■ミュージカル『グランドホテル』vol.11■
ミュージカル『グランドホテル』、いよいよ稽古もスタートし、作品が動き出しています!
これまでキャストのビジュアル撮影レポート&インタビューを連載していました<げきぴあ>ですが、引き続きこの作品を追っていきますよ~!
本日お送りするのは、今月アタマに行われた<顔合わせ>の模様です。
キャスト、スタッフから、主催者、キャストの事務所関係者等々、作品に関わる人々が一同に会する<顔合わせ>の場。
今回の『グランドホテル』は〈GREEN〉と〈RED〉の2チーム制で上演されることはこれまでもお伝えしていますが、なんと<顔合わせ>も2日にわたり、2チーム別々で開催!
Wキャスト・Wチームの公演というのはさほど珍しいものではありませんが、顔合わせまで別々に行うというのはなかなか珍しい。
まさに、「ふたつの『グランドホテル』」が、ここから生まれていくのです!
〈GREEN〉チーム
〈RED〉チーム
演出のトム・サザーランドさんからは「昨年、日本で『タイタニック』という作品をやりました。演出家としてのキャリアの中でももっとも楽しく、エキサイティングな時を過ごしました。今年もまた、日本で演出する機会をいただき、心の底から嬉しく思います。『グランドホテル』のこの旅路、出航するのが本当に楽しみでなりません」というご挨拶が。
また作品については下記のようなことも語っていらっしゃいました。
「この作品に、正しいやり方、間違ったやり方というものはないと思っています。すでに個別、役どころについてご説明させていただいた方もいますが、皆さんにお渡しした情報はスタート時点の情報です。振付のリー・プラウドさん、音楽監督のマイケル・ブラッドリーさん、そして私は、必ずキャストの皆さんとの共同作業をしたいと思ってます。あるところから先は、皆さんを信用してお渡しすることになります。
特に今回は、ふたつの違うチームがあります。ふたつの全く違った作品を作りたい、そこが目標ですし、そうなります。それはキャラクターの膨らませ方だけではなく、物理的に、違うふたつの作品が出来ると思っていただいてかまいません。
そしてステージングはすべて皆さんに合わせて、既製服ではなくオーダーメイドのものを作りたいと思います。皆さんのそれぞれの役柄に対する解釈をその中に盛り込みたいと思っています。
今回は"アン・ユージュアル"通常ではないという言葉を、かなり使うことになると思います。まず、休憩なし。なぜなら『グランドホテル』という作品は、とにかく前に前にと常に動きのある、ストップすることがない作品だからです。
そして皆さんの歌うその内容の重要度はとても高く、よく練られたものです。また非常に繊細に入り組んでいて、よく考えられた作品でもあります。(先に歌稽古をすすめていましたが)いよいよステージングが始まりますが、それまでには音楽をきちんと身体の中に入れておいていただく必要があります。
とにかく、積み重ねの作業です。材料だけでストーリーを語ろうとしても、それだけでは足りない。視覚的なインパクトも必要です。リーさんの振付は大変に複雑です。そしてリーさんは「ベストではない、二番目でいいや」ということは決してやらない。そして皆さんがどこまで出来るか、瞬時に見てとる方。皆さんの出来るいっぱいいっぱいまで彼は要求すると思う。
肉体的にも過酷な作品でもあります。皆さん、出ずっぱりになります。舞台上のアクションに関わっていない方でも、舞台上でそれを見守るという形で参加していただきます。ですので袖に入る、楽屋にもどるということはない作品です。2時間近くのあいだ、ずっと集中力を持ち続けなければいけない作品です。
ただエキサイティングな作品です。それがこの作品たるゆえんです」
トムさんの言葉は、(厳しいことを言っているところもありますが)わかりやすく、イメージがしやすく、今回の『グランドホテル』がどんなに素晴らしい作品になるのか......とても期待が高まるお話でした!
さて、すでに稽古は始まっているとのことで、比較的さっくり終わった顔合わせでしたが、何名かのキャストの方に顔合わせ後、突撃撮影にご協力いただきました!
