昨年、まさかの舞台化で話題を呼び、連日満員御礼となったLIVE ミュージカル演劇『チャージマン研!』の第二弾LIVEミュージカル演劇「チャージマン研 R-2」が10月10日(土)から東京・新宿FACEにて上演されます。
本作は、昭和40年代に制作放送され、平成になってそのチープでクオリティの低い内容がネットやテレビで爆発的に人気になり、新たなファンを獲得したアニメ「チャージマン研!」を原作にした舞台。しかし、主人公・研が4人(クアトロキャストではないです)いることをはじめ、かなり型破りな作品です。初演では、公演中に舞台では前代未聞の"毎公演無料配信""本番中も携帯での写真撮影 OK"にしたことで、連日 SNS でも話題を集め、当日券の列が日に日に長くなり、入り切れなくなるほどでした。
キャストは初演から引き続き、古谷大和、安達勇人、星元裕月、篠原麟太郎、浜ロン、村上幸平が出演。演出はキムラ真(ナイスコンプレックス)、脚本は伊勢直弘、音楽は手島いさむが手掛けます。(公式HPはこちら https://www.lol-w/cha-ken_r2/ )
果たしてどんな舞台になるのか......!
というわけで、新キャストの藤原祐規さん、東拓海さん、アムロレイ芸人として有名な若井おさむさん、そして吉井プロデューサー(以下、吉井P)にお話をうかがいました。
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――LIVE ミュージカル演劇『チャージマン研!』第二弾はどのような舞台をイメージされていますか?
吉井P 基本的には初演と同じスタイルです。前回の爆発力がすごかったですからね。普通だったら「じゃあまた違うことをやろうよ!」となるところですが、この作品はスタッフもキャストも「同じことをやろうよ」という声があがっていて。
――初演はお客様からどんな反応がありましたか?
吉井P 「とんでもないことをやったね」「クレイジー」という(笑)。
――(笑)。わたしも拝見しましたが、確かにクレイジーでした。割とお客さん同士もお喋りをしながら観ていたりして、応援上映的な空気もありましたよね。
藤原 え、本番中にお喋りってことですか?
――はい。
藤原 すげえ!(笑)
吉井P 前回はお喋りを止めなかったですね。今回はコロナ対策で席も離れるし、マスクもしてるので、お喋りはできないと思いますけど。
――コロナ対策で変わらざるを得ないところもありますか。
藤原 あ、でもこれ、コロナ対策かわらないですけど、構成案に「口パク」っていう単語が何度も出てきてて......飛沫予防にはなりますよね。
一同 (爆笑)
吉井P これも感染対策です! 言葉を発しない!
東 舞台で口パクって、やる側も想像できない......。
一同 (笑)
――東さんは今回初めて研を演じますが、初演を劇場でご覧になったそうですね。
東 はい。もう衝撃がすごくて......。アニメを見ずに行ってしまったので、本当にわけがわからなかったです(笑)。でも原作をご存知のお客様がすごく盛り上がっているのを見て、すごくいいなと感じて。だから今回やれるのはとても楽しみです。
――何を求められる舞台だと思われていますか?
東 僕は再現性だと思っています。原作の細かなニュアンスとか、そういうところがお客様の面白いと感じられた部分だと思ってので、そこは大事にしつつ。でも研が4人いますからね。そこはそれぞれの個性も必要だと思います。
――藤原さんは今回は星君役ですが、初演では声の友情出演ということで参加されていましたよね。
藤原 はい。なので初演は衣裳を着た通し稽古を見学しました。これがどうお客様に受け入れられていくんだろうってことが気になって。そしたらネットニュースとかでもバンバン出てくるし、今回も出演する古谷大和からは「ふっきーさん、次は絶対出たほうがいい」って言われるし。
一同 (笑)
――古谷さんはなんでそうおっしゃったんですかね?
藤原 わからない(笑)。本当にわからないことがとても多い舞台です。
――若井さんも研役ですが、そもそもこの作品はどのくらい把握されていますか?
若井 オファーをいただいたとき、アニメは知っていたけど、舞台化されていたことは知らなかったんですよ。それで「研が4人いるうちの1人だ」って聞いて、「どういうことや」と思って。
――(笑)。そうですよね。
若井 一応、インターネットで調べて、そしたら少しだけ初演の動画があったので見てみたら、なんかすごくみんなでワイワイやってて楽しそうだなって。普段、僕は大人数でワイワイやるのは苦手なんですけど。
一同 あはは!
