『ライオンキング』にオリジナル演出家ジュリー・テイモア来場

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8月27日、四季劇場[春]で上演中の『ライオンキング』にオリジナル演出家ジュリー・テイモアが来場しました。
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テイモアさんは『ライオンキング』で演出、衣裳デザイン、マスク&パペット共同デザイン、作詞・作曲補として関わり、この作品で1998年にトニー賞最優秀演出賞と、最優秀衣裳賞を受賞しています。
あの、文楽やインドネシアの影絵を取り入れた、印象的な『ライオンキング』の世界は、テイモアさんから生まれました。

日本公演の観劇は2000年以来、実に15年ぶりとのこと!

この日はカーテンコールで、ムファサ役の内田圭さんの呼び込みで、ステージへ。
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「このカンパニーの皆さんを観ることができて、とてもワクワクしましたし、興奮しました。(子どもの多い客席を見て)本当に若い、新しい素敵なお客さまの前で...」と感動を語ります。

また「もしかして、(日本初演の)17年前からずっと出てますという方、いらっしゃいます?」という質問に、ソロソロと手を上げるスカー役の野中万寿夫さん。
テイモアさんももちろん、客席からも大きな拍手!
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テイモアさんはほかに、
「実は二十歳の頃、日本に来たことがあるんです。そしてその時に日本の歌舞伎や能、文楽や舞踏、そしてコンテンポラリーな演劇などもたくさん観て、そこからたくさんのインスピレーションを得ました。そのあとインドネシアへ行って、そこでもいろいろなことに感銘を受けました。このとてもアフリカでアメリカな作品には、世界のここ、皆さんがいらっしゃるこの部分(アジア)から多くのインスピレーションを受けて出来上がったのです。ですから、自分がこのようにここに戻ってくるというのは、"サークル"がこれで完結したということになるのではないかと思います」
とも話していらっしゃいました。
これもまた"サークル・オブ・ライフ"なのですね。
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終演後は、キャストとの交流も。
「ダンスも歌も芝居も、とても素晴らしかった」とテイモアさん。
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シンバ役の田中彰孝さんからは、出演者のサイン入りポスターが進呈されました。
1万回バージョンのポスターです。
「これ、あなた!?」とテイモアさん。
そうです田中シンバです。
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ナラ役の齋藤舞さんからは、ライオンキングだるまが。
「だるまって何?」と訊かれ、なんと説明していいか困ってしまうキャスト一同...。
(確かに、説明しにくい!)
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その後、ジュリー・テイモアさんを囲んでの取材会も行われました。


――15年ぶりに日本で『ライオンキング』を観た感想を改めて。

「とっても感動しました。どの国であってもこの作品は、その国特有のものにしてくれるというのが、見ていてとてもすごい。日本では、例えばスカーなどは、日本語だと非常に効果的だなと私には思えました。スカーの顔の使い方、声の響き方、日本語の使い方が、日本語だからこそ効果的なのかなと思うところがあった。また日本人の皆さまだからこそ理解がある動き方や身体の使い方というのも、日本ならではの部分だなと思いました」


――日本でロングランが17年続き、上演回数が1万回超えていることについてどう思われているか。

「どうして日本では『ライオンキング』がこんなに人気があるんでしょう、逆に教えて頂きたい(笑)。なぜでしょう...。もしかしたらこういった形の演劇に対する愛情というものが、伝統的に日本にはあるのかもしれない。伝統芸能である歌舞伎や能に対するリスペクトが日本にはあるのかもしれません。動き方やマスク(お面)をつけて動くこと。文楽の要素などもあり、実際にそれら伝統芸能そのままをこの作品でやっているわけではないのですが、そういうところからインスピレーションを受けている作品ではあるので、何か日本人の皆さまの中の血の中でそれを感じる部分があって、人気があるのかもしれません」


――お気に入りのシーンがあれば教えてください。

「今日は『Be Prepared(覚悟しろ)』の場面が一番好きでした。すごく良くやってくださっていた。色々な国で観た中でも一番良かったと思います。通常は一番好きなのは『シャドウランド』。曲がすごく好きなので。あとは2幕の『He Lives in You(お前の中に生きている)』が好きです」
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――あなたの人生にとって『ライオンキング』はどのような存在になっているか。

「私は演劇の持っている力を非常に信じていまして、それが文化を超えていくことが出来ると信じています。若い頃に4年間アジアに滞在しました。日本やインドネシアに滞在し、当時から演劇というものがコミュニケーションのツールとして使える、文化の違いを超えていくことが出来ると思っていたのですが、『ライオンキング』という作品がそれを証明していると思います。
これはアメリカの演劇ではなく、人間のための演劇だと思っています。
この物語...息子が追放されて...というものは、ある意味でよくある話。それはどの国の人にも共感できるところなのかなと思います。もちろんそれぞれの国によって、例えばメキシコでやったらメキシコっぽくなるし、スペインでやったら非常にスペインっぽくなるところもありますが、それを観ているお客様のリアクションはどの国でも共通するところがある。そういう皆さまのリアクションを見ると、本当にパワフルな作品なんだなと感じることができます。
また個人的な話でいうと、アーティストとして非常に大きな自由を与えてくれた作品になりました。これだけ長く上演が続いたことで、経済的にもやりたいことがやれますし、精神的な面では、色々な国にいって、色々なアーティストの人たちと繋がる機会を与えてくれた作品です。
そしてこの作品は"純演劇"なんだと思います。よく演劇は死に絶えていく芸術だという声を聞くこともありますが、この作品はエンターテインメントの中でも成功を収めている作品で、よっていかに演劇というものが大切なものかということを示してくれているんじゃないかと思います。上演にあたり複雑なテクノロジーや技術を使っているわけではない。例えば棒の先にねずみがついていて、照明を使ってそれを表現する。そういう部分が大切なんじゃないかと思います。演劇という芸術の形をそのまま見ていただける。それは若い頃日本にいたときに自分が学んだもの。実際に人形を操る人たちがどう動いているか、それ自体が芸術だと学ばせていただきました」


取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
(c)Disney

【公演情報】
東京公演...四季劇場[春]にて
大阪公演...大阪四季劇場(ハービスENT内)にて
ロングラン上演中

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