2015年8月アーカイブ

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20世紀のアメリカが生んだ偉大な劇作家であり、ノーベル賞作家でもあるユージン・オニールの戯曲で、オニールの死後、発表された衝撃作が舞台化される。演劇史上最高の自伝劇と呼ばれている本作は、シェイクスピア俳優であったものの近年では金のために同じ役ばかりを演じている父ジェイムスと、過去の辛い出来事から抜け出せず、麻薬中毒に陥っている母メアリー、酒に溺れ自堕落な生活を送る兄ジェイミー、そして肺結核に冒された弟エドマンドの一家の、ある夏の一日を描いている。
 
出演は、ジェイムスに益岡徹、メアリーに麻実れい、ジェイミーに田中圭、エドマンドに満島真之介と実力派そろいの楽しみな顔ぶれ。家族の関係を赤裸々に描く注目作に挑む4人と、演出を勤める熊林弘高から、開幕を前にコメントが届いた。

■麻実れいコメント

「この素晴らしい作品は上演される機会が少なく、私たちはその機会に恵まれました。簡単に言えば家庭崩壊劇で、大変哀しい結末にまっすぐ進んでいく訳ですが、その中に家族愛があり、そしてものすごく哀しみが美しい。作品の豊かさ深さを感じる非常に魅力のある本。特に学生の方に見ていただきたいなと思います」(麻実)

麻実れい_0_504561.jpg■田中圭コメント
   
「家族の愛の物語ですが、すごくいびつな形というか、それぞれが抱えている問題や家族間の関係性がすごく繊細で危ういけど、その根底にはすごい愛情があるという4人の家族の話です。ぜひ劇場に足を運んでいただいて、皆さんも、自分の家族はこうだな、とか、理想の家族はこうだなとか帰り道に話していただけるような作品になるだけでも幸せです」(田中)

田中圭_0_504372.jpg■満島真之介コメント

「出演者4人の濃厚な家族劇になっています。 今、家族というものにもう一度向き合わなきゃいけない時期かなあと思っているので、 この作品を通して、自分の家族に立ち返ったり、過去を振り返ったり、 僕らを通じて家族の深い愛情を感じて頂ければ幸いです」(満島)

満島真之介_0_504194.jpg■益岡徹コメント

「色々発見するところが多い芝居だと思うのでそれが楽しみであり、みんなで発見したものを見ていただくのが見どころ。愛情の量と、憎しみもそれと同じくらいあるみたいな、こういう物語は、救いがないような描かれ方をするし、大悲劇のようなんですが、それでも愛情の総量というか、人間の思いの大きさというものを感じとっていただけたらと」(益岡)

益岡徹_0_505033.jpg「言葉で相手を傷つけながら求め合っている家族、けんかをしながら一緒にいる家族の物語。自分にとって、この『夜への長い旅路』はどういう意味を持つのでしょう。ぼくは去年父を亡くし、10年前に母も亡くしています。ひとりっ子だったぼくには、『夜への長い旅路』の家族のような、人間の尊厳を賭けた会話を、父や母とした記憶がない。ぼくが家族劇を演出する理由、その中で、人間同士の激しい愛と憎しみを表現する理由は、それが欠けたピースを埋める作業だからでしょう。今まで演出した家族劇の中で、今回が一番の難関、難所。この作品を乗り越えて初めて、家族というものを、自分の中のある落としどころに落とすことができると思うんです」(熊林)
 
公演は9月26日(土)から29日(火)まで、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演。チケット発売中。

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HEADS-UP_02.jpg ミュージカル「HEADS UP!」の製作発表が行われ、演出を手掛けるラサール石井と、キャストが意気込みを語った。

 
ミュージカル「HEADS UP!」は二人の「舞台監督」を中心に描く、いわゆるバックステージもの。ラサール石井が10年以上も構想してきたものが今年11月に上演される。
脚本は倉持裕。主演はこれがミュージカル初出演となる哀川翔だ。また、若手注目株のミュージカル俳優 相葉裕樹、劇団☆新感線の橋本じゅん、元宝塚トップスターの大空祐飛、圧倒的な歌声を持つ中川晃教など、個性的なキャストが集まった。