リクエストポーズはずばり、「『グランドホテル』への意気込み」です!
〈RED〉 オットー・クリンゲライン役
成河さん
〈RED〉 フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵役
伊礼彼方さん
(成河さんと双子のようないでたちですね...)
ご一緒にいらしたところを突撃!
〈GREEN〉 ヘルマン・プライジング役 戸井勝海さんと、
〈GREEN〉&〈RED〉 ローナ役、友石竜也さん
〈GREEN〉&〈RED〉 ズィノヴィッツ役
大山真志さん
今まさに帰るところ!に声かけてしまいました、すみません&ありがとうございます。
〈GREEN〉&〈RED〉 スペシャルダンサー役
湖月わたるさん
すでに謎めいた"愛と死の化身"っぽいシンプルでシックで素敵なお洋服で...。思わず「私服ですか?」と訊いてしまった担当です。
(『CHICAGO』お稽古中に、NYでご購入されたものだそうです)
〈GREEN〉 ラファエラ役
樹里咲穂さん
朗らかに「ええよー!」と満面の笑顔を向けてくださいました♪
最後に、〈GREEN〉 オットー・クリンゲライン役
中川晃教さん
誰よりも気さくに「写真?いいよ~!」と快諾してくださった中川さんには、今回のWキャスト(2チーム制)についてコメントを頂きましたので、こちらもご紹介します!
(『グランドホテル』の公演全体についての中川さんのインタビューはすでにこちらに掲載していますので、あわせてどうぞ)
「成河くん、すごくいいですよね! 先日、初対面でふたりでインタビューを受けたんですが、すごく話が盛り上がっちゃって。なんか考え方とか似てるんですよ。スタッフの皆さんには、雰囲気も似ているって言われた。チラシ見ても、自分でも一瞬「あれ、俺かな?」って思ったら、いや違った成河さんだった、って思っちゃったり。
何がいいって、Wキャストというシステムの、新提案ができるパートナーだと思ったの。Wキャストって、最近の主流は、まったく違うタイプの俳優さんふたりを配するじゃないですか。この人はこの人なりの、もう一方はもう一方なりの役作り。それがWキャストの良さ。でも今回の『グランドホテル』は、成河さんと僕、ふたりでひとつを作る...と思っています。一見、どちらを見ても「何が違うの!?」ってくらい、感じるものは同じで、鏡の表と裏のようにピッタリと重なる、オットー・クリンゲライン。それを、ふたりで作っていく。それは、俺がシングルキャストで演じるより、数段楽しめるものになるのではと感じています。
Wキャストで、この人はこう演じるから、俺はこう演じよう...というのは、俺は浅はかだと思う。むしろ、その役を突き詰めていったら、お互い見えてきたものは一緒だったね、って方が良くないですか? だって、それがその役柄なんだから。でも、そういっている俺たちの個性は、如実に違っているわけじゃないですか。片や俺はミュージカル・音楽畑でやっていて、片や成河さんはつかこうへいさんのところをはじめ、「ド・演劇」を突き進んできた方。そのふたりが同じひとつの役を演じることで、面白さや感動を深められる、っていうのはすごく素敵じゃないかなと思うんです。本当に、成河さんとは「パートナーに出会った」って思ったくらい!自分の中にいる、もうひとりのオットー・クリンゲラインと出会えた。年齢も近いし、同世代で一緒に作品を作っていけることも嬉しいし。今回、お互いの稽古は見ちゃいけないと言われてるんですが、そんな壁ぶち壊して一緒に作っていこうよ!と盛り上がっています」
取材・文・撮影:平野祥恵
【バックナンバー】
【公演情報】
・4月9日(土)~24日(日) 赤坂ACTシアター(東京)
・4月27日(水)・28日(木) 愛知県芸術劇場 大ホール
・5月5日(木・祝)~8日(日) 梅田芸術劇場 メインホール(大阪)