現在も新国立劇場 小劇場にてピーター・シェーファー2作連続公演『わたしの耳』『あなたの目』を上演中であり、これまでも数々の傑作公演をプロデュースしてきたシス・カンパニーが、10月9日~11日の3日間だけという初の短期公演『たむらさん』を上演する。
新型コロナウイルスによる影響によって、予定していた9月公演が当初の計画よりも公演期間を短縮せざるをえなくなったことを発端に、こんな状況なのだから、”何か面白いことをやってみよう”と企画されたのが本作。この機会にシス・カンパニーが声をかけたのが、新進脚本家として注目を集め、主宰する<劇団た組。>で純度の高い劇世界を生み出してきた加藤拓也であり、『たむらさん』は加藤による書き下ろし作品だ。
突発的にも感じられるシス・カンパニーと加藤拓也の組み合わせではあるものの、実は2021年以降で数本の大きなプロジェクトが進行中であり、その密なコミュニケーションの積み重ねが、今回のとてつもないスピード感で成立した緊急企画の原動力であったとのこと。そして、そのスピードに飛び乗ったのが、作者の世界観をよく知る、橋本淳と豊田エリーの2人だ。シス・カンパニー×加藤拓也×橋本淳×豊田エリー。この組み合わせによって、どのような作品が生まれるのか興味は尽きない。
【演出家+キャスト コメント】
加藤です。劇を書いている時は複雑な事は複雑なまま理解できる大人になりたいと思ってたのですが、なんといざそんな世界になると難しくて嫌になってしまいました。簡単な世界の方には簡単には戻らないのでしょうけれども楽がしたいのでどこかでずるできないか考えてしまいます。今回の劇では複雑な事をそのまま持ってる人と簡単にしてしまった人が出てきますが、何度か一緒してる橋本さんと豊田さんは、ややひねくれつつ、やや真っ直ぐなので、そういうものがうまく舞台の上にやや乗せできると思っています。
出演:橋本 淳(はしもと・あつし)
「たむらさん」のお話を頂いたとき、すぐに飛びつき、面白いと心から思える企画に心躍りました。しかし、その数秒後には、恐ろしいほどの恐怖感が襲ってきました。今現在もずっと襲われています。わたくし、襲われ続けています。しかし、恐怖心が大きいほどに、それは返ってくるものも大きいということ。どうせなら思い切り楽しもうと思ってなんだか開き直ってもいるという不思議な現状。皆様への情報開示もそこまでしていないので、どんな内容かは分厚いベールに包まれていますが、期待大の”挑戦作”です。憧れであったシス・カンパニーさん、そしてとても信頼している作演の加藤拓也氏と共演の豊田エリーさん、この上ないほどの贅沢な場で、思い切り羽を広げさせてもらいます。コロナ禍でなかなか劇場に足を運びづらい時節ですが、皆さまに届く歪な作品をお届け出来る様に、最後まで闘います。お楽しみにしていてください。
出演:豊田エリー(とよた・エリー)
加藤さんの描く人間は、確かに生きていると信じてしまう実在感に溢れていて、橋本さんもまた人の弱さや歪みも含んだリアルな様を表現するのが素晴らしいので、これからはじまる稽古が楽しみで仕方ありません。今回の作品について、まだお伝えできることは少ないのですが、脚本を読んだ時に味わった、足元がぐらつくような感覚をみなさまにもお届けしたく思っています。憧れのシス・カンパニー公演。これまでに幾度となく足を運んだ新国立劇場 小劇場。どひゃー、ドキドキです。
<公演概要>
公演期間:
10月9日(金)19:00
10月10日(土)15:00
10月11日(日)15:00
公演会場:新国立劇場小劇場(東京・初台)
作・演出:加藤拓也
出演:橋本淳、豊田エリー
チケット料金:S席¥5,500、A席¥3,500
一般前売開始日:2020年9月26日(土)