【SMOKE #6】『SMOKE』はミュージカルだけど、ミュージカルよりもっとすごいものなんです――大山真志&池田有希子インタビュー

| トラックバック(0)

チケット情報はこちら

 
■ミュージカル『SMOKE』2019年版 vol.6■
 
 
昨年日本初演され、その濃密な世界観と美しい音楽でたちまち話題となり、多くの熱狂的ファンを生み出したミュージカル『SMOKE』
20世紀初頭に生きた韓国の天才詩人、李箱(イ・サン)の遺した詩と彼の人生にインスパイアされたミュージカルで、たった3人のキャストが、ミステリアスで奥深い世界を作り上げていきます。

初演から1年で早くも再演となった『SMOKE』ですが、今年は6月の池袋・東京芸術劇場バージョンを経て、いよいよ7月25日に初演の地・浅草九劇の〈ORIGINAL CAST〉バージョンが開幕しました!

浅草九劇の〈ORIGINAL CAST〉バージョンは、3つの役どころそれぞれがトリプルキャストです。
」...大山真志、日野真一郎、木暮真一郎
」...大山真志、日野真一郎、木内健人
」...池田有希子、高垣彩陽、元榮菜摘
※初演で「海」を演じた大山さんと、「超」を演じた日野さんは、今回は「海」「超」の二役を演じます


濃厚な三人芝居を、その日ごとのキャストが魂を叩きつけるように熱演している九劇版『SMOKE』。
そんな皆さんの開幕後のリアルな心境や、ちょっと突っ込んだ内容をお伺いしたく、インタビューを数回にわけてお届け!

初演は「海」をシングルキャストで演じ、今回は「海」と「超」の二役に挑戦中の大山真志さんをホストに、出演者の皆さんの現在の心境、作品に対する思いなどをお伺いしていきます。

▽ 大山真志(海)smoke6-01IMG_9484.JPG


シリーズ初回は大山真志さんと「紅」役の池田有希子さんの対談です。
満席の客席の中、大盛り上がりに盛り上がった公演直後にお話を伺いました。

▽ 池田有希子(紅)smoke6-02_8222.JPG

 

◆ about『SMOKE』 ◆

李箱(イ・サン)の作品「烏瞰図 詩第15号」にインスパイアされ、その詩のみならず彼の人生やその他の作品群の要素も盛り込み作られたミュージカル。
イ・サンは、才気ほとばしる作風が讃えられる一方で、その独自性と難解さゆえに酷評もされた、両極端の天才詩人。結核をわずらった後、日本に流れつき、そのまま異国の地・東京で27歳の若さで亡くなります。

このミュージカルでは、彼の精神世界を謎めいた筆致で描き、誰も想像できなかった物語が繰り広げられます。
登場人物は、
 詩を書く男「(チョ)」、
 海を描く者「(ヘ)」、
 心を覗く者「(ホン)」
の3名のみ。 俳優の実力も問われる、スリリングな作品です。


★インタビュー中、一部ストーリーの展開に触れています。ご注意ください。
 

大山真志池田有希子 INTERVIEW ◆

 

●再演は「やりたくて仕方なかった」

 
―― おふたりは昨年の初演にも出ていた、いわば日本のオリジナルキャストですね。1年ぶりの『SMOKE』が開幕したばかりですが、まずこの再演に際しての心境は?

池田「(食い気味に)心待ちにしていました!」

大山「(笑)。俺もめちゃめちゃ、やりたくて仕方なかったですよ」

池田「この作品って、全員が、全身全霊すべて使って使って使いきるんです。満身創痍になって「もう動けない!」ってところに到達して、初めて得られるものがある。作品の構造上、どん底に到達するしかない。でもそこから上がるんです。落ちるところまで落ちたら、もう蹴りあがるしかなくて...それが最終的に多幸感に満ち溢れているんです。私たちが上がることで、観ているお客さんの気持ちも上がってくれる」