本作の製作発表が行われ、ラサール石井と、メインキャストたちがこの一風変わった作品についての思いと、意気込みを語った。
以下の動画はこれを収録したもの。【動画13分】


(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ

ラサール石井が出演した作品をDVDでチェックしてみる

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■『ダンス オブ ヴァンパイア』vol.7■


ロマン・ポランスキー監督映画をもとに、1997年にウィーンで初演されたヴァンパイア・ミュージカルの傑作『ダンス オブ ヴァンパイア』
吸血鬼のクロロック伯爵と、ヴァンパイア研究の権威・アブロンシウス教授の対決を軸に、一風変わった登場人物が入り乱れ、熱狂のフィナーレへとなだれこむ......。ゴシック調の荘厳さを漂わせながらも、ユーモアと、哲学的味わいがある作品で、日本でも2006年の初演以来、観る者をとりこにし、劇場を熱く賑わせてきました。

本作で、主人公・クロロック伯爵を日本初演から演じているのは山口祐一郎
その迫力の歌声、孤高の存在感、時折見せるユーモア...は、もはやこの人しか考えられないほどのハマり具合!
四演目となる2015年は、どんな深みでクロロック伯爵を魅せてくれるのか、今から楽しみです。
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2015年版『ダンス オブ ヴァンパイア』ビジュアル撮影風景取材を連載中のげきぴあですが、お待たせしました。
大トリはいよいよクロロック伯爵の登場です!


 ビジュアル撮影レポート 


撮影現場はこんな雰囲気です。
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憂い顔の伯爵様も素敵ですね。
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80年代、90年代の小劇場界を牽引し、2002年に惜しまれつつ解散した劇団、遊◎機械/全自動シアター。
その看板女優・座付脚本家として活躍していた高泉淳子が、劇団活動と並行し1989年から上演していたのが『ア・ラ・カルト』
小さなレストランを舞台に、お芝居と生演奏で、愛すべき登場人物の人生のひとコマをオムニバスで綴るこの作品は25年にわたり愛され、毎年冬に青山円形劇場で上演される風物詩となった。
同劇場を収容する「こどもの城」の閉館にともない、昨年この公演もファイナルを迎えたが、その台本を書き上げている高泉が、新たな挑戦として上演するのが『風味体感レストラン恋物語 高泉淳子 Reading Live Show「アンゴスチュラ・ビターズな君へ」』だ

『アンゴスチュラ・ビターズな君へ』は、もともとは『ア・ラ・カルト』の戯曲を、高泉自らが小説化した書籍。
ステージではこの小説をもとに、レストランにやってくる人々の会話を、オムニバス形式のテーブルストーリーとして、フレンチ・ジャズとリーディングで繰り広げていく

『ア・ラ・カルト』から生まれた、ただし『ア・ラ・カルト』とはひと味違うステージの開幕を目前にした高泉淳子さんに、話を訊いてきました。


◆ 高泉淳子 INTERVIEW ◆

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なんといっても25年も続き、二世代、もしくは三世代にわたってのファンもいるほどに愛された『ア・ラ・カルト』。今風に言えば"『ア・ラ・カルト』ロス"に陥っている人には、『アンゴスチュラ・ビターズな君へ』の上演は嬉しいニュースだ。今回は、今年2月に1日だけ開催された東京文化会館公演に続いての上演となるが、実は同じタイトルを冠する公演は、以前から行っている。

「もともとは『ア・ラ・カルト』が20回目を迎えたときに、20回分の台本から、自分で選んだ物語と、編集者に選んでもらった物語から、5つ話を選んで小説にしたのが『アンゴスチュラ・ビターズな君へ』。本を出したあとに一度、兵庫で公演をやらせて頂きましたが、その時は"One Hour シアター"ということで1時間で出来るものということで、ミュージシャンもふたりだったかな? そんな形でやりました。あとは、ライブをやることが多かったので、ライブ会場だと(凝った)お芝居は出来ないでしょう。その中で『ア・ラ・カルト』を紹介するために作ったシーンをリーディングしたり、というのは何度かやってきました」


基本形は以前からありつつも、形態が変わってきている、ということでしょうか?

