDとGREENというふたつのチームで開幕するこの公演ならではの、スペシャルな気持ちなのかなと思ってるんです。それをブレンドできる存在がもしかしたらお客さまなのかもしれません。今この『グランドホテル』をやる意味はなんなのかというのも、稽古場から僕たち考えながらやっています。それがしっかりお客さまに伝わって、カンパニーみんなで最後に「お疲れ!」と言えるように、頑張っていきましょう!」

草刈「始めのプロローグだけは一緒に振付を受けましたが、そのあとは全部別々に稽古しています。私も今日初めて安寿さんと宮原さんのバージョンを拝見しました。初日があいて、舞台を重ねるごとにまた変わっていくと思いますし、関係性がどう変化するのかも楽しみにしています」

安寿「私はWキャストというものも初めての経験なので、たとえば自分の稽古で行き詰まったとき、民代ちゃんはこういうときどうしたんだろうとか、今頑張ってるかなとか、すごく気になる存在でありました。絶えず、民代ちゃんだったらどうするんだろうと考えてます。ただ...さっきもだったのですが、私の衣裳を着そうになったので、それだけは気をつけて!(笑)」

伊礼「どうしても大人数を2グループに分けてしまうと、ライバル心が芽生えてしまうんですね。僕は最初からそれしかありません! ただ宮原さんはミュージカルが初めてというのがあって、僕も自分が今まで経験してきたことで、役立つことがあればと色々アドバイスさせてもらい、逆に宮原さんからは歌のことや譜面の読み方を教えてもらったりして、切磋琢磨してきました。が、会わなくなると...やっぱり負けてらんねえ!と思いますよね(笑)。彼の歌は素晴らしいですから、僕はこの1ヵ月の稽古、危機感しか抱いておりません。今日もモニターでちょっと見ましたが、演出も、グルシンスカヤと男爵のシーン本当に違うんですよ。こんなに違うのかと思いながらも、こういうアプローチの仕方もあるんだという悔しい思いもします。本番あけても危機感はとれないと思いますので、僕はREDとGREENのバトルだと思ってるので。楽しんで見てください!」

皆さん「エールじゃないよね...」とざわざわしつつ、「さぁ、どう答える!」と宮原さんを煽るカンパニー一同です(笑)

宮原「...宣戦布告みたいなかんじでしたが...僕はあんまり戦ったりするのは好きじゃないので(一同爆笑)。年齢は僕の方が上なのですが、伊礼君の方が大先輩ということで、伊礼先輩と言わせていただいていました。僕は演じるということがわからなくて、動きひとつとっても「わぁ、かっこいいな」というところからイチから教えてもらっていました。稽古場でだんだん会わなくなって、そこからは教えていただいたことをもとに自分なりに一生懸命作ってきているので、最終的にはお互いいい男爵が演じられると思いますので。...やっぱり負けられませんね(笑)」


GREENチーム
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REDチーム
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▽可愛いWオットー
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▽会見中、取材陣の後ろの方からトムさんがケータイで撮影しているのに気付き、Vサインの中川さんと安寿さんです
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取材・文・撮影:平野祥恵




【公演情報】
・4月9日(土)~24日(日) 赤坂ACTシアター(東京)
・4月27日(水)・28日(木) 愛知県芸術劇場 大ホール
・5月5日(木・祝)~8日(日) 梅田芸術劇場 メインホール(大阪)

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