大山「そうですね」

池田「私たち、お客さまと役者との "共犯関係" ってよく言っているんですが。その関係が密になればなるほど、最後に到達できる空があります。良く書けている脚本ですし、こんな素晴らしい作品に出演できるってことは、私たち役者にとっての贈り物です。『SMOKE』は特別。だからこそ今回の再演もすごく楽しみにしていました」
 
 
―― 『SMOKE』の何がそんなに、特別なんでしょう。

大山「飾らなくていいんですよね」

池田「"マッパ" です」

大山「そうですね。僕らよく話しているんですが、真っ裸にならないと嘘になる。もともと舞台芸術って、嘘のものを本物に見せるものなんですが、でもこれはそうじゃない...もう、僕ら自身が丸裸にならなきゃいけないんです」

池田「お芝居って、自分ではない入れ物(役)を借りてやっているのに、やっぱり "自分" を使わないとダメなんです。この作品で描かれている李箱は芸術家であって、そこは我々も同じ(俳優という芸術家)じゃないですか。その彼が悶々と、自分の作品が認めてもらえず死んでしまいたい...と苦悩する姿は、自分の芝居が認めてもらえないという気持ちに繋がります。その気持ちは死ぬ気で、本心から掴まないと」
 
 
―― 芸術に携わるものとして、コアな部分に共感する...ということでしょうか。

池田「しますね~。しかも彼は志半ばで亡くなっていますから。実際の彼が死ぬ間際に、私たちが劇中で歌う最後のナンバーのような到達点までいけていればとても嬉しいのですが...。でも、たぶん、そうじゃなかった気がするんです。ものすごい失望とともに亡くなった方なんじゃないかなと思っていて。だからこそなおさら、ラストの曲は空高く飛ばしてあげたいとも思います」

▽ 大山真志(超)、池田有希子(紅)smoke6-07_8417.JPG 

● 大山真志から見た、池田有希子の「紅」

 
―― このインタビューは、前回は「海」をシングルで全公演演じて、今年は「海」と「超」の二役を演じている大山さんをホストに、キャストの皆さんを紹介していただく形で何回かできれば、と思っているんです。ですので、大山さんから池田さんのご紹介をお願いしたいです!

大山「ゆっこさん(=池田)の「紅」は母性があって、包み込むような器の大きさがある、"母"のような存在なんです。それがゆえに、正論を言われるとめっちゃムカつく(笑)。わかってるんだよそんなことは! みたいな」

池田「あぁ、お母さんに痛いところを突かれると一番ムカつくんだよね~(笑)」

大山「そう。「食器片付けなさいよ!」「あとでやるよ!」みたいなね(笑)。「超」として向き合うと、本当にどストレートに正論を言ってくるから、突き放したくなる。「海」として相対するときは...前半で「超」が部屋から出ていって、「海」と「紅」だけになるシーンがあるじゃないですか。あそこで、この人と一緒にいるのが本当に幸せだなって思える瞬間がいっぱい見つかる人だなって思えた...かな」

池田「あら嬉しい」

大山「今回の「紅」は世代が違う3人じゃないですか。ゆっこさんは幅広い部分を全部フォローしてくる。恋人だったり、母だったり。そんなイメージの「紅」です」

池田「それはやっぱり、年齢を重ねたからこそ出来ることですよね。通ってきた経験があるから、どの世代も演じられる。ありがたいことです。しかもその武器を使える作品ってなかなかないですし。一般的な作品は「この役は20代後半」とか決まっているものだけど、「紅」はざっくり "女"! そのかわり、"女" であることをめちゃくちゃ求められる。フィナーレで「男でも女でもない、ただの芸術家」と言うまでは女でなくてはいけない。でも年齢からは開放されていますね。...ただここだけの話、私はまったく "母親" を演じているつもりはないんですよ」

大山「まじっすか!」

池田「これっぽっちも。でもキャストの男子はみんな若いし(笑)、私が普通にお芝居をしていても母子に見える部分も出てくるんだろうなって。でも例えば「なぜ棄てたんだ?」というセリフがあっても、それは母が子どもを棄てた、という意味であると同時に、恋人を棄てた、という意味も入っていると思うんです。だから、あまりそこは意識してないの」