「あとお話も違ってきていますね。だいたい4つの大きな話から成っているのですが、新しい話がひとつふたつ...と入ってきて。『ア・ラ・カルト』が新しくなるにつれ、こちらにも新しい物語を組み込んだりしていますので。例えば、もともと小説には"老人の話"はないんですよ」

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成河深田恭子の主演で贈るミュージカル『100万回生きたねこ』がまもなく開幕します。

1977年の初版からロングセラーを重ねる、佐野洋子の同名絵本を原作にしたミュージカル。イスラエルの奇才、インバル・ピント&アブシャロム・ポラックが演出・振付・美術を務め2013年に上演、大好評を得た作品が、新キャストで2年半ぶりに再演されます。
深田恭子の初舞台作ということも話題。

初日を目前にした8月13日、フォトコールが行われ、作品の一部が報道陣に公開されました。
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【バックナンバー】

物語は、100万回生まれ変わり様々な飼い主に飼われながらも自分のことしか好きにならなかった"とらねこ"が、ある時彼に見向きもしない1匹の白いねこに出会い、初めて愛情を知る...というもの。

成河がとらねこを、
深田恭子が白いねこ と、女の子のふた役を演じます。
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■『ダンス オブ ヴァンパイア』vol.6■


2006年の日本初演の千秋楽には、当日券を求めファンが1200人以上並んだという人気ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』が4年ぶりに帰ってきます!

主役のクロロック伯爵は日本初演からこの役を務めている山口祐一郎
伯爵と対決する、アブロンシウス教授石川禅

続投するこのふたりに加え、サラ役神田沙也加舞羽美海、
アルフレート役平方元基良知真次が初参加!

8月11日、この作品の製作発表記者会見が開催されました。
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会見の会場となったのは、なんと教会
クロロック伯爵にとっては"敵地"ではないですか...!
みんなのアイドル、こうもりのリー君(←この作品を宣伝してくれる愛すべきキャラクターです)の姿も。
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十字架に怯む、クロロック伯爵。
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十字架攻撃をしているのは...
アブロンシウス教授と平方アルフレート。
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(平方さん、会場への登場第一声も「プロフェッサ~~!」でした)


そんなこんなで、舞台衣裳のキャストが揃い、華やかかつ賑やかに会見はスタートしました。

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氷点下の恐怖! 岡田将生&勝村政信が贈るホラー芝居

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岡田将生勝村政信が英国ホラー演劇の傑作に挑む話題作『ウーマン・イン・ブラック〈黒い服の女〉』が8月7日(金)に東京・PARCO劇場にて開幕する。開幕を目前に控えた6日、舞台稽古が報道陣に公開されるとともに、岡田と勝村が意気込みを語った。 
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中年の弁護士が、かつて体験した恐怖体験。それは顧客の遺産整理のために訪れた田舎町の屋敷で出会ったもの。今でもその影に悩まされる彼は、若い俳優を雇い、忌まわしき過去を"劇"の形で再現していくことで、その恐怖の呪縛から逃れようとするが......。ロンドンでは今年27年目を数えるロングランを続け、世界でも40余国で上演されている大ヒット作。劇中劇をたくみに利用した構造、照明や音響から直接肌に感じる恐怖に加え、何よりも観客の想像力によって恐怖が倍増されていく、演劇ならではのホラー作品だ。日本では1992年より上演を重ね、今回で7度目の上演。両役とも新キャストとなったが、若い俳優を演じる岡田の爽やかな素直さ、中年弁護士を演じるベテラン勝村の手練れた老獪さのコントラストが、物語の行く末を謎に満ちたものにし、ビビッドな恐怖を生み出した。 
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会見では、岡田が「今日(舞台稽古で本番用の)照明を全部当てて演じましたが、めちゃくちゃ怖かったです。(結末を)知っているのに怖い。知らなかったらもっと怖い」と語り、勝村も、客席での体感気温は「氷点下でしょうね! 地球全体が凍ってしまうという"全球凍結"に近い瞬間がある」と、そのホラーぶりをアピール。 