若井 でもそこはせっかくなので、演技としてワイワイ......
一同 (爆笑)
若井 いや、本当は普段のときも中に入りたいんですよ。でもやり方がわからない! みんなでワイワイやるやり方が。だから、演技の中でワイワイして、そのままのノリを皆さんとできたらなと思っています(笑)。あと、音楽が手島いさむさんというのが楽しみです。僕は30年以上前から、手島さんが所属するバンドの大ファンなので。
――手島さんはどんなふう音楽をつくられるのですか?
吉井P 手島さんは僕らの話を聞いて、意見もちゃんと言ってくださるので、そこが面白いです。あと、初演でも某作品をパロッたシーンがありましたが、今回も似たようなシーンがありまして。先日の打ち合わせでは、「そこもちゃんと作るから」と言ってくださってましたね。本気でパロッた音楽を作ってくれるんですよ(笑)。
――すごい! それは楽しみです。ちなみに今作の内容も気になるのですが、藤原さんが星君という第4話に出てくるイケメンの役なので、第4話をやるということですか?
藤原 それが......。
吉井P (笑)
藤原 どうやら4話はやらないんですよ。
――え......?
藤原 今、頭を抱えましたね? 僕、まさにそういう状態です。僕は何をしにいくんだろうってところが不安です。
一同 (笑)
――お客さんは第4話を観た前提で台本を書くということなんですか?
藤原 これはまだ僕の想像ですが、アニメの星君は第4話に出てくるんですけど、その前だって一応その世界にはいるわけじゃないですか。だからそういう感じで出てくる。普通に星君として違う話に。研の同級生とかとして出てくるっぽいです。多分。
――それは不安ですね。
藤原 (即答で)不安ですよ。
一同 あははは!
――ちなみに藤原さんはこの中では一番舞台の経験が豊富ですが、この作品は難しく感じるものですか?
藤原 とても。
――(笑)。
藤原 予想ができない、準備ができないので。
吉井P ははは!
――求められるのってなんですかね?
藤原 引き出しだったり、ひらめきだったり、アイデアですかね。でも、演出のキムラ(真)とは何本も一緒に作品をつくっているので、キムラと相談しながら、みんなと相談しながら、やっていきたいと思います。
――若井さんも不安なこと、ありますか?
若井 4人の研の中で、僕、ダントツで年いってるんですよ。今47歳で、50前なんですけど。歌って踊るらしいので、踊りなんてできるのか......体力は持つのか......。そこはかなり心配ですね。僕、そもそもミスキャストだと思ってるんですけど。
一同 (笑)
若井 この中で、一体どういうカタチで僕は演出されるのかなっていうのが、楽しみでもあり、不安でもありますね。
――そもそもなぜこの作品のオファーを受けたのですか?
若井 それは逆に僕が聞きたいところです! なぜ、僕にオファーがきたのか。男前の方ばかり出られてますし。20人くらいに断られて最後に残ったのが僕やったんやな、と思って。ただ来たものを断るというのは僕の中ではないですから。せっかくお声がけいただいたので、ぜひやらせていただきますということで引き受けさせていただきました。
藤原 でも僕、若井さんは「なるほど」と思いましたよ。絶対おもしろい。
吉井P 僕もそう思ってるんだよね。絶対おもしろい。
藤原 ちなみに、アニメの研役の声優さんはアムロの声優さんとは違う方じゃないですか。若井さんはどういくんですか? アムロでいくんですか?
若井 いやいや、アムロでいこうというのはないです。でも声を張ると、アムロになってしまう。
一同 (笑)
藤原 そこがもう面白いですよね。まず絶対かぶらないから、他の3人と。
若井 でもそれ、逆に邪魔しません? 邪魔をしない感じでできたらなと思ってますよ。研の声もしっかり研究して。
吉井P いやいや、研の声を真似る必要はないですからね。
藤原 他のキャストも研を真似するわけじゃないですから。
吉井P 安達勇人なんて茨木弁ですし。
若井 え、そうなんですか......探り探りやっていきます(笑)。
――東さんも研役として、今までとちょっと違う芝居になりそうですよね。
東 そうですね。でも一回やってみたいなと思っているのが、"真面目にやること"です。
藤原 ああ、それはアリだと思う!