大山「そうだったんですね、面白い」

池田「もちろん脚本上、「紅」には母親像も含まれていると思うから、お客さまにはそう見えてもいいんです。私としては、玉虫色に見せたいなって思っている」
 
 
―― 私は、池田さんの「紅」からはものすごい母性を感じながらも、ファム・ファタール的な魔性も感じます。

池田「あ、それも書かれていますね。「紅」は実際にいた女性をモデルにしていますし。あと「紅」って、相手役に(心を)あげればあげるほど得をする役なんです。もう、何ももらわなくていいくらい。だから、その場でのキャッチボールをしっかりする、って思ってやっています」
※「紅」という名前は、李箱と関係のあった妓生の「錦紅」から取っていると思われます。

▽ 大山真志(超)、池田有希子(紅)smoke6-06_8381.JPG

 

● 大山真志から、池田有希子への質問

 
大山「ゆっこさんて、演じていてフリーセッションに突入する時があるじゃないですか。あれは何か "降りて" くるんでしょうか。『SMOKE』はその日その日のセッションを大切にしているけれど、俺の場合は感情の分かれ道があったら「今日はこっちにしてみようかな」って選んでいる感じなんです。ゆっこさんはたまに、神がかったフリーセッションを始めるから、相対している役者としては「うえぇー!」って思いながら(笑)、ゆっこさんは俳優としてどうしているんだろうって、ずっと知りたかったんです」

池田「マーシー(=大山)、今日このインタビューに向けてずっと質問考えてたみたいだけど、それがこの質問(笑)? んー、自分では...「楽しい!」っていう気持ちがちょっとでも芽生えちゃったら、そっちに行くしかないでしょう! という気持ちです。思いついちゃったら、本番だけど試しちゃおう! って」

大山「わかりやすい(笑)、ゆっこさんらしい」

池田「でもそれって、"勇気" なんだよね。いや、実はいま、私の人生の課題は "勇気" だと思っているの。本当は勇気がないんです、私。たとえば満員電車で「この人、痴漢です!」って声が聞こえても、私は何もできない。怖気づいて固まっちゃう。そのたびに反省するんです。役者やっているのに。インプロ(即興)の千本ノックみたいな稽古をやらせてもらう現場があったりするのに。役者って、そういう球を自由に投げ合っていい人たちじゃないですか。なのに、現実社会ではそれが出来ない...!」

大山「なるほど」

池田「電車の中でご年配の方に「座ります?」って言うタイミングとかも、本当にインプロだよね。それを常にできるように心がけてるんです、今。ありがたいことに『SMOKE』の現場は、演出の(菅野)こうめいさんがある程度俳優に任せてくださる方なので...もちろんセリフを変えたりはしませんが、思いついたことをやる、それも勇気だよなって」

大山「でもそれを受ける側としては、信頼してもらえてるんだろうなって、嬉しいですよ」

池田「うん、すごいしてるよ! めっちゃ信頼している。受け止めてくれる人に対してじゃないと出来ないから。マーシーの安定感はすごいよ、身体の大きさだけじゃないよ!」

大山「安定...してないですよ(笑)、俺も、ビビリですから。いや、ゆっこさんの口からそんな言葉が出ると思わなかったけれど、俺も人見知りだし、人生で自分がこうなるとは思っていなかったんですよ。子どもの頃からマイケル・ジャクソンが好きで、人前で歌いたかったけれど、引っ込み思案だし、出来ないで終わるだろうなって思っていた。だから...うん、俺も勇気を出していこうかな!」

池田「勇気、大事だと思う!」

大山「勇気、大事ですね。『SMOKE』でさらに信頼関係を深めて、自由に球を投げ合える関係性にしたいですね」

池田「そして勇気を持つだけじゃダメで、本当に相手のことをわかろうとする優しさや、ひとつのものを作っていこうする気持ち。それも大事にしようね。だって、やっぱり李箱っていう、実際にいた人物...しかもあそこまで中身のつまった人生を生きた人を考えると、彼の人生に失礼があっちゃいけないなって思うもん!」

▽ 池田有希子(紅)、日野真一郎(海)smoke6-05_8273.JPG
 

● 池田有希子にとっての大山真志は...