また舞台出演2作目で、ふたり芝居という難易度の高い作品に出演する岡田は「舞台での立ち方、しゃべり方、一から勝村さんが教えてくださった。色々なことを吸収して、この『ウーマン・イン・ブラック』で成長した姿を勝村さんに見てもらいたい。先輩の足をひっぱらないよう一生懸命くらいつきたい」と意気込み。その岡田を勝村は「将生君は過剰なことをせず、シンプルに色々な表現ができる人。僕ら年配者はどうしてもちょっとずつエンターテインメント寄りに作ってしまったりするので、僕としても勉強になった。...ご覧になってわかるように、身長も顔も、基本的に何も、言うことはないですよね...」と、高く評価している模様。そんな息のあったふたりが生み出す恐怖の物語で、この猛暑を少しひんやりさせてみては。 

公演は8月7日(金)から30日(日)まで同劇場にて。その後愛知、新潟、大阪でも上演される。チケットは発売中。


初日直前 囲み取材レポート


ひと足先に<チケットぴあニュース>にてお伝えした、『ウーマン・イン・ブラック〈黒い服の女〉』の開幕ニュースですが、げきぴあでは初日前日にあたる8月6日に行われた、岡田将生さんと勝村政信さんの囲み取材のレポートをもう少し詳しくお届けします!


――明日初日を迎えるにあたっての意気込みを。

岡田「先輩の足をひっぱらないよう一生懸命くらいついて、本番のこの一ヶ月を乗り越えたいなと思います。ふたり芝居で掛け合いも面白いですし、そこから来る恐怖もあるので、ぜひ劇場にきていただけたら嬉しいです」

勝村「この作品はロンドンでもいまだにロングランされていますし、日本でも長い期間上演されてきているもの。先輩たちの作り上げた素晴らしいものに、泥を塗らないようにしていきたい。ふたりでずっと夏を味わうことなく頑張ってきましたので、ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います」
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ミュージカル「TOP HAT」の記者会見が行われ、英国版キャストが華麗なパフォーマンスを披露した。

 
ミュージカル「TOP HAT」は、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが出演した同名の映画(1936年日本公開)が原作の舞台。2011年にロンドンでミュージカル化され、2013年には「英国ローレンス・オリヴィエ賞」最優秀新作ミュージカル賞を受賞するなど、大好評を博した作品だ。

この秋、来日公演が開催されることを受けて、主演の2人が来日し、劇中の一部のシーンを公開! 以下の動画はこれを収録したもの。圧巻のクオリティでタップを踏む2人を動画でご覧ください!


(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ


こちらも傑作ミュージカル!
松本幸四郎が「見果てぬ夢」を熱唱! ミュージカル「ラ・マンチャの男」製作発表

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日本人でありながら、中国の歌姫「李香蘭」として生きた女性・山口淑子の数奇な半生を綴る『ミュージカル 李香蘭』
日中戦争を背景に、戦中は日本軍の宣伝工作に利用され、戦後は祖国反逆者として中国の法廷で裁かれた実在の歌姫の姿を、戦争の悲劇や当時の軍部の思惑、その中でもほのかに咲く恋、そして日劇での華やかなショーなど、様々な要素を織り交ぜ描き出していく作品です。

日本オリジナルミュージカルの中でも高い人気を誇り、1991年の初演よりコンスタントに上演され続けている傑作が、<浅利慶太プロデュース公演第2弾>として、終戦70年目の今年、ふたたび上演されます。

<浅利慶太プロデュース公演>は、劇団四季の創設者であり、元代表の浅利慶太氏が、
「組織のトップとしての束縛から解放され、自由に、しなやかに仕事ができる居場所が欲しい」(『ラ・アルプ』3月号より)と今年発足させたプロジェクト。
『ミュージカル李香蘭』は、4月に上演された第1弾公演『オンディーヌ』に続く、2作目です。

そして李香蘭はこれまでに様々な女優が演じてきていますが、その中でもこの作品の"李香蘭"といえば、多くの観客がこの人の顔を思い浮かべるでしょう。

初演からこの役を演じている、野村玲子さんにお話を伺ってきました。

◆ 野村玲子 INTERVIEW ◆

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――久しぶりの『ミュージカル李香蘭』ですね。今、お稽古に参加されていてどんなお気持ちですか?