東 アニメは正味5分位の中であの展開なので突拍子もないですが、今回、その絵と絵の間の出来事を本気で考えてみたらどうなるんだろうと思っていて。それを一回やったうえで、演じてみたい。......ダメだったら投げます(笑)。
一同 ははは!
――初演はどんな感じでつくっていかれたのですか?
吉井P セリフを4回繰り返すというアイデアは、キムラさんが稽古初日に持ってきたんですよ。前の晩まで「まだわかりません。どうしましょう」ってLINEが来てたんです。でも、初日に4回繰り返しますって言った瞬間から、見えてきた感じはありますね。今「真面目にやる」って話をしてたけど、最初の読み合わせはみんな大真面目に繰り返して読んでいて、大爆笑だったんですよ。
一同 へえ~。
吉井P でも稽古を重ねていくと、その面白さが普通になっていって、足りないんじゃないかって気持ちになるじゃないですか。
――コメディあるあるですね。
吉井P で、どんどんエスカレートしていって、本番一週間前くらいに「ちょっといきすぎてるよ」って僕が止めたんですよ(笑)。それで少し戻して、本番を迎えました。
藤原 なるほど。足し算したくなる。
吉井P なるよね。キャストからアイデアも出てくるし。どんどん発展していくし。
――前回はニコ生での配信も面白かったですね。
吉井P 今回もやります。あのニコ生でのお客様の盛り上がり方......弾幕の使い方だったりとか、あの遊び方はこの作品にすごく合ってるなと思っていて。実はこの遊び方が、若井さんのオファーにも繋がっているんですけど。若井さんが研として登場したときに、どんな弾幕が流れるか。僕らがどうつくろうと、若井さんがどんな芝居をしようと、そこに必ず登場する言葉があると思うんですよね。
藤原 ありますね!
吉井P そうやって、お客さん同士でも楽しんでくれたらいいなと思っています。
――配信は今の時代にとても合いますね。
吉井P だから劇場に来れない方も存分に楽しんでいただけると思います。
――キャストの皆さんはこの作品だからこそできることもあると思うのですが、何か企んでいることはありますか?
東 前回観たときに「僕はふざけ過ぎないようにしよう」と思ったんですよ。
吉井P (爆笑)
藤原 一番の若手が!
東 違うんですよ! 引かれちゃうなと思ったので、塩梅を大切にしたいなって。
――でも、ということは、引かれるくらいのことを一度考えてみたってことですよね。
東 はい。最初はいろいろ考えました(笑)。内容は言えないですけど。シミュレーションした結果、スベッてるから......。
一同 (笑)
東 だから一旦落ち着いてやってみたいです。でもどこかで成仏させてあげないといけないから、中盤くらいで出していきたいです。
――(笑)。成仏させる気はあるんですね。藤原さんはどうですか?
藤原 星君ってジュラル星人なので。
――いきなりネタバレを。
藤原 この舞台でジュラル星人ってアンサンブルでしょう? だから僕もアンサンブルに入るのかなと思っていて。アンサンブルは久しぶりですから。
――初心に戻る舞台に......。
藤原 なる、かもしれない。そこをがんばりたいです(笑)。いや、でも原作を観て観に来てくださる方って、観たいシーンがあると思うので。僕の場合、第4話がないからわかんないんですけど。
一同 (笑)
藤原 でもどこかで「星君っぽいな」と思わせたい、というのはあるので。喋り方だったり、立ち方だったり、基本は押さえていきたいなと思います!
――若井さんはチャレンジばかりだとは思いますが。
若井 僕、バラエティ番組とかお笑いの舞台とかで他の人と絡むときに、前日から「よし、これ絶対ウケるわ」と考えて持っていったものって大概スベるんです。
一同 (笑)
若井 なので、共演者の方々と息を合わせてやっていきたいです。とにかく皆さんに迷惑をかけないようにしたいんですけど、でも、あほなことに真剣に取り組むって、やる側も楽しいですけど、観ていただくとめちゃくちゃ楽しいと思うので。楽しんでいただけるようにがんばりたいです!
取材・文 中川實穂
撮影 川野結李歌
LIVE ミュージカル演劇『チャージマン研!』R-2 は、10月10日(土)から18日(日)まで東京・新宿 FACEにて上演予定。