 
―― 逆に池田さんから見て、大山さんはどんな存在でしょう? 今回は「超」と「海」の二役を演じていらっしゃいますが。

「初演はもう確実に、マーシーが私たちの軸だったんですよ。マーシーの「海」だけがシングルキャストで、私たちはダブルキャストだったから。『SMOKE』のカラーを作ってくれたのがマーシーで、そこに私たちが乗っかったんです。だから頼もしくもあったんですが...今回、彼が二役をやっていて良かったなって思うのは、それによって余裕がなくなっているところ(笑)」

大山「ふはははは! 余裕がない(笑)!」

池田「もちろんちゃんと解釈は深まっているし、何も減ってないよ? でも、二役やることで余裕がなくなっている。それって、この作品には必要なことだよなって」

大山「追い詰められますからね」

▽ 大山真志(海)smoke6-04_9152.JPG 


―― たしかにこの作品、余裕綽々でやられても違う気がします(笑)。

「でしょ。解釈はちゃんと深まってるにも関らず、明日がどうなるかわからない! っていう。その心持ちが『SMOKE』ですよ。たぶんしーたん(=日野真一郎)も同じで、それがすごく、良いです。やっぱり「超」と「海」と「紅」はひとつの魂なんだなー、っていうのが、もっと色濃くなった」
 
 
―― 大山さんには初演時にもインタビューさせていただいて、その時は「海」一役でしたが、それでも「こんな大変な作品を...」という質問をしたことを覚えています。

大山「そうでしたね(笑)。去年の公演中、半ばくらいの時かな? プロデューサーが「またやろうと思うんだけど、今度やるとしたら「海」と「超」どっちがやりたい?」って聞いてくれて、「どっちも」って答えたら...案の定、両方やることになりました(笑)。でも、いま公演がスタートして、どっちもやっていてよかったなって思うところがたくさんあります」
 
 
―― たとえば?

大山「自分が「海」をやってたときに、「超」はどうあってほしいか、どういう存在なのかっていうイメージがあって。例えば「超」は「海」にとって憧れであったり...、そういう気持ちを全部投影して、いま「超」をやれています。それは「海」を経験したからこそ。たぶんヒッシュ(=日野)も同じこと思っていると思う。しかも、3人しか登場しない作品の中で二役やるって、なんかもう、この作品そのものになっている感じ(笑)」
 
 
―― そうは言ってもやっぱり大変ではあると思うんです...。混乱はしませんか?

大山「しますよ(笑)。でもやっと慣れてきたかな」
 
 
―― 同じ曲で、同じ歌詞でも、上下が変わったりするわけですよね。

池田「そうそう!」

大山「しかも実は、前回僕が「海」をやっていたとき、けっこうギリギリな音域だったので、本来「超」が歌うパートを(入れ替えて)歌ってたんです。今回は、韓国で実際やっていたオリジナルの形に戻したので、去年「海」として歌っていた同じパートを、今年は「超」として歌うことになる。もうワケわからないことになってますが...(笑)」
 
 
―― それはでも、大山さんの音域が広がったってことでもありますよね!

大山「そう...ですかね(笑)、まあでも、やっと落ち着いてきたかな」

池田「しかもマーシーは去年はシングルだったから、この大変な作品を1日2回やったりしてたもんね」

大山「ぶはははは」

池田「しかもあの時期ほかのお仕事もあって忙しかったんだよね、本当に偉かった!」

大山「でもやりたいって思うのが、この作品の魔力ですよね」

池田「うん、他の人にやってほしくない。私にやらせてください!」

大山「自分のいない『SMOKE』なんて!って思っちゃうよね!」
 
 
―― いやでも、初挑戦の「超」の大山さん、カッコいいですよね。

大山「やった」

池田「そのカッコよさって、マーシー自身の大きさだよね。こうめいさんには「おまえ痩せろよ!」「肺病やみに見えねぇよ!」って言われてたけど(笑)、でも「超」は「海」の憧れの存在なんだとしたら、肺病を患っていても、こういう力強さのある自分でいたかった...って解釈もできるよなって。この大きさがカッコよさのスパイスになっている」

