





●井上芳雄 INTERVIEW●
歌舞伎のアンチテーゼとしてスタートしたタカラヅカは、その100年の歴史の前半では、歌劇(オペラ)、レビュー、バレエといった欧米の舞台芸術を取り入れるための実験場としての存在でもありました。それぞれのジャンルが日本でひとり立ちしたとき実験場としての役割は終えるわけですが、その頃にはタカラヅカもまたそれぞれのエッセンスを取り込みタカラヅカ流に消化してしまっているわけです。
100年の歴史の後半は、取り込み消化したものを土台にしつつ、ミュージカルという新たな様式と向き合い続けた50年でした。そして今、まさに旬の「2.5次元」の世界とタカラヅカがいかに向き合っていくのかにも注目したいところです。
私自身、本書の執筆を通じてタカラヅカの懐の深さに圧倒されました。この思いはきっとファンの皆さまにも共感していただけると思います。また、これからタカラヅカの扉を開けてみようと思われている皆さまにとっては、本書が良き道案内の役割を果たせれは嬉しいです。
――中本千晶