「今回は終戦70年ということと、昨年、李香蘭(山口淑子)さんがお亡くなりになり、今回の公演の最中に一周忌を迎えます。今まで以上に山口先生と出会えたこと、この作品に出会えたことに対する感謝と、平和への思いを胸に刻んで、お稽古に参加しています」


――野村さんはこの作品に初演から関わっていらっしゃいますが、初演当時の思い出など教えていただけますか。

「李香蘭さん...山口淑子さんの半生には、ミュージカル化するというような話もまったく出ていない時に、本で出会いました。初めてその本を読んだ時、ちょうど『エビータ』という作品を上演している最中だったんです。エバ・ペロン(エビータ)は1919年生まれで、李香蘭さんは1920年生まれ。ほぼ同時期に、地球の真裏で人生を歩まれた方たちの半生を同時期に体験し、本当に数奇な運命を生きられた方たちっていらしたんだわ...って思いました。その後、舞台化するときいて、どんな作品になるんだろうと、ワクワクしていました。
...でも、実際に一番最初の、たたき台の台本を頂いて、そもそもバックボーンである歴史自体をしっかり学んできていなかった世代でしたので、自分の無知さを思い知らされて、それはそれは大変でしたね。まず勉強しろ、と」

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演出家の蜷川幸雄の演出・監修によりシェイクスピア全37戯曲の上演を目指す、彩の国シェイクスピア・シリーズ。第31弾はシェイクスピア最古のコメディといわれる『ヴェローナの二紳士』を上演する。シェイクスピアの時代にならい全ての役を男性キャストが演じる"オールメール"シリーズの最新作で、主演の溝端淳平が純朴な田舎娘ジュリア役で初めて女役に挑む。蜷川とは海外公演も果たした『ムサシ』以来、2度目のタッグだ。

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「『ムサシ』に出演させてもらった時に、できれば次はシェイクスピアでご一緒したい!と思っていたので。本当に夢のようですし、光栄です。蜷川さんは役者を成長させようと毎回課題を与えてくださる、厳しさの中にも愛のある方。今回も女性役という自分でも想像がつかないようなところに踏み入れられるチャンスを得られたことは、嬉しいですね」

溝端淳平_DSC0101.jpg2組の男女を巡る恋と友情、裏切りを描いたコメディ。溝端演じるジュリアは恋人を追ってヴェローナからミラノへ出るが、彼氏は別の女性に心を奪われていた。しかも彼氏は、道中護身のために男装していたジュリアをそうとは知らず小姓に就かせ、恋の使いまでさせてしまう。
「恋愛も友情もちょっとしたことで裏切られたり、修復したりする。特に若いうちは心変わりしやすいものだろう。そんなリアルな問いかけが、喜劇の中に隠されている。それゆえ後半の展開にはすごく驚かされる部分もあるんですが、そこにリアリティがある。ジュリアは正直で心に芯を持った素敵な人。僕も和歌山県出身でミステリアスな影とかは自分でもないと思うので、そこは似ているのかな(笑)。気持ち的には入りやすい」

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12月には寺山修司の舞台『レミング~世界の涯まで連れてって』への主演が控えるなど、これまでつかこうへい、井上ひさし、永井愛ら演劇界を代表する作家の作品に触れてきた。
「才能ある方々とご一緒した時間は財産だと思います。舞台では役者の心技体が伴わないと感動を届けられない。それを実践されている先輩方の姿には憧れますし、自分もいろんな役に挑戦して殻を破りたい。ここ数年で舞台の魅力に、どんどん引き込まれています」

初の女役に向け「やれることは何でもやっていきたい」と、まずは自分なりに歌舞伎の女形などを参考に所作や動きを研究する日々。線が細くみえるよう、体も絞るつもりだ。
 「オールメールってどう演じるの、女役を演じながら男装なんてできるの? とか、やる方も観る方もハラハラすると思う。そんな普通じゃない所に魅力があるんじゃないかな。『ヴェローナ~』は特にシェイクスピアを初めて観る方にも見やすい作品だと思う。絶対にここでしか味わえない感動があるので。僕の女役も含め、楽しみに見に来て欲しいですね」

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公演は10月12日(月・祝)から31日(土)まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホール、11月6日(金)から9日(月)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。愛知、福岡公演あり。

取材・文:石橋法子
撮影:奥村達也


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