大山「ゆっこさん...優しい...!」

▽ 大山真志(超)smoke6-03_8161.JPG

 

● 再演は「画素数が増えました」

 
―― この『SMOKE』、本当にハマるミュージカルといいますか、中毒者も続々生まれているようです。物語自体、けして単純とはいえませんし、李箱の書いた詩自体が難解なもので、その詩が盛り込まれた文学的な側面もある。すぐに理解できない部分があるところが逆に "気になる" 気持ちに繋がるんだと思います。

池田「たしかに、簡単にはわからないですよね!」

大山「僕たちも、勉強しての今、ですよ。演出のこうめいさんも、初演の時よりさらにこの作品に対しての理解を深めていらっしゃいますし、「ここ、こういう意味じゃなかったよね」ってもう一回洗い直したりもして、色々深めてくださいました」

池田「6月の芸劇バージョンも経て、..."画素数" が増えた感じがします。みんなの解釈が」

大山「僕らも、前回は理解は出来てるんだけど表現としてはやりきれていない部分があったと思う。でも今回は色々なところが明確になっています」

池田「続けるって、大切なことよね~」
 
 
―― 私も何度見ても「ああ、そこはこういうことか」と今更ながら発見があったりします。1回観ただけの時は「ここ、ちょっと強引じゃない?」って思った部分が、何度か見ているとちゃんと道筋がたっていることがわかったりも。

「そう、案外ロジカルなんです。私、この作品をいわゆる韓国ミュージカルの "激昂する" "感情過多の" ものだってカテゴライズされると残念な気がして。沸点は高いけれど、それが必要だからそこに行くんです。もちろんそれは韓国ミュージカルだから描けたのかもしれないけれど」
 
 
―― 絶唱させるために叫ぶのではなく、それが必要な感情だから、と。

池田「そう。それが人間だから、って作品だと思うんです」

▽ 大山真志(海)、日野真一郎(超)smoke6-09_9440.JPG

 

● ミュージカルだけど、ミュージカルよりもっとすごいもの

 
―― ちょっと細かいところなんですが、大山さん。最後のナンバーの直前、「海」が机に向かっているところで鏡の中から「超」が登場しますよね。あそこの大山さんの「超」の表情が印象的でした。けして明るい表情じゃなく、「海」を優しく見つめるでもなく。あれはどういう感情なんだろう? と最後まで心に残りました。

大山「ああ、あそこは、あんまりここで(超の気持ちが)開放されちゃうのも違うかなって思ったんです。「海」はあそこではもう独り立ちしている。自分より強くなっている「海」がいて、一方で超は「俺たち、書けるのかな、本当に」って言っている。...ってことは、「超」の方が不安なんですよ。でも、お前が行くんなら俺も行くよ、って気持ちに繋がって最後に『翼』を歌います。だから俺は最初はあんまり笑顔でいたくないなって」

池田「変わりたい人と変わりたくない人、って感じがすごくするよね。すべて壊されて変わらざるを得なかった「海」と、最後までかたくなに「死にたい」って変わらない「超」。でも「海」が死を間際に、本当に面前に突きつけられて、やっとその気持ちから開放される、生きることをやってみようかな? って思う。それに「超」がうろたえるものがあって。それで生を受け入れるってことなのかなって、私はそこでグッとするんです」

大山「そう見えているんなら、嬉しいです。俺、自分が「海」をやっていた時にそこの「超」の顔を見て、安心した日もあったの。でもこの「超」の表情ってお客さんにとってはどう見えているんだろう?ってのは毎回感じていて...だから実は、あそこは自分でも大切にしている部分です」
 
 
―― 最後に『SMOKE』というタイトルについて...。このタイトル、作品を知れば知るほど「なるほど」って思うんです。改めでですが...スモーク、煙って、何なんでしょう?

池田「私、この作品のタイトル『MIRROR』でも良かったんじゃないかなって思うんです。鏡も大きな象徴だから。でも『SMOKE』なんだよなーって考える。でも、色々伏線は張られていますが、それをどう捉えるかっていうのもひとつの楽しみですよね」

大山「観る人によって解釈は全然違うと思います。そういう意味ではケムに巻いているのかな?」

池田「お香を焚くシチュエーションってあるじゃない? 占いとか。あの煙って"そういう"世界と繋がるものだから焚くんですって。「海」も「超」も「紅」も本当に曖昧な存在。「生きている/いない」「実在する/しない」、境界線にいる。そういう曖昧なものである。でも魂はガツンとある! そういうことなのかなーって思ったりもします」
 
 
―― インタビューとして最後にまとめたいのですが、この作品、まとめると野暮になる気もします(笑)。

池田「そうなんですよ。残尿感(笑)が大切!」

大山「でも俺は、自分にとっての『SMOKE』とは、だったら、間違いなく自分が今までやってきた自己表現としての舞台の、到達点です! お客さんも一緒に作品の中に入ってしまっているような、そんな感覚に陥る作品だし、繰り返し見ても、絶対新しい発見がある作品。ぜひ色々な方に観てもらいたいです」

池田「ですね! こうめいさんが、この作品は演劇とかミュージカルじゃなく "事件" にしたいって言ってた」

大山「わかる!」

池田「ものすごく歌ってるし、芝居もしているから、ミュージカルなんだけどね。ミュージカルよりもっとすごいの、わかって!みたいな(笑)」

大山「わかります、わかります」

池田「ライフワークにしたいくらい。だって、一生やりたいでしょ?」

大山「こんなに自分と向き合える作品、ないですもんね。俺にやらせてください! って作品です。その日の温度や湿度の違いだけで、感じることが全然違う。毎日感覚が研ぎ澄まされる。それが心地よくて仕方ない」

池田「ちゃんと李箱の絶望を、最後に飛ばしてあげたいし、自分がその心をちゃんとジャーニーすると、とてつもない "絵" が見えるんですよ」

大山「あとみんな、『SMOKE』が大好きです」

池田「結局そこだよね(笑)! 大好き!」
smoke6-08_8563.JPG

  
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)

 
【バックナンバー(2019年公演)】
#1 石井一孝&藤岡正明&彩吹真央インタビュー
#2 稽古場レポート
#3 開幕レポート
#4 藤岡正明&木内健人 インタビュー
#5 九劇チーム、稽古場レポート
# (ぴあニュース)開幕ニュース

 
【バックナンバー(2018年公演)】

#1 稽古場写真到着!公演情報
#2 稽古場レポート
#3 大山真志×日野真一郎ロングインタビュー

 
【公演情報】

〈ORIGINAL CASTバージョン〉
 7月25日(木)~8月18日(日) 浅草九劇(東京)
[出演]大山真志/木内健人・木暮真一郎/日野真一郎
池田有希子・高垣彩陽・元榮菜摘

チケット情報はこちら


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://community.pia.jp/mt/mt-tb.cgi/9335

前の記事「日生劇場ファミリーフェスティヴァル2019 音楽劇「あらしのよるに」開幕!!」へ

次の記事「韓国発ヒューマンバディミュージカル【マイ・バケットリスト Season5】制作発表レポート」へ

カテゴリー

ジャンル

カレンダー

アーカイブ

劇団別ブログ記事

猫のホテル

文学座

モナカ興業

谷賢一(DULL-COLORED POP)

劇団青年座

劇団鹿殺し

 はえぎわ

柿喰う客

ONEOR8

M&Oplaysプロデュース

クロムモリブデン

演劇集団 円

劇団チャリT企画

 表現・さわやか

MONO

パラドックス定数

石原正一ショー

モダンスイマーズ

ベッド&メイキングス

ペンギンプルペイルパイルズ

動物電気

藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

松居大悟

ろりえ

ハイバイ

ブルドッキングヘッドロック

山の手事情社

江本純子

庭劇団ペニノ